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孤児から冒険者へ
20話だ、ダンジョン?
しおりを挟むダンジョンに入るとそこは草原だった。
1階層の入口から見渡せる限り、そこは別世界と言った表現しか出来なかった。
「きれいだねー」
「あ、そうだね」
長閑な風景とその風、そして青々とした草の匂いにそう気が抜けてしまうのは仕方の無い事だった。
「とりあえず魔物と遭遇するまで歩いてみるか?」
ララが頷いたので俺達はとりあえず進む事にした。
2分程草原を歩いていた時だった
『プギュ』
「は?」
ぼふんっ
変な鳴き声と、効果音が足下で鳴ったので下を見ると紫色の水晶の様な小さな石が落ちていた。
「何か倒したみたいだ。何だったかさっぱりだ」
首を傾げていると、サラが告げた。
『生まれたばっかりのスライムじゃない?スライムは長く生きてると俊敏になったり、溶解液を吐くけど
生まれたばっかりのスライムはプルプルその場で震えてるだけよ!』
「へースライムのイメージって何でも食べる恐ろしい魔物のイメージだったけどな」
ケラケラ笑い俺の認識違いをしてきしてくる。
『それは、吸収に吸収を続けた進化種よ。アルティメットスライムは神話級の魔物と呼ばれていて国喰らいとも呼ばれる恐ろしき魔物よ。
余りにも食べ過ぎてエサが無くなるからって竜種が出てきてバコーンと消滅させるの!』
おいおい、マジか……竜種じゃないと消せないスライムとか地獄過ぎて笑えないぞ。
『ララ!ヴィン、お出ましよ!』
会話の最中にサラが魔物の接近を教えてくれる。
ララはすぐに弓に矢をセットして引き絞る。
俺は短剣を抜き、サラが指さした方に警戒を向ける。
すると草原を掻き分けて出て来たのは……
緑色の醜い顔をした俺達より少し小さい位の身長の子人。
ダンジョン定番のゴブリンだった。
ゴブリンは俺達を見ると真っ先に走って来たのだが、視線はララ一直線だった。
「やぁぁ、ゴブリンキモイっ!」
俺が接近する前にララの放った矢がヘッドショットを決めてゴブリンは紫色の小石多分魔石を残して消えた。
5分程その場に留まると、ゴブリンが2体襲って来て
今度は俺が1体短剣て首に刺し、ララも矢で攻撃して極小魔石2つを手に入れた。
「同じ場所に留まると魔物が寄ってくるのか?」
『その辺はダンジョンによって違うから分からないわ。
ダンジョンによっては休憩室が設置されてる場所もあるからね』
「へーそうなのか」
「ヴィン君先に進も?ゴブリンだけじゃお金にならないよ?」
ララに指摘されたが確かにそうだ。
ゴブリンが出す極小魔石を売っても二束三文にしかならないし
先に進んでドロップ品が落ちる所まで行かないと稼げないだろうな。
「そうだな。1階層に誰も居ないのが稼げない理由だろうからな」
俺達は先に進みつつもたまに襲って来るゴブリンを返り討ちにしつつ30分程歩んで行くと
壁が見えてきて洞窟が見えた。
「次の階層の入口か?」
『とりあえず魔物は居ないわよ!』
サラのその言葉を信じ俺達は洞窟に入った。
「!!?え?」
そう、入った瞬間空気が変わったのが分かったと同時に根源的恐怖に縛られそれ以降声が出せず
ガタガタと体が震え出す
耳に聴こえるのは心臓の鼓動の爆音とカチカチカチカチと嫌な歯が当たり鳴る音だけだった……
俺はララ達を確認したかったが目の前から視線を外す事が出来なかった。
目の前には薄暗い火の色の様な光り輝く紅蓮色の2つの玉が浮いている。
『んぁ?どーして人族と半魔人のエルフが居るだっペか?あの女子おらに不良品渡したんか?
人来ねぇって言ったっぺよ!』
そんな東北訛りの低く腹の底に響く声が聞こえた時から更に何かが軋む音が聴こえた気がした。
『んぉ!?わりぃわりぃ。久々にこげな所に人来たがら魔力抑えんの忘れてたっぺよ』
そんな言葉と共に威圧感・恐怖心が薄れ紅蓮色の2つの玉が瞳であった事に気付いたのであった。
その人は角があり、赤錆色の髪の毛をした2m位の男性だった。
その瞳が更に光り輝いた気がした。
『んぅ、転生者だっぺな?おめどっちだ?』
俺は自分でも驚く程掠れた声を鳴らす
「あ、あの?ど、どっちとは?おおお、俺はヴィンです。転生者って何か選択してるんですか……?」
その言葉で大男はガハハと笑い出した。
『ヴィンだな?おらはカイエンってこっちでは呼ばれてる。
エルフっ子は気にすんな言語理解のスキルでおらのごっちの言葉に自動変換されて話してるから話聴かれたぐ無いんだっぺよ?』
俺は少し慣れた事と、ララの事を気にする必要が無い事に安堵して頷く。
『質問変えるっぺよ。ヴィンこの世界どう思う?
深ぐ考えんくてもええがら、素直に答えでみろ』
俺はその質問の意味の意図は分からずとも俺は感じたまま答えた。
「正直……チートだと思います。努力すればする程できる事が増え強くなりたいなら成り上がれ、知識チートしたきゃ勉強すればスキルが手に入る
俺達転生者にとってはイージーかつ楽園に近いと思います」
『チートって何だっぺ?最近の若い子の言葉わがんねぇでよう』
「あ、チートって言うのはずるい能力だと思います。
でも俺達にとっては楽園でもこの世界の人は堕落していると思います。
独り立ち出来ておらず、スキルさえ得てしまえば魔力で物を生み出せる為考える力を奪ってしまっていると思います。
神の力にあやかりすぎかな?っても思えます」
その言葉にうんうん頷くカイエン。
『その言葉忘れでならねぞ?おめの言葉が正しい感覚でおら達転生者の中では【白】と呼んでる。
ごんな、やればやる程楽しめる世界ですら納得出来ね奴も居るんでよ?
それをおら達は【黒】と呼んで排除してる』
俺はその【黒】の転生者の事を聞いて驚いた。
「え?どうしてそんな……俺達には無かった筈の第2の人生を貰って儲け物と捉えないと行けないのに」
『おめさん、達観しでるな?何歳で死んだど?』
俺は前世の死んだ理由を話すと突然轟轟と物凄い爆音で泣き始めた。
『うぉぉぉ、おめぞれはダメっぺよぉぉ。
子供は宝だおらが生きでれば絶対助けだのに"ぃぃぃ』
少し嬉しくなった。
この人も多分、結構酷い死に方したと言うのに。
『おめら、このままだど危ねな?【黒】の転生者達はこんな世界なのに
前世を引きずって恨む奴も居れば、この世界に来て好き勝手やりたくて失敗して恨んでる奴も居るどアホだっぺ?』
俺はそれを聞いて少し呆れてしまった。
「好き勝手したい、我儘に生きたい気持ちは誰にでもあるでしょう?
でもそれは相手に意思が無い世界、全てが自分に忖度してくれる世界だけですよ……」
『まぁ、皆失敗しでだり。
女神様の失敗も加味してる奴も居るがら何とも言えねげどな?
おらも世界最強の剣士になりたいって言っだらぐあぁぁ生まれたらドラゴンだったっぺよ
女神様それはねぇっぺよって思ったんだげんども
永く生きていげるって点では有利だったっぺな。
それに存在進化して龍人にまでなったがら
な?』
龍人って……俺は絶句した。
それは、ドラゴンが人化した姿なのかドラゴンの力を人型に圧縮した姿なのか分かってない御伽噺レベルの話だったのだから。
そして女神の被害者がここにも……あの人何回失敗してるんだ?
「俺も、5歳まで人形の様だったらしいですよ?
孤児院で皆が世話してくれなかったら死んでましたね」
そこでカイエンさんは真面目な顔をした。
『【黒】の転生者達が狙っているのは転生者達の器の大きい魔力だったり魂だべな。
だからごそ、生まれたばっかりの転生者は狙われるんだっぺよ。
おめはおらに最初に出会ったのは幸運だっペよ。
世界の転生者達の情勢と子細が知れたんだからな』
すると、ララが隣に歩いてきた。
カイエンさんはララと会話し始めるのだった。
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