2 / 13
僕の居場所
しおりを挟む
僕は真宵荘のフリースペースになっているらしい一階の真ん中の部屋に通された。
この部屋には確かに誰かの部屋という感じではなく、真ん中に向かい合うように置かれたソファーが2つとその真ん中に置かれた木製のテーブルくらいしか目に付くようなものはとくになかった。
少しチャラそうな青年に促されてソファーに腰掛けているのだが、猫耳みたいなくせっ毛の特徴的な女の子が鼻をヒクヒクさせながら僕の匂いを嗅いでくるので大変居心地が悪い。
「うむ。大丈夫な匂いだ」
と女の子は少し偉そうに言った。
「悪く思わないでくれ。タマは初めて会う人の匂いを嗅ぐのが趣味なんだ」
「趣味ではないぞ!いい奴か悪い奴かチェックしているのだ!」
キッチンから甘いいい香りのする紅茶を持ってきた青年にタマと呼ばれた女の子は少し怒りながら言い返した。
「はいはい。あ、俺はユウジな。こっちの猫耳はタマ」
青年は向かい側のソファーに座ると自己紹介をしてくれた。
「あ、えと、僕はリクトです」
「よろしくなリクト!」
タマはそう言いながら紅茶を啜った。
「あちちっ!ユウジ!紅茶熱すぎるぞ!」
涙目になってタマはユウジさんを睨みつけた。
「お前が猫舌なだけだろうが」
と言いながらユウジさんは平然と紅茶を啜る。
「二人とも仲いいんですね。兄妹かなにかですか?」
「そんなんじゃないよ。ここに住んでるみんなこんなんだよ」
とユウジさんは笑いながら答えた。
「ここってあと何人くらい住んでるんですか?」
ふと疑問に思ったことを尋ねた。
「今は俺とこいつとリクトくんを合わせて5人だね」
とユウジさんは指を折りながら数える。
ちょっと待て、僕も数に入ってなかったか?
「だってここにたどり着いたって事はどこにも居場所がないんだろ?だったら一緒に住めばいいじゃん」
ユウジさんはネコジャラシでタマを弄びながら平然と言った。
「私も賛成だぞ!」
さっき怒っていたはずのタマは忘れたかのようにネコジャラシの先を追いかけていた。
「で、でも迷惑じゃ…」
「大丈夫だよ。ここのみんなはそうやって集まってきたんだから」
本当にいいのだろうか?これまで居場所なんてなかった僕がこれほど簡単に居場所を手に入れてもいいのだろうか?
「難しく考えんなって。な、タマ?」
「そうだぞ!それとも私と一緒じゃ嫌か?」
タマが上目遣いで見つめてきた。正直これはずるいと思う。
「…わかりました。今後ともよろしくお願いします」
「おう!よろしくな!」
「よろしくなのだ!」
という突然の流れから僕はこの真宵荘に住むことになった。
「あ、これ鍵な。二階の左側の部屋」
ユウジさんが鍵を渡してくれた。
「隣こいつだから気使わなくていいよ」
と言いながらタマの頭を軽く小突く。
「あ、はい。ありがとうございます」
「晩はみんなで歓迎会だな!」
とタマは大はしゃぎで部屋を出ていった。
タマが出ていった扉を見つめてユウジさんが口を開く。
「タマのことよろしくな」
意味がわからず、僕はただ曖昧に頷いた。
この部屋には確かに誰かの部屋という感じではなく、真ん中に向かい合うように置かれたソファーが2つとその真ん中に置かれた木製のテーブルくらいしか目に付くようなものはとくになかった。
少しチャラそうな青年に促されてソファーに腰掛けているのだが、猫耳みたいなくせっ毛の特徴的な女の子が鼻をヒクヒクさせながら僕の匂いを嗅いでくるので大変居心地が悪い。
「うむ。大丈夫な匂いだ」
と女の子は少し偉そうに言った。
「悪く思わないでくれ。タマは初めて会う人の匂いを嗅ぐのが趣味なんだ」
「趣味ではないぞ!いい奴か悪い奴かチェックしているのだ!」
キッチンから甘いいい香りのする紅茶を持ってきた青年にタマと呼ばれた女の子は少し怒りながら言い返した。
「はいはい。あ、俺はユウジな。こっちの猫耳はタマ」
青年は向かい側のソファーに座ると自己紹介をしてくれた。
「あ、えと、僕はリクトです」
「よろしくなリクト!」
タマはそう言いながら紅茶を啜った。
「あちちっ!ユウジ!紅茶熱すぎるぞ!」
涙目になってタマはユウジさんを睨みつけた。
「お前が猫舌なだけだろうが」
と言いながらユウジさんは平然と紅茶を啜る。
「二人とも仲いいんですね。兄妹かなにかですか?」
「そんなんじゃないよ。ここに住んでるみんなこんなんだよ」
とユウジさんは笑いながら答えた。
「ここってあと何人くらい住んでるんですか?」
ふと疑問に思ったことを尋ねた。
「今は俺とこいつとリクトくんを合わせて5人だね」
とユウジさんは指を折りながら数える。
ちょっと待て、僕も数に入ってなかったか?
「だってここにたどり着いたって事はどこにも居場所がないんだろ?だったら一緒に住めばいいじゃん」
ユウジさんはネコジャラシでタマを弄びながら平然と言った。
「私も賛成だぞ!」
さっき怒っていたはずのタマは忘れたかのようにネコジャラシの先を追いかけていた。
「で、でも迷惑じゃ…」
「大丈夫だよ。ここのみんなはそうやって集まってきたんだから」
本当にいいのだろうか?これまで居場所なんてなかった僕がこれほど簡単に居場所を手に入れてもいいのだろうか?
「難しく考えんなって。な、タマ?」
「そうだぞ!それとも私と一緒じゃ嫌か?」
タマが上目遣いで見つめてきた。正直これはずるいと思う。
「…わかりました。今後ともよろしくお願いします」
「おう!よろしくな!」
「よろしくなのだ!」
という突然の流れから僕はこの真宵荘に住むことになった。
「あ、これ鍵な。二階の左側の部屋」
ユウジさんが鍵を渡してくれた。
「隣こいつだから気使わなくていいよ」
と言いながらタマの頭を軽く小突く。
「あ、はい。ありがとうございます」
「晩はみんなで歓迎会だな!」
とタマは大はしゃぎで部屋を出ていった。
タマが出ていった扉を見つめてユウジさんが口を開く。
「タマのことよろしくな」
意味がわからず、僕はただ曖昧に頷いた。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる