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好きの意味
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それからも相変わらず僕とタマが話すことはほとんどなかった。
でも、一つだけ変わったことがあって、タマがご飯を食べに僕の部屋に来てくれるようになったのだ。
これまで普通だったことであったからこそその普通が戻ってきたことがどうしようもなく嬉しい。
十一月に入ると朝晩は肌寒くなってくる。
目を覚ました僕は朝日を浴びてぼんやりとその肌寒さに身を晒した。
さて、そろそろ朝食を作らなきゃ。
僕が味噌汁の味見をしているとインターホンが鳴る。
出てみるとタマが扉の前に立っていた。
「…おはよ」
ぶっきらぼうにタマが呟く。
それだけで僕は嬉しくてたまらなくなった。
「おはよ。もうすぐご飯できるよ」
「…ん」
タマは部屋に上がると僕のベットに上がって毛布を体に巻き付ける。
どうやらタマは寒さに弱いらしい。
しばらくして僕がご飯をタマの前に置くとタマが何か言いたげな目で見てくる。
「えっと…なに?」
「なんもない。…いただきます」
相変わらずタマはあれ以来素っ気ない。
タマがご飯を食べ終えても他の人たちは来ていなかった。
僕とタマの間で気まずい沈黙が横たえていた。
僕は何気ないふうに聞いてみることにした。
「タマ、なんで最近そんなにぶっきらぼうなの?」
「…べつにぶっきらぼうなんかじゃない」
「僕はぶっきらぼうだと思うけどなぁ」
「うぅ…」
タマは言葉に詰まってそっぽを向いた。
「僕、なにか悪いことした?」
「リクトがあんなこと言うから!」
「え…?僕なにか気に触るようなこと言ってた?」
僕は必死にタマに言ったことを思い出そうとする。
「リクトが好きとか言うからっ!リクトがそんなこと言うからどうしたらいいのか分かんなくてっ!」
タマが恥しそうに視線をそらす。
いつそんなこと言ったっけ?
「あ、」
この間のこと思い出す。
たしかにそんなこと言った気がする。
「あ、あれはその…」
僕は言葉につまる。
タマが限界を迎えたようで俯いてしまった。
「…あれは仲間として、一緒に暮らす真宵莊の1人として好きって意味であってっ!」
「えっ…」
タマの目が点になった。
「だ…だから!」
「リクトのばかー!」
タマは玄関の扉を叩きつけるように閉めて走って行ってしまった。
でも、一つだけ変わったことがあって、タマがご飯を食べに僕の部屋に来てくれるようになったのだ。
これまで普通だったことであったからこそその普通が戻ってきたことがどうしようもなく嬉しい。
十一月に入ると朝晩は肌寒くなってくる。
目を覚ました僕は朝日を浴びてぼんやりとその肌寒さに身を晒した。
さて、そろそろ朝食を作らなきゃ。
僕が味噌汁の味見をしているとインターホンが鳴る。
出てみるとタマが扉の前に立っていた。
「…おはよ」
ぶっきらぼうにタマが呟く。
それだけで僕は嬉しくてたまらなくなった。
「おはよ。もうすぐご飯できるよ」
「…ん」
タマは部屋に上がると僕のベットに上がって毛布を体に巻き付ける。
どうやらタマは寒さに弱いらしい。
しばらくして僕がご飯をタマの前に置くとタマが何か言いたげな目で見てくる。
「えっと…なに?」
「なんもない。…いただきます」
相変わらずタマはあれ以来素っ気ない。
タマがご飯を食べ終えても他の人たちは来ていなかった。
僕とタマの間で気まずい沈黙が横たえていた。
僕は何気ないふうに聞いてみることにした。
「タマ、なんで最近そんなにぶっきらぼうなの?」
「…べつにぶっきらぼうなんかじゃない」
「僕はぶっきらぼうだと思うけどなぁ」
「うぅ…」
タマは言葉に詰まってそっぽを向いた。
「僕、なにか悪いことした?」
「リクトがあんなこと言うから!」
「え…?僕なにか気に触るようなこと言ってた?」
僕は必死にタマに言ったことを思い出そうとする。
「リクトが好きとか言うからっ!リクトがそんなこと言うからどうしたらいいのか分かんなくてっ!」
タマが恥しそうに視線をそらす。
いつそんなこと言ったっけ?
「あ、」
この間のこと思い出す。
たしかにそんなこと言った気がする。
「あ、あれはその…」
僕は言葉につまる。
タマが限界を迎えたようで俯いてしまった。
「…あれは仲間として、一緒に暮らす真宵莊の1人として好きって意味であってっ!」
「えっ…」
タマの目が点になった。
「だ…だから!」
「リクトのばかー!」
タマは玄関の扉を叩きつけるように閉めて走って行ってしまった。
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