エルダーストリア-手垢まみれの魔勇譚―

秋山静夜

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第二譚:灼銀無双の魔法譚

設定解説②

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 前回の解説をさらに分かりやすくするためにも、エミル、イリア、アゼルの戦闘遍歴を記していきます。

エミル:

・8歳の頃に魔法使いの隠れ里を襲ってきたアスキルド兵を死闘の末に撃退する。この戦いをきっかけに近接戦技術の必要性を感じ、独学で武術を身に着け始める。

・15歳で隠れ里を出奔するまでの間、魔法使いと敵対するアスキルド兵や魔銀(ミスリル)を密猟する為に訪れる冒険者たちとの戦いに明け暮れる。

・里を出てからはフリーの魔法使い(傭兵)として各地のゴタゴタに顔を出す。一時はギルドにも在籍して冒険者となることもあったが、数々のトラブルの末に籍は抹消されることとなった。また、この頃に大境界の最前線でアゼルの姿を視認した。

※余談ではあるが、エミルの成長速度はイリアよりもなお遅い。(それが容姿にも表れているが)
 その為、幼少期からの実戦経験の数に対してレベルはそこまで上昇していなかった。本来であればイリアのパーティに加入する段階でレベル70を越えていてもおかしくない程の経験値であったが、実際にはレベル35程度に留まっていた。

・21歳の時、魔族が人間領域への侵攻を開始する。エミルは個人レベルでは勝利を収めていたが、多勢に無勢となってはさすがに押し返すことはできずに逃げざるを得なくなる。
 そんな中、魔族を類を見ない特異性で押し返していくイリアとパーティを組むこととなる。
 その後に1年間は戦いに次ぐ戦いの日々で、成長の遅いエミルも瞬く間にレベルとステータスを上昇させていった。
 最終的にレベル80までとなったころにイリアと別れ、その後は単身での戦いの日々を過ごす。
 
 その戦いの中で、魔族の前線基地たる魔城を単身で攻略した経緯もあり、再びイリアと再会したときにはレベル99にまで辿り着いていた。



イリア:

・15歳の時にキャンバス村が滅ぼされるときまでは、村の友人たちと剣の稽古をする程度であった。

・魔族の侵攻開始後は単身でハルジア城まで辿り着き、そこを拠点に魔族への反撃を開始する。
 イリアはレベルが低くても魔族からの攻撃をほぼほぼ無効化してしまうので(魔ダメージ減衰と削減の効果)個人戦において敗北することはないが、レベルが低いと攻撃の威力と範囲が弱く、狭い。
 そのため初期の段階では人間側の戦力が魔族の侵攻を食い止める間にイリアが主戦力を叩いていくという戦法をとっていた。
 とにもかくにもまともなダメージをイリアは受けないため、ひたすら相手を切り倒すという単調な攻め方が身についてしまった。

 1年間における魔族との戦いの末にレベルは99まで上昇したが、肝心の戦闘技術(駆け引きなど)が成長していないチグハグな状態となり、そのままエミルと再び相見えることとなる。


アゼル:

 幼少期からは専属の指導者の下でメキメキと戦闘の才覚をあらわしていく。
 しかし、魔王となってからは軍の指揮をすることが専らの仕事で実際の戦闘をする機会はほとんどなかった。軍の指揮を上げるために、稀に前線に出て人間たちを蹴散らす程度。
 アゼルが本気を出せば人間の軍などは1週間もたたずに壊滅するのだが、アゼルは故あってそれを実行することはなかった。

 アゼルがまともに戦う機会となったのは魔法国エミリアへの突撃の時であり、この時は部下を守るために多くの魔法使いたちを葬った。

 そんなこんなで全力を出すチャンスに恵まれなかったアゼルは、生まれて初めて宿敵たる勇者を相手に本気で衝突することとなる。しかし、相手のイリアも駆け引きもないもない戦いしか知らないので、実際にはお互いの最大スペックのぶつけ合いのような展開となってしまった。

 というわけで、アゼルのイリアと同様に戦いにおけるノウハウを得ることもないままエミルと出会ってしまう。
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