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嫌でございます
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「エアリス、あなたのような賢明な妃がアレクサンダーには必要よ。国を背負い、民の幸せに我が人生を捧げるのが王家の使命。どうかアレクサンダーの支えになって欲しいわ」
「で、ですが、殿下ご自身から婚約は破棄だと 」
イヤーな予感が広がる。
「エアリス、王家に嫁ぐのは公、侯爵家よりと決まっております。他の貴族の間では受け入れられる伯爵家の娘をいずれかの家へ養子にやってというのは王家ではありえないのよ。血筋の問題ですから。だからあなたがアレクサンダーの子を産み、その子を次代とするのが一番だわ」
「で、ですが、アレクサンダー様はルミカ様と添い遂げたい、と」
「ええ、側室なら伯爵家の娘でも問題ないわ」
とエリザベス様が言った瞬間、私の身体は重く、まるで水飴の中に落とし込まれたような身体の不自由と、息苦しさを感じた。
「い……」
嫌でございます、って言ったら、怒られるかな。
「ルミカが何人子を産もうと全て養子にだし、王族には迎え入れない。安心しなさい、エアリス、あなたが産んだ子供だけが王族の子です」
え、追放、どうなった?
何より、殿下は側室といちゃこらで私は正妻として執務に励み、更に嫡男を産み育て、一生国に仕えなければならないって事?
国王の方をちらっと見ると、顔をしかめている。
エリザベス様は上機嫌で、私、冴えてるぅ、みたいな顔をしている。
皇太子妃候補に選ばれたから真面目に教育も受けたし、好きとか嫌いとか無く王家に仕えるって意味で婚約も受け入れた。それを断ってまでやりたい事とかないし、まあ、自分で自分の行く末を考えるの面倒くさいし。
貴族の令嬢だから仕方ないってのもあったし、庶民の娘ならものぐさでもそれなりに生きていけただろうとも思う。
だけど、安心しなさいって何だ。
私は国の為に愛のない相手の子供を産んで。その子だけを王族にしてやるから安心しろって、何だかなー。
ルミカ嬢もそんなんでいいのかな。何人、殿下の子供を産んでも養子に出されて別のお家の子になっちゃうって。
いや、もういっそ追放してくれた方が良かったし、まだいっそ家臣として仕え執務を手助けしろとか言われた方がまだ受け入れられたような気がする。
皇太子妃になるのがご褒美のように言われても困るし、皇太子妃になって国政に参加するのはぶっちゃけ無給で無休……皇太子妃に対する費用は全て公費で賄われる。ドレスとか髪飾りは買ってもらえて、食いっぱぐれない。だけど私個人には給料が入らない上になんの旨味もない。
というような事をぐるぐると考えていて、私は沈黙を決め込んだ。
うかつに返事はしたくない、てか、断りたいし。
「エアリスよ、よく考えてみるがよい。学院も卒業した事だ、しばらく休養する事を申しつけるぞ」
と国王様が言ってくれたので、私はにっこりと微笑んだ。
「何を考える事が? アレクサンダーの妃になる事は以前より決められた国事ではありませんか。ゆくゆくは王妃になるのですよ。女性ではこの国で最高の地位ですよ」
とまだ言ってるエリザベス様には、
「妃よ、この度のアレクサンダーの勝手な判断。王族であるからこそ許せるものではないぞ。アレクサンダーにはしばらく謹慎を申しつける」
と少々厳しい口調で王様が言った。
エリザベス様は始終、笑みを絶やさないが、この瞬間だけはこめかみがピクッと動いた。
「で、ですが、殿下ご自身から婚約は破棄だと 」
イヤーな予感が広がる。
「エアリス、王家に嫁ぐのは公、侯爵家よりと決まっております。他の貴族の間では受け入れられる伯爵家の娘をいずれかの家へ養子にやってというのは王家ではありえないのよ。血筋の問題ですから。だからあなたがアレクサンダーの子を産み、その子を次代とするのが一番だわ」
「で、ですが、アレクサンダー様はルミカ様と添い遂げたい、と」
「ええ、側室なら伯爵家の娘でも問題ないわ」
とエリザベス様が言った瞬間、私の身体は重く、まるで水飴の中に落とし込まれたような身体の不自由と、息苦しさを感じた。
「い……」
嫌でございます、って言ったら、怒られるかな。
「ルミカが何人子を産もうと全て養子にだし、王族には迎え入れない。安心しなさい、エアリス、あなたが産んだ子供だけが王族の子です」
え、追放、どうなった?
何より、殿下は側室といちゃこらで私は正妻として執務に励み、更に嫡男を産み育て、一生国に仕えなければならないって事?
国王の方をちらっと見ると、顔をしかめている。
エリザベス様は上機嫌で、私、冴えてるぅ、みたいな顔をしている。
皇太子妃候補に選ばれたから真面目に教育も受けたし、好きとか嫌いとか無く王家に仕えるって意味で婚約も受け入れた。それを断ってまでやりたい事とかないし、まあ、自分で自分の行く末を考えるの面倒くさいし。
貴族の令嬢だから仕方ないってのもあったし、庶民の娘ならものぐさでもそれなりに生きていけただろうとも思う。
だけど、安心しなさいって何だ。
私は国の為に愛のない相手の子供を産んで。その子だけを王族にしてやるから安心しろって、何だかなー。
ルミカ嬢もそんなんでいいのかな。何人、殿下の子供を産んでも養子に出されて別のお家の子になっちゃうって。
いや、もういっそ追放してくれた方が良かったし、まだいっそ家臣として仕え執務を手助けしろとか言われた方がまだ受け入れられたような気がする。
皇太子妃になるのがご褒美のように言われても困るし、皇太子妃になって国政に参加するのはぶっちゃけ無給で無休……皇太子妃に対する費用は全て公費で賄われる。ドレスとか髪飾りは買ってもらえて、食いっぱぐれない。だけど私個人には給料が入らない上になんの旨味もない。
というような事をぐるぐると考えていて、私は沈黙を決め込んだ。
うかつに返事はしたくない、てか、断りたいし。
「エアリスよ、よく考えてみるがよい。学院も卒業した事だ、しばらく休養する事を申しつけるぞ」
と国王様が言ってくれたので、私はにっこりと微笑んだ。
「何を考える事が? アレクサンダーの妃になる事は以前より決められた国事ではありませんか。ゆくゆくは王妃になるのですよ。女性ではこの国で最高の地位ですよ」
とまだ言ってるエリザベス様には、
「妃よ、この度のアレクサンダーの勝手な判断。王族であるからこそ許せるものではないぞ。アレクサンダーにはしばらく謹慎を申しつける」
と少々厳しい口調で王様が言った。
エリザベス様は始終、笑みを絶やさないが、この瞬間だけはこめかみがピクッと動いた。
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