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ゼキアス殿下
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ウエールズ邸のサロン室にゼキアス殿下は美しい微笑みを持って現れた。
「ウエールズ侯爵、忙しい最中の領地での休養時間を邪魔したのでなければいいが」
丁寧に挨拶をし、ゼキアス殿下はそう言った。
金髪で翡翠色の瞳、年のわりに背は大きく、立ち上がって殿下に挨拶をしたウエールズ侯爵様に引けを取らなかった。
「とんでもございません、殿下」
リリアン様も立ち上がり、
「お会いできて嬉しゅうございます」と微笑み、私もそれにならった。
「さあ、どうぞお座りください、殿下、すぐに飲み物を」
「それでは失礼」
殿下はガイラス様に勧められたソファへ座り、長い足を組んだ。
すぐに執事が殿下へ紅茶とお菓子を運んできた。
「殿下、このような辺境の地までお越しいただかなくとも一言呼んでいただければはせ参じましたものを」
とガイラス様が言うと、
「いえ、兄上とエアリス嬢の婚約が破棄されたと聞いて、兄上は彼女を国外追放などと言っており、王妃にいたっては婚約破棄はなかった事にして、兄上にエアリス嬢を娶らせ、さらにはあの伯爵令嬢を側室に置くなどと申しておりますが、エアリス嬢の意見を無視した振る舞いがあまりにも酷い。ウエールズ侯爵の元に身を寄せられていると聞きまして、参ったしだいです。王宮ではどこから横やりが入るともしれず。ウエールズ侯爵の元でなら、エアリス嬢と話ができるのではないかと思い」
とキリッとした風に言った。
優男風のイケメンだから、何を言っても誠実そうに見える。
ガイラス様がこちらを見て、リリアン様もワクワクが隠しきれずに私の方を見た。
「ガイラス様、ありがとうございます。私は国外追放もやむを得ないと思っておりますわ。まだ幼い弟妹の事もありますし」
弟妹が心配でという事を前面に押し出せば、殿下の同情は必至。さらに、
「ですが……私は幼い頃から王妃教育を受け、アレクサンダー様の妻として支えていくというお役目の為に……頑張ってまいりました……それが今より、お世継ぎを産むためだけに殿下に輿入れし、殿下はルミカ様と……あまりなお言葉ではございませんか」
とハンカチで口元を覆って言ってみた。
もう王妃とか側室とかどうでもいい、何とかアレクサンダー皇太子から逃げ切りたい。
「エアリス……」
「どうか私を国外追放するように陛下とエリザベス様に助言いただけませんか? 私はもうこの国では生きていく……夢も希望もありませんわ」
これだけ言っとけば、ゼキアス様の同情も引けるだろう。
「君の気持ちは分かったが、知っての通り、私は第二皇子でも地位が低い。兄上からも嫌われているしね。私の助言が上手く通るかどうかは、疑問だが一度陛下に進言しよう」
「ありがとうございます」
そこでリリアン様が口を開いた。
「ゼキアス様、例えばエアリス様が皇太子殿下との結婚はしません、と断るとどうなるのですか?」
「王妃が怒るだろうな」
とゼキアス様は簡単にそっけなく言った。
リリアン様の綺麗な眉の右方が少しあがり、
「怒ってどうなるかをお伺いしておりますのよ? エアリス様のお家に圧力をかけて、どうしても結婚させます? 爵位剥奪するぞとかなんとか、そんな風に脅してまで?」
と言った。
「まあ、あの人ならやるだろうな」
「そうですか……それで? あなたはここへ何をしにいらしたのですか? 上手く通るかどうか分からない助言をしていただけるのは先程聞きましたけど? エアリス様の窮地に何か具体的な救助策があるからいらしたのではないかしら?」
リリアン様ったら……目の前の人、第二王子ですよ。
不敬罪とか普通に言いますよ? 王家って。
ゼキアス様は不愉快そうにリリアン様を見て、口を開きかけたので。
「あ、あの! 私の為に申し訳ございません。私は皇太子殿下とは結婚は……したくないですけど、我が家に咎があるのならば……」
と間に入る。
あ~~嫌だよ~~
「そなたが逃げると言うならばそれでもいいが、次に世継ぎを産めと言われるのはそなたの妹だぞ」
「え!?」
ゼキアス様は非道い事を言う。
マリアンヌに私の代わりをさせようなんて。
「妹もそなたと同じように美しく賢いと聞いている。今から王妃教育を始めても十分間に合うだろう」
「そ、そんな……マリアンヌにそんな……それだけは……」
「ウエールズ侯爵、忙しい最中の領地での休養時間を邪魔したのでなければいいが」
丁寧に挨拶をし、ゼキアス殿下はそう言った。
金髪で翡翠色の瞳、年のわりに背は大きく、立ち上がって殿下に挨拶をしたウエールズ侯爵様に引けを取らなかった。
「とんでもございません、殿下」
リリアン様も立ち上がり、
「お会いできて嬉しゅうございます」と微笑み、私もそれにならった。
「さあ、どうぞお座りください、殿下、すぐに飲み物を」
「それでは失礼」
殿下はガイラス様に勧められたソファへ座り、長い足を組んだ。
すぐに執事が殿下へ紅茶とお菓子を運んできた。
「殿下、このような辺境の地までお越しいただかなくとも一言呼んでいただければはせ参じましたものを」
とガイラス様が言うと、
「いえ、兄上とエアリス嬢の婚約が破棄されたと聞いて、兄上は彼女を国外追放などと言っており、王妃にいたっては婚約破棄はなかった事にして、兄上にエアリス嬢を娶らせ、さらにはあの伯爵令嬢を側室に置くなどと申しておりますが、エアリス嬢の意見を無視した振る舞いがあまりにも酷い。ウエールズ侯爵の元に身を寄せられていると聞きまして、参ったしだいです。王宮ではどこから横やりが入るともしれず。ウエールズ侯爵の元でなら、エアリス嬢と話ができるのではないかと思い」
とキリッとした風に言った。
優男風のイケメンだから、何を言っても誠実そうに見える。
ガイラス様がこちらを見て、リリアン様もワクワクが隠しきれずに私の方を見た。
「ガイラス様、ありがとうございます。私は国外追放もやむを得ないと思っておりますわ。まだ幼い弟妹の事もありますし」
弟妹が心配でという事を前面に押し出せば、殿下の同情は必至。さらに、
「ですが……私は幼い頃から王妃教育を受け、アレクサンダー様の妻として支えていくというお役目の為に……頑張ってまいりました……それが今より、お世継ぎを産むためだけに殿下に輿入れし、殿下はルミカ様と……あまりなお言葉ではございませんか」
とハンカチで口元を覆って言ってみた。
もう王妃とか側室とかどうでもいい、何とかアレクサンダー皇太子から逃げ切りたい。
「エアリス……」
「どうか私を国外追放するように陛下とエリザベス様に助言いただけませんか? 私はもうこの国では生きていく……夢も希望もありませんわ」
これだけ言っとけば、ゼキアス様の同情も引けるだろう。
「君の気持ちは分かったが、知っての通り、私は第二皇子でも地位が低い。兄上からも嫌われているしね。私の助言が上手く通るかどうかは、疑問だが一度陛下に進言しよう」
「ありがとうございます」
そこでリリアン様が口を開いた。
「ゼキアス様、例えばエアリス様が皇太子殿下との結婚はしません、と断るとどうなるのですか?」
「王妃が怒るだろうな」
とゼキアス様は簡単にそっけなく言った。
リリアン様の綺麗な眉の右方が少しあがり、
「怒ってどうなるかをお伺いしておりますのよ? エアリス様のお家に圧力をかけて、どうしても結婚させます? 爵位剥奪するぞとかなんとか、そんな風に脅してまで?」
と言った。
「まあ、あの人ならやるだろうな」
「そうですか……それで? あなたはここへ何をしにいらしたのですか? 上手く通るかどうか分からない助言をしていただけるのは先程聞きましたけど? エアリス様の窮地に何か具体的な救助策があるからいらしたのではないかしら?」
リリアン様ったら……目の前の人、第二王子ですよ。
不敬罪とか普通に言いますよ? 王家って。
ゼキアス様は不愉快そうにリリアン様を見て、口を開きかけたので。
「あ、あの! 私の為に申し訳ございません。私は皇太子殿下とは結婚は……したくないですけど、我が家に咎があるのならば……」
と間に入る。
あ~~嫌だよ~~
「そなたが逃げると言うならばそれでもいいが、次に世継ぎを産めと言われるのはそなたの妹だぞ」
「え!?」
ゼキアス様は非道い事を言う。
マリアンヌに私の代わりをさせようなんて。
「妹もそなたと同じように美しく賢いと聞いている。今から王妃教育を始めても十分間に合うだろう」
「そ、そんな……マリアンヌにそんな……それだけは……」
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