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ルミカ嬢
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「エアリス嬢、君はこの婚約の話を受けるか、兄上と結婚するかしかないんだ。兄上はルミカ嬢と新しくさせた居住区で仲睦まじく暮らし、君は王宮の執務室で朝から晩まで書類に追われるだろう事は想像に易い」
え、そんな事言われても……
オロオロするばかりでどうしていいか私の頭には浮かばない。
今までずっとああしなさい、こうしなさいって言われて、そうしてきただけの私にそんな重要な事を決めさせないでほしい。
でも、アレクサンダー皇太子との結婚は嫌だ。
だけどさっきゼキアス様は妹まで話に巻き込もうとした。
私が断ると、マリアンヌまで話が行くだろう。
それだけは避けたい。
「では……ゼキアス様の申し出をお受けいたします」
と私は言った。
「まあ、エアリス様、それでよろしいの?」
とリリアン様が言い、私はうなずいてからゼキアス様を見た。
「はい。ゼキアス様、私はあなたと婚約してあなたが宰相となられた時には精一杯お仕えいたします。ですから妹だけはどうか巻き込まないでくださいませ。あの娘にはどうか好いて好かれた方へ嫁がせてやりたいと思います」
ゼキアス様はにこっと笑って、
「了解した。君の英断に感謝するし、君の妹は私の名誉にかけて守ろう」
と言った。
私がウエールズ領から帰った時にはすでに親兄弟や親戚、社交界にもゼキアス様との新たな婚約が広まっていて、祝福されたり、またおかしな揶揄をしてくる人もいたりと反応は様々だった。
国王様、王妃様に挨拶に出向いた時には王妃様は気分が優れないと顔を見る事は叶わなかったけど、国王様は笑顔で迎えてくれた。
国王様向けの言い訳は、かねてからゼキアス様は私に恋をしていたけれど、兄の婚約者と言うことで親しくするも遠慮していたが、皇太子との婚約が破棄となった今がチャンスと思い、間が無いとは思いつつも私に求婚した、という筋書きだ。
よく考える事だなぁ、感心してしまう。
国王様はとてもお喜びになり、祝福の言葉を頂いた。
「ゼキアス様ぁ」
え? 何なの、この人!
アレクサンダー様と正式に婚約したはずのルミカ嬢がぱたぱたと駆けてくる。
それだけでもう駄目なのに、王族であるゼキアス様に馴れ馴れしく名前呼びとか。
「何だ、あれ」
とゼキアス様がルミカ嬢を見て、ぎょっとしたように呟いた。
「ゼキアス様ぁ、あちらでお茶でもどうですぅ? 今、お友達が来て、薔薇園でお茶会をしてますの」
とルミカ嬢が鼻息荒く言った。
「ルミカ様、ゼキアス様にそういう風にお声をかけてはいけません」
と取りなしてみたけど、ルミカ嬢は「ふんっ」と鼻を鳴らして、
「あら、エアリス様、どこぞへ休養にいらしてたと聞きましたけど?」
と言った。
「ええ、ウエールズ侯爵様にご招待いただきまして」
「ふん、そうなの。ウエールズ領って、とても田舎で辺境なんでしょう? 泣き虫のリリアンが嫁いだけど、大丈夫なのかしら。私は王都の育ちですから耐えられないわね、きっと」
「ウエールズ領はとても良い所ですわ。緑も多く、それに産業も発展し、ウエールズ侯爵様がとても領民の生活に力を入れてますの」
「ゼキアス様ぁ、どうぞあちらで」
く、そっちから聞いといて無視ですか。
ゼキアス様は嫌悪感を隠さず、無礼にしなだれかかるルミカ嬢の腕を振り払う。
「急いでますので、失礼、エアリス、行こう」
「はい、ゼキアス様」
ゼキアス様はルミカ嬢を完全にスルーしてその前を通り過ぎたのだけど、その瞬間、ルミカ嬢の目がぎらっと怒りに燃え、そして、ちっと舌打ちをした。
信じられる? 王族に対して舌打ちですよ?
ゼキアス様はそれに気が付いているのかいないのか、そのまま歩を進めたし、私も振り返るなんて事はマナー上出来ないけど、ルミカ嬢の顔が酷く恐ろしい物に見えた。
え、そんな事言われても……
オロオロするばかりでどうしていいか私の頭には浮かばない。
今までずっとああしなさい、こうしなさいって言われて、そうしてきただけの私にそんな重要な事を決めさせないでほしい。
でも、アレクサンダー皇太子との結婚は嫌だ。
だけどさっきゼキアス様は妹まで話に巻き込もうとした。
私が断ると、マリアンヌまで話が行くだろう。
それだけは避けたい。
「では……ゼキアス様の申し出をお受けいたします」
と私は言った。
「まあ、エアリス様、それでよろしいの?」
とリリアン様が言い、私はうなずいてからゼキアス様を見た。
「はい。ゼキアス様、私はあなたと婚約してあなたが宰相となられた時には精一杯お仕えいたします。ですから妹だけはどうか巻き込まないでくださいませ。あの娘にはどうか好いて好かれた方へ嫁がせてやりたいと思います」
ゼキアス様はにこっと笑って、
「了解した。君の英断に感謝するし、君の妹は私の名誉にかけて守ろう」
と言った。
私がウエールズ領から帰った時にはすでに親兄弟や親戚、社交界にもゼキアス様との新たな婚約が広まっていて、祝福されたり、またおかしな揶揄をしてくる人もいたりと反応は様々だった。
国王様、王妃様に挨拶に出向いた時には王妃様は気分が優れないと顔を見る事は叶わなかったけど、国王様は笑顔で迎えてくれた。
国王様向けの言い訳は、かねてからゼキアス様は私に恋をしていたけれど、兄の婚約者と言うことで親しくするも遠慮していたが、皇太子との婚約が破棄となった今がチャンスと思い、間が無いとは思いつつも私に求婚した、という筋書きだ。
よく考える事だなぁ、感心してしまう。
国王様はとてもお喜びになり、祝福の言葉を頂いた。
「ゼキアス様ぁ」
え? 何なの、この人!
アレクサンダー様と正式に婚約したはずのルミカ嬢がぱたぱたと駆けてくる。
それだけでもう駄目なのに、王族であるゼキアス様に馴れ馴れしく名前呼びとか。
「何だ、あれ」
とゼキアス様がルミカ嬢を見て、ぎょっとしたように呟いた。
「ゼキアス様ぁ、あちらでお茶でもどうですぅ? 今、お友達が来て、薔薇園でお茶会をしてますの」
とルミカ嬢が鼻息荒く言った。
「ルミカ様、ゼキアス様にそういう風にお声をかけてはいけません」
と取りなしてみたけど、ルミカ嬢は「ふんっ」と鼻を鳴らして、
「あら、エアリス様、どこぞへ休養にいらしてたと聞きましたけど?」
と言った。
「ええ、ウエールズ侯爵様にご招待いただきまして」
「ふん、そうなの。ウエールズ領って、とても田舎で辺境なんでしょう? 泣き虫のリリアンが嫁いだけど、大丈夫なのかしら。私は王都の育ちですから耐えられないわね、きっと」
「ウエールズ領はとても良い所ですわ。緑も多く、それに産業も発展し、ウエールズ侯爵様がとても領民の生活に力を入れてますの」
「ゼキアス様ぁ、どうぞあちらで」
く、そっちから聞いといて無視ですか。
ゼキアス様は嫌悪感を隠さず、無礼にしなだれかかるルミカ嬢の腕を振り払う。
「急いでますので、失礼、エアリス、行こう」
「はい、ゼキアス様」
ゼキアス様はルミカ嬢を完全にスルーしてその前を通り過ぎたのだけど、その瞬間、ルミカ嬢の目がぎらっと怒りに燃え、そして、ちっと舌打ちをした。
信じられる? 王族に対して舌打ちですよ?
ゼキアス様はそれに気が付いているのかいないのか、そのまま歩を進めたし、私も振り返るなんて事はマナー上出来ないけど、ルミカ嬢の顔が酷く恐ろしい物に見えた。
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