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お前もか!
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「え? あの?」
リリアン様はにっこりと笑った。
「エリアノ伯爵が黒幕という事にまだ証拠がありませんのよ。ですから、私が魔術師であると噂を流していただければ、それに乗ってくると思いますの。あのおっさん……あら、おほほ、あの方、国中の貧しい村から魔力の適性をがある者をお金で買ってるんですの。それでですね」
「あ、あの!」
「何かしら」
「お話しを遮って申し訳ありません!。ですが……そのエリアノ伯爵が黒幕だなんて事を何故、あなたがご存じなんですか?」
と私は聞いた。
辺境で暮らしていた侯爵夫人が国の中枢に近い情報を手に入れるのは不可能だ。
さらに騎士団長であったガイラス様がその情報を耳にしてもリリアン様にそれを教えるなどあり得ない。愛するご夫人をみすみす危険に晒すような事をするわけがない。
それほどに危険な情報である事くらい私にも分かる。
王妃教育の一環として、私は魔法教育も受けた。魔力がないので自分では使えないが、それでも理論として学んだのだ。
この国で、近隣諸国を入れても魔力を有するものは特殊だ。
だからこそ魔術師の家系というのは非常に力を持つ。
王族だけにその力を集めようと、身分に関係なく魔力を持つ娘を娶るのが王命だった時代もある。
今では魔法学院も設立され、多くの魔術師達が学んでいるし、属性が聖魔法の聖女も時折出る。聖女が出た家や村は国に優遇されるので、子供が生まれて一番にする事が魔力値の測定だったりする。
「あら、私には優秀な眷属がたくさんついてますのよ」
リリアン様がすいーっと手を振った。
「きゃ!」
私の膝やリリアン様の手の平、ソファやテーブルの上に小さい人がたくさん現れた。
「彼らは妖精のおっさん達。と後はアラクネ! ヤトは大きいからまた今度紹介するわ」
小さい人達はにこにこして私に手を振った。
さらにどこからかぴょーんと飛んで来た赤い蜘蛛が後ろ足で立ち上がって前足四本を振るような素振りをした。
「妖精……本当にいるんだぁ……もしかして妖精王と関係ありますか?」
「おっさん達は妖精王の子孫なの。このおっさんが長男でダゴン・A・ウイン。妖精王を継ぐ者だったんだけど、諸々の理由で、今は次兄のドゴンおっさんが妖精王を継いでいるわ。妖精を視える人間は少ないけど、妖精は世界中にいるの。彼らの噂話は風よりも早いわ。彼らには国とか領土とか関係ないし、いくらでも情報は入ってくるの。それこそ隣国の姫の片思いのお相手すらね?」
と言ってリリアン様が笑った。
「す……凄いです! リリアン様、魔術師だったなんて!」
「でもそれを知っているのはガイラス様とメイドのサラ、執事のオラルドとここにいる子達。聖女並の力を持っていても、私は生涯モブで行こうと……あ、あら、モブなんて言葉は分かりませんよね」
モブって言った? 懐かしい言葉……モブ、そうモブ!
「分かります!!」
「え?」
「モブ……リリアン様がモブなら、私、喪女なんです!」
と言ってから、それこそリリアン様に通じるのか? と思ったけど、リリアン様の口から出たのは不思議な言葉だった。
「あらぁ。あなたも転生者ですの?」
「転生者……もしかしてリリアン様もですか?」
「そうなんですの。そんなに前世を覚えてるわけじゃないけど、まあ普通のラノベ大好き、ゲーム大好き脳でしたわ」
「私もです! 書店員で喪女でした。本だけが友達の」
「あらぁ。凄く親近感感。じゃあ、あなたも気が付いてるでしょ? この世界があれだって事に……」
「やっぱりそうなんですね……グランリーズ王国物語の本の中。あ、そうだ、ご存じです? グランリーズ王国物語のコミック化」
「え、そんなの知りませんわ。コミックの作者、誰?」
「告知しか知らないんです。その前に死んじゃったみたいで」
「あら、そうなの。残念、もしかしたらアニメ化も映画化もありかもですわね」
「ですよね!」
リリアン様はふふっと笑ってから、
「ねえ、エアリス様、本当ならあなたは公爵令嬢で格上なんですけど、年もそう変わらないしお友達になったのだし、同じ転生者って事で言葉使いはフランクでいきません?」
「リリアン様、喜んで」
リリアン様はにっこりと笑った。
「エリアノ伯爵が黒幕という事にまだ証拠がありませんのよ。ですから、私が魔術師であると噂を流していただければ、それに乗ってくると思いますの。あのおっさん……あら、おほほ、あの方、国中の貧しい村から魔力の適性をがある者をお金で買ってるんですの。それでですね」
「あ、あの!」
「何かしら」
「お話しを遮って申し訳ありません!。ですが……そのエリアノ伯爵が黒幕だなんて事を何故、あなたがご存じなんですか?」
と私は聞いた。
辺境で暮らしていた侯爵夫人が国の中枢に近い情報を手に入れるのは不可能だ。
さらに騎士団長であったガイラス様がその情報を耳にしてもリリアン様にそれを教えるなどあり得ない。愛するご夫人をみすみす危険に晒すような事をするわけがない。
それほどに危険な情報である事くらい私にも分かる。
王妃教育の一環として、私は魔法教育も受けた。魔力がないので自分では使えないが、それでも理論として学んだのだ。
この国で、近隣諸国を入れても魔力を有するものは特殊だ。
だからこそ魔術師の家系というのは非常に力を持つ。
王族だけにその力を集めようと、身分に関係なく魔力を持つ娘を娶るのが王命だった時代もある。
今では魔法学院も設立され、多くの魔術師達が学んでいるし、属性が聖魔法の聖女も時折出る。聖女が出た家や村は国に優遇されるので、子供が生まれて一番にする事が魔力値の測定だったりする。
「あら、私には優秀な眷属がたくさんついてますのよ」
リリアン様がすいーっと手を振った。
「きゃ!」
私の膝やリリアン様の手の平、ソファやテーブルの上に小さい人がたくさん現れた。
「彼らは妖精のおっさん達。と後はアラクネ! ヤトは大きいからまた今度紹介するわ」
小さい人達はにこにこして私に手を振った。
さらにどこからかぴょーんと飛んで来た赤い蜘蛛が後ろ足で立ち上がって前足四本を振るような素振りをした。
「妖精……本当にいるんだぁ……もしかして妖精王と関係ありますか?」
「おっさん達は妖精王の子孫なの。このおっさんが長男でダゴン・A・ウイン。妖精王を継ぐ者だったんだけど、諸々の理由で、今は次兄のドゴンおっさんが妖精王を継いでいるわ。妖精を視える人間は少ないけど、妖精は世界中にいるの。彼らの噂話は風よりも早いわ。彼らには国とか領土とか関係ないし、いくらでも情報は入ってくるの。それこそ隣国の姫の片思いのお相手すらね?」
と言ってリリアン様が笑った。
「す……凄いです! リリアン様、魔術師だったなんて!」
「でもそれを知っているのはガイラス様とメイドのサラ、執事のオラルドとここにいる子達。聖女並の力を持っていても、私は生涯モブで行こうと……あ、あら、モブなんて言葉は分かりませんよね」
モブって言った? 懐かしい言葉……モブ、そうモブ!
「分かります!!」
「え?」
「モブ……リリアン様がモブなら、私、喪女なんです!」
と言ってから、それこそリリアン様に通じるのか? と思ったけど、リリアン様の口から出たのは不思議な言葉だった。
「あらぁ。あなたも転生者ですの?」
「転生者……もしかしてリリアン様もですか?」
「そうなんですの。そんなに前世を覚えてるわけじゃないけど、まあ普通のラノベ大好き、ゲーム大好き脳でしたわ」
「私もです! 書店員で喪女でした。本だけが友達の」
「あらぁ。凄く親近感感。じゃあ、あなたも気が付いてるでしょ? この世界があれだって事に……」
「やっぱりそうなんですね……グランリーズ王国物語の本の中。あ、そうだ、ご存じです? グランリーズ王国物語のコミック化」
「え、そんなの知りませんわ。コミックの作者、誰?」
「告知しか知らないんです。その前に死んじゃったみたいで」
「あら、そうなの。残念、もしかしたらアニメ化も映画化もありかもですわね」
「ですよね!」
リリアン様はふふっと笑ってから、
「ねえ、エアリス様、本当ならあなたは公爵令嬢で格上なんですけど、年もそう変わらないしお友達になったのだし、同じ転生者って事で言葉使いはフランクでいきません?」
「リリアン様、喜んで」
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