氷の令嬢、国で一番の美姫とか言われてるけど、ただの怠け者の転生者です、婚約破棄? OKっす。

猫又

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脇汗びしゃー

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 ルミカ嬢に招待された伯爵家でのティーパーティとは名ばかりで、招待されたのは私だけ、相手はルミカ嬢とその父親であるエリアノ伯爵とアレクサンダー皇太子殿下がいた。
「皇太子殿下、学院卒業後は国王の側近として働くのでは? お茶会に出ている暇などありますの?」
 と私が聞いても皇太子はふっと笑っただけだった。

「ねえ、エアリス様、あなた魔力が発現したそうですわね? 本当かしら?」
 仮にもお茶会という名目で招待しておきながら、茶の一杯も出さず、ルミカ嬢はふふんと上から私を見下ろすように言った。
「ええ、そうですわ。でも、内緒にしていただけます? 魔力と言っても少しだけだと思いますし」
「属性は?」
「火、ですわ」

 ルミカ嬢は目を大きく見開いて、
「素敵! ね、ここで見せていただけない? 少しでいいから」
 と言った。
「いいですわ」
 私は手に握りこんでいた小さな魔石の破片を改めて手の平の中で確認した。
「ファイア」
 と小声で言い、手を差し出す。人差し指だけをぴんと伸ばし、あとの四本は破片を握ったままだ。
 火をイメージ、この間、リリアン様のところで出来たように。

 ぽっと一瞬だけ、火が空間に灯った。
 だけどそれが最後の力だったようだ。
 魔石の破片は私の手の中で粉々になって崩れた。
 唯一の武器が壊れて消えたのだ。
 予測はしていたといえこれは窮地だ。
 私は脇の下も、膝の裏も、足の指の間も汗をびしゃーとかいていた。


「素晴らしいわ!」
 とルミカ嬢が言った。
「ね、お父様! アレクサンダー様! 本当でしょ?」
 どや顔のルミカの横で、エリアノ伯爵がうんうんとうなずいて、
「エアリス様、どれほど魔力があるか計測させていただいても?」
 と言った。

「あら、何故そんな事を? 魔力値なんてデリケートな事を、無防備に知られたくありませんわ。伯爵にもルミカ様にも私の魔力など関係ありませんよね? 国王命令というのでもなければお断りします」
 と言った私に、
「次期国王命令だ!」
 と皇太子殿下が言った。
「そうですか、ですが私の魔力があなた方にどう関係するのか理由を教えて下さいます? 私の魔力値を知ってどうなさるおつもりなのですか?」
「お前には関係ない話だ」
「私の魔力値を教えろと迫られておるのに、私に関係ないとはおかしな話ですわね」

 皇太子殿下も伯爵もルミカ嬢も目がぎらぎらしていて、おかしな雰囲気だった。
 もしかして力尽くでも計測させられるかもしれない。
 知識でしか知らないが、過去の偉大なる賢者が作ったという魔力の計測器がある。
 魔石というのは本来なら石が独自に魔力を含むものだ。核だとかコアだとか呼ばれる時もある。一定量の魔力を保持し、それを魔術師が薬を作ったり、攻撃魔法に使ったりと運用するものだ。その魔石を使い作られたのが計測器で、最大計測値は二万とも三万とも言われているが、宮廷魔術師でも一万の数字を出す者はいないようだ。

「皇太子殿下、あなたがどういうつもりで魔力を保持する者を探しているのかは存じません。魔力がなくても魔法が使える存在になりたいのですか? 神があなたに魔力をお与えにならなかったのは、あなたには魔術師以外の大役があるからですわ」
 そう言った瞬間、頬に痛みが走った。
 自分は皇太子殿下に頬を叩かれ、ルミカ嬢がそれを笑っていた。
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