氷の令嬢、国で一番の美姫とか言われてるけど、ただの怠け者の転生者です、婚約破棄? OKっす。

猫又

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本性

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「うるさい! 苦労しらずの令嬢に何が分かる」
 と皇太子殿下が言い、ルミカ嬢はクスクスと笑った。
 私は自分の頬に触れた。
 痛いのは痛いけど、それよりもこみ上げてくる怒りの方が大きかった。
「いずれは国の王になるあなたが何をしているのか分かってらっしゃるの? 見栄と虚栄のために魔法石を独占し、そして魔術師達まで集めて。そんな悪事を働く者の片棒を担いでいるんですのよ?! 皇太子殿下、あなたが! 馬鹿な貴族達が金で魔法石の価値を高騰させ、その為に民に重税がかかっているのですよ!」

 皇太子殿下は、
「いいではないか、国を強化するための必要経費だ。民がそれを差し出すのは当然の事だ。
魔法石は魔力のない者でも扱える素晴らしい我が国の財産だ。魔術師もそうでない者も有事には活躍出来るのだぞ? エアリス、君の魔力も十分に吸い取って、永遠に私の魔法石のための動力として使ってあげよう。ゼキアスとの婚約は解消して、私に仕えるがいい。君が王宮へ顔を見せなくなって、執務も溜まっているぞ」
 と言った。
 その目はひやりとするような冷たい目で、前から人間が出来ているとは思えなかったが、まさしく今、人間の皮を脱いでしまったような雰囲気がした。

「そうよ! エアリス様ぁ。魔術師でない人だって魔法が使えるようになるんですのよ? 喜ばしい発展だと祝福しなくちゃ!」
 とルミカ嬢が言った。

「それはそうでしょう。魔法が使えない人間が遙かに多いんですもの。魔力がなくても魔法が使えるなんて素晴らしいわ。寒さに凍え、渇きに耐えている民が火を使い、水が飲めるなら素晴らしいわ。でも違うんでしょう? あなた方はそれを広く国民へ流通させないのでしょう? 自分達の為だけに使うんでしょう? 下らない虚栄の為、魔法が使える弟に対抗したいが為だけなんでしょう?」

「うるさい!」
 皇太子殿下が手に持っていた朱色の石を床に叩きつけた。
 それはパリーンといい音を立てて砕け、そしてそこから火が生まれた。

 見上げた皇太子殿下の顔が真っ青でブルブルと震えている。
 失言だったのは認める。 
 私は皇太子殿下の痛い所を付いたのだ。
 ゼキアス様と皇太子殿下に優劣はさほどなかった。
 二人とも学業優秀で、眉目秀麗、学院の生徒達にも人気があり、絵を描いても楽器を演奏しても二人とも同じように秀でた才能を見せた。
 二人とも性格はどうでも、貴族としての責はきちんと勤めていた。
 やがては立派に国を治める国王と宰相になるはずの兄弟だった。
 違いは魔力だけだ。 
 ゼキアス様にだけ発現した魔力。
 それがこんなに皇太子殿下を歪めてしまうなんて。 

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