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服従の指輪
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「アレクサンダー様ぁ、もったいない使い方をしないでください」
床にたたきつけられ、壊れた魔法石の放った火は石のタイルを焼いたがすぐに消えた。
「早く、魔法石にエアリス様の魔力を移しましょうよ」
とルミカ嬢が言った。
「嫌よ! そんな事しないわ。あなた方の悪事に荷担なんかしない!」
「あらあ、威勢の良い事。素直に私達に力を貸せば無理強いしなくて済みますのに」
「え? どういう……」
「エアリス様、あなたは私達に協力する事を誓うか、強制的に魔力を絞り取られるかどちらかですの。まあ、どちらを選んでも同じですけど」
「わ、私を監禁するつもりなの?」
「そうですわねぇ」
ふふっとルミカ嬢が笑った。
この人、こんなに邪悪な感じだったかしら。
皇太子殿下よりももっと悪い顔をしている。
「わ、分かった……」
「あらでも、口約束だけでは嫌ですわ。協力していただけるならこれを」
と言ったルミカ嬢の手には真っ黒な魔法石がはめ込まれた指輪があった。
「それは……もしかして……服従の……」
「さすが皇太子妃候補のエアリス様ですわ。よくお勉強なさってご存じだこと。これ、良いでしょう? 一度はめたら二度と外れませんわ。はめた人間に服従するんですの」
「何故……」
元々のルミカ嬢の印象はお花畑のキャピーとした令嬢だった。
皇太子殿下に甘え、擦り寄り、贅沢をし、けれど難しい皇太子妃としての仕事などは出来ない、だからこそ現王妃から私へに正皇太子妃へなる事を打診されたのだ。
けれど、それは全て演技だったのだろうか。
「いいえ、演技じゃありませんわ。私、本当に皇太子妃のお仕事や、勤めなんか出来ませんもの。美しい宝石に囲まれて贅沢をしたいだけなんですわ」
私の心を読んだようにルミカ嬢は答えた。
「でもその為には努力を惜しみませんのよ? あなたには執務はぜんぶお任せしますわ。その方が国の為になることくらい分かってますのよ。ですから、お願いしますわ。あなたはゼキアス様との婚約を破棄し、アレクサンダー様の側室になるの」
「い、嫌!」
と言った瞬間、ルミカ嬢に腕を掴まれた。
ぎゅっと握った拳を万力の様な力で開かされた。
「嫌! やめて! そんな事をしても無駄よ! 私、本当は魔力なんかないもの!」
ルミカ嬢はふふっと笑い、
「そんな事だろうと思いましたわ。この年で魔力が発現するなど、あり得ませんものね。あなたが何か探りに来たのだろうと思ってましたわ。でもそんな事どうでもいいの。これであなたも私の手の内ですものね」
そうだ、魔力は五歳くらいまでに発現し、それよりも上の年代ではほぼ発現しないのが、今までの常識だった。だけどリリアン様がいらっしゃる。
ルミカ嬢はそれを知らないのだ。
それに私だってこんな所へ一人でなんてこない。
ゼキアス様と打ち合わせ済みだ。
もうすぐにでもゼキアス様が踏み込んで来てくれるに違いないもの。
「おかわいそうなエアリス様! ゼキアス様はいらっしゃいませんよぉ?」
「え……」
「朝、一番で王妃様からお呼び出しがあったそうですよぉ? ですからここには来られませーん」
「王妃様?」
「そうなんですー。王妃様の呼び出しですもの。きっと慌てて駆けつけたでしょうね? あなたを助けに来る暇なんてないんじゃないかしら?」
「……」
そんな……
次の瞬間、私の指には黒い魔法石が付いた指輪がはめられて、その瞬間に意識が遠くなった。
床にたたきつけられ、壊れた魔法石の放った火は石のタイルを焼いたがすぐに消えた。
「早く、魔法石にエアリス様の魔力を移しましょうよ」
とルミカ嬢が言った。
「嫌よ! そんな事しないわ。あなた方の悪事に荷担なんかしない!」
「あらあ、威勢の良い事。素直に私達に力を貸せば無理強いしなくて済みますのに」
「え? どういう……」
「エアリス様、あなたは私達に協力する事を誓うか、強制的に魔力を絞り取られるかどちらかですの。まあ、どちらを選んでも同じですけど」
「わ、私を監禁するつもりなの?」
「そうですわねぇ」
ふふっとルミカ嬢が笑った。
この人、こんなに邪悪な感じだったかしら。
皇太子殿下よりももっと悪い顔をしている。
「わ、分かった……」
「あらでも、口約束だけでは嫌ですわ。協力していただけるならこれを」
と言ったルミカ嬢の手には真っ黒な魔法石がはめ込まれた指輪があった。
「それは……もしかして……服従の……」
「さすが皇太子妃候補のエアリス様ですわ。よくお勉強なさってご存じだこと。これ、良いでしょう? 一度はめたら二度と外れませんわ。はめた人間に服従するんですの」
「何故……」
元々のルミカ嬢の印象はお花畑のキャピーとした令嬢だった。
皇太子殿下に甘え、擦り寄り、贅沢をし、けれど難しい皇太子妃としての仕事などは出来ない、だからこそ現王妃から私へに正皇太子妃へなる事を打診されたのだ。
けれど、それは全て演技だったのだろうか。
「いいえ、演技じゃありませんわ。私、本当に皇太子妃のお仕事や、勤めなんか出来ませんもの。美しい宝石に囲まれて贅沢をしたいだけなんですわ」
私の心を読んだようにルミカ嬢は答えた。
「でもその為には努力を惜しみませんのよ? あなたには執務はぜんぶお任せしますわ。その方が国の為になることくらい分かってますのよ。ですから、お願いしますわ。あなたはゼキアス様との婚約を破棄し、アレクサンダー様の側室になるの」
「い、嫌!」
と言った瞬間、ルミカ嬢に腕を掴まれた。
ぎゅっと握った拳を万力の様な力で開かされた。
「嫌! やめて! そんな事をしても無駄よ! 私、本当は魔力なんかないもの!」
ルミカ嬢はふふっと笑い、
「そんな事だろうと思いましたわ。この年で魔力が発現するなど、あり得ませんものね。あなたが何か探りに来たのだろうと思ってましたわ。でもそんな事どうでもいいの。これであなたも私の手の内ですものね」
そうだ、魔力は五歳くらいまでに発現し、それよりも上の年代ではほぼ発現しないのが、今までの常識だった。だけどリリアン様がいらっしゃる。
ルミカ嬢はそれを知らないのだ。
それに私だってこんな所へ一人でなんてこない。
ゼキアス様と打ち合わせ済みだ。
もうすぐにでもゼキアス様が踏み込んで来てくれるに違いないもの。
「おかわいそうなエアリス様! ゼキアス様はいらっしゃいませんよぉ?」
「え……」
「朝、一番で王妃様からお呼び出しがあったそうですよぉ? ですからここには来られませーん」
「王妃様?」
「そうなんですー。王妃様の呼び出しですもの。きっと慌てて駆けつけたでしょうね? あなたを助けに来る暇なんてないんじゃないかしら?」
「……」
そんな……
次の瞬間、私の指には黒い魔法石が付いた指輪がはめられて、その瞬間に意識が遠くなった。
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