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金の亡者
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私はもう一口冷めた紅茶を飲んで、
「そうですわ。でも、私は聖女に祭り上げられるのは嫌なんです。国の一大事にははせ参じますが、教会や国にしばられるのはまっぴら。あなたが国王になられても私の力には干渉しないでいただけます?」
「そ、れは」
とゼキアス殿下が唇を噛んだ。
「先の死霊王との戦いで聖女は死んだ……聖女の残した光の力も徐々に弱まっていて、やがて光は消えてしまうだろう。そうなると聖女の加護で守られていた場所がまた枯れて荒れた土地になる。そうなると苦しむのは民だ」
「なんでもかんでも聖女頼みにするからでしょうが。知ってるんですのよ。聖女の努めとかって、国を回って土地を浄化したりしてんでしょ? そんでお布施を徴収して。結局金を持ってる街しか聖女は行かないって事実。貧しい街や村は、聖女の旅から外れてるらしいじゃないですか」
「それは……」
「知ってますわ、聖リリス大教会が仕切ってるから、国も口を挟めないらしいじゃないですか。教会のやりたい放題なんでしょ?」
「ぐ……」
ゼキアス殿下は膝の上で拳を握りしめ、俯いた。
「私はウエールズ領でガイラス様とのんびり暮らしたいだけですわ。そりゃ、冒険をするのも楽しいし、困ってる人がいたら手を貸してあげたいとも思いますよ。今回だってエアリス様は私の友達だから、何とかしますわ。でも私に余計な指図をする人間は教会といえど潰し……」
「?」
「そうよ、そうだわ。教会の人間を浄化したらいいんじゃないの?」
「え?」
「金の亡者が教会を名乗るのおかしくない?! そんな奴らばっかりの教会が誰かを救うなんて資格ないじゃん」
と私が腕を振り上げた時に、ガイラス様が居間に入って来た。
「ゼキアス殿下、ご機嫌麗しゅう」
と言って殿下に膝をついた。
「ウエールズ侯爵……」
なんだかげっそりした顔でゼキアス殿下がガイラス様を見た。
「リリアン、殿下を困らせてはいけないよ」
ゼキアス様は私の隣に座り、私の手を取った。
「あら、私は頼まれ事をされて、殿下のお手伝いをしようとしてますのよ。報償金を頂きたいくらいですわ」
「リリアン、我々はお金に困っているわけではない。それに、正しい心の神父様もたくさんいらっしゃるよ」
「それはそうですけど……わかりましわよ。とにかくエアリス様を早急に救出しなくてはね。アラクネは戻ってる?」
「あいよ」
と声がして、アラクネがぴょーんと天井から降りてきた。
小さい赤い蜘蛛はテーブルの上で手を振るように四本の足を振った。
「どうだった?」
私はビー玉くらいの魔法玉を数個、アラクネの周りに出した。
アラクネはそれにかじりつきながら、
「エアリス嬢は自分の部屋のベッドにいるけど、声も出せない、身動き出来ない状態だね。指には服従の指輪っつう呪いのアイテムがはめられてからさ、所謂ご主人様に言いつけられなきゃ動けないってとこ」
「服従の指輪……それ取れないの?」
「無理だね。呪いのアイテムを無理に剥がすと死んじゃうよ。浄化してからでないと。ま、リリちゃんには簡単だろう。死霊王をも浄化させたんだから。リリちゃんが聖女並の聖魔法を使えるって知らなかった事が奴らの敗因さ」
とアラクネはこともなくそう言った。
「そうですわ。でも、私は聖女に祭り上げられるのは嫌なんです。国の一大事にははせ参じますが、教会や国にしばられるのはまっぴら。あなたが国王になられても私の力には干渉しないでいただけます?」
「そ、れは」
とゼキアス殿下が唇を噛んだ。
「先の死霊王との戦いで聖女は死んだ……聖女の残した光の力も徐々に弱まっていて、やがて光は消えてしまうだろう。そうなると聖女の加護で守られていた場所がまた枯れて荒れた土地になる。そうなると苦しむのは民だ」
「なんでもかんでも聖女頼みにするからでしょうが。知ってるんですのよ。聖女の努めとかって、国を回って土地を浄化したりしてんでしょ? そんでお布施を徴収して。結局金を持ってる街しか聖女は行かないって事実。貧しい街や村は、聖女の旅から外れてるらしいじゃないですか」
「それは……」
「知ってますわ、聖リリス大教会が仕切ってるから、国も口を挟めないらしいじゃないですか。教会のやりたい放題なんでしょ?」
「ぐ……」
ゼキアス殿下は膝の上で拳を握りしめ、俯いた。
「私はウエールズ領でガイラス様とのんびり暮らしたいだけですわ。そりゃ、冒険をするのも楽しいし、困ってる人がいたら手を貸してあげたいとも思いますよ。今回だってエアリス様は私の友達だから、何とかしますわ。でも私に余計な指図をする人間は教会といえど潰し……」
「?」
「そうよ、そうだわ。教会の人間を浄化したらいいんじゃないの?」
「え?」
「金の亡者が教会を名乗るのおかしくない?! そんな奴らばっかりの教会が誰かを救うなんて資格ないじゃん」
と私が腕を振り上げた時に、ガイラス様が居間に入って来た。
「ゼキアス殿下、ご機嫌麗しゅう」
と言って殿下に膝をついた。
「ウエールズ侯爵……」
なんだかげっそりした顔でゼキアス殿下がガイラス様を見た。
「リリアン、殿下を困らせてはいけないよ」
ゼキアス様は私の隣に座り、私の手を取った。
「あら、私は頼まれ事をされて、殿下のお手伝いをしようとしてますのよ。報償金を頂きたいくらいですわ」
「リリアン、我々はお金に困っているわけではない。それに、正しい心の神父様もたくさんいらっしゃるよ」
「それはそうですけど……わかりましわよ。とにかくエアリス様を早急に救出しなくてはね。アラクネは戻ってる?」
「あいよ」
と声がして、アラクネがぴょーんと天井から降りてきた。
小さい赤い蜘蛛はテーブルの上で手を振るように四本の足を振った。
「どうだった?」
私はビー玉くらいの魔法玉を数個、アラクネの周りに出した。
アラクネはそれにかじりつきながら、
「エアリス嬢は自分の部屋のベッドにいるけど、声も出せない、身動き出来ない状態だね。指には服従の指輪っつう呪いのアイテムがはめられてからさ、所謂ご主人様に言いつけられなきゃ動けないってとこ」
「服従の指輪……それ取れないの?」
「無理だね。呪いのアイテムを無理に剥がすと死んじゃうよ。浄化してからでないと。ま、リリちゃんには簡単だろう。死霊王をも浄化させたんだから。リリちゃんが聖女並の聖魔法を使えるって知らなかった事が奴らの敗因さ」
とアラクネはこともなくそう言った。
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