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真実
しおりを挟む身体が明るい照明に照らされはっきりと見えた。恥ずかしがってもじもじとすることちゃんに言った。
「すごい乱れてたね、ことちゃん」
顔を赤くして無視することちゃんに畳みかけた。
「本当は媚薬なんて入れてないよ」
「……え?」
大きく目が見開かれた。
「お酒だよ、入ってたのは」
ことちゃんは言葉を失って目をきょろきょろと動かすと、シャワーを向けてきた。頭からずぶ濡れになる。
「かわいいね」
本心だった。ずっとことちゃんしか見えていない。この世で唯一の女神なのだ。
コンビニ店員だった僕が、怖い客に怒鳴りつけられているときに割って入ってきてくれたお客さんがことちゃんだった。
その日からお店に入ってきては僕を見るなり微笑んで、手を握ってくれたのだ。
何かことちゃんにお返しがしたくて、どこに住んでいるのか、好きな食べ物はなんなのか調べ上げた。最近は残業続きで大変そうだったから、今日はサプライズでご飯を作って待っていた。
よく眠れるようにとお酒を飲ませたけど、ことちゃんの方から誘われるなんて思ってもみなかった。
これからはどういう風にされるのが好きなのかも勉強していかなくちゃ。
ずいぶん楽しんでくれたみたいで良かったな。僕まで身も心も満たされて、ことちゃんに対する気持ちがますます増えていく。
「愛してるよ」
「……そう」
照れ屋なことちゃんはあまり言葉で愛を表現しない。行動で示すタイプなのだ。
たまには言ってほしい気持ちもあるけど、ことちゃんは僕に対する愛をたくさん表現してくれるから、寂しくはない。
「次は僕にやらせて」
ことちゃんに向けてシャワーをかけて、優しく手で撫でるように洗っていく。
柔らかい身体に触れるとたった今までしていた行為が思い出されて熱がぶり返しそうになる。
疲れていることちゃんに無理させたくないから必死に違うことを考えた。
僕に興奮して僕で気持ちよくなったところはまだ熱くて、蜜でぬるぬるとしている。ぷっくりとしたところに指が触れると、ことちゃんが甘い声で鳴いた。
「ここ好きなの?」
後ろから抱きしめるように腕を回して、指でくちゅくちゅと揉むと腰が揺れた。ことちゃんの吐く息も甘く変わっていく。
絶頂が近くなると、ことちゃんは僕が触れている方の腕をぎゅっと掴みだすみたい。
腰をガクガクと震わせて快楽に溺れることちゃんはずっと見ていたいくらい可愛い。
こちらを振り返ったことちゃんの目はとろんとしていて、思わずキスしてしまう。
しがみつくように抱きしめられて、僕も抱きしめ返した。ことちゃんの首に顔を埋める僕の顔には満面の笑みが浮かんでいた。
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