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修学旅行にGo!!
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K成学園中等部の修学旅行はとても自由であった。
まず、班をつくり、その代表者がガチャをする。
そこでガチャの中に旅行先が書いてある折り紙で決定するのだ。
中等部3年生の近衛十六夜は既に修学旅行を終えている。
「どこでした?十六夜さんは?」
昼休みに凛がお弁当を食べながら質問すると十六夜は淡い紫の瞳を優しく細めて言った。
「川越と小川町と秩父だよ」
「埼玉県ツアーですね」
わざわざ修学旅行するには近すぎである。
でも、十六夜の話では楽しかったらしい。
「川越で芋掘りしたよ!あと、小川町では和紙体験、秩父は山だな~って記憶しかない」
「秩父だけ記憶喪失ですか?」
「そうみたい。あとさ、埼玉県民族ってなんで東京寄りの埼玉とかアピるのかな?川口の人が絶対に言ってくる。東大に落ちた明大生みたいだ」
十六夜の例えが際どくて凛は返事に困った。
おっとりタイプの十六夜だが流石は久世の縁者だけあり強烈である。
ともかく、修学旅行のための班決めをクラスですることになった。
凛は半ば強制的に久世と常磐に設楽、白珠と同じ班である。
あぶれなくて良かったと思うがコイツらと数日間、団体行動かよと複雑な思いだ。
そして、運命の修学旅行先を決めるガチャタイムがやってきた。
ここで、久世の申し出で凛がガチャする代表者に選出された。
「やだよ!もし、3泊4日で練馬とか出たら絶対に文句言うだろ!」
「心配するなよ。流石に練馬は入ってない」
渋々だが押し付けられて凛はガチャを引いた。
カプセルの中身を確認すると凛はひっくり返りそうになった。
「パリ!?フランス!?」
飛行機の移動で物理的に滞在時間が短時間すぎだろ!
あと、同じ修学旅行費用を払うのにガチャが極端すぎる!
凛の前にガチャした生徒は普通に「京都&奈良」だったぞ!!
当たりに見せかけた圧倒的ハズレを引いた凛は久世たちの方を向くのが怖かった。
これなら、埼玉か練馬がよかった!!
しかし、久世たちは喜んでいる。
えっ?もしかして、海外に限って滞在期間とか延長できるのか?
そういう、期待をした凛だが担任の言葉に耳を疑った。
「はーい。お前ら、決まったら早速、切符配るからな~。まずは加藤、パリまでの航空券だ。直行便は高いから、乗り継ぎ便な。ヘルシンキ経由でパリに行けよ~。特別に滞在は7日間だ。ベルサイユ宮殿には必ず行けよ~」
やはり、滞在は延長だが、中学生の修学旅行で引率なしで乗り継ぎでパリかよ!?
ヘルシンキ経由ってなんだよ!
あと、ベルサイユ宮殿は正確にはパリにねーし!!
周りの生徒は特に羨むもなく普通に切符もらって班ごとにプランを練っている。
凛の前にガチャした京都&奈良の生徒は「八つ橋、みんなに土産にするから!」と楽しそうだ。
「おい、加藤、俺たちもプランを練るから」
久世に呼ばれて凛は慌てて班の輪のなかに加わった。
「なぁ……俺たちもマカロンでも買って土産にする?」
「そんなもんデパ地下に売ってるしコンビニにもある。斗真にベルサイユ宮殿に咲いてる薔薇でもパクって土産にするか?」
久世の提案に設楽たちは普通に賛成している。
凛は楽しい修学旅行が珍道中になる予感しかしなかった。
放課後になって十六夜に凛は修学旅行の行き先で「パリ」を引いてしまったと嘆いた。
「アイツらと7日も異国で集団行動なんてハードル高いです!」
設楽と白珠はポンヌフ橋でキスするとほざき、久世と常磐はリュクサンブール公園でキスするとほざく。
思えば彼らのグループはまんまカップルなんだから凛はお邪魔虫である。
「俺……1人でサンマルタン運河で遊んで、クレームブリュレのお焦げでも壊してます」
「なんか可愛い!僕も凛と遊びたいから行こうかな?」
十六夜さん先輩でしょ?
You know?
既に修学旅行済な3年生が便乗してくるの?
そりゃ、ちょっと、いくら自由なK成でも許してくりゃーせんよ!
凛は十六夜の軽い冗談だと笑って思い込んだ。
しかし、翌日に担任から班のメンバー追加を告げられた。
「中等部3年の近衛がインフルエンザってことにして同行したいらしいからよろしこ!」
K成の校則グダグダやんけ!
十六夜が追加になっても久世たちは特に反応せず、それぞれの世界である。
「十六夜さん、行きたいとこあります?」
「凛とならどこでも」
そう言われても凛はパリは初なので分からない。
更に言えば無事に到着するかも分からない。
なので無難に答えた。
「カフェに行きたいです」
「いいね!なんか映画でよくみる緑色の謎の液体を飲もう!」
それ、多分、ミント水。
こうして、凛は男子カップルだけの班で寂しい思いをせずに修学旅行に行ける。
ちなみに斗真は小笠原諸島、父島7日間の旅でした。
「フェリーより箒で飛んだ方が速いけど単独行動はダメだって!」
そりゃ、飛行場がない小笠原諸島の父島に少年が箒で上陸したら大騒ぎである。
ガチャで決まる楽しい修学旅行はこれからだ。
end
まず、班をつくり、その代表者がガチャをする。
そこでガチャの中に旅行先が書いてある折り紙で決定するのだ。
中等部3年生の近衛十六夜は既に修学旅行を終えている。
「どこでした?十六夜さんは?」
昼休みに凛がお弁当を食べながら質問すると十六夜は淡い紫の瞳を優しく細めて言った。
「川越と小川町と秩父だよ」
「埼玉県ツアーですね」
わざわざ修学旅行するには近すぎである。
でも、十六夜の話では楽しかったらしい。
「川越で芋掘りしたよ!あと、小川町では和紙体験、秩父は山だな~って記憶しかない」
「秩父だけ記憶喪失ですか?」
「そうみたい。あとさ、埼玉県民族ってなんで東京寄りの埼玉とかアピるのかな?川口の人が絶対に言ってくる。東大に落ちた明大生みたいだ」
十六夜の例えが際どくて凛は返事に困った。
おっとりタイプの十六夜だが流石は久世の縁者だけあり強烈である。
ともかく、修学旅行のための班決めをクラスですることになった。
凛は半ば強制的に久世と常磐に設楽、白珠と同じ班である。
あぶれなくて良かったと思うがコイツらと数日間、団体行動かよと複雑な思いだ。
そして、運命の修学旅行先を決めるガチャタイムがやってきた。
ここで、久世の申し出で凛がガチャする代表者に選出された。
「やだよ!もし、3泊4日で練馬とか出たら絶対に文句言うだろ!」
「心配するなよ。流石に練馬は入ってない」
渋々だが押し付けられて凛はガチャを引いた。
カプセルの中身を確認すると凛はひっくり返りそうになった。
「パリ!?フランス!?」
飛行機の移動で物理的に滞在時間が短時間すぎだろ!
あと、同じ修学旅行費用を払うのにガチャが極端すぎる!
凛の前にガチャした生徒は普通に「京都&奈良」だったぞ!!
当たりに見せかけた圧倒的ハズレを引いた凛は久世たちの方を向くのが怖かった。
これなら、埼玉か練馬がよかった!!
しかし、久世たちは喜んでいる。
えっ?もしかして、海外に限って滞在期間とか延長できるのか?
そういう、期待をした凛だが担任の言葉に耳を疑った。
「はーい。お前ら、決まったら早速、切符配るからな~。まずは加藤、パリまでの航空券だ。直行便は高いから、乗り継ぎ便な。ヘルシンキ経由でパリに行けよ~。特別に滞在は7日間だ。ベルサイユ宮殿には必ず行けよ~」
やはり、滞在は延長だが、中学生の修学旅行で引率なしで乗り継ぎでパリかよ!?
ヘルシンキ経由ってなんだよ!
あと、ベルサイユ宮殿は正確にはパリにねーし!!
周りの生徒は特に羨むもなく普通に切符もらって班ごとにプランを練っている。
凛の前にガチャした京都&奈良の生徒は「八つ橋、みんなに土産にするから!」と楽しそうだ。
「おい、加藤、俺たちもプランを練るから」
久世に呼ばれて凛は慌てて班の輪のなかに加わった。
「なぁ……俺たちもマカロンでも買って土産にする?」
「そんなもんデパ地下に売ってるしコンビニにもある。斗真にベルサイユ宮殿に咲いてる薔薇でもパクって土産にするか?」
久世の提案に設楽たちは普通に賛成している。
凛は楽しい修学旅行が珍道中になる予感しかしなかった。
放課後になって十六夜に凛は修学旅行の行き先で「パリ」を引いてしまったと嘆いた。
「アイツらと7日も異国で集団行動なんてハードル高いです!」
設楽と白珠はポンヌフ橋でキスするとほざき、久世と常磐はリュクサンブール公園でキスするとほざく。
思えば彼らのグループはまんまカップルなんだから凛はお邪魔虫である。
「俺……1人でサンマルタン運河で遊んで、クレームブリュレのお焦げでも壊してます」
「なんか可愛い!僕も凛と遊びたいから行こうかな?」
十六夜さん先輩でしょ?
You know?
既に修学旅行済な3年生が便乗してくるの?
そりゃ、ちょっと、いくら自由なK成でも許してくりゃーせんよ!
凛は十六夜の軽い冗談だと笑って思い込んだ。
しかし、翌日に担任から班のメンバー追加を告げられた。
「中等部3年の近衛がインフルエンザってことにして同行したいらしいからよろしこ!」
K成の校則グダグダやんけ!
十六夜が追加になっても久世たちは特に反応せず、それぞれの世界である。
「十六夜さん、行きたいとこあります?」
「凛とならどこでも」
そう言われても凛はパリは初なので分からない。
更に言えば無事に到着するかも分からない。
なので無難に答えた。
「カフェに行きたいです」
「いいね!なんか映画でよくみる緑色の謎の液体を飲もう!」
それ、多分、ミント水。
こうして、凛は男子カップルだけの班で寂しい思いをせずに修学旅行に行ける。
ちなみに斗真は小笠原諸島、父島7日間の旅でした。
「フェリーより箒で飛んだ方が速いけど単独行動はダメだって!」
そりゃ、飛行場がない小笠原諸島の父島に少年が箒で上陸したら大騒ぎである。
ガチャで決まる楽しい修学旅行はこれからだ。
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