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寿里~kotori ~

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家神さまの御利益と呪い

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修学旅行中に設楽と白珠が営み中なので他のメンツで修学旅行の夜を楽しむ凛。

お菓子とジュースで楽しく話していたら久世がコーラを飲みながらため息を吐いた。

「設楽も白珠も家神の呪いで縛られてるな」

面倒そうに頭をかく、久世に凛は問いかけた。

「なに?あの2人は自分達の意思でお互いにあんな感じなんだろ?」

前にも久世はそう話していた。

白珠の家が代々営む和菓子屋「白珠庵」には佳代という女神がついていて、お家を繁栄させている。

その、跡取りの白珠にピッタリの相手と佳代神さまが決めたのが設楽である。

神様の思し召しもあるが、それ以上に設楽と白珠は深く結びついている。

もはや自我の領域だと認めたのも久世だ。

今さら呪いとは物騒である。

首を傾げる凛に久世に代わって十六夜が説明した。

「家神はその家を繁栄させる。だけど、それは、家神のルールを守るのが鉄則なんだよ。白珠君にかされたルールは設楽君を伴侶にして子孫も遺すこと。設楽君には白珠君の傍を離れず、浮気したら死ぬ。そんなルールを強いてる」

「つまり、その神様ルールを破ると家は潰れて設楽も死ぬってことですか?」

「そうそう!白珠君が浮気するのは子孫を遺す為の強迫観念。設楽君に浮気を許さないのは死ぬから!全く、理不尽な御利益だよね」

凛は白珠の行動を分かる範囲で回想してみた。

女癖の悪さ、これは設楽のみに溺れたら、子孫を遺せない。

設楽が浮気する、そばを離れるのを許さない。

これは、そう行動すれば設楽が死ぬから。

男と遊ばないは設楽には純潔でいないとルール違反になる。

下ネタ苦手は……まあ、性格?

こう考えると白珠は設楽の命を護る為に全力で行動している。

クズ行動の裏でめっちゃ設楽のことだけ考えてる!?

家業の繁栄を託された跡継ぎとしての使命と好きな人を護る為に白珠は必死なのだ。

「なんか……そう考えると白珠が背負うものが重すぎる!設楽を人質にとられてると同じだろ!?」

凛が思わず叫ぶと久世はフッと笑って言ってきた。

「そうだな。でも、アイツらは呪いを解く選択肢を拒んだ。加藤、縛られてるものがない奴なんていない。いたら、それは、寂しい人生だ」

お前だって親の期待に縛られてるだろ、と暗に言われた気がして凛は黙りこんだ。

十六夜も久世も常磐も凛も何かに縛られ、抵抗したり、受け入れて生きている。

その何かの中身が異なるだけで重みは一緒だ。

でも、久世の言う通り、何にも縛りがない生き方は逆に空っぽでむなしい。

生まれた瞬間にへその緒は切れても、見えない糸で運命に縛られてるのが自分達だ。

凛はそれが生きるということだと分かってきた。

白珠のように運命を受け入れて、大切な者を護り、笑顔でいる人生は相当に疲れる。

でも、それは白珠が選んだ生き方なのだ。

設楽が心移りすれば設楽が家神の怒りに触れて殺される。

それが白珠には家が没落するよりツラい罰になる。

御利益と言う名の呪いとは本当だった。

「そんなの愛情じゃなくて呪いだ」

凛の言葉に沈黙していた常磐が口を開いた。

「例え、周りがそう感じても2人には祝福なんだ。愛情は呪いと同義語」

他人がとやかく言える問題ではない。

常磐の言葉で皆が沈黙するとバタバタと足音が聞こえた。

ドアから酒瓶持った白珠と設楽が元気よく入ってきた。

「おーい!!アラン(アパルトマン管理人)がワインとチーズくれたから飲もうぜ!」

明るい白珠の笑顔に久世は少し笑うと「んじゃ、飲むか!」とグラスを用意した。

未成年で酒はNGだが誰も咎めない。

凛は生まれて初めて、赤ワインを飲んだ。

血のような赤の液体……宿命の赤色。

「不味い!!」

初体験の赤ワインに下を出す凛の隣で十六夜は普通に飲んでいる。

十六夜は酒を飲み慣れてる。

グラスを眺めていた白珠がポツリと言った。

「俺の血液は1滴残さず玄のものだ」

そう言ってワインを飲み干した白珠は周囲が感動する間もなく言葉をついだ。

「精液は別だけど!」

それは、言うな、と笑いながら朝、凛が起きるとワインボトルが10瓶転がっていた。

凛が寝ている間に久世が父親の秘蔵ワインまであけたらしい。

即日退学ものだが酒盛りは楽しかった。

設楽と白珠が仲良く寝てるのを見ていたら十六夜が起きていた。

「マルシェに行こう!凛!」

「はい!!」

凛は十六夜とアパルトマンを出て、マルシェに向かった。

後日、久世の父親は隠してたワインを息子に盗まれ、ぶちギレながらコンチェルトしたら観客がほぼ全員、失神した。

オーケストラも失神した。

指揮者も失神した!!

音楽界でスクープされたが伝説のコンチェルトとなった。

ちなみに演奏曲は「ショパンのピアノ協奏曲第2番ヘ短調」である。

ショパンで観客と楽団を全滅させた。

久世音の父、久世千早の伝説のひとつとなったのである。

end





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