1番星

寿里~kotori ~

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修学旅行の終わり・後編

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気をきかせた設楽と白珠がアパルトマンに戻ると久世と常磐も帰っていた。

そして、先にアパルトマンに急いで、初セックスしてるハズの凛が葬式のような顔で体育座りしており、そんな凛の背中を十六夜が優しくさすっている。

K成学園中等部でも久世に次ぐ優秀な成績を誇る白珠でも状況が見えない。

分かるのは凛が叱られた豆柴のようにショゲている。

そして、そんな凛を慰める十六夜と珍しく静かに見守っている久世と常磐の構図だ。

頭の回転が速い、白珠は2秒ほどで見えなかった現状を理解した。

「加藤……挿入する側が挿入したまま失神はねーよ」

試しに白珠が口に出すと凛は更に小さくなってしまった。

豆柴が粒柴になりつつある。

図星かよ、と白珠は笑いたくなったが、流石にクズで通してる白珠姫でも笑うな、と良心が止めている。

設楽は一応は友達として、ショボンな豆柴になっている凛を励まそうと声を出した。

ここは友情で凛を元気にしたいと、設楽も設楽なりに考えたのだ。

「俺も旅人に挿入して射精して失神経験あるから!インフルエンザで40度くらい熱がでたときだけど!」

だから、恥じるな、と励ましたが凛の鬱な豆柴は治らない。

そういう行為の際に射れたまんま寝てしまうことは稀にあっても失神はない。

逆を言えば失神するほど十六夜の身体が気持ちよかった可能性もある。

ともあれ、童貞は卒業できて良かったな、と白珠が言うと久世は皆が遠慮して指摘しなかった事実を冷徹に述べた。

「結果的に加藤は十六夜のなかに挿入して射精を1回したのち、2時間も気を失ってた。その2時間は十六夜の玩具にされて何度も出した。レイプに限りなく近い初セックスだな」

久世の鬼畜が笑いながら凛の背中をバシバシ叩いた。

「元気出せ!十六夜が相手ならそうなると思ってた。いい加減に鬱な豆柴モードはやめろ!」

凛だって初めからうまく出来るとは思ってなかったが、十六夜とベッドで絡み合い、そういう状態になった段階から記憶が飛んでいる。

気が付いたら、十六夜に愛撫されて声をあげて射精していた。

確実に気持ちはよかったが、全てを十六夜にリードされて男の子としてのメンツは丸ごと潰れた。

「ごめんね……弱くって」

もう、この台詞しか出てこない。

十六夜にも負担をかけて、あの久世からも優しく励まされてる現実が凛をうちのめした。

十六夜やみんなの顔をまともに見られない凛がうずくまっていると十六夜が慈しむような声で言ってくれた。

「僕は凛が可愛いから幸せだよ。逆に凛が絶倫だったら怖い」

「十六夜さん、僕は愛玩犬じゃない。男子だからカッコいいって思われたい」

やはり、十六夜が年上でもそこは譲れない凛の男の子のプライド!!

だが、そんなナイーブな男子心は十六夜の知ったことではない。

更に言えば久世たちだって、これだけ気遣ってるんだから、そろそろ立ち直れよ豆柴、になる。

「加藤!プラスに考えろ!!次は2回射精するまで失神しないって目標たてて頑張れ!!」

白珠としては空腹なので、いい加減に凛に浮上してほしかった。

そんな、白珠を見ていた設楽は「さっさと、食事して、旅人を失神させるまで犯したいから、加藤、早く復活しろ」と思っていた。

常磐は黙っているが久世にお揃いの指輪を贈られて、気分が天国なので、ぶっちゃけ、凛なんてどうでもよい。

久世も人を慰めるのに慣れてないので、いい加減にイライラしてきた。

なので、ハッキリと凛に告げた。

「加藤!皆が気を遣うからテンションあげろ!豆柴は豆柴として生きろ!!5秒待ってもうずくまってたら蹴り飛ばすぞ!!」

久世の渇で凛はようやく立ち上がった。

十六夜の笑顔に情けないけど笑顔で返した。

凛がなんとか復活したので久世は街で購入したローストチキンを出して、常磐はバケットを用意した。

今夜は凄い御馳走である。

ローストチキンにチーズと鴨のローストサラダ、それに色とりどりのテリーヌ。

久世と常磐が買いそろえてくれたらしい。

「美味しそう!!」

凛が瞳を輝かせると久世がニヤリと笑った。

「デザートもたくさん買ったから食べろよ」

その日の晩餐は大いに盛り上がった。

久世がまたしても父親秘蔵のシャンパンとシードルを出して、皆で乾杯した。

乾杯の内容はそれぞれだが、ワイワイ楽しく食事をして喋った。

凛は十六夜とチキンを食べて、久世は常磐とシャンパンを飲み、設楽と白珠は色違いのテリーヌを食べ比べていた。

「このテリーヌ、具材が不明だけどうまい!」

「旅人、それは多分、ウサギだ。こっちは鳩だった」

「マジ!?玄!ウサギ美味しいって本当だな!帰国したら飼おうぜ、ウサギ!!」

白珠はウサギを食材と認定できるタイプの人間であった。

凛はウサギは年中発情期らしいので白珠と設楽にはお似合いだとひそかに思っていた。

そういや、ウサギって寂しいと死ぬという都市伝説があるらしいので、軽薄なようで繊細な白珠にピッタリである。

十六夜はモグモグとチキンを頬張る凛が餌を必死で食べる豆柴のようで「食べたい」とウズウズしたが既に先ほど召し上がったので我慢した。

久世は常磐の幸せそうな顔が嬉しくて、父親のクレカをパクって暗証番号も調べといて良かったと満足していた。

設楽はウサギのテリーヌを食べてる白珠を食べたいと十六夜と同じ欲情を抱きながら、澄ました顔で鳩テリーヌを食べている。

常磐は実は冷静に「音の父親、絶対にわざとクレカを盗ませた」と分析していた。

皆が楽しく食事して、デザートを食べようの段階で久世が提案してきた。

「先にエッフェル塔のライトアップでも見るか!!」

すぐ近くなので凛たちは連れだってエッフェル塔に向かった。

ライトアップされたエッフェル塔は壮観だった。

キラキラしたエッフェル塔を見て、凛は今さらながら自分はパリに来てたと実感した。

ルーブル美術館にもオルセー美術館にも凱旋門にも行ってないが、パリで好きな人と想いを交わせるなんて今までの人生では考えられない夢のような出来事である。

例え、敗北の豆柴になっても次がある!

豆柴男子だって頑張れば普通の柴犬になれる日が来る。

加藤凛は夜のエッフェル塔で初めて限界を超えようと心に誓っていた。

「十六夜さん、帰国したら、お家に遊びに行っていいですか?」

凛のお願いに十六夜は笑みを浮かべた。

十六夜にとっては豆柴愛玩チャンスの到来だ。

存分に愛撫して、食べ尽くす気マンマンである。

そんな、十六夜の愛欲を知らない凛は祖父が毎日のんでるスッポンエキスをどうパクるか思案していた。

欲しいと言えば祖父はくれると思うが、ヤっちゃえニッサンがバレバレになる。

凛と十六夜が仲良く手を繋ぐ横で白珠は設楽にもたれかかってポソリと呟いた。

「玄……たびちゃんって呼んで。むかしみたいに」

「好きだよ……たびちゃん」

顔を見合わせて笑っている白珠と設楽を眺めていた久世はやれやれと言いたげに笑った。

「まったく……世話がやける連中だな。辰希」

「俺にとっては音が1番、世話がやける。そして、愛しい」

煌々と夜を彩るエッフェル塔を見ている少年たちの想いはパリの街に吸い込まれていった。

こうして、波乱にとんだ凛の修学旅行は幕を閉じたのである。

余談だが全員がお土産を買うという行為を失念してたので羽田空港で調達した。

羽田空港で買ったマカロンをフランス産だと偽った凛は家族に対して申し訳なく思った。

そして、白珠は佳代神からエルメスのバッグを頼まれていたのに忘れたので神罰というより、普通に怒られた。

小笠原諸島の父島を満喫した斗真はイルカに乗ったり、クジラに乗ったり、地元民がドン引くレベルに海の動物を使役していたという。

修学旅行を終えた凛たちに待っている次のイベントは学園祭だ。

ロックバンド薬指の面目躍如である。


end









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