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暗号名ヴィオレッド・ブルー
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久世のベビーシッターをしてくれる王様シュラさんが娘の学校のPTA会長になり多忙で代わりに秘書官のアマネが久世の世話をしに殺ってきた……もといやって来たまでが前回のあらすじである。
アマネは尊大な久世の精神を凹ますレベルに辛辣で性格はキツイ、シュラさんの側近である。
細身の美人な青年で色気あるが既婚者(夫あり)で加藤凛の恋人である十六夜の亡き母と同郷で親しい。
ここまでは比較的に普通の情報だがアマネと十六夜は大きな繋がりが存在した。
それが前回のラストで久世が言った言葉である。
「十六夜の母親はアマネの旦那の兄だ」
要するに十六夜とアマネは血縁はないが親戚にあたる真実……なんてことはどうでもいい。
凛が驚愕したのはそこではない。
「十六夜さんのお母さんはアマネさんの旦那さんのお兄さん!?」
口をパクパクさせてる凛に久世は息を吐くと説明した。
「アマネの故郷は村民の大半がスパイな村なんだよ。んで、アマネの旦那は村の権力者で末っ子なんだ。すぐ上の兄貴が十六夜の母親!アンダースタン?」
天下のK成学園の中等部に在籍している凛でも久世の説明が意味不明で全然アンダースタンできない。
そんなスパイリゾートみたいな村がある国をシュラさんは統治してるのか?
いや、スパイリゾートは百歩譲ってありと考えてもアマネさんの旦那の兄が十六夜の母親のくだりが生物学の領域だろ!
今は設楽とのみラブラブな白珠旅人ですら子宮と卵巣はありそうでなかったぞ!
しかし、それなりに賢い凛はある事実に気がついた。
久世も十六夜も十六夜の母親を語るとき、「女」とか「彼女」など女性を表す表現をしていなかった。
つまり、母は母でも性別がメスとは断言してない。
でも、十六夜の母は久世祖父の側室として十六夜を含めて数人の子供がいるのだ。
その辺が凛には理解が追いつかず混乱する。
久世と十六夜が化け物ならその親族ももれなく化け物が大多数である。
だから、体は男、心も男、そして付加年金として子供産める機能も装備してる化け物がいても不思議ではない。
十六夜の母はそういうタイプの化け物だったと凛はわりとすんなり結論を出した。
「つまり、十六夜さんのお母さんは男性でも子供が産める体質でスパイで側室で崖からダイブが好きな人だったんだね」
スンナリと解答を述べた凛にアマネが感心したように笑顔で言った。
「凛だっけ?お前、相当に理解がはやいな!そうだよ。十六夜の母親は俺の村でも極めて珍しい姫の体の持ち主だった。スパイとしての暗号名はヴィオレッド・ブルー!」
暗号名ヴィオレッド・ブルー!
なんかカッコいい、と凛はワクワクした。
十六夜と瓜二つの美人で賢くてスパイ!
どんな人だったんだろう?
気になる凛に久世がアマネの視線を気にしつつ話をした。
「菫姫(すみれひめ)が側室としての名前だった。俺の母さんの教育係でシュラさんの養育係でもあった。見境なく飛び降りる癖を除けば優しくて、綺麗な人だったな」
性格も朗らかでスパイとしても優秀で聡明だった十六夜の母、菫姫だが恋に溺れるとバカになる性格だったらしい。
久世の説明にアマネは怒ることもなく同意している。
「音の祖父と菫姫は任務で出逢った。要するにヴィオレッド・ブルーとして任務中に恋をして最初は友達だったけど、ヴィオレッド・ブルーが一方的に恋焦がれて、音の祖父に睡眠薬と催淫薬を飲ませて熟睡中にセックスして勝手に妊娠した。そんで、流石にヤバイと思い詰めて、堕胎薬を飲んで死にかけたが母子ともに健康で十六夜の1番上の姉が誕生した。名前は桜羅」
アマネさんの説明がえぐい。
そしてヴィオレッド・ブルー……流石、十六夜を妊娠するだけありヤンデレが特級である。
久世祖父……友達と思ってた人に惚れられ、勝手に妊娠されて、病んで堕胎されかけ、めっちゃ災難!!
そもそも、スパイ向いてなくないか?
十六夜の母親は、と凛は歪んだ情報の首都高速道路で考えていた。
「凄い人ですね……十六夜さんのお母さん。他のご兄弟はどのような?」
とりあえず十六夜の長姉が桜羅という名だとはわかった。
他の兄弟のことが気になる凛に十六夜が笑顔で教えてくれた。
「桜羅ねえ様はシュラさんの父上の養女になったよ。もう結婚してる。次が糸ねえ様ですごく年上の男性と結婚した。ちなみに糸ねえ様の旦那様は僕のお母様が好きだった!更に次が双子の暁お兄様と千お兄様!みんなお母様に似てるらしいよ」
つまり、十六夜含めて三男二女な訳だが糸ねえ様の旦那の件がすこし気になる!
これだけ側室が子供産みまくってるのに怒らない久世音の祖母が只者ではない。
あと、アマネさんが言うように久世祖父、子供はバンバン孕ませておいて報告書が書けないのはけしからん。
十六夜の口調は楽しそうなので家族の確執はなさそうだが離れ離れなのは解せない。
「十六夜さん、ご家族が恋しくないですか?」
思わず凛が訊ねてしまうと十六夜は少し寂しそうに答えた。
「仕方ないよ。いま、実家は大変な状態なんだ。暁お兄様と千お兄様の教育係はお母様やアマネさんと同郷のスパイなんだけどお兄様方に手を出してお父様がキレて黒いドラコンを召喚して実家が全焼したんだ。大お母様(久世祖母)が危険だから僕は避難してろって」
そりゃ大変ですね、としか言いようがない十六夜の実家の現状である。
もう、スパイリゾートから人を雇うのやめなよと思うが凛には余計なことは言えない。
お菓子を食べて解らない課題に再挑戦したら凛はアッサリ理解した。
K成学園の数学の難問より十六夜の母親ヴィオレッド・ブルーの難しさが勝った瞬間であった。
久世に懇願され凛と十六夜は夕飯もご馳走になった。
アマネさんが作った食事は山菜の天麩羅である。
「音のは全部毒草だから完食しろ!」
「アマネ……お前、虐待でシュラさんに訴えるぞ!」
文句を言いながらも毒草天麩羅をモグモグ食べてる久世音はやはり化け物。
そして、食事中はアマネさんが旦那との馴れ初めを披露する。
「同じ学校の先輩だった。子供の頃から旦那に見初められて奴隷にした。旦那はシュラの嫁がママ友を生き埋めにしないよう監視するスパイだ。結局、埋めたから旦那は責任とってPTAの副会長になった」
スパイリゾートのスパイは爆弾かポンコツというオチである。
そして、更に言うとアマネさんのチャイナドレス姿は旦那さんの趣味だったりする。
end
アマネは尊大な久世の精神を凹ますレベルに辛辣で性格はキツイ、シュラさんの側近である。
細身の美人な青年で色気あるが既婚者(夫あり)で加藤凛の恋人である十六夜の亡き母と同郷で親しい。
ここまでは比較的に普通の情報だがアマネと十六夜は大きな繋がりが存在した。
それが前回のラストで久世が言った言葉である。
「十六夜の母親はアマネの旦那の兄だ」
要するに十六夜とアマネは血縁はないが親戚にあたる真実……なんてことはどうでもいい。
凛が驚愕したのはそこではない。
「十六夜さんのお母さんはアマネさんの旦那さんのお兄さん!?」
口をパクパクさせてる凛に久世は息を吐くと説明した。
「アマネの故郷は村民の大半がスパイな村なんだよ。んで、アマネの旦那は村の権力者で末っ子なんだ。すぐ上の兄貴が十六夜の母親!アンダースタン?」
天下のK成学園の中等部に在籍している凛でも久世の説明が意味不明で全然アンダースタンできない。
そんなスパイリゾートみたいな村がある国をシュラさんは統治してるのか?
いや、スパイリゾートは百歩譲ってありと考えてもアマネさんの旦那の兄が十六夜の母親のくだりが生物学の領域だろ!
今は設楽とのみラブラブな白珠旅人ですら子宮と卵巣はありそうでなかったぞ!
しかし、それなりに賢い凛はある事実に気がついた。
久世も十六夜も十六夜の母親を語るとき、「女」とか「彼女」など女性を表す表現をしていなかった。
つまり、母は母でも性別がメスとは断言してない。
でも、十六夜の母は久世祖父の側室として十六夜を含めて数人の子供がいるのだ。
その辺が凛には理解が追いつかず混乱する。
久世と十六夜が化け物ならその親族ももれなく化け物が大多数である。
だから、体は男、心も男、そして付加年金として子供産める機能も装備してる化け物がいても不思議ではない。
十六夜の母はそういうタイプの化け物だったと凛はわりとすんなり結論を出した。
「つまり、十六夜さんのお母さんは男性でも子供が産める体質でスパイで側室で崖からダイブが好きな人だったんだね」
スンナリと解答を述べた凛にアマネが感心したように笑顔で言った。
「凛だっけ?お前、相当に理解がはやいな!そうだよ。十六夜の母親は俺の村でも極めて珍しい姫の体の持ち主だった。スパイとしての暗号名はヴィオレッド・ブルー!」
暗号名ヴィオレッド・ブルー!
なんかカッコいい、と凛はワクワクした。
十六夜と瓜二つの美人で賢くてスパイ!
どんな人だったんだろう?
気になる凛に久世がアマネの視線を気にしつつ話をした。
「菫姫(すみれひめ)が側室としての名前だった。俺の母さんの教育係でシュラさんの養育係でもあった。見境なく飛び降りる癖を除けば優しくて、綺麗な人だったな」
性格も朗らかでスパイとしても優秀で聡明だった十六夜の母、菫姫だが恋に溺れるとバカになる性格だったらしい。
久世の説明にアマネは怒ることもなく同意している。
「音の祖父と菫姫は任務で出逢った。要するにヴィオレッド・ブルーとして任務中に恋をして最初は友達だったけど、ヴィオレッド・ブルーが一方的に恋焦がれて、音の祖父に睡眠薬と催淫薬を飲ませて熟睡中にセックスして勝手に妊娠した。そんで、流石にヤバイと思い詰めて、堕胎薬を飲んで死にかけたが母子ともに健康で十六夜の1番上の姉が誕生した。名前は桜羅」
アマネさんの説明がえぐい。
そしてヴィオレッド・ブルー……流石、十六夜を妊娠するだけありヤンデレが特級である。
久世祖父……友達と思ってた人に惚れられ、勝手に妊娠されて、病んで堕胎されかけ、めっちゃ災難!!
そもそも、スパイ向いてなくないか?
十六夜の母親は、と凛は歪んだ情報の首都高速道路で考えていた。
「凄い人ですね……十六夜さんのお母さん。他のご兄弟はどのような?」
とりあえず十六夜の長姉が桜羅という名だとはわかった。
他の兄弟のことが気になる凛に十六夜が笑顔で教えてくれた。
「桜羅ねえ様はシュラさんの父上の養女になったよ。もう結婚してる。次が糸ねえ様ですごく年上の男性と結婚した。ちなみに糸ねえ様の旦那様は僕のお母様が好きだった!更に次が双子の暁お兄様と千お兄様!みんなお母様に似てるらしいよ」
つまり、十六夜含めて三男二女な訳だが糸ねえ様の旦那の件がすこし気になる!
これだけ側室が子供産みまくってるのに怒らない久世音の祖母が只者ではない。
あと、アマネさんが言うように久世祖父、子供はバンバン孕ませておいて報告書が書けないのはけしからん。
十六夜の口調は楽しそうなので家族の確執はなさそうだが離れ離れなのは解せない。
「十六夜さん、ご家族が恋しくないですか?」
思わず凛が訊ねてしまうと十六夜は少し寂しそうに答えた。
「仕方ないよ。いま、実家は大変な状態なんだ。暁お兄様と千お兄様の教育係はお母様やアマネさんと同郷のスパイなんだけどお兄様方に手を出してお父様がキレて黒いドラコンを召喚して実家が全焼したんだ。大お母様(久世祖母)が危険だから僕は避難してろって」
そりゃ大変ですね、としか言いようがない十六夜の実家の現状である。
もう、スパイリゾートから人を雇うのやめなよと思うが凛には余計なことは言えない。
お菓子を食べて解らない課題に再挑戦したら凛はアッサリ理解した。
K成学園の数学の難問より十六夜の母親ヴィオレッド・ブルーの難しさが勝った瞬間であった。
久世に懇願され凛と十六夜は夕飯もご馳走になった。
アマネさんが作った食事は山菜の天麩羅である。
「音のは全部毒草だから完食しろ!」
「アマネ……お前、虐待でシュラさんに訴えるぞ!」
文句を言いながらも毒草天麩羅をモグモグ食べてる久世音はやはり化け物。
そして、食事中はアマネさんが旦那との馴れ初めを披露する。
「同じ学校の先輩だった。子供の頃から旦那に見初められて奴隷にした。旦那はシュラの嫁がママ友を生き埋めにしないよう監視するスパイだ。結局、埋めたから旦那は責任とってPTAの副会長になった」
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