218 / 243
最終章 ~それぞれの道~
6,事件
しおりを挟む
「では、お次はサンレアンに向かいましょう。」
「はい、分かりました。」
タツシは今、魔王を討伐したことを国民に誇示するためのセレモニーのようなものをするために、国内を馬車で転々と廻らされている。
(くっ……あの元国王め……クラリスとの結婚を引き換えにただ働きさせやがって……)
などと内心思っているが、しかし同時にクラリスとの結婚を許してくれたのも彼なわけで会って、別に憎むとかそういう感情はない。
とはいえ嫌なものは嫌なわけで。
「ええと、サンレアンで最後でしたっけ?最後ですよね?????」
「い、いえ、勇者様、その後にルベルゾン、ヴィルバックと廻ってその後……あれ、失礼ですが、これ先ほど確認しませんでしたっけ?」
「…………そうでしたっけ?」
タツシはあからさまに早く終わらせて欲しいとアピールしているが、残念ながらこの集団の中にまさか勇者がこのセレモニーを嫌がっているなどと思っている人は一人もいない。
勇者といい聖女といい一般市民からは遠い存在過ぎて内心を正確に把握できる人はほとんどいないのだ。
(くそ~、暇だ、せめてスマホゲーでもできないのかな……)
そう、転移する前は電車などの移動時間の間はスマホを弄っていればいくらでも時間をつぶすことが出来たのだ。
しかしこの時代当然そんなものはないし、仮にスマートフォンに相当する高機能なデバイスを作ったとしても「さえずり」とか「顔の本」とかそういう名前のソーシャルネットワークサービスを使えるわけではない。
(暇、暇、暇……)
あまりに暇すぎてタツシも耐えられなくなってくる。
タツシの周りにいる護衛の人たちは日頃から黙って重要人物を守っているだろうからおそらく沈黙に慣れているのだろう。
それに対してタツシは普段エ〇いことをしているかエ〇いことを言っているかエ〇いことを考えているかのどれかなわけで、すでにエ〇いことを考えるのには飽きてしまった。
夜個室がある状態ならまだスライムに助けを求めて遊ぶこともできるが今はそれもできない。
そもそも勇者がスライムを使役しているということ自体公にしていないし、ましてや二度の魔王討伐は実はスライムがやっているのであって当の本人は煽りながら見ているだけというのは誰も知らない。
そんななか、突如タツシの乗っている馬車の対向からすごい速さで馬が走ってきた。
「すみません、今サンレアンが大変なことになっていて!!!!!」
その馬はタツシの乗っている馬車に近づくと何やら大変そうな顔をして話し始めた。
その話によると、これから向かおうとしていた村が大きな魔物に襲われていて、何とか国から支給されている非常用の魔道具を使って抑えている状態だ、ということだ。
「じゃ、倒してきますね」
「え? あ、お待ちください勇者様!!! 私どももご一緒……あれ? 勇者様?」
タツシは一瞬で馬車から飛び降りるとそのまま全速力で走っていき、わざとスライムに風魔法で土埃を巻き上げてもらいそのまま目的地にスライムの魔法で転移した。
「スラ介サンキュー!!」
タツシ自身は何もしていない。
「はい、分かりました。」
タツシは今、魔王を討伐したことを国民に誇示するためのセレモニーのようなものをするために、国内を馬車で転々と廻らされている。
(くっ……あの元国王め……クラリスとの結婚を引き換えにただ働きさせやがって……)
などと内心思っているが、しかし同時にクラリスとの結婚を許してくれたのも彼なわけで会って、別に憎むとかそういう感情はない。
とはいえ嫌なものは嫌なわけで。
「ええと、サンレアンで最後でしたっけ?最後ですよね?????」
「い、いえ、勇者様、その後にルベルゾン、ヴィルバックと廻ってその後……あれ、失礼ですが、これ先ほど確認しませんでしたっけ?」
「…………そうでしたっけ?」
タツシはあからさまに早く終わらせて欲しいとアピールしているが、残念ながらこの集団の中にまさか勇者がこのセレモニーを嫌がっているなどと思っている人は一人もいない。
勇者といい聖女といい一般市民からは遠い存在過ぎて内心を正確に把握できる人はほとんどいないのだ。
(くそ~、暇だ、せめてスマホゲーでもできないのかな……)
そう、転移する前は電車などの移動時間の間はスマホを弄っていればいくらでも時間をつぶすことが出来たのだ。
しかしこの時代当然そんなものはないし、仮にスマートフォンに相当する高機能なデバイスを作ったとしても「さえずり」とか「顔の本」とかそういう名前のソーシャルネットワークサービスを使えるわけではない。
(暇、暇、暇……)
あまりに暇すぎてタツシも耐えられなくなってくる。
タツシの周りにいる護衛の人たちは日頃から黙って重要人物を守っているだろうからおそらく沈黙に慣れているのだろう。
それに対してタツシは普段エ〇いことをしているかエ〇いことを言っているかエ〇いことを考えているかのどれかなわけで、すでにエ〇いことを考えるのには飽きてしまった。
夜個室がある状態ならまだスライムに助けを求めて遊ぶこともできるが今はそれもできない。
そもそも勇者がスライムを使役しているということ自体公にしていないし、ましてや二度の魔王討伐は実はスライムがやっているのであって当の本人は煽りながら見ているだけというのは誰も知らない。
そんななか、突如タツシの乗っている馬車の対向からすごい速さで馬が走ってきた。
「すみません、今サンレアンが大変なことになっていて!!!!!」
その馬はタツシの乗っている馬車に近づくと何やら大変そうな顔をして話し始めた。
その話によると、これから向かおうとしていた村が大きな魔物に襲われていて、何とか国から支給されている非常用の魔道具を使って抑えている状態だ、ということだ。
「じゃ、倒してきますね」
「え? あ、お待ちください勇者様!!! 私どももご一緒……あれ? 勇者様?」
タツシは一瞬で馬車から飛び降りるとそのまま全速力で走っていき、わざとスライムに風魔法で土埃を巻き上げてもらいそのまま目的地にスライムの魔法で転移した。
「スラ介サンキュー!!」
タツシ自身は何もしていない。
10
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる