白熊の獣騎士と贄の花嫁

yu-kie

文字の大きさ
7 / 19
第1章・贄の花嫁【序】

迎え・後

しおりを挟む


 ライカは身を乗り出しすぎ、次の瞬間手元が滑り屋敷の窓から落下した。馬車は邸内に入り調度真下で停車したところで、馬車から降りてきた総団長は悲鳴をあげた。

「ライカ様?」

 ライカは風を発動させ、突風がライカを包み爆風とともに馬車の前に現れたのは…ひらりとスカートの裾をはためかせて地面に両足を着地させたライカの姿があった。

「総団長、私は何故あなたの屋敷に寝ていたの?」

「は、それは~その。」

 総団長は冷や汗をかき、馬車内と、目の前に降りたったライカを交互に数回見ると、ライカを前に地面に膝をつけ、深々と両手と頭を地面にこすりつけていた。

 ライカは馬車に目を向ければ、馬車がぎしりと傾きながら、ぎゅうぎゅうに入っていたマナが馬車から現れた。

「マナ様?!」

「驚いた。魔法か?」

 ライカは馬車から現れた若い白熊の獣人に驚いたが、即座にお辞儀をすると…顔をあげられずにいた。

(久しぶりに見た昔の夢…あれで白熊さんの獣人とあったことを思い出した…けど…あれって、マナ様じやないよね?私はここに来てどれくらい眠っていたのかしら…彼らは私を国に留めたいことは知っていたけど…総団長の屋敷に連れてこられてたなんて…もしかして、お迎えの日?わあ~こんなこと一人じゃ無理だよね?総団長も手伝った人達も…ただではすまないんじゃないかしら。私のせいだ…贄に決まった時…ちゃんとお別れをできていなかったから…)

「らしくないな。贄として来た日のあの勢いはどこに言ったんだ?お前も…他のやつと…」

 マナの言葉が終わるのを待たずに、ライカは不意に顔をあげて涙目で訴えた。

「マナ様!彼らの無礼をお許しください!もとはといえば私が彼らに別れを告げていなかったから!」

 ライカはぽろぽろと涙をこぼし、躊躇いなく、マナにしがみついて懇願した。

「ライカは嫁になる気はあるのか?彼らと同じ意思なら今後を考え直さなくてはいけない。」

「逆に…マナ様は私で良いのですか?無駄に自信がある、生意気な娘です!獣人兵をあわよくば束ねる事ができるなら…故郷を護れるだろうと思ってたりする娘ですよ!」

「正直だな…。昔、狼獣人の子供を助けた人間がいた…少女は魔法で彼を救った。駆けつけた俺を見ても怖がらなかった…彼女だけかと思っていたが俺が生きてる間に怯えない人間はライカあなたで二人目だ。俺の嫁なら、肝の座ったやつが好ましい。」

 ライカは目を丸くした。ハートを矢で射ぬかれたような、電気が走ったような感覚に襲われた。

「マナ様…あの時の子犬は獣人だったのですか?私はあの時のふわふわな白熊少年のマナ様が私を学園に送ってくれ…初めて獣人の優しさをしりました…私が獣人を恐れないのはあの時の優しい獣人にであったからです。あれがあなたなら…断る理由はありません。」

 ライカはしがみついてマナの服を掴む手を離し、後ろに下がると、あの時のようにスカートの裾をつまみ、上品にお辞儀をしたライカはまっすぐマナを見て告げた。

「ライカ・ハクアともうします。マナ様…煮るなり焼くなり、ご自由にしてください。」

ライカは満面の笑みを向ければ、マナは瞳を潤ませわずかに口角をあげて微笑んだ。

「総団長殿、案内ご苦労だった。ライカ行こうか。」

 マナは総団長に見向きもせず、ライカをひょいと抱き抱え右側の肩にのせると城へと歩いて戻っていった。地面にへたんとした総団長は唖然とし…ライカの思いを知り、己の不甲斐無さを恥じ…て一人地面を叩き男泣きした。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】たれ耳うさぎの伯爵令嬢は、王宮魔術師様のお気に入り

楠結衣
恋愛
華やかな卒業パーティーのホール、一人ため息を飲み込むソフィア。 たれ耳うさぎ獣人であり、伯爵家令嬢のソフィアは、学園の噂に悩まされていた。 婚約者のアレックスは、聖女と呼ばれる美少女と婚約をするという。そんな中、見せつけるように、揃いの色のドレスを身につけた聖女がアレックスにエスコートされてやってくる。 しかし、ソフィアがアレックスに対して不満を言うことはなかった。 なぜなら、アレックスが聖女と結婚を誓う魔術を使っているのを偶然見てしまったから。 せめて、婚約破棄される瞬間は、アレックスのお気に入りだったたれ耳が、可愛く見えるように願うソフィア。 「ソフィーの耳は、ふわふわで気持ちいいね」 「ソフィーはどれだけ僕を夢中にさせたいのかな……」 かつて掛けられた甘い言葉の数々が、ソフィアの胸を締め付ける。 執着していたアレックスの真意とは?ソフィアの初恋の行方は?! 見た目に自信のない伯爵令嬢と、伯爵令嬢のたれ耳をこよなく愛する見た目は余裕のある大人、中身はちょっぴり変態な先生兼、王宮魔術師の溺愛ハッピーエンドストーリーです。 *全16話+番外編の予定です *あまあです(ざまあはありません) *2023.2.9ホットランキング4位 ありがとうございます♪

【完結】ハメられて追放された悪役令嬢ですが、爬虫類好きな私はドラゴンだってサイコーです。

美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
 やってもいない罪を被せられ、公爵令嬢だったルナティアは断罪される。  王太子であった婚約者も親友であったサーシャに盗られ、家族からも見捨てられてしまった。  教会に生涯幽閉となる手前で、幼馴染である宰相の手腕により獣人の王であるドラゴンの元へ嫁がされることに。  惨めだとあざ笑うサーシャたちを無視し、悲嘆にくれるように見えたルナティアだが、実は大の爬虫類好きだった。  簡単に裏切る人になんてもう未練はない。  むしろ自分の好きなモノたちに囲まれている方が幸せデス。

「偽聖女」と追放された令嬢は、冷酷な獣人王に溺愛されました~私を捨てた祖国が魔物で滅亡寸前?今更言われても、もう遅い

腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢フィーア・エメラインは、地味で効果が現れるのに時間がかかる「大地の浄化」の力を持っていたため、派手な治癒魔法を使う異母妹リシアンの嫉妬により、「偽聖女」として断罪され、魔物汚染が深刻な獣人族の国へ追放される。 絶望的な状況の中、フィーアは「冷酷な牙」と恐れられる最強の獣人王ガゼルと出会い、「国の安寧のために力を提供する」という愛のない契約結婚を結ぶ。

【完】麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜

こころ ゆい
恋愛
※完結しました!皆様のおかげです!ありがとうございました! ※既に完結しておりますが、番外編②加筆しました!(2025/10/17)  狼獣人、リードネストの番(つがい)として隣国から攫われてきたモモネリア。  突然知らない場所に連れてこられた彼女は、ある事情で生きる気力も失っていた。  だが、リードネストの献身的な愛が、傷付いたモモネリアを包み込み、徐々に二人は心を通わせていく。  そんなとき、二人で訪れた旅先で小さなドワーフ、ローネルに出会う。  共に行くことになったローネルだが、何か秘密があるようで?  自分に向けられる、獣人の深い愛情に翻弄される番を描いた、とろ甘溺愛ラブストーリー。

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

身を引いたのに、皇帝からの溺愛が止まりません ~秘された珠の還る場所~

ささゆき細雪
恋愛
五年前、内乱の混乱のなかで姿を消した最愛の妃・白瑤華(はくようか)。 彼女を失った皇帝・景玄耀(けいげんよう)は、その後ただ一人を想い続けながら執務に追われていた。そんなある日、書類に彼女の名前を発見し、居ても立っても居られなくなる。 ――死んだはずの彼女が、生きている? 同姓同名かもしれないが確かめずにいられなくなった彼は地方巡察を決行。そこで、彼によく似た幼子とともに彼女と再会、地方官吏として働く瑤華と、珠児(しゅじ)を見て、皇帝は決意する――もう二度と、逃がさないと。 「今さら、逃げ道があると思うなよ」 瑤華を玄耀は責めずに、待ちの姿勢で包み込み、囲い込んでいく。 秘された皇子と、選び直した愛。 三人で食卓を囲む幸福が、国をも動かすことになるなんて――?    * * * 後宮から逃げ出して身を引いたのに、皇帝の溺愛は止まらない――これはそんな、中華風異世界ロマンス。

好きすぎます!※殿下ではなく、殿下の騎獣が

和島逆
恋愛
「ずっと……お慕い申し上げておりました」 エヴェリーナは伯爵令嬢でありながら、飛空騎士団の騎獣世話係を目指す。たとえ思いが叶わずとも、大好きな相手の側にいるために。 けれど騎士団長であり王弟でもあるジェラルドは、自他ともに認める女嫌い。エヴェリーナの告白を冷たく切り捨てる。 「エヴェリーナ嬢。あいにくだが」 「心よりお慕いしております。大好きなのです。殿下の騎獣──……ライオネル様のことが!」 ──エヴェリーナのお目当ては、ジェラルドではなく獅子の騎獣ライオネルだったのだ。

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

処理中です...