感染~殺人衝動促進ウイルス~

彩歌

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前編

8話 あなたのために

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「雨音?声がしたけど、どうかーー」


顔を覗かせた秋は血を流す雨音を見て絶句する。


「秋!血に触れるな!」
「大丈夫。俺はMIPVに感染しないから」


叫ぶ結羽に秋は返事をし、雨音に近づいた。


「……時雨、兄さんが……」
「時雨さんがどうしたの?」
「知らない……男に……連れ去られた……」


その言葉に秋と結羽の血の気が引いた。


「雨音、男の特徴は?」
「……長身です。ただそれくらいしか、わかりません」
「わかった。時雨は私が探すから、秋は雨音の治療を頼んだよ」


しっかりと頷く秋に結羽は笑う。


「雫。事情が変わった。ちょっと手伝ってもらうよ」


結羽は返事も待たずに手錠と足枷を外していく。


「こんなにあっさりとあたしを解放しちゃっていいの?」
「理由を聞けば協力せざるを得ないですから」
「聞こうか、その理由とやらを」
「時雨が何者かに連れ去られました」
「……それは穏やかじゃないね。相手に心当たりは?」
「特になくて」
「手詰まり、か」


ぐいと雫は身体を伸ばす。


「時雨は意識のあるまま連れ去られた?」
「恐らくは」
「ならまだそんなに遠くには行っていないはず」


雫はスマホを触り、地図を出す。点滅する点が表示される。


「まだ近くにいるね」
「……なぜ、時雨の位置がわかるんです?」
「あたしお手製のマイクロチップを仕込んでたからね。ちなみに満、香月、秋、結羽にも仕込んであるよ」


絶句する結羽に雫がにこりと笑った。


「さ、行こ?」





「連れてきたよ」


にこにこと笑いながら長身の男がそっと時雨をおろす。


「……一応聞くけど、平和的に連れてきたんだよな?」


暴れた痕跡のある時雨に目をやりながら尋ねる。彼は元が強く、手加減というものが苦手なのだ。


「……たぶん?」
「誰も撃ってないだろうな?」


逃げる視線に鏡夜ははぁとため息をついた。


「殺してはないんだろう?」
「それは大丈夫」
「頼んでおいてあれだけどさ、できるだけ平和的にな?奴らを敵に回すつもりはないんだ」
「ごめん、鏡夜」


しゅんとする男に鏡夜は大丈夫だと笑いかける。


「時雨、怪我はないか?ごめんな、大樹だいきが乱暴したみたいで」

「え、鏡夜……?」

「久しぶり、だな」


見知った顔に時雨の力が抜ける。
鏡夜は優しく笑っていた。

鏡夜と会うのはものすごく久しぶりだった。
友達と言えば友達ではあるが、違うと言えば違うという関係だ。平たく言うと同級生である。あくまでも時雨から見た関係性ではあるのだが。


「乱暴して悪かったな。俺の相方が仲間に怪我をさせたみたいで」
「ここまでして俺に何か用なわけ?」


とりあえず危険性はなさそうだと判断した時雨は鏡夜をじっと見つめた。だが鏡夜がこんなことをする理由が見当たらない。



「これを渡したかったんだ」


そう差し出されたのは何かの薬だった。


「これは……?」
「MIPVの抗体だ」


その言葉に時雨は目を見開いた。
自分がMIPVに感染していることはそもそも極秘であるし、MIPV自体の存在も極秘扱いだ。


「驚くのも無理はない、か。俺は厚生労働省直轄MIPV対策班のメンバーだよ」


その言葉に時雨が身構える。


「心配するな。お前らを襲ったのは香月の独断だ。総意じゃない。それに俺はちょっと特殊な立ち位置で満とも繋がっていた。これを手に入れるために満と取引をして、香月、秋、結羽の命を狙ってた」
「あなたのために鏡夜はずっと動いていた」


沈黙を貫いていた大樹が口を開く。


「あなたを助けるためだけに、それだけのために鏡夜はずっと動いていたんだ」
「ま、そういうこと。俺を信じてよ、時雨」





「あー、なるほど。居場所わかったよ」


雫の言葉に結羽が顔をあげる。


「鏡夜のところにいる。……て、結羽は鏡夜のこと知ってたっけ?」

ふるふると首を横に振る結羽にそっかと雫が笑う。

「政府の人間だよ。秋と香月の仲間だね。ま、満とも隠れて会っていたんだけど。ひとつ言えるのは、時雨は大丈夫だってこと。彼の行動理念は時雨を助けることだからね」

意味がわからないという表情の結羽の頭を雫が撫でる。


「焦る必要もないから少し昔のことを話そうか。鏡夜が時雨を助けようとする、その理由をーー」


かつて結羽にいろいろなことを教えたときのように雫は語り始める。


人間は異端を排除する。

それが生物としての本質であり、本能でもある。
いじめの本質はそこにあるのかもしれないと思った。もちろんいじめを認めるわけではないのだが。


美しい顔立ちをした少年は無表情で服に付いた汚れを払っていた。悲しみだとか怒りだとかそういう感情は読み取れず、ただ無表情に服の汚れをとろうとしていた。
泣いたりしたら満足だったのだろうか。
無反応が気味悪くて、いじめの加害者はエスカレートしていたようだった。



「……なんで、泣かないの?」



放っておけば良いのに気がつくと声をかけていた。


「……泣いても現実は変わらない」
「……ま、それは同感かも。でも、“普通”でいることは大事だ。大人数の中で生きていくなら“普通”が目立たなくて良い」


言いたいことだけを言い、時雨は去っていく。


「西野!」


去っていく自分を彼が呼び止める。


「ありがと」


突然の感謝の言葉とはにかんだ笑顔に面食らった。なんだ、笑うこともできるじゃないか。


接点といえばそれくらいのものだった。
それをきっかけに挨拶をする程度にはなったけれど、その程度だった。あくまでも時雨にとっては。



「あら、鏡ちゃん。今日は何だか嬉しそうね」

服を汚した少年を母親が抱き締める。


「友達、できたかも」
「良かったね」
「うん!」


苛められていることは気づいていたが、どんなに尋ねても鏡夜は認めなかった。本人に否定されてしまえばできることは限られてくる。ただ毎日話相手をしてやるだけだ。


それが鏡夜の中での“はじまり”だった。





資料を見たのはたまたまだった。
MIPVに感染し、殺人を犯したが生き残った人間がいる。どんな奴だろうと思い、資料を見たら、そこには自分にとって大切な人がいた。


対策はいくつかの案があった。
危険だから排除しようとする案。
対抗策の突破口となる可能性から実験しようとする案。
大きく分けて2つだった。部署でも意見は割れていた。



「……ふふ。こんばんは」



月の綺麗な夜だった。
長い髪の整った容姿の男が鏡夜に話しかける。


「僕は日狩満。君に良い話を持ってきた」
「日狩ってあの日狩……?」
「そうだよ」
「雨宮と一緒にいるんじゃなかったか?」
「今日は珍しく別行動なのさ。この交渉を雫に聞かれたくはないからね」


「MIPVの抗体が欲しくはないかい?」
「抗体なんかあるわけないだろう」
「あるよ。だってMIPVは僕と雫が秋の血から作ったウイルスだ。だから抗体も作ってある」


信じるか信じないかは君の自由だけどとくすりと満が笑う。


「効果は僕と雫で実証済み。どうする?」


「……なんでもやりますよ。効果があるのなら。時雨を助けられるなら」


満足そうに満は笑い、良い子だねとするりと鏡夜の頬を撫でた。



「ずっと思ってたんですけど、なぜ雫さんは満さんの味方でいるんです?」
「あれ?秋、知らないっけ?」
「俺は香月さんに連れられて逃げ出しただけですから。昔は人の話を理解することもできなかったので」


真っ直ぐな瞳が雫を見つめている。


「香月には聞かなかったの?」
「知らなくて良いことだからって教えてくれませんでした」
「香月らしいね。香月の気持ちもわからなくもない」


くしゃりと雫は秋の頭を撫でる。



「秋はさ、あたしのことどう思ってるの?」
「今は敵だけど、恩人です。また昔みたいに、一緒にいたいって思ってます」
「昔みたいに、か。たぶん聞いたことを後悔するよ?あたしが好きなら尚更、ね」
「何も知らないよりも良いんです」


ふわりと雫は笑って秋を抱き締める。



「昔話をしようか。時雨を迎えにいく間にね」


少し痛みを堪えた瞳がぽつりと言葉を紡いでいく。




最初に会ったのは幼い頃。
怖くて、泣いて、体調を悪化させて生死をさ迷った。
次に会ったのは日本を発つ少し前。
彼は優しく笑うようになっていて、視線の先には姉がいた。

その次に会ったのは。
その次に会ったのはーー。



「なんで薬が効かないんだ!?」



発病は突然だった。涙は雫と同じ病に倒れた。が、薬は効くことはなく時間は過ぎていき、涙はどんどんと痩せ細っていく。


「満。もう良いよ。睡眠時間や食事の時間を削ってまで治療薬を作るのは止めて」
「大丈夫。文句を言わせないように仕事をしてるだけだ。涙を助けるために使ってるのは自分の時間だよ」


震える手が涙にそっと触れる。身体の冷たさに肝が冷える。儚い彼女をそっと抱き寄せ、命を確かめるようにキスをした。


そして。
数日後。


穏やかに微笑んだまま、彼女は帰らぬ人となった。



「ーー姉さん…?」


姉の死を知った雫が帰国し、呆然と彼女に手を伸ばす。


つうと涙を流す雫に悪魔が囁く。


ーー涙を殺したのは、この男だよ、と。

気がついたときには手が出ていた。満は抵抗するでもなく殴られ、倒れたままだった。

ばたぱたと涙を流す雫とは正反対に、満は無表情で顔が整っているのも相まって冷たく見えた。


「どうして、どうして……っ、あなたは姉さんを助けて……くれなかったん……ですか……っ!」


振り上げる手を捕まえたのは満ではなく、湊だった。


「雫。勘違いをしているよ。彼は“助けなかった”んじゃない。“殺した”んだよ」


そう告げる顔は笑っていた。
湊は非情で人間味に欠けるが嘘を吐くタイプではない。
言っていることはおそらく真実だろう。どういう意図があるかはわからないが。


「……あなたに殺したとは言われたくありません」


ぽつりと放たれた声は微かにだが震えていた。


「へぇ。ひょっとして仕掛けに気づいたんだ?殺したことは否定しないんだね」
「事実ですから。彼女の選択を僕は尊重した」
「尊重して、その手にかけた。君も後を追うつもりだったのかい?」
「あなたを殺したその後で、ね」


ナイフが湊に向けられる。
一瞬、満は雫を振り返り何かを告げる。
その唇は“ごめんなさい”と動いたように見えた。
   



「……ねぇ、君は酷い真実でも知りたいと思う?」


彼女が亡くなる前に告げた満に涙は弱々しく頷いた。


「……これはさ、一見病気だけど病気じゃない。“毒”だよ」
「……たぶん、兄さまの仕業ね。私が妨げになったから」
「理由はわからない……もう、解毒は間に合わないんだ」
「気づいたところで、避けることもできないでしょう…?」
「もっと早く気づけていたら、助ける方法はあったと思うんだ…すまない。気づくことができなくて。このままじゃ、涙は苦しんで死んでしまう。せめて、人生の終わり方は選ばせてあげたいんだ」


ぽろりと溢れた涙を涙が痩せ細った手でそっと拭う。


「……あなたの手で私の命を終わらせて。満に愛されたまま、私は死にたい」

涙の言葉が胸を刺す。死なないでとこぼれそうになる言葉をどうにか飲み込んだ。


「満の腕の中で眠るように逝きたい」
「……わかった。ずっと抱き締めるよ」


人を殺そうと思えば簡単に殺せるのだ。
人は脆い。少しの毒で簡単に殺せてしまう。いや、毒じゃなく薬でも簡単に命を奪えてしまう。



「……苦しまないように、毒を選んだから。ここをね、こう。開くと毒が入っていくんだ」


説明をし、点滴の管を渡して満は包み込むように涙を抱き締めた。


「……ね、私がいなくなっちゃったら、満はどうするの…?」
「追いかけるよ、涙を」
「来ちゃダメだよ。まだ若いし、あなたは生きるべき人だよ」
「僕が君なしじゃもう生きられないよ。魚が水がないと生きられないのと同じようにね」


痩せた肩に顔を埋めて、声を殺して涙を流す。涙はそっと手を重ねて、ありがとうと告げた。



「私はあなたに出会えて、あなたに恋をして、あなたと愛し合って、すごく……すごく……っ、幸せでした」
「また、すぐ会えるから。迎えに行くから待ってて、ね」



最期のキスは涙の味がした。
涙は微笑みを浮かべたように眠るようにその人生を終えた。





パタパタと血が落ちた。
満が貫いたのは湊ではなく、雫の手のひらだった。


「なん…で…?」
「さすが雫。どっちにつくのが利口か良くわかっている」


自分を庇った妹に湊は満足そうに笑った。



「邪魔をしないでくれ……っ!君を傷つけたくないんだ……っ!」
「あたしがが姉さんの妹だからですか?」
「涙が大切にしていた存在を傷つけたくないんだよ……」
「なら尚更です。姉さんが大切にしていたあなたにこんなことをさせるわけにはいかない」


雫はにこりと笑うと満からナイフを奪い取ると刃先を湊へと向ける。


「あなたの罪はあたしが背負う」


待てと制止の言葉を聞くまでもなく、雫はあっさりと何の躊躇いもなく湊を刺した。
どさりと湊の身体が崩れ落ちる。


「命を助ける知識は逆にも使えるんですよ、兄さん」


すたすたと雫は満に近づくと手を差し出した。


「……最初からあなたを疑ってはいませんでした。姉が愛した人、あたしを助けてくれた人、兄に自由を奪われていた人……それがあなたです。自由になってください。誰にも縛られずに、あなたの人生を歩いて」


満は伸ばされた手を払い、ふらふらと歩いていく。


「……どうして復讐もさせてくれないんだ……」
「枷になるからです。姉はあなたの幸せを望んでる」
「関係ないよ。僕もすぐに涙の元に向かうんだから」


雫は項垂れる満に手を伸ばす。
ふらりと満は倒れ、床に長く美しい髪が広がった。


ーーねぇ、ここを出たら何したい?
ーーん、なんでもいいよ。
ーーなんでもじゃダメだよ。


少し彼女は膨れっ面だ。


ーー涙とだったらなんでもいいんだよ。
ーー欲があるのかないのかわからないね。
ーーあ、でもしたいことあるかも。
ーーなぁに?
ーー家族になりたい、なんてね。



甘く切ない夢だった。
叶えたかった夢だった。



「……あ、目が覚めたんですね」


雫がホッとした顔をしている。


「あたしは学校に戻ります。あなたは好きにしてくださいと言いたいんですが、いくあてはないでしょう?好きに研究所ここを使ってください。心の傷が癒えるのにも時間はかかるでしょうから」

「……死にたかったのに」

「生きていてほしいです。姉のためにも、あなた自身のためにも」


これと連絡先を雫が満に渡す。


「……誰のために生きればいい?」
「自分のために生きてください。でもそれが難しいなら、あたしのために生きてください。お礼をさせてください」


そっと満の手が雫の頬を撫でる。


「……びっくりするくらい雫は涙に似ているね」


少しだけでいいから抱きしめてくれないかと言う満の言葉に雫は笑って頷いた。
あなたが望むならいくらでも涙のかわりになろう。





「俺と出会う前にそんなことがあったんですね」
「満にあたしが縛られてるように見えるでしょ?本当は逆なんだよ。あたしが満を縛ってる。だから満がどんな道を選んでもあたしは満の味方なんだ。……香月にも秋にも悪いことをしてると思ってる。ふたりのこと今でも大事に思ってる」


きゅと服の袖を握る秋と手を繋いだ。






「ここだね、時雨がいるのは」


GPSを確認する。


「終わりへのカウントダウンだよ。よく見ておくんだよ、秋」


雫はそう言うと二階へと跳躍し、窓から部屋に入っていく。


「え、置いていかないでくださいよ!」


ガチャリと出入口が開き、そこから長身の男が現れる。


「……中に入ればいい」
「え?」
「助けに来たんだろう?こっちも彼に危害を加える気はない。用があるのは雫だけだから」


秋はパチパチと瞬きをしながら後をついていく。


「……外の世界は楽しいか?」
「楽しいよ。苦しいことも辛いこともあるけど」
「自分の“血”が疎ましいと思ったことはないか?」
「あるよ。俺が普通ならこの争いは起こってない」


目を伏せる秋に大樹は悪いと謝罪する。



「その血を無効化できるとしたらどうする?」


大樹の言葉にえ?と秋は目を見開いていた。
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