勇者でも渡り人でもないけど異世界でロリコン魔族に溺愛されてます

サイカ

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どどど、どうしたのクシェル様⁈

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 次に入ったのはお菓子屋さんだった。

「好きなだけ入れていいぞ」

 そう言うとクシェル様は店の入り口に置いてあった中で一番大きなスーパーのカゴくらいの大きさの木のカゴをわたしに渡した。

 これに買いたいものを入れろってことかな?
 ジーク様のお土産でも思ったけど二人はわたしを甘やかし過ぎではないか?
 ジーク様は一回の量は多くないけど、魔具や靴など高価なものが多い。今日履いている靴もジーク様から頂いたものだ。
 そして今日のクシェル様は今まで我慢していた分?なのか何でも買ってくれようとする。
 ここに来るまでだって、服とか装飾品とかオモチャとか……もちろん断ったけど。

「そういえば、クシェル様のご両親へのお土産は買わなくていいんですか?」
「あー、これでいいや」

 クシェル様は目の前にあった色々なお菓子が5、6こ入った袋を手に取った。
 絶対適当に決めたよね!

「コハクはそれだけで良いのか?」
「はい、いっぱい買っても食べきれないので」

 二人はわたしが遠慮せず甘えても嫌がる事なく、喜んでくれるので最近は変に遠慮しないで甘える様にしている。
 それでも二人はまだ「コハクは遠慮し過ぎだ」と言う。
 クシェル様は何処か納得いっていない様子だけど、わたしの意を汲んでくれ、わたしの選んだ数種類のクッキーを買ってくれた。

「ありがとうございます」

 お菓子屋さんを出る頃には昼の時間になっていたので、馬車の中で言っていた店へ向かった。
 店に入るとやはり店の中がざわついたけど、ジーク様がひと睨みしただけでざわつきはおさまった。

 店は定食屋さんみたいな内装でカウンター席とテーブル席が8つほどあり、わたしたちは一番奥のテーブルへと案内された。
 すれ違いざまに案内してくれた店主さんにやっぱり睨まれたけど、わたしは気づかないフリでその場をやり過ごす。
 席は馬車の時と同じで、メニュー表がテーブルに一つしか置いてなかったのでテーブルに広げてメニューをみる。

 まーわたしは頼むものはもう決まっているんだけどね

 過去にこの世界に来た異世界人が広めたのか、この店にはわたしの好きな食べ物によく似た名前の料理があるらしい。

「コハク、決まったか?」
「はい、コロケを一人前!」

 ジーク様が三人の注文をまとめてしてくれてた。

「コハクはコロケが好きだったのか?」

 ジーク様がメニューを元の位置に戻しながら尋ねる。

「はい、わたしの世界ではコロッケて言うんですけど、父も好きでよく作ってあげたりしてたんですよ」

 一応メニューの説明を読もうとしたけど、まだ辞書なしでは読めなかった。でも、説明の横に書かれていたイラストはわたしの知るコロッケそのものだった。

 わたしは言ってしまってから気づいた。

 ーー元の世界の話をしてしまった!クシェル様に元の世界の話はしないと約束したのに……

「あ、すみま」
「今度俺にも作ってくれないか?」

 わたしが謝ろうとするとクシェル様がわたしの頭を撫でてそう言った。
 まるで、「もう大丈夫だ」というように。

「はい!」

 そうこうしていると頼んだ料理が運ばれて来た。
 クシェル様はアイスティーとパンとローストビーフ、ジーク様は水とパンと塊肉の香草焼き、わたしは果実水とコロケだ。
 コロケは拳大のものが5つ盛られていた。

 やっぱりこの世界の料理は量が多い、パンを頼まなくて正解だったなぁーー

『ガッシャーン』

 自分の判断を称賛しつつ「いただきまーす」と手を合わせようとしたら次の瞬間クシェル様が急に立ち上がり、テーブルをひっくり返していた!

 えーーー⁈どどど、どうしたのクシェル様⁈

 そのせいで運ばれて来たばかりの料理たちは盛大に床に散らばっている。

「貴様らー」
「クシェルやめろ‼︎」

 クシェル様はそのまま怒りに任せて魔法を発動させようとする。それをジーク様が慌てて止める。
 そして、離れたところに控えていた護衛の二人も何事かと慌てて駆けつけて来た。

「魔王様どうなさいました⁈」

 何故クシェル様が急に怒り出したのか、全然状況が分からない。

「クシェル、様?」

 クシェル様はわたしと目が合うと怒りに染まった表情が悲しいものへと変わった。

「すまないコハク」
「料理に、虫が入っていたんだ、せっかく楽しみにしていたのにすまない、馬車に戻ろう」

 ジーク様が何があったのか説明してくれた。でも多分虫っていうのは嘘だ。クシェル様がここまで怒っているのをわたしは初めてみた。わたしにはクシェル様が虫が入っていた程度のことでここまで怒りを表にする人だとは思えない。

 もしかして、毒とか?

 震えるわたしの手をクシェル様の大きな暖かい手が包んだ。

 馬車に戻る途中で露店の串焼きなどを適当に買い、馬車の中でそれを食べながらクシェル様の両親のもとへと向かった。
 さっきの事もあり食べるのに少し抵抗があったけど、クシェル様が「これは大丈夫だ」というので思い切って食べると、スパイスが効いていて美味しかった。塩っぱい物を食べたら甘い物が欲しくなり、クシェル様に買ってもらったお菓子を食べる。これもサクサクで程良い甘さで美味しかった。



 目的の街に着く頃には空が夕日に染まっていた。
 先代魔王様が住む城に着くと先に話が通されていたからか、街のように怪訝な顔もされることなく控え室へと通された。
 城は魔王城に比べると小さく落ち着きがあり、庭には様々な花が咲いていて、綺麗だった。

 クシェル様のご両親はお花が好きなのかな?

 数分で案内してくれた執事さんが呼びにきて、ご両親が待つ部屋へ案内してくれた。

 いつも通り二人と手を繋いで歩く。

「コハクそんな緊張しなくて大丈夫だぞ」

 クシェル様は軽く言うけど、今から先代の魔王様に会うのだ。
 クシェル様のご両親だから怖い人ではないと思うけど、どうしても緊張してしまう。

「少し鬱陶しいかも知れんが我慢してくれ」

 ジーク様が部屋に入る瞬間小声で言った。
 え?どういう事?
 しかし、聞き返すことも出来ず二人に手を引かれ、部屋の中へ入った。
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