勇者でも渡り人でもないけど異世界でロリコン魔族に溺愛されてます

サイカ

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誤解があると思う

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 その後ベッドから出るのも億劫で夕食はこの部屋に運んでもらい、ジーク様と二人で取った。

 クシェル様はわたしの生理が終わるまでわたしには近づかないようにするらしい。

 もしかして、血の匂いで吸血衝動を誘発させちゃうのかな?だから王妃様の部屋じゃなくて、ジーク様の部屋に連れてきてくれたのはそのためかな?王妃室はクシェル様の部屋と同じ階数にあるし。
 我慢させてしまって申し訳ないけど、流石に生理中に血を吸われたら確実に貧血になる。

 ーーあの時も生理前だったから、貧血になったのかな?

 やんわりそうジーク様に伝えると眉間にしわを寄せ「いや、あれだけ吸われれば誰でも貧血になる」と言われた。
 確かに、最後ので急激に血の気が引いたような気がするな。

 夜はこの部屋でジーク様と共に寝た。
 朝起きるとジーク様の手がお腹に添えられていて恥ずかしかったけど、お腹を覆うジーク様の大きな手は暖かくて、心地よくて安心出来た。
 あ、もちろん服の上からですよ!

 次の日も生理痛が重かったため、ずっとこの部屋に引きこもっていた。その間ずっとジーク様が付いていてくれて、朝昼晩の食事全てジーク様が(あーん)してくれて、わたしが痛みで唸っている時は「大丈夫か?」なんて優しい言葉を囁きながら頭を撫でてくれて、夜はお腹をさすってくれて。

 ーーゔぅジークお兄ちゃん優し過ぎるよ~

 そして、生理3日目の朝

「初めまして今日からシイナ様のお世話をさせていただきます、サアニャと申します」

 今日からわたしに新しいメイドさんが付くこととなった。
 朝食後新しいメイドさんの紹介が終わると、ジーク様は仕事に行ってしまった。
 今更だけど、ジーク様は騎士団長で毎日忙しいのに昨日一日中わたしを心配して付いていてくれたんだよね。

 ホント、何から何まで申し訳ない。最近のわたし、迷惑しかかけていない気がする…いや、初めからかーー


 部屋にはサアニャさんとわたし。そして、ドアの外には護衛の二人が控えている。
 サアニャさんはイダル先生の姪で、ココア色のふんわりした髪が背中あたりまで伸びていて、深い海の様な綺麗な藍色の目はまん丸で身長もフレイア様より小さく(それでもわたしよりは大きい165くらい)可愛いアニメのお姫様みたいだ。歳は20くらいに見えたから、寿命から換算して50~60歳かなと思ったら、22歳だった。
 魔族の成長曲線はどうなっているのだろう。
 単に寿命から換算すれば良いというものではないらしい。

「すみません人族なんかのお世話をすることになってしまって、大体のことは自分で出来るので」
「そんな事言わないでください。シイナ様のお世話ができると聞いて飛んで来たんですから」

 無理に関わろうとしなくて良いですよと伝えようとしたら、サアニャさんがわたしの手を取った。

「さ、サアニャさん?」
「さん付けなんて、どうぞサアニャと呼んで下さい!」
「でも、歳とかーー」
「私はメイドです歳なんて関係ありません!」
「でも、偉いのはクシェル様やジーク様であってわたしは何の力もないーー異世界の人族ですし」

 魔族であるサアニャさんにとってわたしは忌み嫌う存在で、支えるべき者ではない。

「ほんと、聞いていた通りだわ」

 サアニャさんは目を瞬かせ何かに感心しているふうにしみじみとそう呟いた。

「聞いていた、通りって?」

 わたし何か感心してもらえるようなことしたっけ?あ、もしかして、見た目なよらず畏まっているとか?ここではわたし10歳未満に見えるらしいし。でも、聞いていた通りってことは事前に誰かから、おそらくジーク様からわたしの説明を受けていたって事だよね。なら、わたしの年齢も知っているはず、だよね。

「魔王様に気に入られ、寵愛を受けても驕らず、発展した異世界の知識をひけらかす事もせず、理不尽なこの世界や魔族を恨み憎悪する事もなく、状況を的確に理解し客観的に物事を見ることが出来て、どこまでも謙虚で真面目で懐が広く心優しい異世界の少女、シイナ・コハク様と」

 わたしはそんな聖人君主みたいな人格者じゃない!色々と誇張されてるというか!誤解があると思う。いったい誰がそんな事をーー

「イダル叔父さんが」
「い、イダル先生⁈」

 先生、わたしのことそんなふうに思ってたの⁈

「はい。という事でこれからよろしくお願いしますねシイナ様」
「え?あ、はい。よろしくお願いします、サアニャさ」
「サアニャです。それに敬語も不要です」
「っ、よ、よろしくサアニャ」
「はい!」

 この日から、お二人と一緒じゃない時は必ずサアニャと護衛二人が付く事になった。


 昼食もこのままジーク様の部屋で取った。
久しぶりの一人ご飯。と言っても、サアニャも隣に居てくれて、部屋に一人っきりというわけではない。
 ーーなのに

「……ご馳走様、でした」

 全く食欲がわかない。


 二人がいないだけでこんなになってしまうなんて、いつのまにか二人が側にいるのが当たり前になってしまっていたんだなぁ。
 この歳で、こんな事で寂しいと思うなんて思っていなかったーー

 わたしの家は生まれた時から父子家庭だった。だから小さい頃から一人ご飯なんて珍しくなかった。小さい頃は「何でうちにはお母さんがいないんだろう」とか「寂しいなぁ」とか思っていたけど、それも中学に上がる頃にはそれが当たり前になり、いつの間にかこんな事では寂しいと思わなくなっていたーーはずだった。

 もしかしてわたし二人がいないと実質的はもちろん、精神的にも生きていけない感じ⁈

 凄くまずい気がする。

 もし二人に愛想尽かされたらどうしよう。二人に見放されたら、嫌われたらわたしーー

 優しい二人のことだから衣食住は面倒を見てくれるかもだけど。でも、笑いかけてはくれないだろう。撫でてもらえない、抱きしめてもらえない、名前も呼んでくれないかもしれない。

 そうなったらわたしはもうここにいられない。二人がわたしを必要ないと、邪魔だと、迷惑だと言うのならわたしはーー

 その時の事を考えて、帰る方法だけでも知っておくべきだろうか。わたしに「帰りたいと思うか?」と問うたシェーンハイト様なら知ってるかもしれない。

「シイナ様?」

 サアニャが心配そうにわたしの顔を覗き込む。
 食後のお茶が出されても一向に口をつけようとしないわたしを不思議に思ったのかもしれない。

「ごめんなさい、少し考え事してて」
「考え事ですか?」
「う、うん…だいぶ(生理痛も)軽くなったし、ずっとこの部屋にいるのもなぁって」

 咄嗟に考えた言い訳。
 多分ずっと部屋にこもってるから余計なことを考えてしまうんだ。外の空気を吸って気分転換でもしよう。せっかく室外に出る許可が下りたのに案内してもらってそれっきりだし…。

 クシェル様に近づかないようにするには生理が終わるまでこの部屋にいるのが一番なんだろうけど…クシェル様の部屋と執務室に行かなければ大丈夫、だよね?

 
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