エッチな精気が吸いたいサキュバスちゃんは皆の癒しの女神

のっぺ

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第六十一話『天使4』〇

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 村を出ても追っ手を差し向けられることはなかった。俺はわき目も振らず山を駆け登り、お昼時に入る前に家へ着いた。庭先の景色はいつも通りのままだった。

「────ルルニア! ニーチャ!」

 不安な思いで中に入り、そこで衝撃の光景を見た。ルルニアとニーチャは食堂にいたが、あまりの様子に頭の中が真っ白になった。
 まずルルニアはニーチャを膝の上に抱きかかえていた。その上で服をまくり、ニーチャの股間のワレメに中指を這わせていたのだ。

「あなた、お帰りなさいです」
「何を……やっているんだ?」

 ルルニアの口からは「自慰指導」という単語が出てきた。意味を知らせるようにニーチャの膣口に指を挿れ、出し入れの後に同じ動作を真似するように指示した。

「あなたが家を出て一時間半ほど経った頃でしょうか。ニーチャから身体の火照りが冷めないから治す方法を教えて欲しいと言われまして」
「それでえっと、自慰指導を……?」
「はい。淫紋刻みで得た快楽でサキュバスの本性が目覚めたようですね。愛し合うのは大事な相手を見つけた時と教えたので、それが叶うまで自分の身を慰める方法を教えてたわけです」

 サキュバスの社会では割と普通の慣習なのだそうだ。
 胸中で渦巻いていた激情が急速にしぼみ、呼吸が落ち着いた。自慰指導はもう少し続くらしく、隣に座って一度肩の力を抜いた。

「ん……んんっ、ひゃう! ひみゅ!?」
「ダメですよ、ニーチャ。これは指導ですので、どこが気持ち良いのか言ってもらわないと困ります」
「え、えっとね! ここ指で撫で……んゅ!?」

 ニーチャは人差し指を膣口に持って行き、入口周囲をなぞった。
 中に挿れるようにルルニアから指示を受けるが、首を横に振った。

「あのね、あのね。ここ触るとお股がキュンてするの。中に挿れたらキュンキュンが大きくなりそうで怖くて、だから……」
「でもそれじゃあ身体の熱が冷めませんよ」
「うー……、指いれ……て、あぁぁう!?」

 先っぽを入れただけで足が跳ねた。ルルニアはニーチャの足に自分の足を絡めて下半身を固定し、自慰の最中に身体が暴れないようにした。

「食堂に入って来た時に怖い顔をしてましたね。何かありましたか」
「ん……あぅぅ……んっ。……んぅあぅ」
「ルルニアの素性がロアにバレた。いや元からバレてたみたいだ」
「こしゅこしゅ、する、ビリッ……てぇ」
「やっぱりですか。初対面の反応で薄々そんな気はしていましたが」

 俺はロアとの会話を詳細に説明した。現状で魔物バレした相手はルルニアだけということ、ロアの妄言に対して俺が出した回答を知ってもらった。

「真正面からの敵対宣言ですか、あなたもやりますね」
「どうしても許せなかったんだ。考え無しと笑ってくれて構わない」
「笑うわけないじゃないですか。私の最高の夫ですよ」

 ルルニアの肯定は俺のすさんだ心を救ってくれた。
 安堵の息をついていると、ルルニアは自分の指先を舐めた。中指をかぎ爪のように曲げ、一向に絶頂しそうに無いニーチャの膣口を攻め始めた。

「ひゃう!? なか、あっつぃ!? 止めてぇ!?」
「それにしても魔物を天使に、ですか。話を聞くによほど民のことが大事なんですね。普通は冗談でもそんなこと言いませんよ」
「ね、ねっ、おねが……い。壊れひゃぅ、からぁ!」
「そこは嘘偽り無いと思う。でもだからって従えないだろ? あいつの庇護を受けるってことは自由の終焉を意味するんだぞ?」

 会話が止まると同時に指の抽挿が早まった。ニーチャは濁流のごとく押し寄せる快楽から逃げようともがくが、足も腕もがっしり抑えられて動けない。

「〝あう、〝いっ……ぎうっ!? ……はふ……あぅ……ぃぃう!!!? あのっ、ね! もう気持ち良いの来たよ!? だから手……いぎゅうぅぅっ!?」

 叫びと共に愛液が床に飛び散る様を眺めた。短時間の連続絶頂のせいか、ニーチャの顔は完全に出来上がっていた。というか気絶していた。

「大丈夫なのか?」
「サキュバスなので」
「まぁそんなものか」
 ルルニアは痙攣するニーチャを床に降ろした。

「…………私も生活を制限されるのは論外です。その天使という呼び名も釈然としません。どうせなら女神ぐらい大仰な名で称えるべきですよね」
 不満気に腕を組み、数秒だけ目を閉じた。

「それであなたはどうされたいのですか?」
「さっき言った通りだ。俺はルルニアとニーチャと平穏な日々を送りたい」
「私も同じです。なれば日常を守るために戦いましょうか」

 得意げな笑みと共に言葉が重ねられた。

「ロアという方は人命第一主義、だから私の存在も許容すると言ったんですよね。ではその言葉が本心か確かめようではありませんか」
「……どうやって?」
「私に策があります。このまま何事も起きなかったら夜に行動を起こしましょう。騎士団が山狩りを行う前にドーラと接触するんです」

 事と次第によればあらゆる問題が解決すると言った。先回りで討伐するのかと聞くと、違うと言われた。説得して仲間にするのかと思うが、それも違った。告げられた内容は予想外なものだった。

「────手綱を握ろうとしている相手が何者なのか、思い知らせるんです。その上で私たち家族全員の力を見せ、尊大な鼻をへし折ってやりましょう」
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