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第七十四話『婚礼に向けて3』
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昼食を食べ終え、俺は納屋へと足を運んだ。棚から壺を四つ取り出し、それを調合台の上へと置いた。蓋の先にあるのは緑に茶にこげ茶に灰色の粉だ。
それらをスプーンで取り出し、すり鉢の中へ適量入れた。色が均等になるように混ぜ、水を少しずつ足す。粉の具合を見ながら追加でかき混ぜ、一定の粘りが出たところで物体を団子状に丸めた。
「────これは何を作っているんですか?」
次は成型、と思っていたところに声があった。いつの間にか後ろにはルルニアが立っており、興味深そうに俺の手元を見ていた。
「これはお香だ。材料は虫除けの効能がある花や草で、粉末にした物を四種混ぜている。もっと平たく長い形状に整えて、それを固めるんだ。さして良い匂いはしないが、使えば家にいる虫を大体追い払える」
構想は去年のうちに練っていた。本当は夏に入る前に完成させたかったが、意外に時間が掛かってしまった。効果のほどは実証済みであるため、後は各所で売って感想を聞くのみだ。
「時期も時期だから町で売っても買い手がつくはずだ。秋の始め頃まで需要が尽きないと見込んで、材料をちょっと多めに揃えたんだ」
「虫を媒介とした伝染病に効果があるのはいいですね。材料も見ただけでは分かりませんし、かなりの利益が期待できそうな商品です」
ルルニアがそう言うなら間違いない。商売繁盛は確実だ。
俺は引き出しから試作品を取り出し、火を点けてみた。効果時間が短いのが難点だと言うと、渦巻状に伸ばすのはどうかと言われた。さして幅を取らずに長さの延長が叶い、商品の完成度が増した。
「これなら銀貨一枚……いや二枚はいけるか?」
材料の採取難易度と作成の手間を計算していると、ルルニアが俺の背中に寄り掛かった。その状態で首元に手を下ろし、ささやき声で言った。
「────ちなみにですが、売り上げの最終目標はどのようなもので?」
いきなりだったため、煙を多めに吸込んでむせた。
俺は敵わないなと苦笑し、息を整えながら答えた。
「いつも以上に金を稼ごうとしているのがバレたか」
「バレバレですよ。普段のあなたは不必要にお金を稼ごうとはしません。でも今回は町まで商売の範囲に含めています。指輪と櫛が痛手でしたか」
「いやそんなことはない。あれはここ最近稼いだ金と手持ちで賄えた。これを売った金で欲しいのは、俺たちがこれから暮らすことになる新居だ」
この家は俺とルルニアの出会いの場だ。愛着はあるし間取りに対する不満は無いが、ここ数年でガタが出始めている。長雨で雨漏りするし、一部の柱が腐食している。早めに建て直したいのが本心だった。
「ルルニアを守るって決めたのに、俺は守られてばかりだ。何か良い方法がないか考えて、家を建て替えようって思いついた」
「……そんなに気負うことはありませんのに。私は愛のあるエッチを毎日してくれるだけで幸せなんですよ?」
「分かってる。だからこれは俺の意地なんだ。家族を守るために頑張ったんだって、自分自身の心に納得させるための証だ」
今年の稼ぎ次第だが、来年中に着工したい。外壁は赤レンガで暖炉も大きい物にする。水浴びと湯浴みの場も作ってやりたい。仮の間取りを描いた羊皮紙を出すと、ルルニアの目が光った。
「家の中で水浴びできるのはいいですね。さすがの私も真冬は控えるべきかと思っていましたので、来年以降が楽しみになります」
「暮らし慣れているのもあるし、おおよその間取りは同じにしようと思ってる。二階にベランダを作るのが一番大きな変更点だな」
「庭先に砂利を敷きましょう。その方がオシャレです」
「砂利か、誰か来た時に分かりやすくなるのはいいな」
羊皮紙の空白に思いついた内容を書き連ねていった。棚の位置はどうだとかベッドの材質はどうだとか、細かい部分も念密に詰めるのが楽しかった。
(……嫌がられるかもと思ってたが、喜んでもらえたな。結婚式が終わったらなるべく町に通おう。場合によってはお香の権利を売って稼ぐのも悪くない)
会話しながらお香を渦巻状に成型し、それを複数作った。
納屋から出た後は湧き水で手を洗い、住居へ戻ろうとした。だがルルニアは行く手を阻み、俺の手を引いて納屋の裏手に移動し、おもむろにスカートをたくし上げた。
「たぶんニーチャは自室でお昼寝中です。家の中ならそれでも気づいて起きますが、ここならバレないでしょう。たまには二人だけでしませんか?」
「…………ありだな」
「ふふっ、グレイゼルも乗り気ですね。我慢しようかとも思ったんですけど、私たちを守ろうとする心意気と健気さに子宮がムラついちゃいました」
服を脱いでから近づくと、ルルニアは外壁に背中を預けた。
その状態で腰を突き出し、湿り気を帯びたワレメを開いた。
「────もうお休みは十分でしょう。ここにグレイゼルのおちんちんを挿れて、子宮に精液を出して下さい。二度目の膣内射精と行きましょう♡」
それらをスプーンで取り出し、すり鉢の中へ適量入れた。色が均等になるように混ぜ、水を少しずつ足す。粉の具合を見ながら追加でかき混ぜ、一定の粘りが出たところで物体を団子状に丸めた。
「────これは何を作っているんですか?」
次は成型、と思っていたところに声があった。いつの間にか後ろにはルルニアが立っており、興味深そうに俺の手元を見ていた。
「これはお香だ。材料は虫除けの効能がある花や草で、粉末にした物を四種混ぜている。もっと平たく長い形状に整えて、それを固めるんだ。さして良い匂いはしないが、使えば家にいる虫を大体追い払える」
構想は去年のうちに練っていた。本当は夏に入る前に完成させたかったが、意外に時間が掛かってしまった。効果のほどは実証済みであるため、後は各所で売って感想を聞くのみだ。
「時期も時期だから町で売っても買い手がつくはずだ。秋の始め頃まで需要が尽きないと見込んで、材料をちょっと多めに揃えたんだ」
「虫を媒介とした伝染病に効果があるのはいいですね。材料も見ただけでは分かりませんし、かなりの利益が期待できそうな商品です」
ルルニアがそう言うなら間違いない。商売繁盛は確実だ。
俺は引き出しから試作品を取り出し、火を点けてみた。効果時間が短いのが難点だと言うと、渦巻状に伸ばすのはどうかと言われた。さして幅を取らずに長さの延長が叶い、商品の完成度が増した。
「これなら銀貨一枚……いや二枚はいけるか?」
材料の採取難易度と作成の手間を計算していると、ルルニアが俺の背中に寄り掛かった。その状態で首元に手を下ろし、ささやき声で言った。
「────ちなみにですが、売り上げの最終目標はどのようなもので?」
いきなりだったため、煙を多めに吸込んでむせた。
俺は敵わないなと苦笑し、息を整えながら答えた。
「いつも以上に金を稼ごうとしているのがバレたか」
「バレバレですよ。普段のあなたは不必要にお金を稼ごうとはしません。でも今回は町まで商売の範囲に含めています。指輪と櫛が痛手でしたか」
「いやそんなことはない。あれはここ最近稼いだ金と手持ちで賄えた。これを売った金で欲しいのは、俺たちがこれから暮らすことになる新居だ」
この家は俺とルルニアの出会いの場だ。愛着はあるし間取りに対する不満は無いが、ここ数年でガタが出始めている。長雨で雨漏りするし、一部の柱が腐食している。早めに建て直したいのが本心だった。
「ルルニアを守るって決めたのに、俺は守られてばかりだ。何か良い方法がないか考えて、家を建て替えようって思いついた」
「……そんなに気負うことはありませんのに。私は愛のあるエッチを毎日してくれるだけで幸せなんですよ?」
「分かってる。だからこれは俺の意地なんだ。家族を守るために頑張ったんだって、自分自身の心に納得させるための証だ」
今年の稼ぎ次第だが、来年中に着工したい。外壁は赤レンガで暖炉も大きい物にする。水浴びと湯浴みの場も作ってやりたい。仮の間取りを描いた羊皮紙を出すと、ルルニアの目が光った。
「家の中で水浴びできるのはいいですね。さすがの私も真冬は控えるべきかと思っていましたので、来年以降が楽しみになります」
「暮らし慣れているのもあるし、おおよその間取りは同じにしようと思ってる。二階にベランダを作るのが一番大きな変更点だな」
「庭先に砂利を敷きましょう。その方がオシャレです」
「砂利か、誰か来た時に分かりやすくなるのはいいな」
羊皮紙の空白に思いついた内容を書き連ねていった。棚の位置はどうだとかベッドの材質はどうだとか、細かい部分も念密に詰めるのが楽しかった。
(……嫌がられるかもと思ってたが、喜んでもらえたな。結婚式が終わったらなるべく町に通おう。場合によってはお香の権利を売って稼ぐのも悪くない)
会話しながらお香を渦巻状に成型し、それを複数作った。
納屋から出た後は湧き水で手を洗い、住居へ戻ろうとした。だがルルニアは行く手を阻み、俺の手を引いて納屋の裏手に移動し、おもむろにスカートをたくし上げた。
「たぶんニーチャは自室でお昼寝中です。家の中ならそれでも気づいて起きますが、ここならバレないでしょう。たまには二人だけでしませんか?」
「…………ありだな」
「ふふっ、グレイゼルも乗り気ですね。我慢しようかとも思ったんですけど、私たちを守ろうとする心意気と健気さに子宮がムラついちゃいました」
服を脱いでから近づくと、ルルニアは外壁に背中を預けた。
その状態で腰を突き出し、湿り気を帯びたワレメを開いた。
「────もうお休みは十分でしょう。ここにグレイゼルのおちんちんを挿れて、子宮に精液を出して下さい。二度目の膣内射精と行きましょう♡」
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