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第八十一話『二人のルルニア1』〇
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川上の村での用事を済ませ、夕暮れを背に帰路についた。山を登っている途中に夜の帳が落ち、早歩きで曲がり道を通って家の敷地に入った。そこで違和感に気がついた。
「……明かりがない?」
食堂も二階も真っ暗な状態だった。サキュバスがこんな時間に寝るはずがなく、不在の知らせも受けていない。酒場の仕事が忙しいとしても、ニーチャは家にいるはずだ。
何らかの異変が起きた可能性が高いと判断し、足音を潜めて玄関口に近づいた。
慎重に扉を開けて中を覗くと、長い廊下の先に幼女の姿のルルニアが立っていた。
「…………良かった。無事だったんだな」
家の敷居をまたぐ俺を、ルルニアは微笑で迎え入れた。
「もう少し早く帰ってくるつもりだったんだが、村長との話が長引いてな」
「………………」
「朝に薬の用意を忘れたから、体調を崩したんじゃないかって心配だったんだ」
荷物を置きながら廊下を歩くが、ルルニアは立ったまま動かなかった。ふと気になって幼女の姿の理由を聞くと、無言で口角を上げて階段を上り出した。
「急にどうしたんだ?」
言い知れぬ違和感があったが、それを言語化することができない。
あとを追って二階に移動すると、自室の前でルルニアが待っていた。
「何か言いたいことがあるなら……って、え?」
俺が近づくなりルルニアは『透過するように』扉の先へと消えた。
幽霊めいた移動方法に声を失い、不安に駆られて扉の取っ手を握った。
恐る恐る中に入ってみると、部屋の中心に幼女の姿のルルニアがいてくれた。ホッと安心するのも束の間、ベッドの上にはもう一人大人の姿のルルニアが座っていた。
「…………は?」
頭が疑問符に埋め尽くされて思考が定まらない。入口の前で立ち尽くすと、幼女の姿のルルニアもベッドに乗った。そして大人の姿のルルニアと抱き合って手招きした。
「何でルルニアが二人いるんだ?」
「………………」
「ニーチャはその、いったいどこに?」
「………………」
「そこに俺も行けば、いいのか?」
返事はなかったが、目線が「そうだ」と言っていた。ぼーっとした頭でベッドへと移動し、二人の身体に触れようとした。だが俺の腕は空を切ってシーツに落ちた。
状況の不可解さに理解が追いつかず顔を上げると、二人は瞳を輝かせて俺を見ていた。急速に眠気が湧いて四肢の力が抜けていき、繋ぎ止めていた意識が途切れた。
…………甘やかな香りで目を覚ますと、視界の先に絶世の美少女が『二人』いた。ふわりと長い桃色の髪を揺らし、翡翠の瞳で俺を見下ろしている。
「あ、もう目がさめちゃった。あと少しだったのに」
「だから言ったんです。ルルは激し過ぎるんですよ」
片方は幼女でもう片方は大人だ。どちらも一糸まとわぬ姿となっており、俺の陰茎を両脇から舐めている。寝起きで混濁した意識では巧みな舌使いに抗えず、わけも分からぬまま射精した。
「……うっ、ぐ、あぁぁぐっ!」
自慰とは比べ物にならない快感にあえぎ声が漏れる。飛び散った精子は二人を汚すが、嫌がる様子なく俺の腹に乗っかった分まで残さず舐め取っていった。
「ふふっ、たぁっぷり出しちゃったね。おにぃさん」
「それに素敵なお味です。もっと味わいたいですね」
よく見ると二人の顔は似通っていた。「お前らは誰だ」と問いかけようとしたが、口も腕も足も満足に動かすことができなかった。
(……何だこの状況は)
混乱した思考を落ち着けるため、自分自身の記憶を辿った。俺の名は『グレイゼル・ミハエル』、僻地の村で暮らす薬屋だ。年齢は今年で二十五となる。
昼に薬の納品を済ませ、飲み会を経て家に帰った。山奥で独り暮らししながら薬屋を営んでおり、このような行為をする相手はいない。そのはずだった。
(……何で俺は、この二人を知っている気がするんだ?)
どちらも人外めいた絶世の美貌をしている。腰の裏から尻尾が生えており、背中にはコウモリ似の羽が生えている。脳裏に浮かんだのはサキュバスという名だ。
魔物は人間のみを喰らう生態をしているため、数分先に辿る末路の想像は容易かった。二人はあがく俺の両脇に寝そべり、陰茎を弄びながら耳元でささやいた。
「どうです? サキュバス二人に抜いてもらった感想は?」
「ぐっ、くそ! 殺されてたまるか……!」
「おにぃさん、こわーい。今にも噛みつきそうな顔してる」
幼女の方が竿をしごき、大人の方が金玉を弱めに揉む。
二人一緒に俺の乳首を舐め、上へと下が快感に包まれる。
少しずつ死が近づいているのに、身体は絶頂を求め続けた。
(……このままじゃ死ぬだけなのに、何で)
何故か怒りが湧いてこなかった。このまま二人にすべてを委ねてしまえばいいと、別の誰かから告げられている。そんな奇妙な感覚が消えなかった。だが、
「────俺にはまだ、やることがあるんだ!」
このままではダメだと、手足に力を込めて身体を起こした。
「わ、見て見て。おにぃさんすごいがんばってるよ」
「身体が痺れてるはずなのに、とっても頑張り屋さんですね」
「ここから逃げられるわけないのにね。じゃあ……」
「二人で分からせてあげましょう。抵抗しても無駄ですとね」
気力を振り絞って膝立ちし、ベッドから出ようとした。すると幼女のサキュバスが前側に抱き着き、大人のサキュバスが後ろ側に抱き着いた。完全に身動きを封じられてしまった。
幼女のサキュバスは胸から臍へと舌を這わせ、俺の陰茎を喉の奥まで咥えた。
大人のサキュバスは背から腰へと舌を這わせ、不浄の穴である肛門を舐めた。
「あ……ん、んも……ちゅぱ、あむんも、ぷあっ。おにぃさん、太いねぇ♡」
「やめ、ろ! 離……せっ、それ以上……舐め……るなぁ!!」
「んん……れるえる、ちゅぷ、あぁむ、れる。ここ、素敵な匂いがします♡」
「尻の……奥……ぐぁっ!? そこは汚いからやめ、ぐっ!?」
快楽の怖気が背筋をゾクゾクゾクと昇ってくる。動け動けと内心で叫ぶが、股間と肛門が物欲しそうにヒクつくだけだ。これが最期かと情けなくなり、俺は目に涙を浮かべた。
「怖がらせてしまいましたね。そんな悲しそうな顔をされなくていいんですよ、グレイゼル」
「……何で、俺の名前……」
「これは夢、おにぃちゃんは死なないよ。だから怖がらず、ルルのお口におしゃせいしよ?」
二人の鈴らかな声が脳裏で木霊する。下半身を余すとこなく貪られ、せき止めていたものが崩れ去る。絶頂の瞬間に叫んだのは、「ルルニア」という見ず知らずの名だった。
「……明かりがない?」
食堂も二階も真っ暗な状態だった。サキュバスがこんな時間に寝るはずがなく、不在の知らせも受けていない。酒場の仕事が忙しいとしても、ニーチャは家にいるはずだ。
何らかの異変が起きた可能性が高いと判断し、足音を潜めて玄関口に近づいた。
慎重に扉を開けて中を覗くと、長い廊下の先に幼女の姿のルルニアが立っていた。
「…………良かった。無事だったんだな」
家の敷居をまたぐ俺を、ルルニアは微笑で迎え入れた。
「もう少し早く帰ってくるつもりだったんだが、村長との話が長引いてな」
「………………」
「朝に薬の用意を忘れたから、体調を崩したんじゃないかって心配だったんだ」
荷物を置きながら廊下を歩くが、ルルニアは立ったまま動かなかった。ふと気になって幼女の姿の理由を聞くと、無言で口角を上げて階段を上り出した。
「急にどうしたんだ?」
言い知れぬ違和感があったが、それを言語化することができない。
あとを追って二階に移動すると、自室の前でルルニアが待っていた。
「何か言いたいことがあるなら……って、え?」
俺が近づくなりルルニアは『透過するように』扉の先へと消えた。
幽霊めいた移動方法に声を失い、不安に駆られて扉の取っ手を握った。
恐る恐る中に入ってみると、部屋の中心に幼女の姿のルルニアがいてくれた。ホッと安心するのも束の間、ベッドの上にはもう一人大人の姿のルルニアが座っていた。
「…………は?」
頭が疑問符に埋め尽くされて思考が定まらない。入口の前で立ち尽くすと、幼女の姿のルルニアもベッドに乗った。そして大人の姿のルルニアと抱き合って手招きした。
「何でルルニアが二人いるんだ?」
「………………」
「ニーチャはその、いったいどこに?」
「………………」
「そこに俺も行けば、いいのか?」
返事はなかったが、目線が「そうだ」と言っていた。ぼーっとした頭でベッドへと移動し、二人の身体に触れようとした。だが俺の腕は空を切ってシーツに落ちた。
状況の不可解さに理解が追いつかず顔を上げると、二人は瞳を輝かせて俺を見ていた。急速に眠気が湧いて四肢の力が抜けていき、繋ぎ止めていた意識が途切れた。
…………甘やかな香りで目を覚ますと、視界の先に絶世の美少女が『二人』いた。ふわりと長い桃色の髪を揺らし、翡翠の瞳で俺を見下ろしている。
「あ、もう目がさめちゃった。あと少しだったのに」
「だから言ったんです。ルルは激し過ぎるんですよ」
片方は幼女でもう片方は大人だ。どちらも一糸まとわぬ姿となっており、俺の陰茎を両脇から舐めている。寝起きで混濁した意識では巧みな舌使いに抗えず、わけも分からぬまま射精した。
「……うっ、ぐ、あぁぁぐっ!」
自慰とは比べ物にならない快感にあえぎ声が漏れる。飛び散った精子は二人を汚すが、嫌がる様子なく俺の腹に乗っかった分まで残さず舐め取っていった。
「ふふっ、たぁっぷり出しちゃったね。おにぃさん」
「それに素敵なお味です。もっと味わいたいですね」
よく見ると二人の顔は似通っていた。「お前らは誰だ」と問いかけようとしたが、口も腕も足も満足に動かすことができなかった。
(……何だこの状況は)
混乱した思考を落ち着けるため、自分自身の記憶を辿った。俺の名は『グレイゼル・ミハエル』、僻地の村で暮らす薬屋だ。年齢は今年で二十五となる。
昼に薬の納品を済ませ、飲み会を経て家に帰った。山奥で独り暮らししながら薬屋を営んでおり、このような行為をする相手はいない。そのはずだった。
(……何で俺は、この二人を知っている気がするんだ?)
どちらも人外めいた絶世の美貌をしている。腰の裏から尻尾が生えており、背中にはコウモリ似の羽が生えている。脳裏に浮かんだのはサキュバスという名だ。
魔物は人間のみを喰らう生態をしているため、数分先に辿る末路の想像は容易かった。二人はあがく俺の両脇に寝そべり、陰茎を弄びながら耳元でささやいた。
「どうです? サキュバス二人に抜いてもらった感想は?」
「ぐっ、くそ! 殺されてたまるか……!」
「おにぃさん、こわーい。今にも噛みつきそうな顔してる」
幼女の方が竿をしごき、大人の方が金玉を弱めに揉む。
二人一緒に俺の乳首を舐め、上へと下が快感に包まれる。
少しずつ死が近づいているのに、身体は絶頂を求め続けた。
(……このままじゃ死ぬだけなのに、何で)
何故か怒りが湧いてこなかった。このまま二人にすべてを委ねてしまえばいいと、別の誰かから告げられている。そんな奇妙な感覚が消えなかった。だが、
「────俺にはまだ、やることがあるんだ!」
このままではダメだと、手足に力を込めて身体を起こした。
「わ、見て見て。おにぃさんすごいがんばってるよ」
「身体が痺れてるはずなのに、とっても頑張り屋さんですね」
「ここから逃げられるわけないのにね。じゃあ……」
「二人で分からせてあげましょう。抵抗しても無駄ですとね」
気力を振り絞って膝立ちし、ベッドから出ようとした。すると幼女のサキュバスが前側に抱き着き、大人のサキュバスが後ろ側に抱き着いた。完全に身動きを封じられてしまった。
幼女のサキュバスは胸から臍へと舌を這わせ、俺の陰茎を喉の奥まで咥えた。
大人のサキュバスは背から腰へと舌を這わせ、不浄の穴である肛門を舐めた。
「あ……ん、んも……ちゅぱ、あむんも、ぷあっ。おにぃさん、太いねぇ♡」
「やめ、ろ! 離……せっ、それ以上……舐め……るなぁ!!」
「んん……れるえる、ちゅぷ、あぁむ、れる。ここ、素敵な匂いがします♡」
「尻の……奥……ぐぁっ!? そこは汚いからやめ、ぐっ!?」
快楽の怖気が背筋をゾクゾクゾクと昇ってくる。動け動けと内心で叫ぶが、股間と肛門が物欲しそうにヒクつくだけだ。これが最期かと情けなくなり、俺は目に涙を浮かべた。
「怖がらせてしまいましたね。そんな悲しそうな顔をされなくていいんですよ、グレイゼル」
「……何で、俺の名前……」
「これは夢、おにぃちゃんは死なないよ。だから怖がらず、ルルのお口におしゃせいしよ?」
二人の鈴らかな声が脳裏で木霊する。下半身を余すとこなく貪られ、せき止めていたものが崩れ去る。絶頂の瞬間に叫んだのは、「ルルニア」という見ず知らずの名だった。
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