エッチな精気が吸いたいサキュバスちゃんは皆の癒しの女神

のっぺ

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第八十七話『女神の国5』〇

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 …………開戦の少し前、俺は焦りと不安で夕暮れの空を見ていた。耳を澄ませても戦いの音は聞こえず、このまま平穏無事に時が過ぎることを願った。

 そんな最中に魔物の遠吠えが聞こえ、逸る思いで窓の前に移動しようとする。だがベッドから浮かせた身体は後ろから伸びた腕によって戻された。

「よしよし、グレイゼルは良い子ですね」

 大人の体型のルルニアに頭を撫でられる。温かな声音に安堵が湧くが、すぐ現実に引き戻された。戦いが間近に迫っているのに何をしているのだと、そんな罪悪感が消えなかった。

「ボロボロなお顔も素敵ですが、それでは愛のあるエッチができませんよ」
「……分かってる」
「乱れてしまった心を落ち着けるため、一度私の母乳を味わいましょうか」

 両手で後頭部を支えられ、否が応でも乳を吸う体勢にさせられる。
 淡く綺麗な乳首を口に咥えると、ほんのりした甘さが舌を打った。

「どうです? 美味しいですか?」

 俺を見下ろすルルニアの眼差しは慈愛に満ちていた。身を預けているうちに心の乱れが収まり、全身が湯に浮くような感覚に包まれ始める。

(…………赤ん坊の頃の記憶なんてないのに、何でこんなに安心するんだ。乳首を吸って母乳を飲んでいるだけで、何も……考えられなくなってくる…………)

 このままでは本当に赤ん坊になるのではないか、そんなことを思った。
 急がねばと思考するが、何で急ぐ必要があるか思い出せなくなる。
 一度身を離そうとすると、ルルニアの瞳の輝きに捕らわれた。

「よしよし、怖がらなくていいんですよ」

 背中を一定の間隔で叩かれ、また頭を撫でられた。
 次第に言葉を発するのも億劫になり、ぼんやりとした思考で母乳を飲み続けるのみとなる。ママと呼ぶように言われて応じると、母性のある微笑みが返ってきた。

「はい、あなたのママです。いっぱい甘えて下さいね」
「マ……マ、あまえ……る」
「焦りも不安も、このまま一度忘れてしまいましょう」

 乳首を軽く噛むと、艶のある吐息が聞こえてきた。
 ママは頭を撫でるのを止め、ズボンの中へ手を入れた。
 陰毛に指を潜らせて陰茎を掴み、弱めの力で揉みしだいた。

「赤ん坊にしては大きいですね。ご立派です」
「……う、や……め」
「私の赤ん坊になった記念として、ズボンの中でおもらしお射精をしましょうか。はい、しーですよ。しー……」

 耳元に息を吹きかけられ、全身に快感が走る。母乳を味わいたいだけなのに、陰茎のしごきを止めてくれない。反射で乳首を強く噛むが、見上げた顔は嬉しそうだった。

「────ぅぁ、あぅぐっ!?」

 股間の奥から大量の気持ち良いが昇り、外へ放出される。ズボンの中が生温かく湿って気持ち悪かったが、今の感覚と共に心の中にあったモヤが急速に晴れるのを感じた。

「おー……、お兄さんかわいい」

 焦点のブレた視界の先に、見知った青い髪の女の子がいた。女の子は興味深そうに授乳中の俺を観察し、ママの隣へと腰を下ろした。
 空いている左の乳首に近づいたかと思うと、一緒になって母乳を吸い始めた。ンクンクと喉を鳴らし、息継ぎをして飲みを再開した。

「んー……、お母さんのより美味しい。これ好き」
「毎日グレイゼルの精気を吸ってますからね。これを飲めばニーチャは並みの魔物より強くなります。それで皆を助けてあげて下さい」
「うん、助ける。がんばっておじさんの力になる」
「ニーチャが稼いでくれた時間で私たちは限界までエッチをします。身に危険が差し迫るようでしたら、これを吹いて知らせて下さい」

 その言葉で取り出されたのは木製の笛だ。あれは確か……と思ったところで意識が戻った。ニーチャはガーブランドの笛を首に掛け、ベッドから降りて身体を成長させた。

「んー……んん、身体ピリピリする」

 頭の両脇の巻角は倍以上に大きくなり、身長は百六十台まで伸びた。
 胸は大きく腰は細く尻は大きい。女性の魅力に溢れる容姿となった。

 人間なら十六から十八歳ぐらいの見た目だ。顔立ちは変わらずあどけなく、無垢で蠱惑な魅力が発せられている。髪は尻に届くほど長くなり、素性バレの可能性が低い見た目となった。

「想定よりも強くなれましたね。調子はどうですか?」

 ニーチャは大きくなった翼を羽ばたかせ、身体をクルリと回転させた。
 急な成長だが身体に異常はないらしく、大丈夫と言って窓に向かった。

「ニーチャ、外に行く前にすべきことがありますよ」
「あ、そうだった。角と翼と尻尾を白くする、だよね」
「そうです。天使の伝承もありますので、特徴的な部位を白くすれば神の使いと誤解してくれるはずです。そこさえ守れば後は好きにしても構いません」

 俺たちが見守る中、ニーチャは角と翼と尻尾の色を変えた。
 天使としか言いようがない見た目となり、窓枠に足を掛けた。

「────それじゃあ、行ってきます」

 跳躍と同時に翼を広げ、夜空の先へ飛び立った。白い影が完全に見えなくなったのを見計らい、俺はベッドから転げるように降りた。
 ルルニアの声を背に机まで移動し、天板の上にあった布を持った。その中心には黒い粉があり、水も使わずに口内へ振り落とした。

「……それは?」
「ルルニアとニーチャとドーラの角の粉だ。使うのに躊躇があったが、ルルニアのおかげで消えた。これがあれば限界を超えて盛り合える」
「……身体が壊れちゃいますよ?」
「死ぬ気でエッチするって、昨日そう言っただろ? どちらかが意識を失ったら、叩き起こしてでも身を貪る。これが唯一、皆の頑張りに報いる方法だ」

 言い終わりと同時に心臓がドクンと鳴った。脈拍の上昇に合わせて陰茎が過去類を見ない大きさになり、思考がかき乱れる。目の前の雌を突き果てさせろと、性欲が脳を支配した。

「……イグゾ、ルル……ニア」

 闘気の暴走で筋肉までもが増大し、踏み出した一歩で床が割れた。
 ルルニアは動揺で身を引くが、すぐに不敵な笑みで上唇を舐めた。

「────さぁ、共に色欲の先へと行きましょう」
 草原の戦闘の音に合わせ、俺たちの決死の戦いもまた始まった。
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