エッチな精気が吸いたいサキュバスちゃんは皆の癒しの女神

のっぺ

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第九十三話『移ろう景色1』〇

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 チチチという小鳥のさえずりで目を覚ました。部屋の中は薄い暗闇に包まれており、シーツ越しに感じる外気は肌寒い。だいぶ早めに起きてしまったと、私を抱いているグレイゼルの腕の中で考えた。

「…………もうすっかり秋ですね」

 私たちの結婚式から一ヵ月と少しの時が経過した。季節は夏から秋へと移ろい、山の木々は少しずつ赤みを帯び始めている。私に合わせて就寝時は裸だったグレイゼルも、今は肌着を身に着けようになった。

「……っと、これは出られそうにありません」

 気温の低さのせいだろうか、いつもより強めに抱き着かれていた。
 声を掛ければ起きるだろうが、朝はゆっくり休んでいて欲しかった。

 なので身長を二十ばかり小さくし、幼女体型で腕の拘束を抜けた。シーツを潜り進んでベッドの下から出ようとするが、途中で止まった。意識が向いたのはグレイゼルの股間、朝勃ちしたおちんちんだった。

 パンツは苦しさを訴えるように高く張られ、持ち上がっている。
 試しに亀頭の辺りを優しく撫でてみると、ピクッと竿が跳ねた。

「ふふふ、たまには遊んでみましょうか」
 私はグレイゼルを起こさぬよう、慎重にパンツの中のおちんちんを外に出した。竿を片手で包むように持ち、裏筋に触れるようなキスをした。

「しー、ですよ。グレイゼルが起きちゃいますから」

 ささやくように言うと固さが増してきた。まるでおちんちんそのものに意思があり、私に触れられるのを心待ちにしていたようだ。そう思うと可愛くてたまらなく、亀頭のカリ首を舌で舐めてあげた。

「れぇる、ふ……ぁむ、んちゅ……ぇちゅ」

 カリ首の後は亀頭を口に含み、唇と舌先で刺激してあげる。一気に咥え込むとさすがに起こしてしまうため、じっくり時間を掛けて喉奥に挿れていった。

 シーツに埋もれているのでグレイゼルの状態が分からず、それが緊張を高めた。音を抑えて咥えたおちんちんを上下させていると、唐突に身体がビクリと跳ねた。

「────んひゅ!? ふぅみゅ……」
「…………んぁっ、ルルニ……ア……」

 声の高まりを静め、十秒ほど様子を伺った。今にもシーツが跳ね除けられるのではないかと思うが、幸いにも目は覚まさなかった。
 一度おちんちんを引き抜こうとすると、その動作で射精が起きた。寝ているからか量はさほど多くなく、鈴口からトロトロと白い液体が漏れた。

「はぷ、あむ……ぁむ、おいひ、ん……ちゅ」

 前髪をかき上げ、一滴も残さずに精子を舐め取る。鈴口の匂いを嗅ぐと奥に残っている気配があったため、もう一度亀頭を咥えて中身を吸った。飲み終わりにはケプッと息が漏れた。

「二回目をしたいですが、それはまたの機会ですね」

 小さくなってしまったおちんちんにキスをし、柔らかな金玉に触れた。そっと持ち上げた先にあるのは、私たちが初めて会った夜に刻んだ刻印だ。
 位置は金玉と肛門の中ごろにあり、本人目線では絶対に見えない。弱っていた時期に刻んだものなため、今のグレイゼル相手では効果がない代物だ。

「上書きすれば性欲の増強などに使えますが、これは証として残したいんですよね。私とグレイゼルの出発点はこれ何だって、ずっと思い返せます」

 刻印の線を指でなぞり、おちんちんをパンツにしまってベッドから出た。耳元でごちそうさまとささやき、シーツの乱れを直した。その後は化粧台に座り、引き出しから櫛を取って髪をすいた。

「ふーふ、ふーん、ふふふっ」
 使い始めてそれなりに経つのに、自然と笑みがこぼれる。左手にある指輪と合わせると嬉しさ五倍増しであり、何時間でも眺めていられた。

 髪を整えた後は一階に下り、朝食の準備を始めた。原木のハムを薄く切って皿に並べ、別の器に卵を割って手早くかき混ぜた。定番の豆のスープを作りながらサラダ用の野菜を千切っていると、一足先にニーチャが降りてきた。

「うー……、おはよう」
 眠気で頭が揺れており、転びかけながらテーブルにたどり着いた。天板に突っ伏して二度寝してしまいそうだっため、眠気覚ましにお茶を用意した。

「ニーチャ、飲み終えたらお皿の準備をお願いしますね」
「やるー……」
「それと今日は私も食べますので、三人分並べて下さい」
「分かったー……、ん?」

 ニーチャは薄くなった目を見開き、私をジッと見た。
「ルルニア、ごはん食べる? 珍しい」

 当然の疑問だ。ニーチャと違い、私は人間の食事の味がほぼ分からない。この家に住むようになってだいぶ経つが、食べた回数は片手で数えられるほどだ。

(……夏の終わりぐらいから妙な空腹感があるんですよね。最初は気のせいかと思っていましたが、精気をいくら吸っても解消されませんし)
 まるで精気以外の栄養を摂り込めと、身体が訴えてきているようだ。

「お兄さんに言わなくて、いいの?」
「いいんです。空腹を感じると言っても大したものではありませんし、少し経てば治ると思います。いらぬ心配は掛けさせたくないですから」

 グレイゼルの起床前に食べる必要があっため、先に自分の分だけ用意した。豆のスープを口に含むが、思った通りの薄味だった。やはり美味しくないが、何故かスプーンを動かす手が止まらなかった。

「……全部、食べちゃいましたね」
「うん。早かった」
「……空腹は収まりました、けど」

 もう少し食べてもいいと、お腹がおかわりを求めていた。ゴクリと喉が鳴るが、栄養にならない物の過剰摂は良くないため、今はやめておいた。

「────おはよう。ルルニア、ニーチャ」
 何とかグレイゼルが起きてくる前に皿を片付けられた。いつも通りに二人の食事を見守り、家事をしつつ往診に出かける後姿を見送った。


ーーーーーーーーーー

 お久しぶりです。ここから三章となります。
 十月は毎日投稿できそうですが、十一月は予定が多すぎて数回ほど休みをもらうかもしれません。なるべく毎日投稿を心掛けますので、今後もよろしくお願いします。
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