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第九十六話『賑わいの先に2』〇
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ここ最近は屋内が多かったため、外は久しぶりだ。すでに山道に入っているので人の目はなく、凍えるほど寒くない。上着を脱ぎながら今日の体位と体型をどうするのか聞いてみた。
「それですが、今日は新しい趣向に挑戦していいでしょうか。実は少し前から練習していて、ようやく形になった術があるんです」
「どういうのだ?」
「以前に意識を半分眠らせて幻影を見せましたよね。今回発動するのはそれと淫夢の組み合わせ……と、実践した方が早いですね」
試していいかと確認を取られ、構わないと応えた。
ルルニアの瞳が輝くと、瞬時に視界がグラついた。
一度目を閉じて開けると、一帯の景色が様変わりした。今の今まで山道にいたはずなのに、いつの間にか俺は酒場の真ん中に一人立っていたのだ。
テーブル席はほぼ満席となっており、入口からは続々と新しい客が入ってくる。脇を通った客に手を触れようとすると、霞のようにすり抜けた。
「……これも幻影か、魔力に常識は通用しないな」
まるで夢の中に迷い込んだようだ。足元の床は板張りで平らだが、実際に歩いてみると土っぽい凸凹がある。うかつに動くと転びそうだ。
棒立ちしながら店内を見回すと、背後から声が掛かった。振り向いた先にはルルニアがいたが、その服装は酒場の給仕服となっていた。
「どうです? それっぽく見えてますか?」
給仕服の生地は灰黄色、染める前の羊毛の色合いだ。肩回りの布が膨らんだ作りとなっていて、スカート丈は普段着よりだいぶ短めだ。
特徴的なのはフリル付きのエプロンだ。店長の裁縫趣味が高じ、町の流行を取り入れた。これがまたルルニアの魅力を引き立てていた。
「こうして見ると足が出過ぎだな」
「そうでしょうか。見ての通り膝上までは隠れていますし、床に寝転がらないと中は見えません。生地が固めなので簡単にはめくれませんし」
「いや、膝裏が見える時点でエッチだろ」
夫としては認められないが、男としてなら酔っ払いの気持ちが理解できた。
「仕事着ですし、エッチで汚すわけにはいかなかったんですよね。どうやれば店に迷惑を掛けずに済むか考えて、この方法に至りました」
「それは嬉しいが、淫夢の中でするじゃダメなのか?」
「あれだとグレイゼルが眠っていますからね。吸精だけなら騎乗位で腰を振っていればいいですが、私は愛のあるエッチがしたいので」
そう言い、ルルニアは手元に幻影のお盆を作り出した。
案内されて座った椅子は硬く、岩の上にいると分かった。
(……分かっていても、本物にしか見えないな)
相席している男性客に声を掛けると、俺の方を向いて口をパクつかせた。よく耳を澄ますと店内に響くガヤは適当であり、会話が会話の体を成していなかった。
椅子に座ったまま周囲を見回すと、近くの席で注文を取る振りをするルルニアを見つけた。そこが終わると次に移動し、俺のすぐ脇にある席へと移動してきた。
「はい、ご注文はなんでしょうか?」
うわ言のような客の声に頷き、注文を請け負っている。
その様子を眺めていると、給仕服のスカートに目が行った。
ルルニアは注文の復唱の度に尻を揺らし、早く触らないのかと意思表示している。こんな場所でと一瞬ためらうが、ここは幻影の酒場だと即座に思い直した。
(……酔っ払いの役を、やれってことか)
真っ先に触れたのは尻……ではなく膝の裏だ。
「────ひゃっ!? お客様、困ります!?」
ルルニアは店員を演じ、俺の痴漢行為に抗議の声を上げた。幻影の客が手を離すように言うが、どいつもこいつも一定距離から近づいてこなかった。
「この先をする前に確認するぞ。今日は乱暴な感じでいいんだな」
「はい、私も全力で店員のルルニアを演じるつもりです」
「分かった。気分を害するようならすぐ言ってくれ」
息を多めに吸い込み、気合を入れた。今からルルニアに酷いことをするが、俺たちにとってはこれも愛し合うの範疇だ。出会いから今日までの三ヵ月半で、色々と覚悟が決まった。
「……おいおい、ずいぶん可愛い店員がいるじゃねぇか」
威圧的な声で肩を軽く押すと、ルルニアは派手な動作でテーブルに突っ伏した。料理が乗った食器が床に散らばり、離れた位置にいる女性店員が悲鳴を上げた。
「なっ、何をするんですか! やめて下さい!」
「……こんな丈の短いスカートを履いて、よくもそんなことが言えたな? 清純そうな顔をして、本心では男を誘っていたんじゃないのか? そうだろ?」
「違います! 私には主人が……や!? 離して!?」
逃げようとする背中を片手で押さえつけ、露出した足をまさぐるように撫でながらスカートをめくる。するとルルニアは両足をギュッと閉じ、スカートの裾を手で必死に引っ張って抵抗してきた。
「はっ、そうかよ。こっちを触って欲しかったならそう言えよ」
一度足から手を離し、背面からフリルのエプロンに手を突っ込んだ。服の上から乳房を揉みしだくと、ルルニアは反射で手を戻した。そこですかさずスカートをめくった。
小ぶりで形の良い尻が露わになり、客の目線が一斉に集う。パンッと尻を叩くと細く悲鳴を発し、もう一度叩くと顔を真っ赤にして涙をこぼした。
「うぅ……ぅぐ、ぐす……ひぅ、うぅ……」
一瞬やり過ぎてしまったと思うが、ルルニアはチロリと舌を出した。
俺は酔っ払いの役へと戻り、尻に三度目の平手打ちをお見舞いした。
「ひゃっう!? 痛い……です。……離し、て……」
「嫌だって言うなら、これぐらい振りほどいてみせろよ。他の客だってほら、誰も助けに来ないだろ? 皆お前をエッチだって思ってるんだよ」
「ん……やっ、お尻揉まないで……あなた、助けて……」
「こんなに妻が苦しんでいるのに助けに来ないなんて、酷い主人だな。俺の方がお前をもっと気持ち良くさせられる。いっそ俺の妻になれよ」
股のワレメに指を這わせると抵抗を強めた。俺は片腕でルルニアの細身な身体を抱きしめ、もう片方の手で膣に指を挿れて抽挿した。逃げよう逃げようと足がバタつく様は、俺の心の黒い部分を刺激してきた。
「嫌々言っても身体は正直だな。股はグショグショだし、乳首もこんな有様だ。早く自分が淫乱だって認めた方がいいんじゃないか?」
「あぅ……ぃや、私、淫乱じゃない、のにぃ……」
「お前はもう俺のものだ。命の限り守ってやるし、どんな性行為にだって付き合ってやる。一生掛けて幸せにしてやるからな。なぁ!」
乱暴に告げ、陰茎を出した。ルルニアはそれだけはダメと叫び、侵入を妨げようと尻を振った。一分ほどの攻防を経て膣口に亀頭が密着し、本番の挿入が始まる。そう思った矢先のことだった。
「それですが、今日は新しい趣向に挑戦していいでしょうか。実は少し前から練習していて、ようやく形になった術があるんです」
「どういうのだ?」
「以前に意識を半分眠らせて幻影を見せましたよね。今回発動するのはそれと淫夢の組み合わせ……と、実践した方が早いですね」
試していいかと確認を取られ、構わないと応えた。
ルルニアの瞳が輝くと、瞬時に視界がグラついた。
一度目を閉じて開けると、一帯の景色が様変わりした。今の今まで山道にいたはずなのに、いつの間にか俺は酒場の真ん中に一人立っていたのだ。
テーブル席はほぼ満席となっており、入口からは続々と新しい客が入ってくる。脇を通った客に手を触れようとすると、霞のようにすり抜けた。
「……これも幻影か、魔力に常識は通用しないな」
まるで夢の中に迷い込んだようだ。足元の床は板張りで平らだが、実際に歩いてみると土っぽい凸凹がある。うかつに動くと転びそうだ。
棒立ちしながら店内を見回すと、背後から声が掛かった。振り向いた先にはルルニアがいたが、その服装は酒場の給仕服となっていた。
「どうです? それっぽく見えてますか?」
給仕服の生地は灰黄色、染める前の羊毛の色合いだ。肩回りの布が膨らんだ作りとなっていて、スカート丈は普段着よりだいぶ短めだ。
特徴的なのはフリル付きのエプロンだ。店長の裁縫趣味が高じ、町の流行を取り入れた。これがまたルルニアの魅力を引き立てていた。
「こうして見ると足が出過ぎだな」
「そうでしょうか。見ての通り膝上までは隠れていますし、床に寝転がらないと中は見えません。生地が固めなので簡単にはめくれませんし」
「いや、膝裏が見える時点でエッチだろ」
夫としては認められないが、男としてなら酔っ払いの気持ちが理解できた。
「仕事着ですし、エッチで汚すわけにはいかなかったんですよね。どうやれば店に迷惑を掛けずに済むか考えて、この方法に至りました」
「それは嬉しいが、淫夢の中でするじゃダメなのか?」
「あれだとグレイゼルが眠っていますからね。吸精だけなら騎乗位で腰を振っていればいいですが、私は愛のあるエッチがしたいので」
そう言い、ルルニアは手元に幻影のお盆を作り出した。
案内されて座った椅子は硬く、岩の上にいると分かった。
(……分かっていても、本物にしか見えないな)
相席している男性客に声を掛けると、俺の方を向いて口をパクつかせた。よく耳を澄ますと店内に響くガヤは適当であり、会話が会話の体を成していなかった。
椅子に座ったまま周囲を見回すと、近くの席で注文を取る振りをするルルニアを見つけた。そこが終わると次に移動し、俺のすぐ脇にある席へと移動してきた。
「はい、ご注文はなんでしょうか?」
うわ言のような客の声に頷き、注文を請け負っている。
その様子を眺めていると、給仕服のスカートに目が行った。
ルルニアは注文の復唱の度に尻を揺らし、早く触らないのかと意思表示している。こんな場所でと一瞬ためらうが、ここは幻影の酒場だと即座に思い直した。
(……酔っ払いの役を、やれってことか)
真っ先に触れたのは尻……ではなく膝の裏だ。
「────ひゃっ!? お客様、困ります!?」
ルルニアは店員を演じ、俺の痴漢行為に抗議の声を上げた。幻影の客が手を離すように言うが、どいつもこいつも一定距離から近づいてこなかった。
「この先をする前に確認するぞ。今日は乱暴な感じでいいんだな」
「はい、私も全力で店員のルルニアを演じるつもりです」
「分かった。気分を害するようならすぐ言ってくれ」
息を多めに吸い込み、気合を入れた。今からルルニアに酷いことをするが、俺たちにとってはこれも愛し合うの範疇だ。出会いから今日までの三ヵ月半で、色々と覚悟が決まった。
「……おいおい、ずいぶん可愛い店員がいるじゃねぇか」
威圧的な声で肩を軽く押すと、ルルニアは派手な動作でテーブルに突っ伏した。料理が乗った食器が床に散らばり、離れた位置にいる女性店員が悲鳴を上げた。
「なっ、何をするんですか! やめて下さい!」
「……こんな丈の短いスカートを履いて、よくもそんなことが言えたな? 清純そうな顔をして、本心では男を誘っていたんじゃないのか? そうだろ?」
「違います! 私には主人が……や!? 離して!?」
逃げようとする背中を片手で押さえつけ、露出した足をまさぐるように撫でながらスカートをめくる。するとルルニアは両足をギュッと閉じ、スカートの裾を手で必死に引っ張って抵抗してきた。
「はっ、そうかよ。こっちを触って欲しかったならそう言えよ」
一度足から手を離し、背面からフリルのエプロンに手を突っ込んだ。服の上から乳房を揉みしだくと、ルルニアは反射で手を戻した。そこですかさずスカートをめくった。
小ぶりで形の良い尻が露わになり、客の目線が一斉に集う。パンッと尻を叩くと細く悲鳴を発し、もう一度叩くと顔を真っ赤にして涙をこぼした。
「うぅ……ぅぐ、ぐす……ひぅ、うぅ……」
一瞬やり過ぎてしまったと思うが、ルルニアはチロリと舌を出した。
俺は酔っ払いの役へと戻り、尻に三度目の平手打ちをお見舞いした。
「ひゃっう!? 痛い……です。……離し、て……」
「嫌だって言うなら、これぐらい振りほどいてみせろよ。他の客だってほら、誰も助けに来ないだろ? 皆お前をエッチだって思ってるんだよ」
「ん……やっ、お尻揉まないで……あなた、助けて……」
「こんなに妻が苦しんでいるのに助けに来ないなんて、酷い主人だな。俺の方がお前をもっと気持ち良くさせられる。いっそ俺の妻になれよ」
股のワレメに指を這わせると抵抗を強めた。俺は片腕でルルニアの細身な身体を抱きしめ、もう片方の手で膣に指を挿れて抽挿した。逃げよう逃げようと足がバタつく様は、俺の心の黒い部分を刺激してきた。
「嫌々言っても身体は正直だな。股はグショグショだし、乳首もこんな有様だ。早く自分が淫乱だって認めた方がいいんじゃないか?」
「あぅ……ぃや、私、淫乱じゃない、のにぃ……」
「お前はもう俺のものだ。命の限り守ってやるし、どんな性行為にだって付き合ってやる。一生掛けて幸せにしてやるからな。なぁ!」
乱暴に告げ、陰茎を出した。ルルニアはそれだけはダメと叫び、侵入を妨げようと尻を振った。一分ほどの攻防を経て膣口に亀頭が密着し、本番の挿入が始まる。そう思った矢先のことだった。
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