106 / 170
第百六話『新人研修4』
しおりを挟む
一字一句を耳に入れ、ルルニアは固まった。言葉の意味は分かったが内容の理解が追いつかない、そんな顔で自分の腹を見下ろした。同時に瞳の輝きが失せ、絶頂の寸止めが終わった。
溜まりに溜まった快楽が陰茎に集い、濁流がごとき勢いで精子が鈴口から飛び出していく。射精の流動で竿全体がビクビクンと跳ね、ルルニアの臍の下にある腹の肉が盛り上がった。
「〝あ〝っ!? が……おっ、〝ふ〝ぅ〝く〝ぅぅぅ!!?」
射精は優に十秒を超えて続き、際限なく湧く快楽に腰が突き上がる。
俺は呆然自失し、陰茎と膣の接合部から精子がこぼれる様を眺めた。
「…………ここに私と、グレイゼルの子が?」
信じられない、といった様子でルルニアは下腹部に手を添えていた。
俺は震えの残る腕でルルニアの手に自分の手を重ね、そっと握った。
一向に呼吸が整わなかったが、途切れ途切れでもわけを話した。急な食欲増進と吐き気は妊娠初期に見られる兆候だと、日ごとに他の症状が出てくるかもしれないと伝えた。
「わ、悪い冗談ですね。そんなことあるわけが……」
「もちろん確証があるわけじゃない。だから気づいてからも黙ってたんだ。これが俺の勘違いだとしたら、ルルニアを悲しませることになるって」
「私はサキュバスですよ? いくら願ったって、そんな都合の良い奇跡が起こるわけありません」
「確かに常識外れだ。けどそれを可能にする術がある」
俺は奇跡の根拠として、ルルニアが有する膨大な魔力を挙げた。
魔物は人の夢を自在に操ったり、体内で岩の砲弾を生成して発射したりできる。なら異種族の子を孕むぐらいできてもおかしくはない。自在に炎や雷を操る方が俺目線では異常だ。
「ルルニアは俺の精気を毎日摂取してきた。子を欲しいと願った想いが魔力に作用して、人の子を孕める子宮を作り出した。俺が立てた仮説はそんなところだ」
慎重な語り掛けに対し、ルルニアは首を横に振った。妊娠を信じられぬというより、俺の期待を裏切ることを恐れていた。だから闘気の力で縄を千切り、上体を起こしてルルニアを抱いた。
「────それならそれでいいんだ。俺の一番はルルニアだからな」
背中をポンポンと叩き、耳元で偽らざる想いを伝えた。
「子どもは欲しい、ずっと言ってきたしな。だけどそれを望んで愛し合い始めたわけじゃない。俺はルルニアが好きだから、一生添い遂げると決めたんだ」
「そこは疑ってません。けど……」
「けど?」
「……グレイゼルの仮説が正しかったとして、人間と魔物の子がすんなり生まれるとも思えません。おぞましい化け物が生まれてしまったら、どうすれば」
実際、あり得ない話ではなかった。
妊娠しても出産までたどり着く保証はないし、そも人らしい容姿で生まれるかも分からない。俺たちが愛を持って育んだとしても、悪意を持った第三者に迫害されるかもしれない。だが、だ。
「悪い方にばかり考えなくていいんだ。生まれる子は可愛く健やかで優しくて、誰からも愛される子に育つ。それだけを願って行けば、きっと」
「良い方に考えれば、良い事が起きると……?」
「俺はそう信じる。ただでさえ妊娠には負担が伴うんだ。暗いことばかり考えていたら、先にルルニアが参ってしまう。二人でこの苦難を乗り越えて、我が子の誕生を祝福しよう」
髪を乱さないように気をつけ、頭の後ろを撫でてやった。
ルルニアは心地良さそうに目を細め、目から涙の雫を垂らした。
「…………でもそれですと、これはいささか不味かったですかね?」
二人で見たのは陰茎と膣の接合部だ。精子のこぼれ出しは今も続いており、子宮内が限界まで満たされているのが分かる。誰がどう見ても出し過ぎだった。
「こんなに出したらお腹の子が溺れて……」
「……せ、先生の話では妊娠初期は膣内に射精しても問題ないそうだ。まぁそれも平均的な夫婦の営みの話で、こんな量は想定してないと思うが……」
「妊娠初期とやらはいつまで続くものなんですか」
「およそ三ヵ月だな。中期に入る前にはお腹に子がいるか分かる。ルルニアの身体の不調の始まりについてだが、明確な兆しがいつだか分かるか?」
ルルニアは一ヵ月前ほどから食欲の増進があったと教えてくれた。
空腹を無視できなくなったのはここ最近だと、詳しい容体を知れた。
「…………一ヵ月か、じゃあまだ触っても分からないか」
子宮がある辺りを撫でさせてもらい、性行為は控えるべきかと呟いた。するとルルニアは真顔になり、「何を言ってるんです?」と窘めてきた。
「サキュバスはエッチをしないと死んでしまう生き物なんですよ? 妊娠初期まで大丈夫だと言うなら、限界ギリギリまで射精すべきです」
「だがお腹の子にもしもがあったら……」
「生まれてくる子は人間とサキュバスの混血です。成長に必要なのが人間の食事だけとは限りません。どちらも不足なく与えるべきです」
倫理には反するが、論理的な意見ではあった。妊娠初期までは変わらずエッチをする約束を交わし、それ以降は別の方策を模索すると決めた。
「────せっかくですし、中期以降はお尻の穴でも試しますか?」
何にせよ、ルルニアの不安は解消されたようだ。
溜まりに溜まった快楽が陰茎に集い、濁流がごとき勢いで精子が鈴口から飛び出していく。射精の流動で竿全体がビクビクンと跳ね、ルルニアの臍の下にある腹の肉が盛り上がった。
「〝あ〝っ!? が……おっ、〝ふ〝ぅ〝く〝ぅぅぅ!!?」
射精は優に十秒を超えて続き、際限なく湧く快楽に腰が突き上がる。
俺は呆然自失し、陰茎と膣の接合部から精子がこぼれる様を眺めた。
「…………ここに私と、グレイゼルの子が?」
信じられない、といった様子でルルニアは下腹部に手を添えていた。
俺は震えの残る腕でルルニアの手に自分の手を重ね、そっと握った。
一向に呼吸が整わなかったが、途切れ途切れでもわけを話した。急な食欲増進と吐き気は妊娠初期に見られる兆候だと、日ごとに他の症状が出てくるかもしれないと伝えた。
「わ、悪い冗談ですね。そんなことあるわけが……」
「もちろん確証があるわけじゃない。だから気づいてからも黙ってたんだ。これが俺の勘違いだとしたら、ルルニアを悲しませることになるって」
「私はサキュバスですよ? いくら願ったって、そんな都合の良い奇跡が起こるわけありません」
「確かに常識外れだ。けどそれを可能にする術がある」
俺は奇跡の根拠として、ルルニアが有する膨大な魔力を挙げた。
魔物は人の夢を自在に操ったり、体内で岩の砲弾を生成して発射したりできる。なら異種族の子を孕むぐらいできてもおかしくはない。自在に炎や雷を操る方が俺目線では異常だ。
「ルルニアは俺の精気を毎日摂取してきた。子を欲しいと願った想いが魔力に作用して、人の子を孕める子宮を作り出した。俺が立てた仮説はそんなところだ」
慎重な語り掛けに対し、ルルニアは首を横に振った。妊娠を信じられぬというより、俺の期待を裏切ることを恐れていた。だから闘気の力で縄を千切り、上体を起こしてルルニアを抱いた。
「────それならそれでいいんだ。俺の一番はルルニアだからな」
背中をポンポンと叩き、耳元で偽らざる想いを伝えた。
「子どもは欲しい、ずっと言ってきたしな。だけどそれを望んで愛し合い始めたわけじゃない。俺はルルニアが好きだから、一生添い遂げると決めたんだ」
「そこは疑ってません。けど……」
「けど?」
「……グレイゼルの仮説が正しかったとして、人間と魔物の子がすんなり生まれるとも思えません。おぞましい化け物が生まれてしまったら、どうすれば」
実際、あり得ない話ではなかった。
妊娠しても出産までたどり着く保証はないし、そも人らしい容姿で生まれるかも分からない。俺たちが愛を持って育んだとしても、悪意を持った第三者に迫害されるかもしれない。だが、だ。
「悪い方にばかり考えなくていいんだ。生まれる子は可愛く健やかで優しくて、誰からも愛される子に育つ。それだけを願って行けば、きっと」
「良い方に考えれば、良い事が起きると……?」
「俺はそう信じる。ただでさえ妊娠には負担が伴うんだ。暗いことばかり考えていたら、先にルルニアが参ってしまう。二人でこの苦難を乗り越えて、我が子の誕生を祝福しよう」
髪を乱さないように気をつけ、頭の後ろを撫でてやった。
ルルニアは心地良さそうに目を細め、目から涙の雫を垂らした。
「…………でもそれですと、これはいささか不味かったですかね?」
二人で見たのは陰茎と膣の接合部だ。精子のこぼれ出しは今も続いており、子宮内が限界まで満たされているのが分かる。誰がどう見ても出し過ぎだった。
「こんなに出したらお腹の子が溺れて……」
「……せ、先生の話では妊娠初期は膣内に射精しても問題ないそうだ。まぁそれも平均的な夫婦の営みの話で、こんな量は想定してないと思うが……」
「妊娠初期とやらはいつまで続くものなんですか」
「およそ三ヵ月だな。中期に入る前にはお腹に子がいるか分かる。ルルニアの身体の不調の始まりについてだが、明確な兆しがいつだか分かるか?」
ルルニアは一ヵ月前ほどから食欲の増進があったと教えてくれた。
空腹を無視できなくなったのはここ最近だと、詳しい容体を知れた。
「…………一ヵ月か、じゃあまだ触っても分からないか」
子宮がある辺りを撫でさせてもらい、性行為は控えるべきかと呟いた。するとルルニアは真顔になり、「何を言ってるんです?」と窘めてきた。
「サキュバスはエッチをしないと死んでしまう生き物なんですよ? 妊娠初期まで大丈夫だと言うなら、限界ギリギリまで射精すべきです」
「だがお腹の子にもしもがあったら……」
「生まれてくる子は人間とサキュバスの混血です。成長に必要なのが人間の食事だけとは限りません。どちらも不足なく与えるべきです」
倫理には反するが、論理的な意見ではあった。妊娠初期までは変わらずエッチをする約束を交わし、それ以降は別の方策を模索すると決めた。
「────せっかくですし、中期以降はお尻の穴でも試しますか?」
何にせよ、ルルニアの不安は解消されたようだ。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる