エッチな精気が吸いたいサキュバスちゃんは皆の癒しの女神

のっぺ

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第百二十九話『それぞれの夜3』〇

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 …………ルルニアとクレアの戦闘開始に合わせ、闇より出でる影があった。グレイゼルの家の上空に姿を現したのは、四人の小柄なサキュバスだった。

「ねぇ、この家から漂う精気の匂いマジでやばくない!?」
「こんな人間いたんだね。同じ食事ばかりで飽き飽きしてたけど、こんな役得があるなら結果的に良かったかも」
「……油断は良くないよ。……負けちゃったらお仕置きだよ?」
「ふひひ、人間なんかに負けるわけない。どんな強い力を持ってても、この人数の拘束術には抗えない。きひひ」

 目と目を合わせた瞬間に勝敗は決する。術の発動前に攻撃を受けるにしても、一人を犠牲にすれば勝てる。同族意識が薄い魔物なりの感性で作戦を組み、グレイゼルの自室に突撃した。だが、

「…………ねぇ皆、これ何だと思う?」

 室内に人影はなかった。一瞬取り逃がしたのかと焦るが、ベッドのシーツには膨らみがあった。呼吸音を聞いて中に目的の人間がいると確信を持ち、四人は顔を見合わせて爆笑した。

「ちょっ、これマジ!? 襲われると分かってビビっちゃったとか!?」
「ぷふっ、笑ったら悪いよ。サキュバス四人と戦うってなったら普通こうなるって」
「……お互い痛い思いをせず済みそうだね。……少し優しくしてあげようよ」
「ふひひひひ、賛成。一人一回ずつエッチするのは確定として、最後は誰にする?」

 ベッドを四方から取り囲み、話し合いで順番を決めた。陽気なサキュバスが一番目を勝ち取り、口元をニヨニヨさせながら近づいていった。

「ほらほら、こんなところにいないで出てきてよ! 一晩に四人のサキュバスとかわりばんこにエッチできるなんて、早々味わえるものじゃないんだから!」
「…………」
「うわ、とんでもない力でシーツを掴んでるんだけど! もしかして目を合わせないようにして一晩を越そうとしてる? さすがにそれは舐め過ぎじゃない?」

 陽気なサキュバスは右へ左へ歩き、腹部の辺りに隙間を見つけた。
 舌なめずりと共に淫乱な目つきになり、尻尾を揺らして縁に腰掛けた。
 シーツの表面に手を乗せて体温を確かめ、意を決して中に顔を突っ込んだ。

「ほら、やっぱりいた! じゃあ早速おちんちんを……ふぇ?」」

 楽し気な声に疑問符が混ざるのも束の間、陽気なサキュバスはシーツの中に引きずり込まれた。抜け出そうと腕と足に力を入れてもがくが、何もかもが遅かった。

「ちょっとぉ!? 優しくしてあげたからってつけあがって……へ? 何で角を掴んで……ちょっ、やめ! やめてっ!!? ひ、ピギウッ!!?」

 ゴリゴリゴリゴリゴリゴリと、角を削る音が鳴り響く。陽気なサキュバスは暴れるが、どれだけ頑張っても逃げられない。成人男性の体重と闘気の力で完全に抑え込まれていた。

「〝お〝きゅっ♡!!? 〝ヒ〝ギッ♡♡?!〝そ〝れ〝、大〝事〝な〝も〝の〝に〝ゃ〝の!!? 離し、ぇ、やっ!? 〝誰〝か〝助〝け〝て〝ぇぇ♡♡!!?」

 唯一シーツの外に出た足がバタバタと跳ねる。必死の懇願にもグレイゼルは耳を貸さず、無感情に棒やすりを動かす速度を速めた。
 角の中頃にやすりの刃が到達した瞬間、足がビンと伸びた。声にならない悲鳴が室内全体に響き、チョロチョロと尿が漏れ出した。

「ひ〝ひゃ♡ ふ……へ、あへぇ……へ……♡♡」
 残された三人のサキュバスは思考停止し、シーツの中からポイッと捨てられた陽気なサキュバスの変わり果てた末路を見た。

(……よし、これで一人)

 闘気の防備だけでは四人分の拘束術を防げぬため、シーツを被ることで効果の減衰を狙う。わざと姿を晒すことで油断も誘うと、これがグレイゼルの考えた秘策だった。

(……こんなバカげた作戦が通じるのも、常人の五十倍の精気のおかげだな)

 そう内心で呟き、ベッドから降りた。歩き出したところで三人分の拘束術を浴びせられるが、進攻を阻むことはできなかった。

 次にグレイゼルが狙ったのは変わり者なサキュバスだ。足をすくませたところにシーツを被せ、棒やすりに闘気を纏わせて角に刃を当て、「ひへ?」と声を発したところで角を削った。

「ぎ、ぅ〝ぅ〝!!?? 〝ひひき〝ゅ!?? だめ、だめだめだめだめ!! それ、〝や〝め〝てっ!!? 〝ぎ〝ひ〝ひ〝へ〝っ♡♡??!」

 変わり者なサキュバスは奇声を発し、秒で絶頂した。残された二人が窮地を救おうと掴み掛かるが、グレイゼルは微動だにしない。その絵面は怪物に少女が捕食される場面に他ならなかった。

「ひぅっ♡!!? きひ……ひ、ひひひひひひ♡♡」
 ズボン全体が湿り、床に水溜りができていく。変わり者なサキュバスは椅子に座らされ、太ももの上に根元から折った角をそっと添えられた。

「……な、何で角を折られたのにそんな気持ち良さそうなの……?」
 物静かなサキュバスが疑問を口にすると同時、シーツの怪物が歩みを再開した。

 真面目なサキュバスはたじろぎ、仲間を見捨てて逃げた。ベッドから一番離れた位置にある窓に駆け寄り、翼を広げて飛ぼうとした。だがその瞬間に「〝お〝ん〝っ♡!?」と嬌声が漏れた。

「……はぇ? いまのこえ、なんで、ぇ?」

 逃亡の瞬間、グレイゼルはシーツを脱いで投げナイフを投擲していた。刃は狙い通りに左側の角へ命中し、表面を深くえぐって一時的に身体の自由を奪った。

「はっ、はっ、はっ、あし、あしが……ふるえてうごけな……」
「………………」
「まど……そこ、あるのに……やめ……こっちこな……ひ!?」

 月明りの真下にて、三人目の角削りが始まった。真面目なサキュバスは物静かなサキュバスに手を伸ばし、床を引っ掻いて救いを乞うた。けれどその願いは果たされなかった。

「……ほ……ほぁ……へ♡ へ……へぇ……ほ♡」

 足を内股にキュゥッと絞り、服を握りしめて喘ぐ。
 漏れた尿が外気に触れ、水蒸気が白く立ち昇った。

 グレイゼルはシーツを拾おうとし、やめた。棒やすりを逆手に持って物静かなサキュバスに近づき、クイと顎を引いた。その顔には恐怖以外の感情が浮かんでいた。

「まさかとは思うが、仲間の角が削られたのを見て興奮したのか?」
「……思って……ない、です。だってこんな……酷い……のに」
「酷いと思ってるなら、何でさっきから股間を指で擦ってるんだ?」

 すでに股のワレメは愛液で濡れており、子宮がキュンキュンとうずいている。角を掴まれると背筋にゾクリとした快感が昇り、表面を爪で掻かれると「んぁ♡」と声が漏れた。

「大人しくするなら見逃してやりたいが、こっちも余裕がなくてな。角を削り落とす代わり、激しい方がいいか優しい方がいいかは選ばせてやる」

 喋りの最中も角を刺激され、物静かなサキュバスは見悶えした。このままではサキュバスとして終わってしまうと理解しつつ、グレイゼルの腕を掴んで言った。

「……人間なんかには負けませんので、激しめでお願いします……♡」
 要求は通り、闇夜に四人目の絶叫が響き渡った。
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