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第三話『吸えないサキュバス3』
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眼差しに射抜かれ、俺の身体に快楽の電流が走った。
足腰が立たず床に膝をつき、苦悶の顔で声を荒げた。
「お前、まだこんな余力を……!」
認識が甘かった。拘束するなら念押しで目隠しもすべきだった。テーブルに置いていたナイフを取ろうとするが、抵抗する度に身体中が熱くなった。
「空腹で力が出ないんじゃなかったのか!」
「嘘じゃ……ありません。これが……私の精一杯です」
「俺に何を、今度こそ喰らい殺す気か!」
仰向けで床に倒れ、必死に後退りした。ルルニアはベッドの上で身をよじり、縛られたまま床に落ちた。そして芋虫のような動作で迫ってきた。
「あなたのソレに……刻印を刻みます。私を殺せばもう元の状態に戻れなく……なります。二度と人前に出られなくして差し上げ……ます」
股間のアレに翻弄される生活などごめんだ。すぐにでも逃げるべきだったが、這った先は窓際の壁だった。迂回しようにもルルニアは目前にいた。
「何故逃げるんです。裸の付き合いをした仲ではありませんか」
「何が裸の付き合いだ。お前が勝手に入り込んだだけだろ!」
「実は私、あなたともっとお話したいと思ってるんです」
「俺は思っていない! 足に乗ってくるのを止めろ!」
「ふふふふふふ、そう照れなくても良いんですよ」
閉じた太ももに頭を押しつけ、細身な身体を揺らしねじ込んでくる。上体を起こして俺のアレを見下ろし、荒い息遣いで瞳の輝きを強めた。強引に蹴り飛ばそうとするが身体が動いてくれなかった。
「これで私の勝ちです。もう逃げることはできませんよ」
「……さっさと殺しておくべきだった」
「私はあなたを知れて良かったと思いますよ」
ルルニアは俺の胸元にのしかかり、触れ合うようなキスを唇にした。
「実は私、良いことを思いついたんです」
「良いこと?」
「はい。私たち共犯者になりませんか?」
物騒な申し出に目を剥いた。
提案されたのはルルニアとの共同生活だ。いずれ精気が吸えるようになる日まで、俺は食欲と性欲のはけ口として利用されるという一方的な申し出だった。
「俺に何の利も無いと思うんだが……」
「私といればいつでも最高の快楽が味わえますよ」
「偏食が治るまでだろうが、こんなふざけた提案呑めるか」
一方的に搾取されるなら奴隷と変わらない。
さっさと殺せと言うとルルニアは思案した。
「ならこうしましょう。私はあなた……グレイゼルの薬屋家業を手伝います。助手でも妻でも、望む立ち位置を言って下さい。それを果たします」
「俺以外に手を出すなと言えば従うのか?」
「ちゃんとグレイゼルが精気をくれるなら従います。私は知能ある魔物として、人間相手でも交わした契約は守ります。これならどうです?」
魔物と暮らすという時点で下の下な提案だが、受ける価値がないわけじゃない。もし契約を反故にする気だとしても、明日までは生き延びられるのだ。
何をすればいいか問うと、そのまま楽にしてていいと言われた。ルルニアは膝歩きで後ろに下がっていき、俺の下半身に上半身を寄り掛からせた。
「はぁ……本当に良い匂いです」
「……黙れ」
「分かってます。それでは始めますね」
その言葉で紫色の光が起きた。発生源は重なり合った身体の中心部、光が強くなるほどに体温の高まりを感じた。次第に酒に酔うような感覚に支配され、目の前の光景が徐々に揺いだ。
「────さぁ、共に色欲の闇へ堕ちましょう」
その声で俺の意識は深い闇へと落ちた。
目を覚ますと辺りは明るくなっていた。窓の隙間から太陽の光が細く差し込み、チュンチュンと鳥の鳴き声が聞こえる。とても気持ちの良い朝だ。
「…………う、眩しっ」
窓から差し込む直射日光を浴び、ふざけた夢を見たものだと呆れた。
見慣れた天井から視線を下ろし、はてと首を傾げた。今いる場所はベッドじゃなく、腹にはシーツじゃないモノが乗っている。桃色の毛と白く透き通った素肌を見て意識が覚醒した。
「おいおい、マジかよ」
恐る恐る二の腕に触れるとフニッとした感触があった。これが現実だと突きつけられて絶望していると、欠伸の音と共に少女の身体が起き上がった。
「ふぁ、おはよう……ございまふ」
名を覚えている。目の前にいるのはルルニアだ。
全裸を晒しても恥ずかしがらず、俺を見て呑気に挨拶をする。ふわりと広がった長髪は朝の陽光を反射させて輝いており、不覚にも見惚れた。
俺は慌てて立ち上がり、テーブル上のナイフを手に持った。すると下腹部を中心に熱が発生し、経験のない痛みと快楽で何もできなくなった。
「ダメですよ。ちゃんと契約は守っていただかないと」
「け、契約だと……?」
「昨日したじゃないですか。忘れてしまったんですか」
落としたナイフを拾おうとすると股間のアレが急速に膨張した。破裂するのではと懸念するほどの太さに成長し、恐怖に負けて殺意を静めた。
ルルニアを害すのをやめたからかアレの膨張が止まった。安堵の息をついて座るとルルニアが俺のナイフを拾い、手でクルリと回して言った。
「これからよろしくお願いしますね。あ・な・た」
こうして俺たちの歪な共同生活は始まった。
足腰が立たず床に膝をつき、苦悶の顔で声を荒げた。
「お前、まだこんな余力を……!」
認識が甘かった。拘束するなら念押しで目隠しもすべきだった。テーブルに置いていたナイフを取ろうとするが、抵抗する度に身体中が熱くなった。
「空腹で力が出ないんじゃなかったのか!」
「嘘じゃ……ありません。これが……私の精一杯です」
「俺に何を、今度こそ喰らい殺す気か!」
仰向けで床に倒れ、必死に後退りした。ルルニアはベッドの上で身をよじり、縛られたまま床に落ちた。そして芋虫のような動作で迫ってきた。
「あなたのソレに……刻印を刻みます。私を殺せばもう元の状態に戻れなく……なります。二度と人前に出られなくして差し上げ……ます」
股間のアレに翻弄される生活などごめんだ。すぐにでも逃げるべきだったが、這った先は窓際の壁だった。迂回しようにもルルニアは目前にいた。
「何故逃げるんです。裸の付き合いをした仲ではありませんか」
「何が裸の付き合いだ。お前が勝手に入り込んだだけだろ!」
「実は私、あなたともっとお話したいと思ってるんです」
「俺は思っていない! 足に乗ってくるのを止めろ!」
「ふふふふふふ、そう照れなくても良いんですよ」
閉じた太ももに頭を押しつけ、細身な身体を揺らしねじ込んでくる。上体を起こして俺のアレを見下ろし、荒い息遣いで瞳の輝きを強めた。強引に蹴り飛ばそうとするが身体が動いてくれなかった。
「これで私の勝ちです。もう逃げることはできませんよ」
「……さっさと殺しておくべきだった」
「私はあなたを知れて良かったと思いますよ」
ルルニアは俺の胸元にのしかかり、触れ合うようなキスを唇にした。
「実は私、良いことを思いついたんです」
「良いこと?」
「はい。私たち共犯者になりませんか?」
物騒な申し出に目を剥いた。
提案されたのはルルニアとの共同生活だ。いずれ精気が吸えるようになる日まで、俺は食欲と性欲のはけ口として利用されるという一方的な申し出だった。
「俺に何の利も無いと思うんだが……」
「私といればいつでも最高の快楽が味わえますよ」
「偏食が治るまでだろうが、こんなふざけた提案呑めるか」
一方的に搾取されるなら奴隷と変わらない。
さっさと殺せと言うとルルニアは思案した。
「ならこうしましょう。私はあなた……グレイゼルの薬屋家業を手伝います。助手でも妻でも、望む立ち位置を言って下さい。それを果たします」
「俺以外に手を出すなと言えば従うのか?」
「ちゃんとグレイゼルが精気をくれるなら従います。私は知能ある魔物として、人間相手でも交わした契約は守ります。これならどうです?」
魔物と暮らすという時点で下の下な提案だが、受ける価値がないわけじゃない。もし契約を反故にする気だとしても、明日までは生き延びられるのだ。
何をすればいいか問うと、そのまま楽にしてていいと言われた。ルルニアは膝歩きで後ろに下がっていき、俺の下半身に上半身を寄り掛からせた。
「はぁ……本当に良い匂いです」
「……黙れ」
「分かってます。それでは始めますね」
その言葉で紫色の光が起きた。発生源は重なり合った身体の中心部、光が強くなるほどに体温の高まりを感じた。次第に酒に酔うような感覚に支配され、目の前の光景が徐々に揺いだ。
「────さぁ、共に色欲の闇へ堕ちましょう」
その声で俺の意識は深い闇へと落ちた。
目を覚ますと辺りは明るくなっていた。窓の隙間から太陽の光が細く差し込み、チュンチュンと鳥の鳴き声が聞こえる。とても気持ちの良い朝だ。
「…………う、眩しっ」
窓から差し込む直射日光を浴び、ふざけた夢を見たものだと呆れた。
見慣れた天井から視線を下ろし、はてと首を傾げた。今いる場所はベッドじゃなく、腹にはシーツじゃないモノが乗っている。桃色の毛と白く透き通った素肌を見て意識が覚醒した。
「おいおい、マジかよ」
恐る恐る二の腕に触れるとフニッとした感触があった。これが現実だと突きつけられて絶望していると、欠伸の音と共に少女の身体が起き上がった。
「ふぁ、おはよう……ございまふ」
名を覚えている。目の前にいるのはルルニアだ。
全裸を晒しても恥ずかしがらず、俺を見て呑気に挨拶をする。ふわりと広がった長髪は朝の陽光を反射させて輝いており、不覚にも見惚れた。
俺は慌てて立ち上がり、テーブル上のナイフを手に持った。すると下腹部を中心に熱が発生し、経験のない痛みと快楽で何もできなくなった。
「ダメですよ。ちゃんと契約は守っていただかないと」
「け、契約だと……?」
「昨日したじゃないですか。忘れてしまったんですか」
落としたナイフを拾おうとすると股間のアレが急速に膨張した。破裂するのではと懸念するほどの太さに成長し、恐怖に負けて殺意を静めた。
ルルニアを害すのをやめたからかアレの膨張が止まった。安堵の息をついて座るとルルニアが俺のナイフを拾い、手でクルリと回して言った。
「これからよろしくお願いしますね。あ・な・た」
こうして俺たちの歪な共同生活は始まった。
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