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第六話『ルルニアとの生活3』〇
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外に出て最初に行ったのは薬草の水やりだ。うちの畑の植物は薬として使える物だけを選別して育て、常に供給が足りるようにしている。需要が少ない物は鉢に入れて適宜摘み取る形だ。
「……やっぱり魔物除けは問題無しか」
食事中はずっとルルニアのペースだったので聞く暇が無かった。住居を中心に四方八方に仕掛けがあるが、どれも壊れた様子なく機能していた。
鉢の水やりをしながら思考を巡らせていると、空から小鳥の群れが降りてきた。チュンチュンと畑の土をつつくのを眺め、もしやと閃いた。
「あいつ、あの翼で空から侵入したのか」
空を飛ぶ魔物はいる。が、この地域での発見報告は少ない。実際に遭遇したのは一度か二度であり、警戒対象から外してしまっていた。
「後で屋根裏に仕掛けを用意しておくか」
脳内の買い物リストに記し、水やりを終えた。
次に足を運んだのは大き目に作られた納屋だ。元は牛や馬の畜産小屋で後から壁を増設した。仕切りが多いため薬を種類別に置くのに重宝している。
最初に乾燥棚へ行き、乾いた薬草や茸の調子を確かめた。すぐに使う物だけを回収し、奥まった場所に設けた調合部屋に移動して机の椅子を引いた。
「明日村人に届けるのは……これとこれか」
小物入れ用の棚を開け、中から数枚の薬草を取り出した。さらに動物の角なども取り出して先っぽを削り、まとめて小鉢に入れてすり潰した。
「これで一通りは揃ったか」
数をこなすと肩が凝る。苦い薬は子どもでも飲みやすいよう丸薬にした。あと一ヵ月もすれば暑い時期に入るため、整腸系の薬の需要が増える頃合いだ。
「この黒くて丸い物はなんです?」
「これは下痢止めに使える薬だ。虫下しの効能もあるから……って、何故ここにいる」
「お洗濯をしてたら姿が見えたので」
離れた位置の小窓を見ると、物干し竿に衣類が掛けてあった。
薬の調合が片付いたらやるつもりだったため、手間が減った。
「かなり空腹なんだろ? こんなに動いていいのか?」
「大丈夫ではないですね。実のところかなりキツイです」
よく見ると寝起きの時点では良かった血色が悪くなっていた。体液から精気を摂取するなら、口封じの時のキスで交わした唾液が最後の食事になる。
(……家事をしてくれた礼と思えば安いものか)
俺は試作の吐き気止めを取り出した。
「昨日飲ませた吐き気止めの薬はどうだった?」
「効いた気はしませんでしたね。魔物と人間は身体の構造が違うので当たり前と言えば当たり前ですが。あ、具合が悪くなったりはしませんでしたよ」
「なら他のも試そう。時間に余裕ができたからな」
「いいんですか? それならお言葉に甘えさせていただきます。ちなみにお聞きしますけど、飲み物はあなたが用意して下さるんですよね?」
「飲み物? その程度別に構わないが……」
水瓶に入った水があるし、納屋の裏手には湧き水がある。どちらが良いか聞きながら移動すると、ルルニアが俺の下半身を凝視していた。
「お前、まさかこれで薬を飲むつもりか?」
「精気を摂取するなら当然の流れですよね?」
「夜って話はどうし……って、ちょっと待て!」
熱っぽい顔で距離を詰められた。調合部屋の出口は一箇所しかなく、迂回するのも難しい。力でルルニアを押しのければ行けるかもしれないが、刻印の力が怖かった。
(……情に流されるべきじゃなかった)
やはり夜にしようと言うがダメだった。
「えぇ、本番はもちろん夜です。あなたのソレから出る体液を飲むだけですし、命を奪うこともありません。そんなに怖がらなくていいんですよ」
「俺は別の薬を飲んでみないかって聞いただけだ。それに薬屋の端くれとして、これを俺の体液で飲ませる何て許可できない。だから……って待て!」
壁際に追い込まれて股下に足を差し込まれ、膝で陰部をグリグリ押された。
「ぐ!? うっ、何でこんな……」
一瞬で血流が集中し、アレがはち切れんばかりにそそり立った。
興奮を静めようと腰を逃がすが、その度に膝で執拗になじられた。
「これも刻印の力です。グレイゼルの女性の好みが何であっても関係ありません。私がそういう気分になったら、自然と夜伽の気分になっちゃいます」
「ひ、膝を回すな! やめろ!」
「あぁそういうこと言うんですか。お手伝いのつもりでしたがしょうがないです。薬を飲むのに必要な体液は、グレイゼルの力だけで出して下さいね」
ルルニアは股下に差し込んだ足を止めた。
「さぁどうぞ。出すまでちゃんと待ちますので」
「待つって……」
「えぇ、視姦でも自慰でもお好きな方をどうぞ」
意地悪く言われた。刻印の快楽に頼れば出せるが、人前でアレをしごけるわけがない。自室に移動してからでもいいかと言うと、ルルニアは嗜虐心のある眼差しで瞳を光らせた。
「今ここで出しなさい。私に背を向けるのは許しません」
「でも、こんなのって」
「拒否したのはグレイゼルです。身を委ねておけば何とでも言い訳できたのに、意地を張ってしまった。自分のせいで尊厳を失っちゃうんです」
クスクスと嘲笑された。反論しようにも舌が回らなかった。
時間が経つほどに刻印は力を増し、無様を晒せと訴えてきた。
「……やっぱり魔物除けは問題無しか」
食事中はずっとルルニアのペースだったので聞く暇が無かった。住居を中心に四方八方に仕掛けがあるが、どれも壊れた様子なく機能していた。
鉢の水やりをしながら思考を巡らせていると、空から小鳥の群れが降りてきた。チュンチュンと畑の土をつつくのを眺め、もしやと閃いた。
「あいつ、あの翼で空から侵入したのか」
空を飛ぶ魔物はいる。が、この地域での発見報告は少ない。実際に遭遇したのは一度か二度であり、警戒対象から外してしまっていた。
「後で屋根裏に仕掛けを用意しておくか」
脳内の買い物リストに記し、水やりを終えた。
次に足を運んだのは大き目に作られた納屋だ。元は牛や馬の畜産小屋で後から壁を増設した。仕切りが多いため薬を種類別に置くのに重宝している。
最初に乾燥棚へ行き、乾いた薬草や茸の調子を確かめた。すぐに使う物だけを回収し、奥まった場所に設けた調合部屋に移動して机の椅子を引いた。
「明日村人に届けるのは……これとこれか」
小物入れ用の棚を開け、中から数枚の薬草を取り出した。さらに動物の角なども取り出して先っぽを削り、まとめて小鉢に入れてすり潰した。
「これで一通りは揃ったか」
数をこなすと肩が凝る。苦い薬は子どもでも飲みやすいよう丸薬にした。あと一ヵ月もすれば暑い時期に入るため、整腸系の薬の需要が増える頃合いだ。
「この黒くて丸い物はなんです?」
「これは下痢止めに使える薬だ。虫下しの効能もあるから……って、何故ここにいる」
「お洗濯をしてたら姿が見えたので」
離れた位置の小窓を見ると、物干し竿に衣類が掛けてあった。
薬の調合が片付いたらやるつもりだったため、手間が減った。
「かなり空腹なんだろ? こんなに動いていいのか?」
「大丈夫ではないですね。実のところかなりキツイです」
よく見ると寝起きの時点では良かった血色が悪くなっていた。体液から精気を摂取するなら、口封じの時のキスで交わした唾液が最後の食事になる。
(……家事をしてくれた礼と思えば安いものか)
俺は試作の吐き気止めを取り出した。
「昨日飲ませた吐き気止めの薬はどうだった?」
「効いた気はしませんでしたね。魔物と人間は身体の構造が違うので当たり前と言えば当たり前ですが。あ、具合が悪くなったりはしませんでしたよ」
「なら他のも試そう。時間に余裕ができたからな」
「いいんですか? それならお言葉に甘えさせていただきます。ちなみにお聞きしますけど、飲み物はあなたが用意して下さるんですよね?」
「飲み物? その程度別に構わないが……」
水瓶に入った水があるし、納屋の裏手には湧き水がある。どちらが良いか聞きながら移動すると、ルルニアが俺の下半身を凝視していた。
「お前、まさかこれで薬を飲むつもりか?」
「精気を摂取するなら当然の流れですよね?」
「夜って話はどうし……って、ちょっと待て!」
熱っぽい顔で距離を詰められた。調合部屋の出口は一箇所しかなく、迂回するのも難しい。力でルルニアを押しのければ行けるかもしれないが、刻印の力が怖かった。
(……情に流されるべきじゃなかった)
やはり夜にしようと言うがダメだった。
「えぇ、本番はもちろん夜です。あなたのソレから出る体液を飲むだけですし、命を奪うこともありません。そんなに怖がらなくていいんですよ」
「俺は別の薬を飲んでみないかって聞いただけだ。それに薬屋の端くれとして、これを俺の体液で飲ませる何て許可できない。だから……って待て!」
壁際に追い込まれて股下に足を差し込まれ、膝で陰部をグリグリ押された。
「ぐ!? うっ、何でこんな……」
一瞬で血流が集中し、アレがはち切れんばかりにそそり立った。
興奮を静めようと腰を逃がすが、その度に膝で執拗になじられた。
「これも刻印の力です。グレイゼルの女性の好みが何であっても関係ありません。私がそういう気分になったら、自然と夜伽の気分になっちゃいます」
「ひ、膝を回すな! やめろ!」
「あぁそういうこと言うんですか。お手伝いのつもりでしたがしょうがないです。薬を飲むのに必要な体液は、グレイゼルの力だけで出して下さいね」
ルルニアは股下に差し込んだ足を止めた。
「さぁどうぞ。出すまでちゃんと待ちますので」
「待つって……」
「えぇ、視姦でも自慰でもお好きな方をどうぞ」
意地悪く言われた。刻印の快楽に頼れば出せるが、人前でアレをしごけるわけがない。自室に移動してからでもいいかと言うと、ルルニアは嗜虐心のある眼差しで瞳を光らせた。
「今ここで出しなさい。私に背を向けるのは許しません」
「でも、こんなのって」
「拒否したのはグレイゼルです。身を委ねておけば何とでも言い訳できたのに、意地を張ってしまった。自分のせいで尊厳を失っちゃうんです」
クスクスと嘲笑された。反論しようにも舌が回らなかった。
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