エッチな精気が吸いたいサキュバスちゃんは皆の癒しの女神

のっぺ

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第十話『朝の支度1』〇

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 家の外で吹いている風音と腹部から伝わる熱で目を覚ました。部屋は暗闇に包まれているが、夜中と言うには明るい。長年の勘で今が夜明け前だと分かった。

(……何だ、身体が重い?)

 眠りまなこの先で影が蠢いている。まぶたを擦ってピントを合わせると、影は人の形をしていた。遅れてルルニアが乗っていると気づくが、その見た目は就寝前と違っていた。

「遅いですよ、グレイゼル。待ちくたびれました」

 まず百五十前後だった身長が百六十ほどになっている。なだらかだった胸が膨らみ、腰回りの肉つきが全体的に良くなっている。
 少女から大人へ、女性の魅力が増していた。ルルニアは尻を突き上げて上半身を前のめりにし、おわん型の胸を俺の胸板に押し当てた。

「昨日は匂いだけ嗅いで寝られて屈辱でした」
「約束を破ってすまない。耐えられなかった」

 色々聞きたいことはあるがまずは謝罪した。ルルニアは「いいですよ」と言い、胸を押し潰すように擦り寄って俺の鼻先に自分の鼻を当てた。

「夜の間、ずっとずっと待ってたんです。イタズラで乳首をイジってたのに全然起きないから、了解を得ずに身体を貪ろうとしてたところです」
「……シーツの擦れ感がやけに伝わるのはそれか。俺の身体に関してはひとまずいいとして、急に身体が成長したのはどういったカラクリだ?」

 触れたルルニアの肉体の感触は本物だ。体重も成長分は増加していた。

「これもサキュバスの特技の一つです。体内に取り込んだ精気を利用して、肉体を相手の理想に近づけるよう成長させられるんです」
「魔物は凄いな」
「もちろん小さくもできます。人間の社会では好き嫌いをするのは良くないことらしいので、後で小さい身体も試しましょうか?」
「元が小さいからいい」

 あれ以上小さくなったら倫理的な罪悪感がデカい。間違っても興奮することはないが、それは俺に何の術も掛けられていない時の話だ。

(……ルルニアはサキュバスだからな)
 性欲の操作は思いのままだ。やろうと思えばどんな年齢の姿でも欲情させることができるだろう。十歳以下はさすがに勘弁だが、意味深に笑うだけで了承してくれなかった。

「それで俺は何をすればいいんだ?」
 平静を装うが股間はとっくに膨らんでいる。ルルニアは目を閉じて悩み、俺の胸板に寄せていた乳房を離して上体を起こした。

「今回はグレイゼルの好きにしていいです」
「……俺の好きに?」
「性行為をするのは絶対です。この育った胸を存分に揉んでもいいですし、太ももでたくましいソレを挟んでも擦ってもいいです」

 膣内への射精だけは心身の負担が大きいから無しと言われた。俺が自分の意思でルルニアに触れ、絶頂に至るのが必須なのだと説明された。

「グレイゼルは奥手ですからね。術に頼ってもいいですけど、毎回それじゃお互いに疲れるし面白くありません。エッチは楽しくあるべきです」
「そう言われても、俺は童貞で何の作法も知らないぞ」
「だからどこを触ってもいいんですよ。男性ほど女性は性行為を楽しめないという話がありますが、それは人間の場合です。私たちは違います」

 サキュバスは多少乱暴に扱われても快楽を得られる。鞭で思いっきり叩いてもいいし、角を持ち手にして乱暴に腰を打ち付けても構わないと言われた。

「知り合いの話では、欲望を解放できた嬉しさで晴れやかな死に顔を晒す男性がいるそうです。死に際に心からの感謝を述べる者もいると聞いてます」
「……そいつらはもっと自分を大事にしろ」
「それだけ人間の掟は面倒臭いってことですよ。欲望に抗えず道行く童女を襲って処されるぐらいなら、私たちに抜かれて死ぬ方が千倍マシなんです」

 そこで話題を打ち切り、どこに触れるか聞かれた。
 断る選択肢はなく、俺は慎重にルルニアを眺めた。

「……じゃあその胸にする」
「無難ですね。ちなみに何をされるので?」
「揉めるだけ揉んでみたい」

 変態と嘲笑されるかと思った。けれどルルニアは結んだ口を緩め、自分の胸を両手で寄せて強調してきた。好きにしていいと態度で示してきた。
 今のルルニアの胸は貧でも巨でもなく、健康的な曲線美を有している。こういうのが美乳と言うのかと思い、指を一本ずつ乳房の表面に当てた。

「……ん、いいですよ。そのままゆっくり揉んで下さい」
 ルルニアは両腕を高く持ち上げ、手を後頭部の辺りで組んだ。のけ反った姿勢になったことで乳房が強調され、揉みやすさが格段に増した。

「ふ……ん、ふぅん、あ……ふっ、ふふっ」
「………………何で笑う」
「いえ……っ、もっと強くすればいいのにと思いまして」

 それは無理だ。乳房の感触とルルニアの嬌声でどうにかなりそうだった。暴れ立つ自分の陰茎をしごきたかったが、この美乳から手が離せない。それだけ夢中だった。
 次第に俺もルルニアも汗にまみれ、荒い息で互いの快楽を高め合った。言葉を介さずにキスをし、胸を上からではなく下から揉んだ。汗の湿り気に指が温かく包まれた。

「そろそろいいでしょう。グレイゼル、こちらに」
 再び胸を両手で寄せ、そこに竿を挟むように指示した。断る理由などどこにもなく、膝立ちで高さを合わせて陰茎を汗のぬめりに滑り込ませた。

「くっ、う、すご……っい」
「そうでしょうとも。もっと本気で来て下さい」
「いく……行くぞ、ルルニア!」

 乳と乳の挟み込みの圧が股間の熱を際限なく高める。
 先走りが水音を響かせ、増大した快楽が一気に解放される。
 溢れた精子は乳房を飛び越え、ルルニアの顔を白く染めていった。

「とっても良かったです。次も色々と試してみましょうか」
「……これ以上が、ある……のか」
「もちろん。グレイゼルはもっと自分に素直になるべきです」

 背面からベッドに倒れ込むと、ルルニアも横に寝そべった。
 気づけば身長が元の百五十台に戻り、胸も小さくなっていた。

(……もっと触ってたかったな)
 女性の胸を物のように扱うなど以前の俺には無理だった。意識改革が進んでいるのを肌で感じるが、悪い気はしなかった。それが怖かった。
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