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第5話 チュートリアル

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クラス委員の秋元似の案内係は、この世界で暮らしていくために必要なことを教えてくれた。

この世界の概要、職業、戦闘方法などなど。
しかし、あのことが知りたくて、他のことはほとんど頭に入ってこなかった。


「それからもう一つ、この世界では、通常の攻撃(物理・魔法)がほとんど通用しないモンスターが存在します。そのモンスターは、特別な攻撃でしか倒すことが出来ません」

(キターッ! これだ!)

「ダメージを与えるには、この石を使います」
と、小さなあめ玉くらいの、透明な水晶のような丸い石を取り出した。

「これは、人間のある特定の感情を受けて、それを増幅させる働きを持っています。ちょっと手のひらを出してください」

言われたように手を差し出すと、その石を手のひらの上に置いた。
すると石が徐々に白く光り出す。

次の瞬間、光が案内係に向かって飛んでいく。
とっさによけるが、服の胸元が破れて、その下からブラジャーが見えた。

(ピ、ピンク……。しかも、フリフリのついたけっこう可愛いのをつけてる……)
(ハッ、それどころじゃない!)
「ごめんね。大丈夫だった?」と慌てて駆け寄る。

「大丈夫です。ずいぶん、性欲が強いようですね」
過激な単語を真顔で言いながら、見えているブラジャーを隠そうともせず、石を受け取る。

「この石で増幅される感情は、『性的興奮』です」

(!?)

「この小さな石で、あれだけの威力が出せるということは、あなたの性欲はかなりの強さのようです」

「試してみる?」という言葉が出かかったが、何とか飲み込んだ。

「しかし、今みたいに、男性はその『性的興奮』をコントロールすることが出来ません。それをコントロールできるのは、特別な能力を持った女性だけです。その能力を持った女性は『巫女』としての資格が与えられます」

(巫女……。そうか、それで綾子先生が「巫女」と呼ばれてたのか)

「この石を身につけた巫女が、性的興奮を高めることによって、強力な攻撃波を発せられます。この攻撃波によってのみ、あのモンスターにダメージを与えることが出来るのです」

「性的興奮を高めるには、相手が必要なのでは……」
我慢できず、自分から質問してしまう。

「もちろんです。巫女が性的興奮を高められるのであれば、相手は男女問いませんが、今のところ、コントロールしやすく、強力な攻撃波を出せるのは、特定の男性だけとなっています」

「特定の男性?」

「そうです、男性なら誰でもいいというわけではなく、特別な資格を与えられた者でなければなりません。この世界では、『勇者』の称号を得た者にのみ、その資格が与えられます」

「それで、その『勇者』には、どうやったらなれるんですか?」

「『勇者』も職業クラスの一つになりますから、今いる建物の5階にある『バイバイワーク』に行って申し込んでください」

(え、そんな簡単になれるの? やったー!)
「分かりました!」

興奮して今すぐにでも部屋を飛び出していこうとするのを呼び止められた。

「協会の営業時間は5時までですが、『バイバイワーク』の受付は4時半までになっています。今日は既に受け付けが終了していますので、明日、あらためてお越しください」

「えー」とがっくりとうなだれる。

「その代わりと言ってはなんですが、チュートリアルでの職業体験ができます。お試しになりますか?」

「職業体験?」

「戦士、魔法使い、盗賊など、職業として選択できるものであれば、一通り体験できますよ」

「もしかして、勇者もできるってこと?」

「職業クラスの一つですから、可能です」

「っていうことは、さっきのモンスターへの特殊攻撃も体験できるの?」

「もちろんです。ただし、特殊攻撃は相手の女性も必要となりますが、今回は私が代行させていただくことになります。それでもよろしいですか?」

「いいです、いいです。その方がいいです」

「承知いたしました。それでは、こちらへどうぞ」


いきなりMAXになった股間に、少し前屈みになりながら案内係についていく。

フロアの奥に進んでいくと、通路の左右にたくさんの扉が並んでいるエリアに出た。

扉には、「戦士」「魔法使い」などのプレートがついていて、ところどころ、「使用中」の札が下がっている。

一番奥に「勇者」のプレートのついた部屋があった。

「こちらになります」

その扉には、
「使用中」の札が……。


しばらく部屋の前で待っていると、

部屋の中からは、「あん、ああん」という女性のあえぎ声と、パンパンという肉のぶつかり合う音が聞こえる。


フロアのスピーカーから、なにやら物寂しげな音楽が流れてくる。

「5時になります。本日の営業はまもなく終了とさせていただきます。またのお越しをお待ちしております」
「そろそろ終了のようですね」案内係が時計を見ながらつぶやく。

「えーっ! それじゃ、職業体験は?」
「残念ながら、これで終了です」

「それじゃ、明日!」
「申し訳ございません。チュートリアルはお一人様1回のみとなりますので、お客様のチュートリアルはこれで完了となります」

「そんな……」

中から、大爆発の轟音が響いてくる。

しばらくして、中から男女が出てくる。
案内役らしい女性は、巨乳アイドルのユカプヨ似だ。

「お疲れ様でした。以上で勇者の職業体験は終了となります。ありがとうございました」

ユカプヨの笑顔と、ぷよぷよと揺れる胸に見送られ、男は満足げな表情で帰って行った。

(あの男が、ユカプヨと……)
しぼみかけていた股間が再びMAXに。
でも、これをどう鎮めればいいんだ……。


秋元似の案内係がユカプヨに声をかける。

「お疲れ様。私も終わったところだから、一緒に帰ろう」
「うん」ユカプヨが笑顔で答える。

「それでは、私もこれで失礼いたします。冒険、がんばってくださいね」
案内係は深くお辞儀をして去って行く。

ユカプヨもそれに続いて「がんばってね」と声をかけてくれた。

ユカプヨがすれ違う時、いい匂いが鼻の中に一気に流れ込んできて、それと同時に、大きな胸がぐにゅりと腕に当たった。

下着を着けていないらしく、柔らかい胸とその先端の堅くなったそれを腕に感じる。

その瞬間、爆発した……。

二人が振り返って、笑顔で手を振りながら去って行くのを、動くことが出来ないまま、手を振って見送った。



「お帰りはこちらです」
警備ロボットに引きずられるようにして建物の外に放り出された。

協会の建物を見上げ、「はぁ~」と深いため息をつき、パンツの中の汚れを気にしながら、がに股でその場を後にした。
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