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《裏技》マスター、忍者の里へ行く
忍者飯(もちろんお菓子の方ではない)
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「君たち……これを捕まえたのか?」
「ああ」
俺らはカバっぽいヤツを見下ろす。
先程ここに置いて布を開いたのだ。
「まあ、食えなくもないか……」
「なんかあるのか?」
「コイツの肉は中々に硬くてな……調理しにくいんだ」
「そうだったのか」
「それに、臓器の位置も他の動物と違うんだ。
これとか見てみろ」
イネがどこかの部位の臓器を持ち上げる。
よく持てるな。
「これはコイツの脳なんだが、普通ある場所と全然違う。
というか、コイツの頭の部分は空っぽなんだ」
あ、だからコイツは頭を刺されても動けたのか。
「取り敢えず、どうにかして美味く出来るか?」
「まあ、可能な限りはやるとしよう」
そして俺らは早速料理の準備に取り掛かった。
「ところで、何を作るんだ?」
「今日は、忍者飯を作ろうと思う」
「……は?」
忍者飯ってあの……U◯A味◯糖が出しているあのグミ?
「それどんなヤツなんだ?」
「肉を圧縮して、乾燥させ、小さく切り分けて、簡単に持ち運べる様にした食べ物だ。
まあ今回は時間が無いから乾燥はしないが、大変ではあるぞ」
うーん、なんか特徴も忍◯メシな気がする。
「何が大変なんだ?」
「圧縮するのが大変なんだ。全部手作業だからな」
「へぇ、確かに大変そうだが……どのくらいの大きさのものを、どのくらいの大きさにするんだ?」
「えっとだな……」
イネはカバっぽいヤツの肉の一部を持って来た。
大体1kgくらいだ。
「この大きさのを」
指先でちょこんと四角形を作る。
およそ……4センチ。
「このくらいだな」
「……マジで言ってるのか?」
「もちろん本当だとも」
「それでちゃんと栄養摂取出来るのか?」
「大丈夫だ、このくらいの大きさになると殆どがこの肉の栄養素で出来るようになる」
「何だその究極の栄養食は」
「実際そうだしな」
あっ、マジでこれ究極の栄養食なのか。
「それじゃ、作るぞ!」
そして俺らは調理を開始した。
まずは肉を焼いた。
それはもう豪快に焼いた。
まず、肉の中心に細くした竹を差し込み、グルグル焼いた。
もちろんだが1kgのままだ。
切ったりはしていない。
そして、中まで焼けたら水に入れて冷却し、圧縮する。
で、その圧縮のやり方だが……。
「私がまず手本を見せよう」
と、イネが言ってきたのでやって貰う。
「ふんっ!」
肉の両脇を持ち、そう声を上げて両腕に力を込めた。
「おおお……」
凄い速度で肉が縮む。
そして作る前にイネが言っていたくらいの大きさになった。
……いやマジどうやった?
「ふぅ……まあ、こんなものだ」
「いや凄すぎるだろ」
「そんなに難しくないぞ。ほら、やってみろ」
そう言われて1kgの焼かれた肉を渡される。
「……おらっ!」
両腕に、力を込めた。
先程のイネの手の動かし方や力の入れ方はもう覚えている。
なので、ただそれを真似するだけだ。
だけ、なのだが……
「くっ!」
かなり難しい。
まず真似をするというのが少々難しいのだ。
体をかなり操れる様になっても、先程イネがやっていた動きは中々出来ない。
側から見るとただ力を入れていただけに見えるだろうが、実際はmm単位で動かし続けていた。
あれは……マジ凄いな。
やはりあれだけ小さくするには色々な適切な場所を押さないとダメなのか。
そう思いつつ肉を押す。
今のところ何とかミスらずに押せている。
そして……
「……はぁ~!」
出来た。
「おっ、出来たのか、凄いな」
「ははっ、意外と難しかったよ」
「逆に何で出来るのよ……」
ルリカからそうツッコまれつつ、俺は忍者飯をイネに渡した。
「うんうん、よく出来ているな。流石にイイジマ君だな。
それじゃ、次は二人にやって貰うぞー」
「えっ、私もやるの!?」
「当たり前だ、修行の一環だからな」
「そ、そんなぁ~」
そしてルリカ達もやる事になった。
「えいっ!」
「…………ふんっ……!」
結果、ルリカは大体9cmまで、ニルは7cmまで縮めた。
「それじゃあ諸君! 早速食べよう! 頂きます!」
「「「「頂きます!」」」」
俺とイネはパクッと一口で終わった。
因みにレカは、小さめにカットされた肉を箸を使って食べている。
流石に六歳児にあんな事はさせませんよ。
そして食事を終えた俺らは、竹でテントに近いものを作り、草を敷き詰めて寝た。
「……ニル、起きているか?」
「……起きてる」
「少し外で話をしないか?」
「……良いよ……」
ニルは竹テントから外に出た。
その時、イイジマは薄っすらと目を開けていた。
「それで、ニル、ここに来るまでの……そうだな、旅の話でも聞かせてくれ」
「良いよ……でも……その後にイネの旅の話も……聞かせてね……」
「もちろんだ」
そして二人は話し始めた。
やはり、今日出会った時からこうしたかったのだろう。
話が終わる事が無い。それどころか、ドンドン盛り上がる。
「……ふっ、良かったな、ニル」
イイジマはニルにも聞こえないほどの声量でそう言って、目を閉じた。
「ああ」
俺らはカバっぽいヤツを見下ろす。
先程ここに置いて布を開いたのだ。
「まあ、食えなくもないか……」
「なんかあるのか?」
「コイツの肉は中々に硬くてな……調理しにくいんだ」
「そうだったのか」
「それに、臓器の位置も他の動物と違うんだ。
これとか見てみろ」
イネがどこかの部位の臓器を持ち上げる。
よく持てるな。
「これはコイツの脳なんだが、普通ある場所と全然違う。
というか、コイツの頭の部分は空っぽなんだ」
あ、だからコイツは頭を刺されても動けたのか。
「取り敢えず、どうにかして美味く出来るか?」
「まあ、可能な限りはやるとしよう」
そして俺らは早速料理の準備に取り掛かった。
「ところで、何を作るんだ?」
「今日は、忍者飯を作ろうと思う」
「……は?」
忍者飯ってあの……U◯A味◯糖が出しているあのグミ?
「それどんなヤツなんだ?」
「肉を圧縮して、乾燥させ、小さく切り分けて、簡単に持ち運べる様にした食べ物だ。
まあ今回は時間が無いから乾燥はしないが、大変ではあるぞ」
うーん、なんか特徴も忍◯メシな気がする。
「何が大変なんだ?」
「圧縮するのが大変なんだ。全部手作業だからな」
「へぇ、確かに大変そうだが……どのくらいの大きさのものを、どのくらいの大きさにするんだ?」
「えっとだな……」
イネはカバっぽいヤツの肉の一部を持って来た。
大体1kgくらいだ。
「この大きさのを」
指先でちょこんと四角形を作る。
およそ……4センチ。
「このくらいだな」
「……マジで言ってるのか?」
「もちろん本当だとも」
「それでちゃんと栄養摂取出来るのか?」
「大丈夫だ、このくらいの大きさになると殆どがこの肉の栄養素で出来るようになる」
「何だその究極の栄養食は」
「実際そうだしな」
あっ、マジでこれ究極の栄養食なのか。
「それじゃ、作るぞ!」
そして俺らは調理を開始した。
まずは肉を焼いた。
それはもう豪快に焼いた。
まず、肉の中心に細くした竹を差し込み、グルグル焼いた。
もちろんだが1kgのままだ。
切ったりはしていない。
そして、中まで焼けたら水に入れて冷却し、圧縮する。
で、その圧縮のやり方だが……。
「私がまず手本を見せよう」
と、イネが言ってきたのでやって貰う。
「ふんっ!」
肉の両脇を持ち、そう声を上げて両腕に力を込めた。
「おおお……」
凄い速度で肉が縮む。
そして作る前にイネが言っていたくらいの大きさになった。
……いやマジどうやった?
「ふぅ……まあ、こんなものだ」
「いや凄すぎるだろ」
「そんなに難しくないぞ。ほら、やってみろ」
そう言われて1kgの焼かれた肉を渡される。
「……おらっ!」
両腕に、力を込めた。
先程のイネの手の動かし方や力の入れ方はもう覚えている。
なので、ただそれを真似するだけだ。
だけ、なのだが……
「くっ!」
かなり難しい。
まず真似をするというのが少々難しいのだ。
体をかなり操れる様になっても、先程イネがやっていた動きは中々出来ない。
側から見るとただ力を入れていただけに見えるだろうが、実際はmm単位で動かし続けていた。
あれは……マジ凄いな。
やはりあれだけ小さくするには色々な適切な場所を押さないとダメなのか。
そう思いつつ肉を押す。
今のところ何とかミスらずに押せている。
そして……
「……はぁ~!」
出来た。
「おっ、出来たのか、凄いな」
「ははっ、意外と難しかったよ」
「逆に何で出来るのよ……」
ルリカからそうツッコまれつつ、俺は忍者飯をイネに渡した。
「うんうん、よく出来ているな。流石にイイジマ君だな。
それじゃ、次は二人にやって貰うぞー」
「えっ、私もやるの!?」
「当たり前だ、修行の一環だからな」
「そ、そんなぁ~」
そしてルリカ達もやる事になった。
「えいっ!」
「…………ふんっ……!」
結果、ルリカは大体9cmまで、ニルは7cmまで縮めた。
「それじゃあ諸君! 早速食べよう! 頂きます!」
「「「「頂きます!」」」」
俺とイネはパクッと一口で終わった。
因みにレカは、小さめにカットされた肉を箸を使って食べている。
流石に六歳児にあんな事はさせませんよ。
そして食事を終えた俺らは、竹でテントに近いものを作り、草を敷き詰めて寝た。
「……ニル、起きているか?」
「……起きてる」
「少し外で話をしないか?」
「……良いよ……」
ニルは竹テントから外に出た。
その時、イイジマは薄っすらと目を開けていた。
「それで、ニル、ここに来るまでの……そうだな、旅の話でも聞かせてくれ」
「良いよ……でも……その後にイネの旅の話も……聞かせてね……」
「もちろんだ」
そして二人は話し始めた。
やはり、今日出会った時からこうしたかったのだろう。
話が終わる事が無い。それどころか、ドンドン盛り上がる。
「……ふっ、良かったな、ニル」
イイジマはニルにも聞こえないほどの声量でそう言って、目を閉じた。
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