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忍び寄る影
帰宅
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「んーーー……………やっぱみんなセンスあんなぁ…」
ロキシアを倒し終えたので他の団員達の戦闘を見物する。
慌てることなく冷静に、そして確実に急所を狙っていく。敵が複数いたため、その数に合わせわかれてそれぞれがそれぞれの敵と戦っている。
訓練も常に一緒にしてることもあり息もぴったりだ。
確かに速さは驚異であるが頭は良くないように見えるしパワーもそこまでない。
「この調子ならもうすぐ終わるな」
どうやらこの魔物は致命傷などを負うと一時的に肉体を活性化させ、パワーアップする系統のようだがそれでも騎士団が押している。
徐々に弱らせ、一気に仕留める。
少し視線をずらしてやると勇者達が目に入る。
初めは一緒に戦おうとしたのだろう。しかし、団員についていけずさらにはソラに邪魔と怒鳴られ今は悔しそうに、そして放心したように座ってただただ戦闘の様子を眺めている。
予想通り少ししたら全ての魔物の討伐が完了した。
皆が剣をしまいながら俺の方へ向かってくる。
「おつかれ。怪我はないな?」
「ありません」
よしよし。素晴らしい。
後で報告書書いとけよ、と言った時面倒くさそうな顔したことは見逃してやる。
めんどくさいのは分かるからな。マジでアレめんどい。しかしあれを真面目に書かなきゃバレた時のアナラスまじ怖いほんとに怖い。これ実体験から言ってる。
時計を胸ポケットから出して確認する。
就業時間もあと少しか、と思いつつ全員に指示を出し勇者たちの前に行き、礼をとる。
何事か、と驚いてる彼らに俺が口を開く。
「初めまして。勇者様方、この度は私達の不手際によりこの国に魔物を侵入、さらにはお相手なされたこと深くお詫び、申し上げます」
「え……………あの…………蒼……………」
「大変申し訳ありませんが私達は事後処理を行う関係で一旦本部へ戻らなければ行けません。このようなことに巻き込んでしまい、申し訳ございませんでした。あと少しですがこの国の海王祭、引き続きお楽しみくださいませ。では、失礼致します」
因みに海王祭とはこの祭りの正式名称である。
確かこの由来は昔この国が過去長い期間雨が降らず、土地が乾き、生物が次々といなくなって行き食糧難など様々な災害が発生した。当時の国王が海へ行き、祈りを捧げ続けたところ、雨が降り、さらには普段全く魚介類が取れなかった海から山ほどの魚介類が取れ、次第に土地が潤い、食糧難が消えたということがあったらしい。そのため4年に一度海へ感謝を捧げるといえ意味を込め、祭りを行ってる、とセトルイスが教えてくれた。
まあ俺はへーーーぐらいしか思わんかったけど。
とりあえずこの場を去りたいため徹達が口を開く前に他の団員達を連れ、本部へ帰還する。
因みに魔物の死骸は空間魔法にぽいして血などはちゃんと綺麗にしてから帰りましたよ。
俺偉いでしょ。
戻ってる途中、ふと考える。
あれ?勇者がこの国に来てるってことは来賓として国がちゃんともてなさなきゃあかんやつ?もしかして勇者と国王の謁見とかある??もしかしてその護衛やらなんやらで俺も駆り出されるやつ??
え、やだ。
「なんだよ!あいつ!!!!!」
騎士団がそそくさと帰っていった後、本田が苛立ちをぶつける。
戦闘の際に子供であるソラに邪魔と言われたこと、さらに自分たちが手こずっていた魔物を難なく処理されたこと、さらには自分より遥か格下だと思っていた蒼涼が自分が戦ってた敵より遥かにランクが高いと思われる魔物を軽々討伐してしまったこと。
これらの条件は本田の機嫌を損ねるには十分すぎる理由だった。
「団長って…呼ばれてたよね…」
「呼ばれてたな…………どういう事なんだろ」
「うーーん……………」
徹達勇者一行はこの国に転移してきた時から王宮で常に鍛えられてきた。今の力量はその時間がなければ無かったと言っても過言ではない。
しかし蒼涼はその時間が無かったはずだ。
自ずからとはいえ、そうそうに王宮を出て、知らない土地で暮らして行く。
そんな過酷な環境で自分を鍛えることはなかなか出来なかったはずだ。いくらこの国に拾ってもらったとはいえ、国をまたがなければいけない。王宮を出てからかなり後の事だろう。
それなのに明らかに戦い慣れした姿、自分たちとは比べ物にならない戦闘力、さらには騎士団団長という地位………………
それらを持っている蒼涼に疑問しかわかなかった。
「ま………とりあえずこの国にはしばらく滞在する予定だしまて蒼涼に会う機会もあるだろうからその時に聞けばいいでしょ」
徹の再び会う、という言葉は直ぐに現実になった。
ロキシアを倒し終えたので他の団員達の戦闘を見物する。
慌てることなく冷静に、そして確実に急所を狙っていく。敵が複数いたため、その数に合わせわかれてそれぞれがそれぞれの敵と戦っている。
訓練も常に一緒にしてることもあり息もぴったりだ。
確かに速さは驚異であるが頭は良くないように見えるしパワーもそこまでない。
「この調子ならもうすぐ終わるな」
どうやらこの魔物は致命傷などを負うと一時的に肉体を活性化させ、パワーアップする系統のようだがそれでも騎士団が押している。
徐々に弱らせ、一気に仕留める。
少し視線をずらしてやると勇者達が目に入る。
初めは一緒に戦おうとしたのだろう。しかし、団員についていけずさらにはソラに邪魔と怒鳴られ今は悔しそうに、そして放心したように座ってただただ戦闘の様子を眺めている。
予想通り少ししたら全ての魔物の討伐が完了した。
皆が剣をしまいながら俺の方へ向かってくる。
「おつかれ。怪我はないな?」
「ありません」
よしよし。素晴らしい。
後で報告書書いとけよ、と言った時面倒くさそうな顔したことは見逃してやる。
めんどくさいのは分かるからな。マジでアレめんどい。しかしあれを真面目に書かなきゃバレた時のアナラスまじ怖いほんとに怖い。これ実体験から言ってる。
時計を胸ポケットから出して確認する。
就業時間もあと少しか、と思いつつ全員に指示を出し勇者たちの前に行き、礼をとる。
何事か、と驚いてる彼らに俺が口を開く。
「初めまして。勇者様方、この度は私達の不手際によりこの国に魔物を侵入、さらにはお相手なされたこと深くお詫び、申し上げます」
「え……………あの…………蒼……………」
「大変申し訳ありませんが私達は事後処理を行う関係で一旦本部へ戻らなければ行けません。このようなことに巻き込んでしまい、申し訳ございませんでした。あと少しですがこの国の海王祭、引き続きお楽しみくださいませ。では、失礼致します」
因みに海王祭とはこの祭りの正式名称である。
確かこの由来は昔この国が過去長い期間雨が降らず、土地が乾き、生物が次々といなくなって行き食糧難など様々な災害が発生した。当時の国王が海へ行き、祈りを捧げ続けたところ、雨が降り、さらには普段全く魚介類が取れなかった海から山ほどの魚介類が取れ、次第に土地が潤い、食糧難が消えたということがあったらしい。そのため4年に一度海へ感謝を捧げるといえ意味を込め、祭りを行ってる、とセトルイスが教えてくれた。
まあ俺はへーーーぐらいしか思わんかったけど。
とりあえずこの場を去りたいため徹達が口を開く前に他の団員達を連れ、本部へ帰還する。
因みに魔物の死骸は空間魔法にぽいして血などはちゃんと綺麗にしてから帰りましたよ。
俺偉いでしょ。
戻ってる途中、ふと考える。
あれ?勇者がこの国に来てるってことは来賓として国がちゃんともてなさなきゃあかんやつ?もしかして勇者と国王の謁見とかある??もしかしてその護衛やらなんやらで俺も駆り出されるやつ??
え、やだ。
「なんだよ!あいつ!!!!!」
騎士団がそそくさと帰っていった後、本田が苛立ちをぶつける。
戦闘の際に子供であるソラに邪魔と言われたこと、さらに自分たちが手こずっていた魔物を難なく処理されたこと、さらには自分より遥か格下だと思っていた蒼涼が自分が戦ってた敵より遥かにランクが高いと思われる魔物を軽々討伐してしまったこと。
これらの条件は本田の機嫌を損ねるには十分すぎる理由だった。
「団長って…呼ばれてたよね…」
「呼ばれてたな…………どういう事なんだろ」
「うーーん……………」
徹達勇者一行はこの国に転移してきた時から王宮で常に鍛えられてきた。今の力量はその時間がなければ無かったと言っても過言ではない。
しかし蒼涼はその時間が無かったはずだ。
自ずからとはいえ、そうそうに王宮を出て、知らない土地で暮らして行く。
そんな過酷な環境で自分を鍛えることはなかなか出来なかったはずだ。いくらこの国に拾ってもらったとはいえ、国をまたがなければいけない。王宮を出てからかなり後の事だろう。
それなのに明らかに戦い慣れした姿、自分たちとは比べ物にならない戦闘力、さらには騎士団団長という地位………………
それらを持っている蒼涼に疑問しかわかなかった。
「ま………とりあえずこの国にはしばらく滞在する予定だしまて蒼涼に会う機会もあるだろうからその時に聞けばいいでしょ」
徹の再び会う、という言葉は直ぐに現実になった。
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