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5-6 :クリア、頑張ってね。
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「君、僕たちの姉妹なのにそいつらの協力するんだねん。それなら……お仕置きしないとねん」
中田文兵が、救出対象からの攻撃を躱して居る中。少女とピエロの闘いが始まる。
腹部の傷口が徐々に塞がっていくピエロは少女に人差し指を向ける。すると人差し指の先に糸の玉を蓄え放った。少女はそれを「博人って人より遅いし。中田より理不尽じゃないよそれ」と言って槍を舞わせて余裕綽々の様子で躱す。
「いつまで寝てるつもりなのん? 2CU_21」
糸の弾丸は空中で曲がり、チオ長洲エミの張り付いた男に着弾。すると糸が笑顔の張り付いた男の傷を縫い合わせ、まるで何事もなかったようにけろりと立ち上がった。
「あぁ、そう言う使い方もできるんだね」
少女が槍から腰を下ろし、フワフワと落ちる中。槍はピエロを向いて発射する。だが槍は糸がクルリクルリと絡まり。ピエロに当たる寸での所で止められる。
「防護、回復、殺傷。通信、出来ることが良いね。お前の能力」
フンワリと地面に着地して、そして薄れていく。
「あっ、すり抜けたわん」
「私に糸を絡めようとした? それは残念ね。私、実態何て自由自在の、幽霊なのよ」
「あはぁ! ゲームマスターの勝利条件は戦闘勝利だけじゃあないんだよん!」
女は不適に笑って姿を完全に消失、それに伴って糸に絡まっていた槍も消失した。摺るとピエロは愉快になって来たのか笑みを浮かべ、右手小指から左手小指にかけて糸の弾を作り。計十発を中田文兵に向けて発射する。
「なっクソやろっ!」
中田文兵が急いでかわそうとするが救出対象が、謝罪しながら道をふさぐ。逃げ場を失いもうだめかとはお食い縛ると。高速で回転する槍が中田文兵の背後に出現して糸の弾丸をはじいた。
「言ったでしょ。こいつがお前に負けたら困るの。私がこいつに勝つ日が来るまでこいつが私以外に負たなんてあっちゃあ駄目なのよ。だから、私が中田を負けさせない」
弾き、一部槍に絡まったのをが目に入ったために。遠くに飛ばして消失させ、再度て下に出現させてピエロに向ける。
「テメェに助けられるなんて癪に障るな」
「あっ怒った? 気分悪い? お前なんて常に不快な気分で居ればいいんだアーホ!」
「それは、ゴメン被るぜバーカ!」
背後にいる少女肩に、上半身をねじって腕を乗せ手に持った銃を2発、発砲する。放たれた銃弾はピエロの頭部と腹部に命中。ピエロは、のけぞって痛みに涙をにじませる結果に終わる。
「どうなってやがる! 人間撃たれたら死ぬもんだろ!」
「お前に言われたくないよ……だけど、うん分かったよ。2CU_9の防御力の正体。
体の表面に糸で作った鎧を張ってるんだね」
「あははは!、正解だよん。さて、2Cu_21準備できた? できたみたいだねん」
ピエロは笑顔の張り付いた男を見た。少女は何かする気なのかと警戒して笑顔の張り付いた男の方を見ると。血の気が引いた。
笑顔の張り付いた男は、血を流しながらも自身の目を取り出し、そしてもう片方の手で持っていた。瞳の色が違う目を、顔の2つの空洞の中に転がすように入れた。
「さあ、此処からは2Cu_21も参加するよん。中田君は人質を相手にしてるから実質2対1だけど頑張ってさばいてねん」
少女は、笑顔が張り付いた男が何か仕掛けて来るのかと警戒して、高速回転する槍をピエロに向けて盾とし、視線を笑顔の張り付いた男にやる。
目が合った。するとピエロがニタリと笑い。少女は困惑する。笑顔の張り付いた男に違和感を感じたのだ。まるで、目にしているその男が現実で目の前にしているのではなくテレビを通じて見ているようなそんな感覚だ。少女が感覚に戸惑っているとニタリと笑うピエロが腕を少女に向けて「レッツゴー! 2Cu_21!」と言った。すると瞬間的に笑顔の張り付いた男は少女の目の前に現れ回し蹴りを繰り出した。
「きゃっ!?」
横っ腹を蹴り飛ばされ少女は、蹴り飛ばされながら消滅する。
「アッハーハア! 雑魚だったねん。中田君。もうゲームオーバーかなん!」
中田文兵の真後ろ、更に体を回して中田文兵を蹴り飛ばさんとする笑顔の張り付いた男。さらに後方、糸を両腕から垂らすピエロ。正面、ピエロに操られた人質17人。
「はぁ、溜息が出るぜ」
さらに前列、消滅した次の瞬間、中田文兵の懐に隠れるようにして出現した少女。少女は中田文兵を軸に周り、笑顔の張り付いた男を蹴り飛ばし。すかさず槍に後を追わせて追撃させた。
「そいつらが倒せないようじゃ、俺を倒すなんて夢のまた夢だろうがよ」
「うっさいわね。まだやられてないから別にいじゃない! それで……何なのよこれ」
少女は笑顔の張り付いた男に向かって放ったことで和感の正体に気が付く。少女の視界に映る笑顔の張り付いた男。それは浮き出ているというべきか。視覚が得る情報のレイヤーを無視して最前列に居るというべきか。その奥行き感を無視して槍が重なろうとも全貌がはっきりと見えた。
どういうことかと目を擦ると、瞼を閉じた視界の中に笑顔の張り付く男がまだいた。を動かす。目でとらえた位置から変わることはなく笑顔の張り付いた男がそこに居るのが見えるだけだった。
「あの2CU_21って男。目についたゴミ見たいにずっと目に映ってくる。何これ気持ち悪い」
少女はそう言いながら槍が笑顔の張り付いた男に当たらないと見て、槍をピエロに向けて発射した。ピエロはそれを最初にやったように糸でからめとって受け止めた。
それと同時期、笑みの張り付いた男は少女の寸前にまで詰め寄り。こぶしを、1度目の経験から布施強盗した少女の両腕をはじいてその腹部に振りぬいていた。
「アハァア! 身体能力は見た目通り未熟だねん」
「ぐぅ……何なのよコイツ……どうして私の攻撃が当たらないの! クソ! クソ! どいつもこいつも理不尽な奴ばっかり! 不気味な笑みを浮かべて気持ち悪いのよお前!」
少女の暴言にピエロが肩を揺らして笑い声をあげる。まるで煽るかのようにどことなくバイオリンが軽快な音色が広場に響き渡る。ピキリお眉を引くつかせて少女は苛立ちを覚えた。
「鬱陶しいからとっとと殺されてくれない?」
ピエロに受け止められている槍が消滅し、少女の手元に戻ってまたオニヤンマの瞬間移動めいた飛行移動を行って再度ピエロを狙う。正面から一気に背後へ、そしてピエロの背中を狙う。
正面に張っている糸を割いているのか、この時は絡まる糸が。1、2本程度で容易に引きちぎられ届かんとしていたが。笑みを浮かべる男が三度瞬間的に間を詰めて顔面を蹴り上げた。少女は鼻血が出る顔を手で押さえて消滅。また中田文兵の正面に出現、中田文兵の背後に槍を出現させ、笑顔が張り付いた男を薙ぎ払い、回転させて盾にする。
「あー痛い痛い痛い! ……けどお前に頭を踏みつぶされた時よりはマシ」
「そうかい。
そんなことより正面の奴らを警戒して間合いに入らないように移動してんのに。
正面に出てこられるのはクッソ邪魔で仕方がねぇんだが」
「な、なっ……。そんなことって、邪魔ってどういうことよこの野郎! 全く……」
「それで? 勝てそうか? ……目をそらすってことは難しそうだなぁオイ」
「うっさいうっさいうっさいうっさぁぁあああああい! そう言うお前はどうなのよ! このままだとお前は負けるわよ!」
「俺か? 俺はなぁ、1つ。ちょいとインチキを使ってだが気が付いたぜ? てかお前、今できてたじゃねぇか。鼻が痛くて気が付いてねぇか?」
「は? どういうことよ」
「こういうことだよ。後ろを除くんじゃねぇぞ」
中田文兵は背後に拳銃を向ける。向けてしばらく方向を笑を浮かべる男に修正し、発砲した。
「何してるのよ?」
「あの笑ってるやつに銃弾を撃ち込んだんだよ。おかしいとは思っていたんだ。ちょくちょく気配が消えてんだよあの笑顔野郎。でだ。その都度、テメェが発言してんだからその発言を参考にさせてもらったぞ。目についたゴミ。そこに居るのにあたらない攻撃の2つ。そんで俺的には突然消えては接近する気配と交ぜて可能性を導き出すんだ。
1つ。異能力の合わせ技。視覚に幻影を見せて、気配を消しているとかな。
そんで2つ目。俺的には今の発砲でこっちの方が高いとみている」
ピエロの付近に、笑顔の張り付いた男が出現した。銃弾は外れたのだ。
「あの笑顔野郎は観測? をしたら観測した意識の中に入ってきやがるんだ。
そんで一瞬で間を詰めやがるのはその意識内ってのは距離ってのは関係ないってことなんだろうな。
どうだ? ピエロ野郎 限りなく正解に近いと思うんだがどうだ?」
ゴーグル型携帯端末のニコが導き出した言葉を中田文兵を通してピエロに尋ねたとたん。愉快なバイオリンの音が鳴り止み。詰まらなそうなピエロの声が帰ってくる。「正解」と。
心から笑う、笑えるピエロは嘘を付かないという言葉を信用するのなら。きっとこれは本当なのだろう。
「だとさオイ、動きを指示するからその槍をブンブン振り回しやがれ。俺も銃で援護してやっからよ。こちとら途中で大量に拾ってるからいくらでも弾切れは気にすんな」
「……お前に指示されるのって癪に障るわね」
「あ゛ぁ? 言ってる場合じゃねぇだろ! 俺が負けたら困るんだろうがテメェ」
「困るけどお前の言う事に従うとかは別の話。
と言うかね、お前に協力するかしないかは私次第なのよ? やってほしいなら言うべきことがあるんじゃないの?」
「はぁ?」
「こんなのも分からないわけ? お ね が い し ま す よ 。お願いします! ほら言え」
中田文兵は顔をひどくゆがませ、至極嫌そうに。「言えってテメェ……」と深い溜息を吐いた後に「お願いします」と言った。
「あぁ、お前のそんな嫌そうな顔……たまんないよ。ふふ、本当はお辞儀が無いからやり直しにさせたかったけど。その顔に免じて勘弁してあげる。後ろで槍を振るえばいいのね? そんなの簡単よ。しっかり合わせなさいよ」
「ちぃ。テメェが俺に合わせんだよ」
後ろを振り向かないまま、拳銃を後方に向けて発砲。背後で回転している槍が風を切りながら舞い。弾丸が風を切りながら突き進んでいるのが聞こえる。
「もう少し上だ」
ニコが中田文兵と、その中田文兵を通じて少女の動きを操る。少しずつ。少しずつ確かに歩んでピエロを追い詰めていく。
「これ以上、糸を防護には割けないかなん。
それじゃあ、お人形ごっこを止めて僕も本格参戦と行こうかなん」
塞ぎ、糸を足場に宙を駆けるピエロは気持ちを切り替えたかのように笑みを浮かばせると。今まで中田文兵を襲おうとしていた救出対象が残らずばたりと倒れる。キラリと照明に照らされ救出対象の耳から大量の糸が出てきて空間に張り巡らされた一本の張られた糸に絡まって溶け込む様に吸収される。
人の中にあんなにも糸が入っていたのかと思うと、中田文兵はゾッとしつつピエロに問を投げかけた。
「何しやがった!」
「人を操るのに使っていた糸を回収しただけだよん? でも勘違いしないようにね。ペナルティルールはまだあるよん。中田君が異能を用いればに僅かに残した糸を巻き付けた脳幹を切り裂くからねん。
唯の人としてがんばれん。
それじゃあさあ、ここからラ正真正銘の2対2.本気で……遊ぼうよ!」
軽快な音楽が、少女、あの時のゴスロリの唄と共に流れ、笑顔張り付く男の気配が消滅し。ピエロが宙を踊るように舞う。
「おう、ルールを守ってゲームをしようぜぇ?」
中田文兵にとって運が良かったのは2CU_9。ピエロが持つ心から笑うピエロは嘘を吐かないと言う矜持がそれすなわち、自身で言ったルールは守ると言う事である。
自己犠牲と言う形でピエロの癪に障らなければ例外的に処分された男の様にはならないだろう。
中田文兵が、救出対象からの攻撃を躱して居る中。少女とピエロの闘いが始まる。
腹部の傷口が徐々に塞がっていくピエロは少女に人差し指を向ける。すると人差し指の先に糸の玉を蓄え放った。少女はそれを「博人って人より遅いし。中田より理不尽じゃないよそれ」と言って槍を舞わせて余裕綽々の様子で躱す。
「いつまで寝てるつもりなのん? 2CU_21」
糸の弾丸は空中で曲がり、チオ長洲エミの張り付いた男に着弾。すると糸が笑顔の張り付いた男の傷を縫い合わせ、まるで何事もなかったようにけろりと立ち上がった。
「あぁ、そう言う使い方もできるんだね」
少女が槍から腰を下ろし、フワフワと落ちる中。槍はピエロを向いて発射する。だが槍は糸がクルリクルリと絡まり。ピエロに当たる寸での所で止められる。
「防護、回復、殺傷。通信、出来ることが良いね。お前の能力」
フンワリと地面に着地して、そして薄れていく。
「あっ、すり抜けたわん」
「私に糸を絡めようとした? それは残念ね。私、実態何て自由自在の、幽霊なのよ」
「あはぁ! ゲームマスターの勝利条件は戦闘勝利だけじゃあないんだよん!」
女は不適に笑って姿を完全に消失、それに伴って糸に絡まっていた槍も消失した。摺るとピエロは愉快になって来たのか笑みを浮かべ、右手小指から左手小指にかけて糸の弾を作り。計十発を中田文兵に向けて発射する。
「なっクソやろっ!」
中田文兵が急いでかわそうとするが救出対象が、謝罪しながら道をふさぐ。逃げ場を失いもうだめかとはお食い縛ると。高速で回転する槍が中田文兵の背後に出現して糸の弾丸をはじいた。
「言ったでしょ。こいつがお前に負けたら困るの。私がこいつに勝つ日が来るまでこいつが私以外に負たなんてあっちゃあ駄目なのよ。だから、私が中田を負けさせない」
弾き、一部槍に絡まったのをが目に入ったために。遠くに飛ばして消失させ、再度て下に出現させてピエロに向ける。
「テメェに助けられるなんて癪に障るな」
「あっ怒った? 気分悪い? お前なんて常に不快な気分で居ればいいんだアーホ!」
「それは、ゴメン被るぜバーカ!」
背後にいる少女肩に、上半身をねじって腕を乗せ手に持った銃を2発、発砲する。放たれた銃弾はピエロの頭部と腹部に命中。ピエロは、のけぞって痛みに涙をにじませる結果に終わる。
「どうなってやがる! 人間撃たれたら死ぬもんだろ!」
「お前に言われたくないよ……だけど、うん分かったよ。2CU_9の防御力の正体。
体の表面に糸で作った鎧を張ってるんだね」
「あははは!、正解だよん。さて、2Cu_21準備できた? できたみたいだねん」
ピエロは笑顔の張り付いた男を見た。少女は何かする気なのかと警戒して笑顔の張り付いた男の方を見ると。血の気が引いた。
笑顔の張り付いた男は、血を流しながらも自身の目を取り出し、そしてもう片方の手で持っていた。瞳の色が違う目を、顔の2つの空洞の中に転がすように入れた。
「さあ、此処からは2Cu_21も参加するよん。中田君は人質を相手にしてるから実質2対1だけど頑張ってさばいてねん」
少女は、笑顔が張り付いた男が何か仕掛けて来るのかと警戒して、高速回転する槍をピエロに向けて盾とし、視線を笑顔の張り付いた男にやる。
目が合った。するとピエロがニタリと笑い。少女は困惑する。笑顔の張り付いた男に違和感を感じたのだ。まるで、目にしているその男が現実で目の前にしているのではなくテレビを通じて見ているようなそんな感覚だ。少女が感覚に戸惑っているとニタリと笑うピエロが腕を少女に向けて「レッツゴー! 2Cu_21!」と言った。すると瞬間的に笑顔の張り付いた男は少女の目の前に現れ回し蹴りを繰り出した。
「きゃっ!?」
横っ腹を蹴り飛ばされ少女は、蹴り飛ばされながら消滅する。
「アッハーハア! 雑魚だったねん。中田君。もうゲームオーバーかなん!」
中田文兵の真後ろ、更に体を回して中田文兵を蹴り飛ばさんとする笑顔の張り付いた男。さらに後方、糸を両腕から垂らすピエロ。正面、ピエロに操られた人質17人。
「はぁ、溜息が出るぜ」
さらに前列、消滅した次の瞬間、中田文兵の懐に隠れるようにして出現した少女。少女は中田文兵を軸に周り、笑顔の張り付いた男を蹴り飛ばし。すかさず槍に後を追わせて追撃させた。
「そいつらが倒せないようじゃ、俺を倒すなんて夢のまた夢だろうがよ」
「うっさいわね。まだやられてないから別にいじゃない! それで……何なのよこれ」
少女は笑顔の張り付いた男に向かって放ったことで和感の正体に気が付く。少女の視界に映る笑顔の張り付いた男。それは浮き出ているというべきか。視覚が得る情報のレイヤーを無視して最前列に居るというべきか。その奥行き感を無視して槍が重なろうとも全貌がはっきりと見えた。
どういうことかと目を擦ると、瞼を閉じた視界の中に笑顔の張り付く男がまだいた。を動かす。目でとらえた位置から変わることはなく笑顔の張り付いた男がそこに居るのが見えるだけだった。
「あの2CU_21って男。目についたゴミ見たいにずっと目に映ってくる。何これ気持ち悪い」
少女はそう言いながら槍が笑顔の張り付いた男に当たらないと見て、槍をピエロに向けて発射した。ピエロはそれを最初にやったように糸でからめとって受け止めた。
それと同時期、笑みの張り付いた男は少女の寸前にまで詰め寄り。こぶしを、1度目の経験から布施強盗した少女の両腕をはじいてその腹部に振りぬいていた。
「アハァア! 身体能力は見た目通り未熟だねん」
「ぐぅ……何なのよコイツ……どうして私の攻撃が当たらないの! クソ! クソ! どいつもこいつも理不尽な奴ばっかり! 不気味な笑みを浮かべて気持ち悪いのよお前!」
少女の暴言にピエロが肩を揺らして笑い声をあげる。まるで煽るかのようにどことなくバイオリンが軽快な音色が広場に響き渡る。ピキリお眉を引くつかせて少女は苛立ちを覚えた。
「鬱陶しいからとっとと殺されてくれない?」
ピエロに受け止められている槍が消滅し、少女の手元に戻ってまたオニヤンマの瞬間移動めいた飛行移動を行って再度ピエロを狙う。正面から一気に背後へ、そしてピエロの背中を狙う。
正面に張っている糸を割いているのか、この時は絡まる糸が。1、2本程度で容易に引きちぎられ届かんとしていたが。笑みを浮かべる男が三度瞬間的に間を詰めて顔面を蹴り上げた。少女は鼻血が出る顔を手で押さえて消滅。また中田文兵の正面に出現、中田文兵の背後に槍を出現させ、笑顔が張り付いた男を薙ぎ払い、回転させて盾にする。
「あー痛い痛い痛い! ……けどお前に頭を踏みつぶされた時よりはマシ」
「そうかい。
そんなことより正面の奴らを警戒して間合いに入らないように移動してんのに。
正面に出てこられるのはクッソ邪魔で仕方がねぇんだが」
「な、なっ……。そんなことって、邪魔ってどういうことよこの野郎! 全く……」
「それで? 勝てそうか? ……目をそらすってことは難しそうだなぁオイ」
「うっさいうっさいうっさいうっさぁぁあああああい! そう言うお前はどうなのよ! このままだとお前は負けるわよ!」
「俺か? 俺はなぁ、1つ。ちょいとインチキを使ってだが気が付いたぜ? てかお前、今できてたじゃねぇか。鼻が痛くて気が付いてねぇか?」
「は? どういうことよ」
「こういうことだよ。後ろを除くんじゃねぇぞ」
中田文兵は背後に拳銃を向ける。向けてしばらく方向を笑を浮かべる男に修正し、発砲した。
「何してるのよ?」
「あの笑ってるやつに銃弾を撃ち込んだんだよ。おかしいとは思っていたんだ。ちょくちょく気配が消えてんだよあの笑顔野郎。でだ。その都度、テメェが発言してんだからその発言を参考にさせてもらったぞ。目についたゴミ。そこに居るのにあたらない攻撃の2つ。そんで俺的には突然消えては接近する気配と交ぜて可能性を導き出すんだ。
1つ。異能力の合わせ技。視覚に幻影を見せて、気配を消しているとかな。
そんで2つ目。俺的には今の発砲でこっちの方が高いとみている」
ピエロの付近に、笑顔の張り付いた男が出現した。銃弾は外れたのだ。
「あの笑顔野郎は観測? をしたら観測した意識の中に入ってきやがるんだ。
そんで一瞬で間を詰めやがるのはその意識内ってのは距離ってのは関係ないってことなんだろうな。
どうだ? ピエロ野郎 限りなく正解に近いと思うんだがどうだ?」
ゴーグル型携帯端末のニコが導き出した言葉を中田文兵を通してピエロに尋ねたとたん。愉快なバイオリンの音が鳴り止み。詰まらなそうなピエロの声が帰ってくる。「正解」と。
心から笑う、笑えるピエロは嘘を付かないという言葉を信用するのなら。きっとこれは本当なのだろう。
「だとさオイ、動きを指示するからその槍をブンブン振り回しやがれ。俺も銃で援護してやっからよ。こちとら途中で大量に拾ってるからいくらでも弾切れは気にすんな」
「……お前に指示されるのって癪に障るわね」
「あ゛ぁ? 言ってる場合じゃねぇだろ! 俺が負けたら困るんだろうがテメェ」
「困るけどお前の言う事に従うとかは別の話。
と言うかね、お前に協力するかしないかは私次第なのよ? やってほしいなら言うべきことがあるんじゃないの?」
「はぁ?」
「こんなのも分からないわけ? お ね が い し ま す よ 。お願いします! ほら言え」
中田文兵は顔をひどくゆがませ、至極嫌そうに。「言えってテメェ……」と深い溜息を吐いた後に「お願いします」と言った。
「あぁ、お前のそんな嫌そうな顔……たまんないよ。ふふ、本当はお辞儀が無いからやり直しにさせたかったけど。その顔に免じて勘弁してあげる。後ろで槍を振るえばいいのね? そんなの簡単よ。しっかり合わせなさいよ」
「ちぃ。テメェが俺に合わせんだよ」
後ろを振り向かないまま、拳銃を後方に向けて発砲。背後で回転している槍が風を切りながら舞い。弾丸が風を切りながら突き進んでいるのが聞こえる。
「もう少し上だ」
ニコが中田文兵と、その中田文兵を通じて少女の動きを操る。少しずつ。少しずつ確かに歩んでピエロを追い詰めていく。
「これ以上、糸を防護には割けないかなん。
それじゃあ、お人形ごっこを止めて僕も本格参戦と行こうかなん」
塞ぎ、糸を足場に宙を駆けるピエロは気持ちを切り替えたかのように笑みを浮かばせると。今まで中田文兵を襲おうとしていた救出対象が残らずばたりと倒れる。キラリと照明に照らされ救出対象の耳から大量の糸が出てきて空間に張り巡らされた一本の張られた糸に絡まって溶け込む様に吸収される。
人の中にあんなにも糸が入っていたのかと思うと、中田文兵はゾッとしつつピエロに問を投げかけた。
「何しやがった!」
「人を操るのに使っていた糸を回収しただけだよん? でも勘違いしないようにね。ペナルティルールはまだあるよん。中田君が異能を用いればに僅かに残した糸を巻き付けた脳幹を切り裂くからねん。
唯の人としてがんばれん。
それじゃあさあ、ここからラ正真正銘の2対2.本気で……遊ぼうよ!」
軽快な音楽が、少女、あの時のゴスロリの唄と共に流れ、笑顔張り付く男の気配が消滅し。ピエロが宙を踊るように舞う。
「おう、ルールを守ってゲームをしようぜぇ?」
中田文兵にとって運が良かったのは2CU_9。ピエロが持つ心から笑うピエロは嘘を吐かないと言う矜持がそれすなわち、自身で言ったルールは守ると言う事である。
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