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6-2:夢幻の様な今
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「ナカタニさん。取りあえず。ナカタニさんが倒せなかったという相手を倒してきてください」
ある日、天月博人の言葉に中田文兵が顔をしかめ「俺じゃあ倒せねぇから。逃げ帰ったんだぞ?」と天月博人の真意を訪ねると。天月博人は通堂進に頼んで作ってもらった土で作られたブロックから腰を上げてそれを手に持った。
「ナカタニさんはそいつと対峙して攻撃があまりにも通りにくかったから逃げたんですよね?」
「おう」
「つまりはナカタニさんみたいに攻撃が通らないわけじゃあないということです。
ジブンの師匠が言ってました筋肉隆々の人がこっちの攻撃を悉く自慢の腕で防御してくるのならばどう対処するのか。
簡単っす。悉く塞がれるのなら、同じ場所を攻撃し続ければいいっす。そうするとこっちの攻撃を防いでいた忌々しい腕はいつしか青アザになって新しい弱点になるっすからと。簡単に実践すると」
天月博人はボロボロになっている刃物を取り出し土ブロックを一度切り付け。ひっかいた程度のような切り傷を見せた後、何度か同じ場所を切り付けてその跡が深くなったのを見せる。
「うっわ、めんどいな」
「面倒でもナカタニさんが倒せない存在があの施設にいるかもと思えるうちにやってほしいです。
万が一、外に出てしまってどこかでナカタニさん意外と相対してもほぼ確実といっていいほどに勝てませんから」
「あー。あの施設から脱出してたら俺以外がやばいってことか。しゃーねーなー。分かったから行ってくる。
速攻で帰ったら居なかったと思ってくれ」
中田文兵は面倒くさそうに頭をかいてその場から消え去った。
「ふぅ、ちょっと懸念ができてたからこれで何とかなるかな……ちょっと懸念思い当たるまで時間がかかりすぎたかもなぁ。まだいたらいいんだけど……それじゃあ次の懸念に行くか。巫女っちゃん。おいで」
天月博人が呼ぶと。ボケーっと待機していた鬼童世界がものすごい勢いで天月博人に走り寄る。勢いづきすぎて車が急ブレーキをかけたキキーと音が聞こえてきそうである。
「はい! 何でしょうか主!」
「お、おう。元気でよろしい……なんで主呼びなのかは聞きたいけど。巫女っちゃんが呼びやすいならそれでいいや」
天月博人はその勢いと自身の呼び方に苦笑いがひきつったが、それを受け入れて本題に移る。
「それじゃあ、巫女っちゃんができることを探そうと思う。まずは質問から。怒らないから答えてね?」
「……はい」
「巫女っちゃんは、最近の様子を見るに指示されないとやらない人だね?」
「えと…………はい」
「それで、細かいこと。頭を使うことも苦手だね?」
「う、うぅ…………はい」
「最後に、物覚えも悪いね?」
少女は少し泣きそうになりながら「はい」と答えた。
「なるほどなるほど……これで物質を溶かしてから武器の形状に形成する能力という通堂さんと類似した異能力と……元仲間であるロロ=イアを倒す覚悟をさせるのは酷だと思うし。うーむ。」
天月博人が悩んでいると、視界の傍らに御飯事をする子供たちが見える。子供たちはあり合わせのもので道具を見立てている。
「ふむ。再度質問。巫女っちゃんの能力は武器以外も形作れる?」
「えっと……はい。時間がかかりますけど……」
「ウイ、形作った物が、巫女っちゃんの力が解けて、勝手に崩れるなんてことは?」
「溶かした状態でしたら……数分で固形に戻りますけど。固形にしたものはそのままです」
天月博人はニヤリと笑って鬼童世界の頭を撫で「よし、巫女っちゃんは頑張ってみんなが必要としている道具を作ろうね。̪霜下さんとかせめて鍬がほしいって嘆いてたし」と鬼童世界に役割を与えたのだった。
「わ、わかりました……けれど。私にできますでしょうか」
「できる様になるために、どうすればいいかを教えてあげよう。
やり方は人それぞれだけど凡庸的な方法として数をこなして練習することだ。
何を作っていいのか分からなくなったら今まで作った物を作って練習ね。
物であふれちゃうから練習用に作ったものはとっておかず。そのままそれを溶かしては作って、溶かしては作って繰り返して再利用してね。分かった? わからないことがあったら質問」
「だ、大丈夫です……はい」
「よし、いい子だ。忘れたらまた聞きに来てね。それじゃあ早速練習。と行く前に練習するものを増やそうか。おーい。君たちー! ナーちゃんとターくん! ちょっとおいでー」
「はーい。ターくん行こっ。リーダーくんが呼んでるよー」
「うん、わかったー」
天月博人が御飯事をしていた子供たちを呼び出して、かがんで目線を合わせ「何しているのー?」と尋ねる。子供たちは「お父さんとお母さんごっこー」とほほえましい回答をされる。
「ごっこで使いたいのに無いものはあるかな?」
「使いたいのにないものー? えーとねー。ご飯作るからフライパンとかー。お掃除するから掃除機!」
脳裏で掃除機の難易度高いなと思いつつ。「掃除機はちょっと厳しいから箒でもいい?」と尋ねて。「うーん、いいよ?」と緩和してもらえたので「巫女っちゃん、まずは箒っぽい形とフライパンっぽい形を作ろう。 危なくないように鋭利じゃなく丸っこくね」と鬼童世界に指示をした。
「や、やってみます。えっと。材料は……」
「それなら丁度いいのがあるぞ。はい、土ブロック。無理せず頑張りなよ?」
鬼童世界の自信なさげな「は、はい」という真剣な心意気を感じる返事を聞いて。天月博人は子供たちに「今、巫女っちゃんが作るからねー」と言って頭を撫でてからその場を後にした。
『ヒロ……暇になっちゃったね。亜里沙の所に身を委ねに行く』
「屋宮さんは少し勘弁してくれ……通堂さんの仕事の手伝いに行くよ。ナカタニさんを行かせちゃったから30分近く歩いていくことになるけどね」
天月博人は荷物を背負い。この場所の第1拠点の新しい仲間たちの元敵を受け入れる度量の広さを感じられつつ、面白黒人枠2人以外は何所か壁を感じられる。第2拠点に居る始まりの仲間たちのロロ=イアを滅ぼし、もしくは逃走などの目的を強く持ち。走り続けているような雰囲気とはまた違った空間がここにある。
その空気感の差異が、何所と無い不安を感じさせる。ロロ=イアの敵として生まれたレジスタンスとは別の組織が産まれようとしているようで。いつか分裂して対立してしまうのではないかと。
「さて行こうか。ちょっと楽善さんに伝えたい事があるしね」
天月博人は深く帽子をかぶり、第1拠点を後にする。自身の懸念を端末のメモツールを用いて綴り。第2拠点にて実務をこなす楽善二治に渡し、通堂進の手伝いに向かった。
通堂進の作業を手伝っていた後の休憩中「いやぁ、手伝ってくれて助かるよ博人君」と言いながら通堂進が隣に座り込み。周りを見る。
「どうだい、かなり広くなったろ? もう直ぐで第1拠点くらいの大きさに第2拠点がなってきたかなってくらいにね。
あっ、そうだ。
その土塊を捨ててきたら楽善君に新しい拠点生成の虚を貰ってきてほしいんだよね。
僕としてはそろそろカモフラージュ用の穴倉を広げて、第1拠点の仲間たちを移住させる為の新しい拠点にしたく思うんだよ。
第1拠点はロロ=イアに場所が知られている可能性があるからね。対策はしておきたいんだ」と両腕を大きく広げて空間が出来上がって居るのを表現し、そして次に行っておきたい行動を述べた。
それが第1拠点を心配してのものか、それとも第1拠点から第2拠点の居場所を知られるのを警戒してかは天月博人には解らないけれど、結果的には第1拠点の新たな仲間たちの身を案じる行動方針を立てており、天月博人はそれを楽善二治に伝えるのを承った。
楽善二治にこれを伝えると「なるほど……分かりました。皆様にその旨を伝え、過半数の了承を得てからお願いしますと伝えてください。私は通堂さんの考えに賛同します」と受け止め、考え、意見を述べ、賛同した。
「天月君、ごめんねお使いさせてしまって。今度、屋宮さんに頼んで天月君が好きな食べ物を作っていただきましょう」
楽善二治はそう言って、天月博人の頭を不器用に撫で「本当にごめんね。君が頑張って居ると分かって居るのに、こんなお返ししかできなくて」と申し訳なさそうに、頼りない笑みを浮かべた。天月博人はその手の感触と自信を見詰めるその瞳に。生みの父、朽無哲也を思わせる雰囲気的な面影をちらつかせながら。天月博人放すがまま撫でられ、その面影を見詰めるのだった。
ほんの少しだけ、撫でられた部位に手を当てて呆然としている天月博人に、楽善二治から返してもらったニコが言う。「ヒロ、たまには皆に任せて。何も考えなくていい日を作ってもニコは良いと思うんだよ。二治の考えを借りるけど。ヒロはまだそんなに抱えなくていいと思うから」と。天月博人はしばらく黙って「分かってるけど……性分だから」と呟き。携帯端末からは悲しそうに、強く心配するような声で「そう」と声が漏れた。
3日経って、中田文兵が「やーと倒したぁ! クッソ面倒くせぇなアイツ。マジでよぉ何百、何千回同じ所を殴り続けたと思ってんだ畜生め」と愚痴を言い。蝗アヤメに「お前がもう少し弾薬持っていけばよかったんじゃないのアレ?」と前準備のダメ出しを受けながら帰って来た。
「うるっせぇよ。オーイ、博人。なんとか倒してきたぞー銃弾尽きて、ぶん殴りつつ蹴る事に成ったが何とかなったぜ! 助言ありがとうな!」
化け物を何とか倒し切ったようだ。その顔は面倒臭そうながらやり切った様な顔をしていた。
「で、出来ました! どうでしょうか? どうでしょうか?」
「や、やったよー巫女姉ちゃん! これ、フライパンの形だよー! 箒はなんか御飯入れるやつ見たいだけど、フライパンできてるよ!」
その次の日、鬼童世界が思わず万歳をあげるほどに子供たちと喜びの声をあげた。時間がかかるとは言っていたがこんなにも時間がかかるとはと思いつつ。子供たちと仲良くなるきっかけになったようだ。
ある日、天月博人の言葉に中田文兵が顔をしかめ「俺じゃあ倒せねぇから。逃げ帰ったんだぞ?」と天月博人の真意を訪ねると。天月博人は通堂進に頼んで作ってもらった土で作られたブロックから腰を上げてそれを手に持った。
「ナカタニさんはそいつと対峙して攻撃があまりにも通りにくかったから逃げたんですよね?」
「おう」
「つまりはナカタニさんみたいに攻撃が通らないわけじゃあないということです。
ジブンの師匠が言ってました筋肉隆々の人がこっちの攻撃を悉く自慢の腕で防御してくるのならばどう対処するのか。
簡単っす。悉く塞がれるのなら、同じ場所を攻撃し続ければいいっす。そうするとこっちの攻撃を防いでいた忌々しい腕はいつしか青アザになって新しい弱点になるっすからと。簡単に実践すると」
天月博人はボロボロになっている刃物を取り出し土ブロックを一度切り付け。ひっかいた程度のような切り傷を見せた後、何度か同じ場所を切り付けてその跡が深くなったのを見せる。
「うっわ、めんどいな」
「面倒でもナカタニさんが倒せない存在があの施設にいるかもと思えるうちにやってほしいです。
万が一、外に出てしまってどこかでナカタニさん意外と相対してもほぼ確実といっていいほどに勝てませんから」
「あー。あの施設から脱出してたら俺以外がやばいってことか。しゃーねーなー。分かったから行ってくる。
速攻で帰ったら居なかったと思ってくれ」
中田文兵は面倒くさそうに頭をかいてその場から消え去った。
「ふぅ、ちょっと懸念ができてたからこれで何とかなるかな……ちょっと懸念思い当たるまで時間がかかりすぎたかもなぁ。まだいたらいいんだけど……それじゃあ次の懸念に行くか。巫女っちゃん。おいで」
天月博人が呼ぶと。ボケーっと待機していた鬼童世界がものすごい勢いで天月博人に走り寄る。勢いづきすぎて車が急ブレーキをかけたキキーと音が聞こえてきそうである。
「はい! 何でしょうか主!」
「お、おう。元気でよろしい……なんで主呼びなのかは聞きたいけど。巫女っちゃんが呼びやすいならそれでいいや」
天月博人はその勢いと自身の呼び方に苦笑いがひきつったが、それを受け入れて本題に移る。
「それじゃあ、巫女っちゃんができることを探そうと思う。まずは質問から。怒らないから答えてね?」
「……はい」
「巫女っちゃんは、最近の様子を見るに指示されないとやらない人だね?」
「えと…………はい」
「それで、細かいこと。頭を使うことも苦手だね?」
「う、うぅ…………はい」
「最後に、物覚えも悪いね?」
少女は少し泣きそうになりながら「はい」と答えた。
「なるほどなるほど……これで物質を溶かしてから武器の形状に形成する能力という通堂さんと類似した異能力と……元仲間であるロロ=イアを倒す覚悟をさせるのは酷だと思うし。うーむ。」
天月博人が悩んでいると、視界の傍らに御飯事をする子供たちが見える。子供たちはあり合わせのもので道具を見立てている。
「ふむ。再度質問。巫女っちゃんの能力は武器以外も形作れる?」
「えっと……はい。時間がかかりますけど……」
「ウイ、形作った物が、巫女っちゃんの力が解けて、勝手に崩れるなんてことは?」
「溶かした状態でしたら……数分で固形に戻りますけど。固形にしたものはそのままです」
天月博人はニヤリと笑って鬼童世界の頭を撫で「よし、巫女っちゃんは頑張ってみんなが必要としている道具を作ろうね。̪霜下さんとかせめて鍬がほしいって嘆いてたし」と鬼童世界に役割を与えたのだった。
「わ、わかりました……けれど。私にできますでしょうか」
「できる様になるために、どうすればいいかを教えてあげよう。
やり方は人それぞれだけど凡庸的な方法として数をこなして練習することだ。
何を作っていいのか分からなくなったら今まで作った物を作って練習ね。
物であふれちゃうから練習用に作ったものはとっておかず。そのままそれを溶かしては作って、溶かしては作って繰り返して再利用してね。分かった? わからないことがあったら質問」
「だ、大丈夫です……はい」
「よし、いい子だ。忘れたらまた聞きに来てね。それじゃあ早速練習。と行く前に練習するものを増やそうか。おーい。君たちー! ナーちゃんとターくん! ちょっとおいでー」
「はーい。ターくん行こっ。リーダーくんが呼んでるよー」
「うん、わかったー」
天月博人が御飯事をしていた子供たちを呼び出して、かがんで目線を合わせ「何しているのー?」と尋ねる。子供たちは「お父さんとお母さんごっこー」とほほえましい回答をされる。
「ごっこで使いたいのに無いものはあるかな?」
「使いたいのにないものー? えーとねー。ご飯作るからフライパンとかー。お掃除するから掃除機!」
脳裏で掃除機の難易度高いなと思いつつ。「掃除機はちょっと厳しいから箒でもいい?」と尋ねて。「うーん、いいよ?」と緩和してもらえたので「巫女っちゃん、まずは箒っぽい形とフライパンっぽい形を作ろう。 危なくないように鋭利じゃなく丸っこくね」と鬼童世界に指示をした。
「や、やってみます。えっと。材料は……」
「それなら丁度いいのがあるぞ。はい、土ブロック。無理せず頑張りなよ?」
鬼童世界の自信なさげな「は、はい」という真剣な心意気を感じる返事を聞いて。天月博人は子供たちに「今、巫女っちゃんが作るからねー」と言って頭を撫でてからその場を後にした。
『ヒロ……暇になっちゃったね。亜里沙の所に身を委ねに行く』
「屋宮さんは少し勘弁してくれ……通堂さんの仕事の手伝いに行くよ。ナカタニさんを行かせちゃったから30分近く歩いていくことになるけどね」
天月博人は荷物を背負い。この場所の第1拠点の新しい仲間たちの元敵を受け入れる度量の広さを感じられつつ、面白黒人枠2人以外は何所か壁を感じられる。第2拠点に居る始まりの仲間たちのロロ=イアを滅ぼし、もしくは逃走などの目的を強く持ち。走り続けているような雰囲気とはまた違った空間がここにある。
その空気感の差異が、何所と無い不安を感じさせる。ロロ=イアの敵として生まれたレジスタンスとは別の組織が産まれようとしているようで。いつか分裂して対立してしまうのではないかと。
「さて行こうか。ちょっと楽善さんに伝えたい事があるしね」
天月博人は深く帽子をかぶり、第1拠点を後にする。自身の懸念を端末のメモツールを用いて綴り。第2拠点にて実務をこなす楽善二治に渡し、通堂進の手伝いに向かった。
通堂進の作業を手伝っていた後の休憩中「いやぁ、手伝ってくれて助かるよ博人君」と言いながら通堂進が隣に座り込み。周りを見る。
「どうだい、かなり広くなったろ? もう直ぐで第1拠点くらいの大きさに第2拠点がなってきたかなってくらいにね。
あっ、そうだ。
その土塊を捨ててきたら楽善君に新しい拠点生成の虚を貰ってきてほしいんだよね。
僕としてはそろそろカモフラージュ用の穴倉を広げて、第1拠点の仲間たちを移住させる為の新しい拠点にしたく思うんだよ。
第1拠点はロロ=イアに場所が知られている可能性があるからね。対策はしておきたいんだ」と両腕を大きく広げて空間が出来上がって居るのを表現し、そして次に行っておきたい行動を述べた。
それが第1拠点を心配してのものか、それとも第1拠点から第2拠点の居場所を知られるのを警戒してかは天月博人には解らないけれど、結果的には第1拠点の新たな仲間たちの身を案じる行動方針を立てており、天月博人はそれを楽善二治に伝えるのを承った。
楽善二治にこれを伝えると「なるほど……分かりました。皆様にその旨を伝え、過半数の了承を得てからお願いしますと伝えてください。私は通堂さんの考えに賛同します」と受け止め、考え、意見を述べ、賛同した。
「天月君、ごめんねお使いさせてしまって。今度、屋宮さんに頼んで天月君が好きな食べ物を作っていただきましょう」
楽善二治はそう言って、天月博人の頭を不器用に撫で「本当にごめんね。君が頑張って居ると分かって居るのに、こんなお返ししかできなくて」と申し訳なさそうに、頼りない笑みを浮かべた。天月博人はその手の感触と自信を見詰めるその瞳に。生みの父、朽無哲也を思わせる雰囲気的な面影をちらつかせながら。天月博人放すがまま撫でられ、その面影を見詰めるのだった。
ほんの少しだけ、撫でられた部位に手を当てて呆然としている天月博人に、楽善二治から返してもらったニコが言う。「ヒロ、たまには皆に任せて。何も考えなくていい日を作ってもニコは良いと思うんだよ。二治の考えを借りるけど。ヒロはまだそんなに抱えなくていいと思うから」と。天月博人はしばらく黙って「分かってるけど……性分だから」と呟き。携帯端末からは悲しそうに、強く心配するような声で「そう」と声が漏れた。
3日経って、中田文兵が「やーと倒したぁ! クッソ面倒くせぇなアイツ。マジでよぉ何百、何千回同じ所を殴り続けたと思ってんだ畜生め」と愚痴を言い。蝗アヤメに「お前がもう少し弾薬持っていけばよかったんじゃないのアレ?」と前準備のダメ出しを受けながら帰って来た。
「うるっせぇよ。オーイ、博人。なんとか倒してきたぞー銃弾尽きて、ぶん殴りつつ蹴る事に成ったが何とかなったぜ! 助言ありがとうな!」
化け物を何とか倒し切ったようだ。その顔は面倒臭そうながらやり切った様な顔をしていた。
「で、出来ました! どうでしょうか? どうでしょうか?」
「や、やったよー巫女姉ちゃん! これ、フライパンの形だよー! 箒はなんか御飯入れるやつ見たいだけど、フライパンできてるよ!」
その次の日、鬼童世界が思わず万歳をあげるほどに子供たちと喜びの声をあげた。時間がかかるとは言っていたがこんなにも時間がかかるとはと思いつつ。子供たちと仲良くなるきっかけになったようだ。
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