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EX1-14:大沢先生と変わり行く日常
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イヴァンナ ・マハノヴァによって扉が勢いよく開かれる。
目にするのは半液状化した部屋、そして銃撃による戦闘の痕に囲まれながら辛うじて人の形をした大沢先生が居た。
「来てしまったか。……ゴメンな助けに来てくれたのにこんな結果になって」
大沢先生はそう言うと腕が溶け落ち、そこからは連鎖するように体が崩壊していく。
「お、大沢先生?」
そして大沢先生は、イヴァンナ ・マハノヴァと河村亜美の目の前でその命の灯火を燃やし尽くした。
残ったのは、ゲル状になった大沢先生のようなもの。ようやく目的の人を見つけ出したイヴァンナ ・マハノヴァは呆然とし、そして状況を察した河村亜美が「ふざけるな! お前、大沢先生って奴だろ!? お前のために茶々は! 茶々は……クソ、命を懸けて来たんだから救われるべきでしょ……」怒りを表した。
「誰もが望むような展開ならばそうだろうな」
男の声が、指揮官の声が大沢先生がいた場所よりもさらに奥にある溶けかけた何かから聞こえる。それは体を起こし、イヴァンナ ・マハノヴァ達を見た。
「死んだことで毒性が消失したようだ。おかげで長くは持たないが私は君たちと戦える」
その声は苦しそうにしながらもどこか嬉しそうに笑い声をあげ。溶けかけた金属と溶けかけた肉の混ざったその体を引きずってイヴァンナ・マハノヴァ達に腕を伸ばし、向けながら近づいていく。
「な、なんでそんな状態で生きてるの……指揮官」
「は、はは。死が近づいてくる。こんなにも苦しいのなら、こんなにも痛いになら。戦いなど求めはしなかった。恨むぞカジリカン人の血を、この技術を。
は、ははは! だが、さぁ行くぞ我が愛しの兵器よ! 我が配下よ! 彫り込まれたものとは言え私は戦いを楽しみ、求める感情は本物故に!」
「指揮官話通じてないし……言ってる事訳わからないし……お、おいどうすんだよ」
河村亜美が尋ねるとイヴァンナ ・マハノヴァは河村亜美の手を取ってもと来た道へと走り出した。
「ちょ、倒さなくていいの!?」
「大沢先生は私たちに無駄に戦って苦しんで欲しいわけでは決してない! あの人は毒づいてもそう言う人だった! 長くは持たないなら逃げて勝手に死ぬのを狙うべきだ! だから逃げる!
だが、あぁ、クソ! クソ! この手で殺してやりたい! あのような悍ましいものから生まれたのか私は! どうして! どうして……私は、私達は普通の人としてこの世界に生まれなかったのだ。
そうすれば、気兼ねなく大沢先生と茶々と蜜柑……四人で過ごす道もあったと言うのに」
手を引かれながらも河村亜美は、イヴァンナ ・マハノヴァの涙を見た。歯を食いしばり血の滲むような形相で怨敵となった生みの親から逃げるその表情を。
苦しみ、悲しみ、怒り。ありとあらゆる負の感情がそこにあるような気がした。
そんなイヴァンナ ・マハノヴァの思いを踏みにじるかのように。陸の指揮官は先回りし、壁を突き抜けて前に立ち塞がる。逆方向へと逃げ出そうと踵を返すと。天井を突き抜けてボロボロになった空の指揮官が現れた。空の指揮官は「見つけた」と言って、男の物と思わしき左腕を放り捨てる。
「あぁ……あぁあああああ! 亜美! 構えろ! 空の方を任せたぞ!」
「……おう」
怨敵に挟まれ発狂したイヴァンナ ・マハノヴァが銃を構え、武装して装甲を固める。その結果としてイヴァンナ ・マハノヴァの後ろにいた河村亜美と能力によって発生した巨大な武装に隔たれた。
狭い通路での戦いが始まる。躱すもクソもなく体力勝負でしかない撃ち合いを得て。
「はぁ、はぁ……い、生きてる? イ、イヴァンナのこの尻尾みたいなのが盾になったの? た、助かったよイヴァンナ。……イヴァンナ? ちょっ、武装が消滅しかかってる!? イヴァンナ !」
生き残った河村亜美は背後を見た。そこには生き絶えた陸の指揮官の残骸と穴だらけなったイヴァンナ ・マハノヴァという結果があった。相討ちになったのだ。
「何なの……本当に」
「どうやら生き残ったのは我々だけのようだな」
空の指揮官が再起動したかの様に意識を取り戻し、腕を構える。
「何でこんな結果に……」
河村亜美は武器を落とし力なく座り込んだ。その姿は死を覚悟したというよりは生を諦めた様な様子だった。
『こっちから銃声が聞こえたんだよ』
「あぁ……行きたくねぇなぁ。また核の擬人じゃあねぇだろうな。俺、もう食いたくねぇんだけど」
「いや、死んだら10秒近くの時間かけて心臓が自爆するなんて法則なら。
その10秒でできる何かの対策がここにあったでしょ。
何で心臓引き抜いて飲み込むなんて方法取るのよ。
バカなの? やっぱりバカなんでしょ文兵。
世界にとっての核シェルターになる! って言ってるものよ? 引くわー、本当に色々と引くわ。
擬人とは言え人間の心臓を食べるとか。核が体内で爆発したのに平気なところとか気持ち悪くて仕方がないわよ」
そんな時、空の指揮官よりも向こう側の廊下から会話が聞こえる。その声を聞いた時空の指揮官は「戦いにもならない男がきたか、名残惜しいが終わりだ」と言ってた超振動刀で自身の首を切り裂いて死亡した。
「おー、おー派手にやった感じだな……ニコ、この状況をどう思う?」
向こう側からやってきた口元が赤い男が、河村亜美に向かって携帯端末を向ける。すると携帯端末から『さっき取得した情報から考えて、彼女の後ろにいるのが鹵獲されたイヴァンナ ・マハノヴァって人だね。それで状況的に一緒に戦った様子だから。敵の敵ってところかな』と携帯端末から声が出た。
「成る程ねぇ……仲間ができるかもしれないって事でリーダーに言われて来たんだからスカウトするか?」
『うーん……研修期間というか様子を見ることにはなると思うけど。そうだね、スカウトした方がいいと思うんだよ』
「了解、おいそこの女。ちょっと来い」
「は? ……っえ?」
生き延びた女、河村亜美は訳もわからず。やってきたばかりのくせして大暴れした様子の中田文兵に連れ去られるにだった。
その後、片腕を失くし気絶していただけのウー・チーを中田文兵が応急処置。
ようやく上空都市にたどり着いた天城蜜柑と木下芳奈が河村亜美から事の顛末《てんまつ》を聞いて嘆くことになった。
「置いていかないって! 置いていかないって言ったじゃないか大沢先生! 嫌だ! 私、大沢先生が居ないと」
もはや声も出せず力なくへたり込む天城蜜柑とは対照的に木下芳奈は嘆き絶叫する。そしてそのままの勢いで自身のクビに手をかけバチリと腕を走って電気を頭部に流そうと、端的に言えば自殺を図る。
「やめろ」
その自殺を、中田文兵が手を無理やり首から離させて止めた。
「は、離して! 離してくれ……お願いだから、死なせて……」
生きる意味をなくしたかの様な半狂乱になる木下芳奈に中田文兵は、面倒臭そうに言葉をかける。
「最悪なことを教えてやる。この世界は何でもありだ。突然別世界の戦闘狂に連れ去られ、追い詰められた普通の人間が突然力を持っても不思議じゃねぇし。その能力がおそらく命を削るものでも不思議でも何でもねぇ」
大沢先生の死を突きつける様な言葉に木下芳奈が中田文兵を睨むが、それを機にする素振りもなく言葉を続ける。
「もう一度言う、この世界は何でもありだ。それは即ちあらゆる可能性が無いわけがねぇんだよ」
「何が……言いたいのかな?」
「あー、つまりだ。この世界にはその大沢先生って奴を生き返らせる方法がある可能性があるって事だ。魂の存在は俺の周りにさっきまで居て、残党の不意打ちで消滅した女の存在が証明してくれる。完全に生き返らせることが厳しくても魂の具現化とかそんなんで妥協するなら、再開する方法は案外すぐに見つかるかもしんねぇぜ? どうだ? これらを踏まえて自殺するかどうか一考しろや、俺らの仲間になるなら仲間のよしみってことで協力するぜ?」
長い沈黙が訪れる。中田文兵の言葉を整理して理解していく。そして木下芳奈は息を飲んだ後に再度尋ねた「仲間って言ったけど……君の組織? で私は何をしたらいい?」と。中田文兵はその言葉を聞いて笑みを作り「リーダーの天月博人。またはサブリーダーみてぇな立ち位置の楽善二治って奴に指示を仰《あお》げ。
もしくは俺たち専用のネット掲示板みてぇなのがあるから、そこから自分ができそうな仕事を受注しろ。オススメがあるかどうか聞けばニコ、聞屋《ぶんや》気取りの文月見世が次の日までには抜粋してくれるぞ。
その様子だとOKだな? それじゃあようこそ、組織の名前はピンキーって奴の所為でクッソなげぇが【縁という糸に紡がれた鏡のような人達】ってんだ。一緒に崩壊していく世界を救おうぜ?」と木下芳奈を組織に向かい入れた。
全てが終わる。上空都市はウー・チーによって破壊され海の底へと落ちていった。
日本本土に木下芳奈、天城蜜柑、ウー・チー。そして帰る場所が無くなった河村亜美を送り届けた際、塾考を終えたような心に決めた様子で他3人も組織に加わりたいと言って、世界を救う仲間となった。
『あんな事言っても良かったのかな? 生き返らせるとか何とか、そんな方法、有るかもしれないけれど詳しい情報は聞いたこともないし。こう、倫理的な問題とかどうなの?』
「さぁな。人は大切な人が死んだ時、もう一度会いたい、死んだ事が夢か嘘で有るように、生き返らないかな。何て思うもんだ。アイツらはそれが倫理なんてどうでも良いと思うくらい強かったって事だろうよ。
俺はヌェちゃんを生き返らせて万が一こんなことに巻き込むと思うとその気は無くなったから断定はできねぇけどさ」
伊藤改に「口開けば放射能を吐き出す怪物と化して居るので、僕のところに来て体内洗浄をしやがれください」と言われたので海を瞬間移動する帰り道、中田文兵はそんな事をニコに語った。
目にするのは半液状化した部屋、そして銃撃による戦闘の痕に囲まれながら辛うじて人の形をした大沢先生が居た。
「来てしまったか。……ゴメンな助けに来てくれたのにこんな結果になって」
大沢先生はそう言うと腕が溶け落ち、そこからは連鎖するように体が崩壊していく。
「お、大沢先生?」
そして大沢先生は、イヴァンナ ・マハノヴァと河村亜美の目の前でその命の灯火を燃やし尽くした。
残ったのは、ゲル状になった大沢先生のようなもの。ようやく目的の人を見つけ出したイヴァンナ ・マハノヴァは呆然とし、そして状況を察した河村亜美が「ふざけるな! お前、大沢先生って奴だろ!? お前のために茶々は! 茶々は……クソ、命を懸けて来たんだから救われるべきでしょ……」怒りを表した。
「誰もが望むような展開ならばそうだろうな」
男の声が、指揮官の声が大沢先生がいた場所よりもさらに奥にある溶けかけた何かから聞こえる。それは体を起こし、イヴァンナ ・マハノヴァ達を見た。
「死んだことで毒性が消失したようだ。おかげで長くは持たないが私は君たちと戦える」
その声は苦しそうにしながらもどこか嬉しそうに笑い声をあげ。溶けかけた金属と溶けかけた肉の混ざったその体を引きずってイヴァンナ・マハノヴァ達に腕を伸ばし、向けながら近づいていく。
「な、なんでそんな状態で生きてるの……指揮官」
「は、はは。死が近づいてくる。こんなにも苦しいのなら、こんなにも痛いになら。戦いなど求めはしなかった。恨むぞカジリカン人の血を、この技術を。
は、ははは! だが、さぁ行くぞ我が愛しの兵器よ! 我が配下よ! 彫り込まれたものとは言え私は戦いを楽しみ、求める感情は本物故に!」
「指揮官話通じてないし……言ってる事訳わからないし……お、おいどうすんだよ」
河村亜美が尋ねるとイヴァンナ ・マハノヴァは河村亜美の手を取ってもと来た道へと走り出した。
「ちょ、倒さなくていいの!?」
「大沢先生は私たちに無駄に戦って苦しんで欲しいわけでは決してない! あの人は毒づいてもそう言う人だった! 長くは持たないなら逃げて勝手に死ぬのを狙うべきだ! だから逃げる!
だが、あぁ、クソ! クソ! この手で殺してやりたい! あのような悍ましいものから生まれたのか私は! どうして! どうして……私は、私達は普通の人としてこの世界に生まれなかったのだ。
そうすれば、気兼ねなく大沢先生と茶々と蜜柑……四人で過ごす道もあったと言うのに」
手を引かれながらも河村亜美は、イヴァンナ ・マハノヴァの涙を見た。歯を食いしばり血の滲むような形相で怨敵となった生みの親から逃げるその表情を。
苦しみ、悲しみ、怒り。ありとあらゆる負の感情がそこにあるような気がした。
そんなイヴァンナ ・マハノヴァの思いを踏みにじるかのように。陸の指揮官は先回りし、壁を突き抜けて前に立ち塞がる。逆方向へと逃げ出そうと踵を返すと。天井を突き抜けてボロボロになった空の指揮官が現れた。空の指揮官は「見つけた」と言って、男の物と思わしき左腕を放り捨てる。
「あぁ……あぁあああああ! 亜美! 構えろ! 空の方を任せたぞ!」
「……おう」
怨敵に挟まれ発狂したイヴァンナ ・マハノヴァが銃を構え、武装して装甲を固める。その結果としてイヴァンナ ・マハノヴァの後ろにいた河村亜美と能力によって発生した巨大な武装に隔たれた。
狭い通路での戦いが始まる。躱すもクソもなく体力勝負でしかない撃ち合いを得て。
「はぁ、はぁ……い、生きてる? イ、イヴァンナのこの尻尾みたいなのが盾になったの? た、助かったよイヴァンナ。……イヴァンナ? ちょっ、武装が消滅しかかってる!? イヴァンナ !」
生き残った河村亜美は背後を見た。そこには生き絶えた陸の指揮官の残骸と穴だらけなったイヴァンナ ・マハノヴァという結果があった。相討ちになったのだ。
「何なの……本当に」
「どうやら生き残ったのは我々だけのようだな」
空の指揮官が再起動したかの様に意識を取り戻し、腕を構える。
「何でこんな結果に……」
河村亜美は武器を落とし力なく座り込んだ。その姿は死を覚悟したというよりは生を諦めた様な様子だった。
『こっちから銃声が聞こえたんだよ』
「あぁ……行きたくねぇなぁ。また核の擬人じゃあねぇだろうな。俺、もう食いたくねぇんだけど」
「いや、死んだら10秒近くの時間かけて心臓が自爆するなんて法則なら。
その10秒でできる何かの対策がここにあったでしょ。
何で心臓引き抜いて飲み込むなんて方法取るのよ。
バカなの? やっぱりバカなんでしょ文兵。
世界にとっての核シェルターになる! って言ってるものよ? 引くわー、本当に色々と引くわ。
擬人とは言え人間の心臓を食べるとか。核が体内で爆発したのに平気なところとか気持ち悪くて仕方がないわよ」
そんな時、空の指揮官よりも向こう側の廊下から会話が聞こえる。その声を聞いた時空の指揮官は「戦いにもならない男がきたか、名残惜しいが終わりだ」と言ってた超振動刀で自身の首を切り裂いて死亡した。
「おー、おー派手にやった感じだな……ニコ、この状況をどう思う?」
向こう側からやってきた口元が赤い男が、河村亜美に向かって携帯端末を向ける。すると携帯端末から『さっき取得した情報から考えて、彼女の後ろにいるのが鹵獲されたイヴァンナ ・マハノヴァって人だね。それで状況的に一緒に戦った様子だから。敵の敵ってところかな』と携帯端末から声が出た。
「成る程ねぇ……仲間ができるかもしれないって事でリーダーに言われて来たんだからスカウトするか?」
『うーん……研修期間というか様子を見ることにはなると思うけど。そうだね、スカウトした方がいいと思うんだよ』
「了解、おいそこの女。ちょっと来い」
「は? ……っえ?」
生き延びた女、河村亜美は訳もわからず。やってきたばかりのくせして大暴れした様子の中田文兵に連れ去られるにだった。
その後、片腕を失くし気絶していただけのウー・チーを中田文兵が応急処置。
ようやく上空都市にたどり着いた天城蜜柑と木下芳奈が河村亜美から事の顛末《てんまつ》を聞いて嘆くことになった。
「置いていかないって! 置いていかないって言ったじゃないか大沢先生! 嫌だ! 私、大沢先生が居ないと」
もはや声も出せず力なくへたり込む天城蜜柑とは対照的に木下芳奈は嘆き絶叫する。そしてそのままの勢いで自身のクビに手をかけバチリと腕を走って電気を頭部に流そうと、端的に言えば自殺を図る。
「やめろ」
その自殺を、中田文兵が手を無理やり首から離させて止めた。
「は、離して! 離してくれ……お願いだから、死なせて……」
生きる意味をなくしたかの様な半狂乱になる木下芳奈に中田文兵は、面倒臭そうに言葉をかける。
「最悪なことを教えてやる。この世界は何でもありだ。突然別世界の戦闘狂に連れ去られ、追い詰められた普通の人間が突然力を持っても不思議じゃねぇし。その能力がおそらく命を削るものでも不思議でも何でもねぇ」
大沢先生の死を突きつける様な言葉に木下芳奈が中田文兵を睨むが、それを機にする素振りもなく言葉を続ける。
「もう一度言う、この世界は何でもありだ。それは即ちあらゆる可能性が無いわけがねぇんだよ」
「何が……言いたいのかな?」
「あー、つまりだ。この世界にはその大沢先生って奴を生き返らせる方法がある可能性があるって事だ。魂の存在は俺の周りにさっきまで居て、残党の不意打ちで消滅した女の存在が証明してくれる。完全に生き返らせることが厳しくても魂の具現化とかそんなんで妥協するなら、再開する方法は案外すぐに見つかるかもしんねぇぜ? どうだ? これらを踏まえて自殺するかどうか一考しろや、俺らの仲間になるなら仲間のよしみってことで協力するぜ?」
長い沈黙が訪れる。中田文兵の言葉を整理して理解していく。そして木下芳奈は息を飲んだ後に再度尋ねた「仲間って言ったけど……君の組織? で私は何をしたらいい?」と。中田文兵はその言葉を聞いて笑みを作り「リーダーの天月博人。またはサブリーダーみてぇな立ち位置の楽善二治って奴に指示を仰《あお》げ。
もしくは俺たち専用のネット掲示板みてぇなのがあるから、そこから自分ができそうな仕事を受注しろ。オススメがあるかどうか聞けばニコ、聞屋《ぶんや》気取りの文月見世が次の日までには抜粋してくれるぞ。
その様子だとOKだな? それじゃあようこそ、組織の名前はピンキーって奴の所為でクッソなげぇが【縁という糸に紡がれた鏡のような人達】ってんだ。一緒に崩壊していく世界を救おうぜ?」と木下芳奈を組織に向かい入れた。
全てが終わる。上空都市はウー・チーによって破壊され海の底へと落ちていった。
日本本土に木下芳奈、天城蜜柑、ウー・チー。そして帰る場所が無くなった河村亜美を送り届けた際、塾考を終えたような心に決めた様子で他3人も組織に加わりたいと言って、世界を救う仲間となった。
『あんな事言っても良かったのかな? 生き返らせるとか何とか、そんな方法、有るかもしれないけれど詳しい情報は聞いたこともないし。こう、倫理的な問題とかどうなの?』
「さぁな。人は大切な人が死んだ時、もう一度会いたい、死んだ事が夢か嘘で有るように、生き返らないかな。何て思うもんだ。アイツらはそれが倫理なんてどうでも良いと思うくらい強かったって事だろうよ。
俺はヌェちゃんを生き返らせて万が一こんなことに巻き込むと思うとその気は無くなったから断定はできねぇけどさ」
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