17 / 84
祝いと呪いのブレンドコーヒー 7
少ししんみりとした気持ちで運ばれていくのを黙って見送れば二人はすぐにくるりと踵を返して戻ってきて宮下は回収していく物があると言う。
「玄関側の古い曇りガラスは模様が入ってる手が込んだやつだし今時手に入らないからね。
使える物は使いたいけど今時の防犯ガラスと違ってあまり強度がないから二階の障子代わりに使おうと思うんだ。障子貼りかえるの面倒だろ?
和室から洋室にするけどやっぱりこのガラスはレトロでかっこいいから処分するのはもったいないから」
物凄く良い顔をして言いながら丁寧に毛布でくるんで車に乗せて行く。なんか全部持って行かれる錯覚をするも壁を抜いたりしている様子を見ればそうではない事は判明している。話を聞きながらついて行けばそこでやっと車の中を見て納得した。
「トラックじゃないからどうしたかと思ったら中はこんな風に板で区切られてたんだ」
「うん。建具屋だから襖とか曲がらないように運ぶための車なんだ」
「へー、古い町だから繁盛してそうだな」
聞けばそうでもないと言う。
「今はアイロンで襖が貼れたりしちゃうからね。みんな安く上げる方を努力するから」
苦笑交じりの声だが
「あ、古い町なりに宿場町特有の宿とかお寺とかからの張替の依頼もあるから安定はしてるんだ。
今の所くいっぱぐれる事もないし先輩の長沢さんからお客様の引き継ぎをしているから。長沢さんが元気なうちに一緒に顔を出してもらいながら顔を売ってるよ」
昔は意味もなくにこにこと笑っていた笑顔だったと思ったが、今となっては宮下の人となりを表しているようで凄い武器のように見えた。
にじみ出る人の良さと言う笑顔に安心感を覚え商売客相手にはぴったりだと思いながらふと今の俺はどんな顔をしているのだろうかと考えるも
「ガラスが割れる前に一度戻るぞ」
浩太さんの一声に
「はい!じゃあ、一度置いてくるから、そうしたらお互いご飯にしよう」
言われて気が付いた。とっくに昼を回っていた事に。
「あー、なんかあっという間だった」
「身体動かして仕事に追われるとそう言うもんだろ」
この中で一番足取り軽く働いていた篠田は外した窓の代わりに板を打ちつけていた。
「まぁ、獣の侵入対策ぐらいしか効果ないから。足元暗くなるから注意しろよ」
そんな危険を促す声にこの薄暗い中で俺は後片付けを続けなくてはと思えばいい事を思い付いた。
「悪いけど午後からキャンプ用のランプを幾つか買って来ても良いか?」
部屋の片隅に置けば足元位見えるからいいし非常灯としてもあっても良いかと考えれば
「それだったらうちにもある。急いで買う事はないから貸してやるから昼食後は一度ゴミを運びに出そう。一気に出せばあっと言う間に終わるからな。その後の帰り道に工房の方に顔を出そう。早めに意見を言わないと魔王好みにされちまうぞ」
「いや、もう俺と魔王のストライクゾーンが全く同じ方だからお任せの方が失敗しない気もするから口出す気はないかも」
なんて言うも
「それは止めておけ」
と何故か真顔で言われた。
あ、なんか急に寒気が……
いや、寒気の前に目の前のゴミの山を眺めながら節約の為にちまちまとゴミの日に出そうと節約も併せて家にも持ち帰ったりしながら考えていたのだが
「まだ連絡は来てないけどそろそろ着工すると思うから。連絡が来る前に片づけれる物は片づけるぞ」
「おう、もうそんなにも早く動くんだ」
俺がリフォームの話しを持って行ったのはまだほんのひと月前の話しだと思ってたのにと言うも
「先に水道と下水道があるからな」
終わらない事には車で乗りこむ事も出来ない理由はは駐車場側から水道管が走っているからだと言う。
「それとだ」
言いながら玄関側から顔を出して
「実桜さーん、そろそろお昼にしよう!」
「はい!じゃあ、片づけたら行きますね!」
タオルを首に巻いてつばの大きな麦わら帽子をかぶる兄貴の姿は初めて紹介してもらってから毎日顔を合わせる一番の顔馴染になっていた。
「玄関側の古い曇りガラスは模様が入ってる手が込んだやつだし今時手に入らないからね。
使える物は使いたいけど今時の防犯ガラスと違ってあまり強度がないから二階の障子代わりに使おうと思うんだ。障子貼りかえるの面倒だろ?
和室から洋室にするけどやっぱりこのガラスはレトロでかっこいいから処分するのはもったいないから」
物凄く良い顔をして言いながら丁寧に毛布でくるんで車に乗せて行く。なんか全部持って行かれる錯覚をするも壁を抜いたりしている様子を見ればそうではない事は判明している。話を聞きながらついて行けばそこでやっと車の中を見て納得した。
「トラックじゃないからどうしたかと思ったら中はこんな風に板で区切られてたんだ」
「うん。建具屋だから襖とか曲がらないように運ぶための車なんだ」
「へー、古い町だから繁盛してそうだな」
聞けばそうでもないと言う。
「今はアイロンで襖が貼れたりしちゃうからね。みんな安く上げる方を努力するから」
苦笑交じりの声だが
「あ、古い町なりに宿場町特有の宿とかお寺とかからの張替の依頼もあるから安定はしてるんだ。
今の所くいっぱぐれる事もないし先輩の長沢さんからお客様の引き継ぎをしているから。長沢さんが元気なうちに一緒に顔を出してもらいながら顔を売ってるよ」
昔は意味もなくにこにこと笑っていた笑顔だったと思ったが、今となっては宮下の人となりを表しているようで凄い武器のように見えた。
にじみ出る人の良さと言う笑顔に安心感を覚え商売客相手にはぴったりだと思いながらふと今の俺はどんな顔をしているのだろうかと考えるも
「ガラスが割れる前に一度戻るぞ」
浩太さんの一声に
「はい!じゃあ、一度置いてくるから、そうしたらお互いご飯にしよう」
言われて気が付いた。とっくに昼を回っていた事に。
「あー、なんかあっという間だった」
「身体動かして仕事に追われるとそう言うもんだろ」
この中で一番足取り軽く働いていた篠田は外した窓の代わりに板を打ちつけていた。
「まぁ、獣の侵入対策ぐらいしか効果ないから。足元暗くなるから注意しろよ」
そんな危険を促す声にこの薄暗い中で俺は後片付けを続けなくてはと思えばいい事を思い付いた。
「悪いけど午後からキャンプ用のランプを幾つか買って来ても良いか?」
部屋の片隅に置けば足元位見えるからいいし非常灯としてもあっても良いかと考えれば
「それだったらうちにもある。急いで買う事はないから貸してやるから昼食後は一度ゴミを運びに出そう。一気に出せばあっと言う間に終わるからな。その後の帰り道に工房の方に顔を出そう。早めに意見を言わないと魔王好みにされちまうぞ」
「いや、もう俺と魔王のストライクゾーンが全く同じ方だからお任せの方が失敗しない気もするから口出す気はないかも」
なんて言うも
「それは止めておけ」
と何故か真顔で言われた。
あ、なんか急に寒気が……
いや、寒気の前に目の前のゴミの山を眺めながら節約の為にちまちまとゴミの日に出そうと節約も併せて家にも持ち帰ったりしながら考えていたのだが
「まだ連絡は来てないけどそろそろ着工すると思うから。連絡が来る前に片づけれる物は片づけるぞ」
「おう、もうそんなにも早く動くんだ」
俺がリフォームの話しを持って行ったのはまだほんのひと月前の話しだと思ってたのにと言うも
「先に水道と下水道があるからな」
終わらない事には車で乗りこむ事も出来ない理由はは駐車場側から水道管が走っているからだと言う。
「それとだ」
言いながら玄関側から顔を出して
「実桜さーん、そろそろお昼にしよう!」
「はい!じゃあ、片づけたら行きますね!」
タオルを首に巻いてつばの大きな麦わら帽子をかぶる兄貴の姿は初めて紹介してもらってから毎日顔を合わせる一番の顔馴染になっていた。
あなたにおすすめの小説
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。
言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。
喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。
12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。
====
●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。
前作では、二人との出会い~同居を描いています。
順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。
※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。
【完】夫に売られて、売られた先の旦那様に溺愛されています。
112
恋愛
夫に売られた。他所に女を作り、売人から受け取った銀貨の入った小袋を懐に入れて、出ていった。呆気ない別れだった。
ローズ・クローは、元々公爵令嬢だった。夫、だった人物は男爵の三男。到底釣合うはずがなく、手に手を取って家を出た。いわゆる駆け落ち婚だった。
ローズは夫を信じ切っていた。金が尽き、宝石を差し出しても、夫は自分を愛していると信じて疑わなかった。
※完結しました。ありがとうございました。
理想の男性(ヒト)は、お祖父さま
たつみ
恋愛
月代結奈は、ある日突然、見知らぬ場所に立っていた。
そこで行われていたのは「正妃選びの儀」正妃に側室?
王太子はまったく好みじゃない。
彼女は「これは夢だ」と思い、とっとと「正妃」を辞退してその場から去る。
彼女が思いこんだ「夢設定」の流れの中、帰った屋敷は超アウェイ。
そんな中、現れたまさしく「理想の男性」なんと、それは彼女のお祖父さまだった!
彼女を正妃にするのを諦めない王太子と側近魔術師サイラスの企み。
そんな2人から彼女守ろうとする理想の男性、お祖父さま。
恋愛よりも家族愛を優先する彼女の日常に否応なく訪れる試練。
この世界で彼女がくだす決断と、肝心な恋愛の結末は?
◇◇◇◇◇設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。
本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。
R-Kingdom_1
他サイトでも掲載しています。
王宮地味女官、只者じゃねぇ
宵森みなと
恋愛
地味で目立たず、ただ真面目に働く王宮の女官・エミリア。
しかし彼女の正体は――剣術・魔法・語学すべてに長けた首席卒業の才女にして、実はとんでもない美貌と魔性を秘めた、“自覚なしギャップ系”最強女官だった!?
王女付き女官に任命されたその日から、運命が少しずつ動き出す。
訛りだらけのマーレン語で王女に爆笑を起こし、夜会では仮面を外した瞬間、貴族たちを騒然とさせ――
さらには北方マーレン国から訪れた黒髪の第二王子をも、一瞬で虜にしてしまう。
「おら、案内させてもらいますけんの」
その一言が、国を揺らすとは、誰が想像しただろうか。
王女リリアは言う。「エミリアがいなければ、私は生きていけぬ」
副長カイルは焦る。「このまま、他国に連れて行かれてたまるか」
ジークは葛藤する。「自分だけを見てほしいのに、届かない」
そしてレオンハルト王子は心を決める。「妻に望むなら、彼女以外はいない」
けれど――当の本人は今日も地味眼鏡で事務作業中。
王族たちの心を翻弄するのは、無自覚最強の“訛り女官”。
訛って笑いを取り、仮面で魅了し、剣で守る――
これは、彼女の“本当の顔”が王宮を変えていく、壮麗な恋と成長の物語。
★この物語は、「枯れ専モブ令嬢」の5年前のお話です。クラリスが活躍する前で、少し若いイザークとライナルトがちょっと出ます。
【完結】能力が無くても聖女ですか?
天冨 七緒
恋愛
孤児院で育ったケイトリーン。
十二歳になった時特殊な能力が開花し、体調を崩していた王妃を治療する事に…
無事に王妃を完治させ、聖女と呼ばれるようになっていたが王妃の治癒と引き換えに能力を使い果たしてしまった。能力を失ったにも関わらず国王はケイトリーンを王子の婚約者に決定した。
周囲は国王の命令だと我慢する日々。
だが国王が崩御したことで、王子は周囲の「能力の無くなった聖女との婚約を今すぐにでも解消すべき」と押され婚約を解消に…
行く宛もないが婚約解消されたのでケイトリーンは王宮を去る事に…門を抜け歩いて城を後にすると突然足元に魔方陣が現れ光に包まれる…
「おぉー聖女様ぁ」
眩い光が落ち着くと歓声と共に周囲に沢山の人に迎えられていた。ケイトリーンは見知らぬ国の聖女として召喚されてしまっていた…
タイトル変更しました
召喚されましたが聖女様ではありません…私は聖女様の世話係です