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星空が広がるように 2
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柱は家族の象徴、そんな事考えた事もなかった。
家族を養う気のない大黒柱と大黒柱を支える事を早々に止めてしまった柱。そして早々に見切りをつけた俺。
思わず固まってしまった俺に飯田さんは吉野家のタブーになっている家族の話しをした事に気づいてすぐにすみませんと謝ってくれた。ある程度の事を青山さんから聞いているだろうし、一番グロッキーな状態だった時の俺を知っているのだ。柱から慌てて離れて下に行きましょうと言う言葉に従い梯子のような階段を踏み外さないように降りる。
「本当にすみません。軽率でした」
「気にしないでください。うちが特殊なのはわかってるので」
はははと力なく笑いながらあばらハウスの外へと出れば大分陽も上り、陸斗が顔を洗っている所に出くわした。
「おはようございます」
「陸斗おはよう。飯田さんが来てくれたんだけど……」
そう言えば忙しいとか言ってなかったかこの人はと思えば
「今回は一泊しか出来ないので明日の早朝に帰ります」
「いつも思うけどもうちょっと体休めようよ」
「いえ、今回は綾人さんが怪我をしたと聞いたので青山にも様子を見に行って来いと言われてます。遅れましたがこれお見舞いです」
涼しげなゼリーやケーキなどの詰め合わせだった。
「うちのパティシエが陸斗君が好きそうなものをと用意してくれました」
「俺のお見舞いじゃないんだ?」
「いえ、そういうわけではなく!」
慌てる飯田さんに思わず笑ってしまう。俺のお見舞いと言うのも本当だろうし、少しでも陸斗と仲良くなれますようにと言う気遣いの意味もあるはずだ。
「それよりもそろそろご飯にしよう。飯田さんも休まないと」
「ではさっそく畑に行ってきます!」
「ああ、もう。電気柵に気を付けてよ!」
「はい!行ってきます」
ひゃっはー!なんて叫び声が聞こえそうなテンションにやっぱり寝不足は人の本質を引き出すよなと、前回美味しいご飯を作ってくれた人と言う認識しかしてない陸斗は目を点にして顔を引き攣らせて立ち尽くしていた。陸斗にしたらあまり得意じゃない人種の部類だろうと思うも好きな野菜をかごいっぱいにして帰ってくる頃には大人しい従順なお犬様に戻っているから大丈夫と心の中で紹介をしておく。うん。うっかり口に出して聞かれた気まずいじゃんと言い訳している割には心の中では言いたい放題だけどね。
「飯田さんはほっといて良いから烏骨鶏達を出してあげよう」
「はい」
そう言って俺達は烏骨鶏ハウスに向かった。
月曜に工事が入ったので一日中小屋の中に入れて置いたら運動不足なのか夜中まで騒がしかった為に火曜日にいらない角材を貰って陸斗と烏骨鶏用の柵を作った。余っていたネットフェンスを角材に結束バンドで縛りつけただけの物。必要なのは柵を好きな場所に持って行ける移動式と言う事。
それなりの大きさが出来たので小屋から烏骨鶏を柵の中に入れて雑草がいっぱいある所まで移動して放置。一応猛禽類対策の為にトタンを上にかぶせてあるが、それだけで烏骨鶏達も逃げようとしないのだから安上がりだ。
昨日一日は作ってすぐに移動させて数時間ごとに場所を変えて夜は静かに寝てくれたのでこれぐらいで十分だろうと思えばいかにいつもの放置状況は運動させ過ぎだったか理解してしまう。脂身が足りないと言われるわけだと納得するも烏骨鶏を小屋から柵の中に出して移動しているところに飯田さんとはちあい、じっと烏骨鶏を見つめる。
「やっぱりもう少し丸っとさせたいなぁ」
「烏骨鶏は小型なので限界があります」
「俺が思うには……」
じっと俺達を見て
「陸斗くんはもちろん綾人さんももっと丸っとなってもいいと思います」
「俺達を太らせてどうするつもりだあああっ?!」
身の危険を察して陸斗を連れて距離を取れば飯田さんは何も言わずただ笑うだけ。逆に怖いんですけどおおお!!!心の中で恐怖の絶叫を吠えた後はいつも烏骨鶏を抱いて癒されるけど、今は別荘に隔離中の烏骨鶏に助けを求められなく、代わりに陸斗の頭を抱きしめて心の平穏を保とうとする。
そして悪魔は笑う。
「ご飯作りますね」
いつもならよだれを垂らして待ち構える一言なのに今日はやけに薄寒さを感じるのは、雨が降る予定なのか立ち込める霧のせいだと言う事にしておいた。
家族を養う気のない大黒柱と大黒柱を支える事を早々に止めてしまった柱。そして早々に見切りをつけた俺。
思わず固まってしまった俺に飯田さんは吉野家のタブーになっている家族の話しをした事に気づいてすぐにすみませんと謝ってくれた。ある程度の事を青山さんから聞いているだろうし、一番グロッキーな状態だった時の俺を知っているのだ。柱から慌てて離れて下に行きましょうと言う言葉に従い梯子のような階段を踏み外さないように降りる。
「本当にすみません。軽率でした」
「気にしないでください。うちが特殊なのはわかってるので」
はははと力なく笑いながらあばらハウスの外へと出れば大分陽も上り、陸斗が顔を洗っている所に出くわした。
「おはようございます」
「陸斗おはよう。飯田さんが来てくれたんだけど……」
そう言えば忙しいとか言ってなかったかこの人はと思えば
「今回は一泊しか出来ないので明日の早朝に帰ります」
「いつも思うけどもうちょっと体休めようよ」
「いえ、今回は綾人さんが怪我をしたと聞いたので青山にも様子を見に行って来いと言われてます。遅れましたがこれお見舞いです」
涼しげなゼリーやケーキなどの詰め合わせだった。
「うちのパティシエが陸斗君が好きそうなものをと用意してくれました」
「俺のお見舞いじゃないんだ?」
「いえ、そういうわけではなく!」
慌てる飯田さんに思わず笑ってしまう。俺のお見舞いと言うのも本当だろうし、少しでも陸斗と仲良くなれますようにと言う気遣いの意味もあるはずだ。
「それよりもそろそろご飯にしよう。飯田さんも休まないと」
「ではさっそく畑に行ってきます!」
「ああ、もう。電気柵に気を付けてよ!」
「はい!行ってきます」
ひゃっはー!なんて叫び声が聞こえそうなテンションにやっぱり寝不足は人の本質を引き出すよなと、前回美味しいご飯を作ってくれた人と言う認識しかしてない陸斗は目を点にして顔を引き攣らせて立ち尽くしていた。陸斗にしたらあまり得意じゃない人種の部類だろうと思うも好きな野菜をかごいっぱいにして帰ってくる頃には大人しい従順なお犬様に戻っているから大丈夫と心の中で紹介をしておく。うん。うっかり口に出して聞かれた気まずいじゃんと言い訳している割には心の中では言いたい放題だけどね。
「飯田さんはほっといて良いから烏骨鶏達を出してあげよう」
「はい」
そう言って俺達は烏骨鶏ハウスに向かった。
月曜に工事が入ったので一日中小屋の中に入れて置いたら運動不足なのか夜中まで騒がしかった為に火曜日にいらない角材を貰って陸斗と烏骨鶏用の柵を作った。余っていたネットフェンスを角材に結束バンドで縛りつけただけの物。必要なのは柵を好きな場所に持って行ける移動式と言う事。
それなりの大きさが出来たので小屋から烏骨鶏を柵の中に入れて雑草がいっぱいある所まで移動して放置。一応猛禽類対策の為にトタンを上にかぶせてあるが、それだけで烏骨鶏達も逃げようとしないのだから安上がりだ。
昨日一日は作ってすぐに移動させて数時間ごとに場所を変えて夜は静かに寝てくれたのでこれぐらいで十分だろうと思えばいかにいつもの放置状況は運動させ過ぎだったか理解してしまう。脂身が足りないと言われるわけだと納得するも烏骨鶏を小屋から柵の中に出して移動しているところに飯田さんとはちあい、じっと烏骨鶏を見つめる。
「やっぱりもう少し丸っとさせたいなぁ」
「烏骨鶏は小型なので限界があります」
「俺が思うには……」
じっと俺達を見て
「陸斗くんはもちろん綾人さんももっと丸っとなってもいいと思います」
「俺達を太らせてどうするつもりだあああっ?!」
身の危険を察して陸斗を連れて距離を取れば飯田さんは何も言わずただ笑うだけ。逆に怖いんですけどおおお!!!心の中で恐怖の絶叫を吠えた後はいつも烏骨鶏を抱いて癒されるけど、今は別荘に隔離中の烏骨鶏に助けを求められなく、代わりに陸斗の頭を抱きしめて心の平穏を保とうとする。
そして悪魔は笑う。
「ご飯作りますね」
いつもならよだれを垂らして待ち構える一言なのに今日はやけに薄寒さを感じるのは、雨が降る予定なのか立ち込める霧のせいだと言う事にしておいた。
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