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過密状態にご注意を 4
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スーパーでは一パック百円ちょっとぐらいのミョウガだが目の前にあるのは小粒ながらも三倍以上の量で同じお値段と言うミョウガの袋詰めをあるだけカゴに入れ、半分位は味噌漬けにしておこう。俺の好きな食べ頃は年末。みじん切りにしてご飯の上に置いてお茶をかけてさらっと食べたりおかゆの上に乗せても良しとミョウガの爽やかさと味噌の香りと塩分が最高の逸品だ。ただ味噌に漬けるだけなのに最高!と今から涎が垂れる。
年末を妄想しながら危険な野菜ゾーンを抜け、更にヤバイ位の危険地帯の魚と肉を買う。魚は主に海のお魚の干物だったりイカやエビなどの甲殻類。これは冷凍なのでそのまままた帰ったらそのうちエビフライでも作りたい。そして肉。鹿や猪ではない牛さんとか豚さんとか烏骨鶏じゃない鶏さん!
「とりあえず牛タン買い占めるぞ!」
「あらあら、よろしければ奥から出してきますよ?」
俺の気合にスーパーのおばちゃんの一言にそこまではと断れば周囲の従業員から笑いを誘い、ただ聞いていただけの再び顔を引きつらせる陸斗を引き連れて牛の塊やら豚バラを幾つもかごに放り込む。大人買いをした事がないのかあわあわしている陸斗を可愛いなぁと微笑ましく眺めながら他所に卵も四パック程かごに入れる。
「こんなにも大丈夫ですか?」
「あー、高校の奴らも来るし急に増える事もあるからな」
ついでに素麺も三袋ほど入れて置く。一袋一キロなんて便利な物あるじゃんと入れれば誰が食べるのだと言いたげな陸斗だが、流しそうめんをすればあっという間になくなるんだぞと今は言ってもわからないだろうから実際見せないと理解するのは無理だなと判断。
「先生達も材料持って来るって言ってましたが……」
「そんなの一瞬だ。あいつらの食欲半端ないぞ。米も買わないとな」
「水野先輩が持ってきてくれた……」
「あれじゃ足りん。買い足さないともたないぞ?」
なのでラーメンだったり素麺やうどんで誤魔化そうとする。勿論夜食も半端ないので炊き込みご飯を用意しておいておけば満足してくれるのでそうやって甘やかせてしまった以上用意はしておかなくてはいけない。なんせ脱走でもして店に辿り着く前に野生動物に遭遇したり近道をしようとしてくれて迷子になられて探すぐらいなら前もって用意しておくくらい楽な物じゃないかと言う物。
とにかく目についた心惹かれるお肉をどんどんかごに入れていく様子はキャンプの買い出しですか?パーティですか?と言えるくらいの量。
またもやレジでぎょっとする顔をににこやかな顔で財布からカードを取出し準備は万端。応援の人がレジを通過した籠をサッカー台に運んでくれる。陸斗の袖から覗く包帯姿に気を使ってかにこにことおばちゃんがどうしたの?なんて声をかけてくれて、陸斗は転んで、と本当の事は言わずに、でも恥ずかしそうに答えていた。
こうやって少しずつ知らない人と話が出来ればいいなと見守りながら打ち出されたレジの金額に沈黙する。判っていたとはいえお肉ってお高いですね。衝動買いのように買ったお肉やお魚その他もろもろ込みで三万超えました。純粋にほぼお肉が半分以上だなんてお肉恐ろしいでもおいしい。
うーんと唸りながらカードで気持ちよく一括払いをして荷物を詰める。どう考えてもクーラーボックスに入りきらなくって野菜売り場の人に発泡スチロールをいくつか分けてもらい、それに詰めて車に乗せる。保冷剤代わりに冷凍食品を一緒に詰めて山に帰る前に
「ガススタ寄るから」
「はい」
同じ敷地内に在るガソリンスタンドで車にもガソリンを補充してやっと帰る事になったのだ。久し振りに出歩いて俺に付き合わされて散々と言う様に歩きまわされすっかり疲れてしまった陸斗は昨夜の徹夜も手伝い車を走らせたらすぐに眠りに就いてしまった。
車をゆっくりと走らせ、途中無人野菜売り場に寄ってモロッコいんげんとか不思議な野菜を幾つも買ったりして一時間ほどして家に辿り着けばぞっとするような車の数が止まっていた。
ゆっくりと車の合間を縫いながら車庫へと向かえば車の音に気づいて水野と植田が迎えに来てくれた。
「綾人さんお帰り」
「お客さんいっぱい来てますよ?先生はご飯を先に食べて仕事してます」
「ただいま。先生は後で挨拶してくるから。
とりあえず先に顔出して来るから陸斗を起こして荷物を運んで仕分けしてくれ」
「肉と魚は冷凍庫?野菜、果物は冷蔵、その他は台所でいいっすか?」
「飲料も冷蔵で、とりあえずそうしてくれ。冷凍食品もみんな冷凍庫に持ってってくれ」
言われて慌てて挨拶に行けばちょうど昼過ぎで皆さん手持ちの弁当で小屋の中で車座になって昼食をしていた。
「すみません遅くなりました。ちょっと病院行ってたので……」
「ああ、お帰りなさい。すみません、今日来る事皆に話したらまた皆が来てしまって」
全く悪びれた様子のない笑顔で説明してくれた森下はそれでも深々と頭を下げてみせる頭脳犯だ。思わず笑ってしまうも皆さんちゃんと商売道具をお持ちなので病院の自動機でお金だして来て良かったとほっと胸をなでおろす。この人達こうやって小遣い稼ぎしてるんだと、交通費とガソリン代で半分は消えるだろうにと思うもそれでも来てくれるんだからありがたく思う。
「それで今後のスケジュールですが、屋根の予定が付いたので来週以降には屋根の張替が出来そうです」
「え?そんなにも早くできる物なのですか?」
「いつも無茶な話を聞いているのでたまには聞いてもらっただけです。ええ、そうですとも!たまにはこちらの無理難題も聞いてもらう程度に貸しは溜まっているのでね!なので今回はみんなで集まって相談です」
と爽やかに腹黒く言われても前回同様のメンバーは揃っていない。って言うか森下さんこう言う人なんだと少しだけ距離を取る。
だけどここには玄関のドアを持って行ってしまった長沢さんがいない。
大丈夫かと思って内田さんに聞けば窓や玄関の大きさは一切変えないと言う。今時の住宅事情では防犯の面から大きな窓は減少傾向にあるらしいがこんなド田舎に物取りに来る物好きはまずいないだろう。いや、居るかもしれないが、正直宮下商店からうちの所に辿り着くまで知らないとかなり不安な気持ちになると思う。うん。間違いなくこんな所に来る猛者は居ないだろう。もっと楽なお宅で仕事に励むだろう。そして捕まれと呪っておく。
「来週の月曜日には取りに行けるので何時頃にしましょうとまずはそこからです。
綾人さんの都合はどうなってますか?」
綾人さんって……頼むから吉野さんって呼んでくれと思うもそんな事でいちいち腹を立てる大人じゃないとスルーして
「そうですね。金曜日は仕事があるので金曜以外なら。
あと、来週は月曜日から水曜日まで二泊三日で母校の生徒が勉強会の合宿に来ます。水曜の早朝に飯田さんって言う東京から来客があるぐらいで他に予定はありませんが……」
「綾人ー、せんせーが金曜の夜に遊びに来るって言うのが抜けてるじゃん」
「って、先生。何をしに……」
飛び入り参加の先生は茶碗に自分の分のお茶を淹れてやって来てこの輪の中に混ざり
「大変申し訳ないんだがその勉強会に来る生徒に茅葺の作業を手伝わせてもらいたい。勿論無償の労働力として、まぁ、勉強の一環で」
「それはありがたいが……」
内田さんも驚き反面労働力はいくらあっても助かる物なので反対はしない。
「この村の最後の茅葺屋根、こんな家があったって事を教えてやりたいって言う社会経験と言うか……
あいつらには一生に一度の思い出になるだろうから、やりたいと思って出来るわけじゃない体験をさせてやりたいんですよ」
一生に一度所か年に何度も手にかける人達は柔らかな笑みを浮かべ静かに頷く。
「でしたら頼りにします。
一応軍手とタオルとマスク。防塵眼鏡もあれば用意してください。代用品として水中メガネでもスキーのゴーグルでもいいです。埃と細かな茅が舞うので長袖長ズボンを着てください」
「ありがとうございます。さっそく子供達に連絡します」
そう言って先生は深く頭を下げれば水野がダンボール箱を持って来た。
ミカンのイラストが描かれた箱を開けて
「おやつにどうぞ」
さっき見た覚えのあるミカンを目の前に出せばこの季節にミカンだなんてありがとうございますと皆さん容赦なく手に取って行くのを俺は引き攣りそうになる頬をなだめながらにこにことしたまま「一箱五千円……」と、心の中で呟きながらその景色を眺めていた。
年末を妄想しながら危険な野菜ゾーンを抜け、更にヤバイ位の危険地帯の魚と肉を買う。魚は主に海のお魚の干物だったりイカやエビなどの甲殻類。これは冷凍なのでそのまままた帰ったらそのうちエビフライでも作りたい。そして肉。鹿や猪ではない牛さんとか豚さんとか烏骨鶏じゃない鶏さん!
「とりあえず牛タン買い占めるぞ!」
「あらあら、よろしければ奥から出してきますよ?」
俺の気合にスーパーのおばちゃんの一言にそこまではと断れば周囲の従業員から笑いを誘い、ただ聞いていただけの再び顔を引きつらせる陸斗を引き連れて牛の塊やら豚バラを幾つもかごに放り込む。大人買いをした事がないのかあわあわしている陸斗を可愛いなぁと微笑ましく眺めながら他所に卵も四パック程かごに入れる。
「こんなにも大丈夫ですか?」
「あー、高校の奴らも来るし急に増える事もあるからな」
ついでに素麺も三袋ほど入れて置く。一袋一キロなんて便利な物あるじゃんと入れれば誰が食べるのだと言いたげな陸斗だが、流しそうめんをすればあっという間になくなるんだぞと今は言ってもわからないだろうから実際見せないと理解するのは無理だなと判断。
「先生達も材料持って来るって言ってましたが……」
「そんなの一瞬だ。あいつらの食欲半端ないぞ。米も買わないとな」
「水野先輩が持ってきてくれた……」
「あれじゃ足りん。買い足さないともたないぞ?」
なのでラーメンだったり素麺やうどんで誤魔化そうとする。勿論夜食も半端ないので炊き込みご飯を用意しておいておけば満足してくれるのでそうやって甘やかせてしまった以上用意はしておかなくてはいけない。なんせ脱走でもして店に辿り着く前に野生動物に遭遇したり近道をしようとしてくれて迷子になられて探すぐらいなら前もって用意しておくくらい楽な物じゃないかと言う物。
とにかく目についた心惹かれるお肉をどんどんかごに入れていく様子はキャンプの買い出しですか?パーティですか?と言えるくらいの量。
またもやレジでぎょっとする顔をににこやかな顔で財布からカードを取出し準備は万端。応援の人がレジを通過した籠をサッカー台に運んでくれる。陸斗の袖から覗く包帯姿に気を使ってかにこにことおばちゃんがどうしたの?なんて声をかけてくれて、陸斗は転んで、と本当の事は言わずに、でも恥ずかしそうに答えていた。
こうやって少しずつ知らない人と話が出来ればいいなと見守りながら打ち出されたレジの金額に沈黙する。判っていたとはいえお肉ってお高いですね。衝動買いのように買ったお肉やお魚その他もろもろ込みで三万超えました。純粋にほぼお肉が半分以上だなんてお肉恐ろしいでもおいしい。
うーんと唸りながらカードで気持ちよく一括払いをして荷物を詰める。どう考えてもクーラーボックスに入りきらなくって野菜売り場の人に発泡スチロールをいくつか分けてもらい、それに詰めて車に乗せる。保冷剤代わりに冷凍食品を一緒に詰めて山に帰る前に
「ガススタ寄るから」
「はい」
同じ敷地内に在るガソリンスタンドで車にもガソリンを補充してやっと帰る事になったのだ。久し振りに出歩いて俺に付き合わされて散々と言う様に歩きまわされすっかり疲れてしまった陸斗は昨夜の徹夜も手伝い車を走らせたらすぐに眠りに就いてしまった。
車をゆっくりと走らせ、途中無人野菜売り場に寄ってモロッコいんげんとか不思議な野菜を幾つも買ったりして一時間ほどして家に辿り着けばぞっとするような車の数が止まっていた。
ゆっくりと車の合間を縫いながら車庫へと向かえば車の音に気づいて水野と植田が迎えに来てくれた。
「綾人さんお帰り」
「お客さんいっぱい来てますよ?先生はご飯を先に食べて仕事してます」
「ただいま。先生は後で挨拶してくるから。
とりあえず先に顔出して来るから陸斗を起こして荷物を運んで仕分けしてくれ」
「肉と魚は冷凍庫?野菜、果物は冷蔵、その他は台所でいいっすか?」
「飲料も冷蔵で、とりあえずそうしてくれ。冷凍食品もみんな冷凍庫に持ってってくれ」
言われて慌てて挨拶に行けばちょうど昼過ぎで皆さん手持ちの弁当で小屋の中で車座になって昼食をしていた。
「すみません遅くなりました。ちょっと病院行ってたので……」
「ああ、お帰りなさい。すみません、今日来る事皆に話したらまた皆が来てしまって」
全く悪びれた様子のない笑顔で説明してくれた森下はそれでも深々と頭を下げてみせる頭脳犯だ。思わず笑ってしまうも皆さんちゃんと商売道具をお持ちなので病院の自動機でお金だして来て良かったとほっと胸をなでおろす。この人達こうやって小遣い稼ぎしてるんだと、交通費とガソリン代で半分は消えるだろうにと思うもそれでも来てくれるんだからありがたく思う。
「それで今後のスケジュールですが、屋根の予定が付いたので来週以降には屋根の張替が出来そうです」
「え?そんなにも早くできる物なのですか?」
「いつも無茶な話を聞いているのでたまには聞いてもらっただけです。ええ、そうですとも!たまにはこちらの無理難題も聞いてもらう程度に貸しは溜まっているのでね!なので今回はみんなで集まって相談です」
と爽やかに腹黒く言われても前回同様のメンバーは揃っていない。って言うか森下さんこう言う人なんだと少しだけ距離を取る。
だけどここには玄関のドアを持って行ってしまった長沢さんがいない。
大丈夫かと思って内田さんに聞けば窓や玄関の大きさは一切変えないと言う。今時の住宅事情では防犯の面から大きな窓は減少傾向にあるらしいがこんなド田舎に物取りに来る物好きはまずいないだろう。いや、居るかもしれないが、正直宮下商店からうちの所に辿り着くまで知らないとかなり不安な気持ちになると思う。うん。間違いなくこんな所に来る猛者は居ないだろう。もっと楽なお宅で仕事に励むだろう。そして捕まれと呪っておく。
「来週の月曜日には取りに行けるので何時頃にしましょうとまずはそこからです。
綾人さんの都合はどうなってますか?」
綾人さんって……頼むから吉野さんって呼んでくれと思うもそんな事でいちいち腹を立てる大人じゃないとスルーして
「そうですね。金曜日は仕事があるので金曜以外なら。
あと、来週は月曜日から水曜日まで二泊三日で母校の生徒が勉強会の合宿に来ます。水曜の早朝に飯田さんって言う東京から来客があるぐらいで他に予定はありませんが……」
「綾人ー、せんせーが金曜の夜に遊びに来るって言うのが抜けてるじゃん」
「って、先生。何をしに……」
飛び入り参加の先生は茶碗に自分の分のお茶を淹れてやって来てこの輪の中に混ざり
「大変申し訳ないんだがその勉強会に来る生徒に茅葺の作業を手伝わせてもらいたい。勿論無償の労働力として、まぁ、勉強の一環で」
「それはありがたいが……」
内田さんも驚き反面労働力はいくらあっても助かる物なので反対はしない。
「この村の最後の茅葺屋根、こんな家があったって事を教えてやりたいって言う社会経験と言うか……
あいつらには一生に一度の思い出になるだろうから、やりたいと思って出来るわけじゃない体験をさせてやりたいんですよ」
一生に一度所か年に何度も手にかける人達は柔らかな笑みを浮かべ静かに頷く。
「でしたら頼りにします。
一応軍手とタオルとマスク。防塵眼鏡もあれば用意してください。代用品として水中メガネでもスキーのゴーグルでもいいです。埃と細かな茅が舞うので長袖長ズボンを着てください」
「ありがとうございます。さっそく子供達に連絡します」
そう言って先生は深く頭を下げれば水野がダンボール箱を持って来た。
ミカンのイラストが描かれた箱を開けて
「おやつにどうぞ」
さっき見た覚えのあるミカンを目の前に出せばこの季節にミカンだなんてありがとうございますと皆さん容赦なく手に取って行くのを俺は引き攣りそうになる頬をなだめながらにこにことしたまま「一箱五千円……」と、心の中で呟きながらその景色を眺めていた。
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