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決意は口に出さずに原動力に変えて 1
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明け方になり、いつもの起きる時間になった。トイレに向えばいつもは開いている部屋の襖が閉ざされていて、昨夜酔っぱらった飯田父がこの部屋で寝ていた事を思いだした。
そーっと抜け出そうとするもするりと襖が開いて
「おはようございます」
飯田さんが顔をのぞかせたと思えばお父さんまでもう起きていた。料理人の朝は随分早いらしい。
「おはようございます。寒いでしょうから今竈に火を入れますのでって、もう着替えてたのですか?」
「はい。昨日のうちに荷物は持って来ておきましたので」
言いながら部屋から出てきたかと思えばそのまま台所に来て
「ご飯の準備をしましょう。米に水を吸わせている間に畑に野菜を取りに行きましょうか」
「畑は昨日見てきたが、もう大根が取れるとは。随分変わった野菜も多い。スクナかぼちゃはこちらの物だったな」
「ジャガイモやサツマイモもそろそろかと思います」
「少し様子を見ようか」
「はい」
そう言ってお米の準備だけをした二人はそのまま外に出かけてしまったのをあっけと見送れば
「何だ。シェフの奴親父さんと仲直りしたか?」
ぶれずにおふろセットも持ち出してこれば陸斗も二階から降りてきた。
「烏骨鶏出しても良いですか?」
「良いよ。あと水門も開けて来ておいで。飯田さん達が居るから水門を開けたら声をかけてあげてね」
「はい」
パタパタと軽い駆け足で駆けて行く陸斗に先生は元気だなぁと、次第に賑やかになる様子を見送る様に五右衛門風呂へと向かう。
「そして先生もぶれない。これは見習うべきか」
悩ましげに唸って見せるがとりあえずいつもの通り鍬を持って鶏の砂場へと足を運ぶ。既に烏骨鶏達は雑草をついばみ、俺が砂場に居るのを見て土を掘り返してくれるのですね!とどこからともなく集まってくるのはしがない習慣だ。
「昨日の栗のゴミを翔ちゃんが砂場に置いてくれたからいっぱい虫が隠れてるかな?」
「宮下そんな危険な事をやってたのか……」
一歩間違えれば砂場の中でウジ虫たちがウジウジウジウジと……
「勘弁してくれ……」
気合を入れて掘り返せば何時もより激しく地面を突く様子に頼むから繁殖しないでくれと顔を引き攣らせてしまえば下から上ってくる車が見えた。宮下だ。
門を開けて入って来た車はまだライトをつけていて、定位置に車を止めればすぐに俺達の所にやって来てくれた。
「やってくれたな……」
土から掘り出しては振り回すように食べる烏骨鶏達の食事風景を背に宮下を迎え入れればすぐにそっぽを向いてしまった。一応やっちまった感はあったのだろう。
「そこら辺に逃げられるよりはって思ったんだけど?」
「烏骨鶏達によって駆除されれば御の字だ!」
「拾い集めて釣りにでも行く?」
「やだよ。どうせチキンとか釣れないってバカにするんだろ?」
「お約束じゃないか」
何が悪いと言う顔には判ってたけどさとふて腐ってしまうが
「それより今日帰るんだろ?」
「昼に長沢さんの所で母さんの蕎麦食べる予定になってるんだ。新蕎麦の時期じゃないのを悔しがってたよ」
「まぁ、観光何て他にないしな」
「そんな事ないよ。綾人の家が十分見ごたえがあったって喜んでた。
なにより弥生ちゃんの花嫁箪笥、あれはなんかすごく感動してたよ」
「まぁ、フルオーダーメイドだからな。自分で木を切って、乾燥させて内田のじいさんにお願いしたって自慢してたからなぁ」
「ここでの一人前の証だね」
一人前の証かと思っていれば俺には何があるだろうかと思うも宮下は俺の悩みなんて気にせずに
「そう言えば圭斗に話を聞いてたより随分元気そうで安心したよ」
「ん?ああ、まあね。
ちょっと気持ちいい熱気に当てられてなんかこんな事してる場合じゃないって思ってさ」
言いながら鍬の先で雑草達の生長点を潰して行き、宮下も竹ぼうきを持って来て千切れた雑草をかき集めて来てくれた。その頃になれば飯田さん父子も畑から山ほどの野菜を持って来て
「今日は何を作る予定ですか?」
「なに、愚息に家の味を教えようかとな」
「離れの冷凍庫の肉も使ってください。何があるかは飯田さんが詳しいので」
「鹿はあるか?久しぶりに食べたいな」
「父さんは遠慮と言う物を覚えてください」
「下処理が上手い食材だからな。昨日の猪は良かった」
言いながら飯田さんの手を引いて父親は離れの冷凍庫に向かうのを宮下と苦笑を噛みしめながら見送ってしまう。楽しそうな親子だなと見送れば何やら飯田さんの悲鳴が聞こえてきた。随分と冷凍庫に隠していたお宝を見付けられてしまったようで賑やかな様子に風呂場の窓から先生が顔をのぞかせ
「シェフの奴も災難だな」
先生が珍しく飯田さんの事を少しだけ可哀想に思ってくれるのだった。
「そう言う先生ものんびりしてるね?」
「ん?まぁ、ここから学校に通うんだから贅沢はさせてもらわないとな」
「お酒は飲まないでよ?」
「さすがにそこまでは落ちぶれちゃいないさ」
それよりも少し薪を焚いてとのリクエストに台所からしっかりと火のついた薪を貰って火を入れるが、いつまで入ってるつもりかは聞くつもりはない。どうせ料理が出来た頃にはちゃんと上がってくるのだからと宮下と一緒に栗を拾いに裏山に入って三十分もしないうちに戻ってくるのだったが
「綾人は何かやりたい事見付けたの?」
飯田父子が畑から戻ってきた為に途切れた話しの続きだろうか。人の話しに短時間しか集中できないくせに気になった話はいつまでも覚えている厄介な宮下に視線を彷徨わせながら籠に半分ほどの栗を背負った姿で
「これと言ってまだ何をやりたいかなんて判ってないけどな。
だけど時間と金だけは何時でも動けるように十分準備してある。
宮下達みたいに何か作り出すような、生み出すような事はたぶん俺には向かないのは俺がよく知っている。だからそこから先の何かだ。のど元まで出かかってるのに、あまりにも多すぎる方向性にどれかが選べなくって、何か一つを選べないんだ。
贅沢な悩みなのは判ってる。沢山の事の中から選べるように自分を鍛えてきたつもりだから。だけどまだ決定打が無いと言うか、選べないだけなんだけどね」
「まぁ、綾人はヘタレだからね」
「根性なしとも呼んでくれていいぞ?」
「今更だよ」
笑いながら台所に戦利品を見せに行けば既に皆さん起きていて俺達の帰り待ちだったようだ。
「お帰りなさい。手を洗ったらご飯にしましょう」
飯田母まで盛り付けの手伝いをやってくれていて、慌てて籠を置いて手と顔を洗ってくる。森下さん達も昨夜はあれから寝たらしく、朝六時だと言うのに皆さんしっかりと身支度を済ませて居間に並んでいた。
「遅くなりました。それより寒くないですか?」
既に朝は十五度まで下がるこの山奥に確認をするも
「竈の火で十分温かいですよ?」
「もし寒いのなら今晩囲炉裏を出しましょう!」
飯田さんが早速と言う様に机の下に在る半畳の畳をこつこつと叩けば
「囲炉裏か。まだ使う家があるとは」
「熱源は必須ですからね」
寒いんですよと氷点下十度を超えるこの地域の問題に灯油じゃ賄いきれないわけだと薪だらけの山小屋事情に山川さんも納得する合間におひつからよそられるつやつやのご飯は飯田父傑作の白米だった。
頂きますして真っ先に端を伸ばしたのは皆さん白米で、飯田さんはしばらく身動き取れないと言う様にひたすら目を瞑って食べていたけど、俺を含めた全員昨日のうちに仕込んだ漬物や沢山の野菜の味噌汁と鹿肉の串焼きと言う朝からヘビーなメニューもあったが、不思議な事にあっさりと食べれる朝ごはんに誰もが箸を止められずに黙々とひたすら懸命に食卓に並べられた朝食を完食するのであった。
そーっと抜け出そうとするもするりと襖が開いて
「おはようございます」
飯田さんが顔をのぞかせたと思えばお父さんまでもう起きていた。料理人の朝は随分早いらしい。
「おはようございます。寒いでしょうから今竈に火を入れますのでって、もう着替えてたのですか?」
「はい。昨日のうちに荷物は持って来ておきましたので」
言いながら部屋から出てきたかと思えばそのまま台所に来て
「ご飯の準備をしましょう。米に水を吸わせている間に畑に野菜を取りに行きましょうか」
「畑は昨日見てきたが、もう大根が取れるとは。随分変わった野菜も多い。スクナかぼちゃはこちらの物だったな」
「ジャガイモやサツマイモもそろそろかと思います」
「少し様子を見ようか」
「はい」
そう言ってお米の準備だけをした二人はそのまま外に出かけてしまったのをあっけと見送れば
「何だ。シェフの奴親父さんと仲直りしたか?」
ぶれずにおふろセットも持ち出してこれば陸斗も二階から降りてきた。
「烏骨鶏出しても良いですか?」
「良いよ。あと水門も開けて来ておいで。飯田さん達が居るから水門を開けたら声をかけてあげてね」
「はい」
パタパタと軽い駆け足で駆けて行く陸斗に先生は元気だなぁと、次第に賑やかになる様子を見送る様に五右衛門風呂へと向かう。
「そして先生もぶれない。これは見習うべきか」
悩ましげに唸って見せるがとりあえずいつもの通り鍬を持って鶏の砂場へと足を運ぶ。既に烏骨鶏達は雑草をついばみ、俺が砂場に居るのを見て土を掘り返してくれるのですね!とどこからともなく集まってくるのはしがない習慣だ。
「昨日の栗のゴミを翔ちゃんが砂場に置いてくれたからいっぱい虫が隠れてるかな?」
「宮下そんな危険な事をやってたのか……」
一歩間違えれば砂場の中でウジ虫たちがウジウジウジウジと……
「勘弁してくれ……」
気合を入れて掘り返せば何時もより激しく地面を突く様子に頼むから繁殖しないでくれと顔を引き攣らせてしまえば下から上ってくる車が見えた。宮下だ。
門を開けて入って来た車はまだライトをつけていて、定位置に車を止めればすぐに俺達の所にやって来てくれた。
「やってくれたな……」
土から掘り出しては振り回すように食べる烏骨鶏達の食事風景を背に宮下を迎え入れればすぐにそっぽを向いてしまった。一応やっちまった感はあったのだろう。
「そこら辺に逃げられるよりはって思ったんだけど?」
「烏骨鶏達によって駆除されれば御の字だ!」
「拾い集めて釣りにでも行く?」
「やだよ。どうせチキンとか釣れないってバカにするんだろ?」
「お約束じゃないか」
何が悪いと言う顔には判ってたけどさとふて腐ってしまうが
「それより今日帰るんだろ?」
「昼に長沢さんの所で母さんの蕎麦食べる予定になってるんだ。新蕎麦の時期じゃないのを悔しがってたよ」
「まぁ、観光何て他にないしな」
「そんな事ないよ。綾人の家が十分見ごたえがあったって喜んでた。
なにより弥生ちゃんの花嫁箪笥、あれはなんかすごく感動してたよ」
「まぁ、フルオーダーメイドだからな。自分で木を切って、乾燥させて内田のじいさんにお願いしたって自慢してたからなぁ」
「ここでの一人前の証だね」
一人前の証かと思っていれば俺には何があるだろうかと思うも宮下は俺の悩みなんて気にせずに
「そう言えば圭斗に話を聞いてたより随分元気そうで安心したよ」
「ん?ああ、まあね。
ちょっと気持ちいい熱気に当てられてなんかこんな事してる場合じゃないって思ってさ」
言いながら鍬の先で雑草達の生長点を潰して行き、宮下も竹ぼうきを持って来て千切れた雑草をかき集めて来てくれた。その頃になれば飯田さん父子も畑から山ほどの野菜を持って来て
「今日は何を作る予定ですか?」
「なに、愚息に家の味を教えようかとな」
「離れの冷凍庫の肉も使ってください。何があるかは飯田さんが詳しいので」
「鹿はあるか?久しぶりに食べたいな」
「父さんは遠慮と言う物を覚えてください」
「下処理が上手い食材だからな。昨日の猪は良かった」
言いながら飯田さんの手を引いて父親は離れの冷凍庫に向かうのを宮下と苦笑を噛みしめながら見送ってしまう。楽しそうな親子だなと見送れば何やら飯田さんの悲鳴が聞こえてきた。随分と冷凍庫に隠していたお宝を見付けられてしまったようで賑やかな様子に風呂場の窓から先生が顔をのぞかせ
「シェフの奴も災難だな」
先生が珍しく飯田さんの事を少しだけ可哀想に思ってくれるのだった。
「そう言う先生ものんびりしてるね?」
「ん?まぁ、ここから学校に通うんだから贅沢はさせてもらわないとな」
「お酒は飲まないでよ?」
「さすがにそこまでは落ちぶれちゃいないさ」
それよりも少し薪を焚いてとのリクエストに台所からしっかりと火のついた薪を貰って火を入れるが、いつまで入ってるつもりかは聞くつもりはない。どうせ料理が出来た頃にはちゃんと上がってくるのだからと宮下と一緒に栗を拾いに裏山に入って三十分もしないうちに戻ってくるのだったが
「綾人は何かやりたい事見付けたの?」
飯田父子が畑から戻ってきた為に途切れた話しの続きだろうか。人の話しに短時間しか集中できないくせに気になった話はいつまでも覚えている厄介な宮下に視線を彷徨わせながら籠に半分ほどの栗を背負った姿で
「これと言ってまだ何をやりたいかなんて判ってないけどな。
だけど時間と金だけは何時でも動けるように十分準備してある。
宮下達みたいに何か作り出すような、生み出すような事はたぶん俺には向かないのは俺がよく知っている。だからそこから先の何かだ。のど元まで出かかってるのに、あまりにも多すぎる方向性にどれかが選べなくって、何か一つを選べないんだ。
贅沢な悩みなのは判ってる。沢山の事の中から選べるように自分を鍛えてきたつもりだから。だけどまだ決定打が無いと言うか、選べないだけなんだけどね」
「まぁ、綾人はヘタレだからね」
「根性なしとも呼んでくれていいぞ?」
「今更だよ」
笑いながら台所に戦利品を見せに行けば既に皆さん起きていて俺達の帰り待ちだったようだ。
「お帰りなさい。手を洗ったらご飯にしましょう」
飯田母まで盛り付けの手伝いをやってくれていて、慌てて籠を置いて手と顔を洗ってくる。森下さん達も昨夜はあれから寝たらしく、朝六時だと言うのに皆さんしっかりと身支度を済ませて居間に並んでいた。
「遅くなりました。それより寒くないですか?」
既に朝は十五度まで下がるこの山奥に確認をするも
「竈の火で十分温かいですよ?」
「もし寒いのなら今晩囲炉裏を出しましょう!」
飯田さんが早速と言う様に机の下に在る半畳の畳をこつこつと叩けば
「囲炉裏か。まだ使う家があるとは」
「熱源は必須ですからね」
寒いんですよと氷点下十度を超えるこの地域の問題に灯油じゃ賄いきれないわけだと薪だらけの山小屋事情に山川さんも納得する合間におひつからよそられるつやつやのご飯は飯田父傑作の白米だった。
頂きますして真っ先に端を伸ばしたのは皆さん白米で、飯田さんはしばらく身動き取れないと言う様にひたすら目を瞑って食べていたけど、俺を含めた全員昨日のうちに仕込んだ漬物や沢山の野菜の味噌汁と鹿肉の串焼きと言う朝からヘビーなメニューもあったが、不思議な事にあっさりと食べれる朝ごはんに誰もが箸を止められずに黙々とひたすら懸命に食卓に並べられた朝食を完食するのであった。
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