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冬を乗り切れ 10
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冬山の年の過ごし方はひたすら飲んで騒いで寝るだけ。さすがに一晩中ゲームで遊ぶ歳でもなくなり酒と日頃出来なかった話しをここで纏めて報告をする。普段と何が違うのかと言われると困るが、要はグダグダに駄弁って寝落ちするそれがこの雪山の正しい過ごし方だ。と思う。
突如迷い込んだ都会っ子はテレビも付けない年末に戸惑っているようだったが、電源を落したスマホを復活させようかどうしようか悩んでいて興味ないだろう俺達の話しに反応は当然悪い。
仕方がないと言えば仕方がないが、このまま寝させても良い事なんて考えないだろうからと囲炉裏の周りに布団を並べてここで寝るんだよーとさらりと嘘をついてみた。
陸斗は下田と葉山と何かの話で盛り上がり、随分遅くまで話しをしていたけど、元々早寝早起きの陸斗は少し静かになったと思ったらいつの間にか寝落ちしていて、圭斗がスマホを取り上げて二人にお休みなさいと通信を終了していた。
囲炉裏の近くのふとんで気持ちよさそうに寝る陸斗を蓮司はまだ九時過ぎたばかりなのにとなんだか不思議そうに眺めていた。
「テレビとか見ないのか?」
「まぁ、見ない方かな?」
圭斗もテレビ見る暇があるなら働くと言う性質だし、飯田の仕事も夜時間なのでテレビを見る生活習慣はない。宮下はテレビを見るのならネットかゲームに没頭しるし、俺に至っては興味なしで無音すぎる山の生活ゆえにBGM代わりに流しているだけの存在。先生はテレビっ子なのでガッツリ見る方だが
「それに東京と違って三つか五つぐらいしか放送局はないから。しかも内二局が国営」
「……四はどこ行った?」
「天候次第なので」
「って言うかインターネットあるならネットテレビが入るだろう?!」
「さすが都会っ子の若者。ばれたか」
「ばれないわけないだろ?」
「それが案外納得されるんですよ」
それを知り頷く宮下にマジかと驚きに目を見開く蓮司。
「元々あまり見る方じゃないからどうでもよかったんだけど、バアちゃんが大●ドラマとか見たがってたから接続しただけ」
「じゃあ、俺が出てるドラマとか見た事ないわけ?!」
「ない。波瑠さんと多紀さんの知り合いだから芸能人って言うの理解したけどその程度の警戒心しかないし」
「警戒心?!」
「あの人達と絡むとろくなことにならないだろ?」
と言えば圭斗も頷く。
みんなでじーっと見つめられて確かにそうだと言うように顔を引き攣らせて自覚を持つ蓮司に
「で、さっきからスマホ弄ってるくらいなら連絡すればいいだろ」
「いや、連絡はちゃんとしてあるから大丈夫。
親にはメッセージ投げておいたし、社長にも連絡入れたらゆっくり休めって言われた。マネージャーには社長から連絡取るなって言われてるみたいだし、ここを紹介してくれた波瑠さんや、チーム多紀の皆にもお騒がせしましてすみませんって連絡したから……」
あとはネットでどれだけ叩かれているかという問題だろうか。
だけどその前に綾人の顔が険悪になったのを見て飯田は台所へと逃げた。それを見て宮下も付いて行き、そのついでに圭斗も引きずって行く。
「え?なに?なんだ?」
圭斗の戸惑いの声はそのまま蓮司の心の声でもあった。
しばらく沈黙が流れた。
とても重く、土間の仕切りのガラス戸も閉ざされた。ぱちっ、ぱちっ、と薪が内包する空気が熱せられて弾く音はいつまでも耳を傾けていられる理想を奏でていた。
静寂内包中でぼうっと聞き入ってしまう音に耳を傾けながら年下の男が俺を睨んでいる理由は突然お邪魔した事だけじゃないのは理解した。
なんだよ、その件については迷惑かけたの理解して散々頭下げただろうと睨み返していれば
「あんたさ、さっき多紀さん達にお騒がせしてすみませんって謝ったって言ったけど、あんたも被害者なのになんで謝るんだよ」
「いや、レポーターとか行ってるだろうからさ……」
一歩間違えれば芸能人にプライベートなんて必要ないと言うストーカー気質の奴らに狙われたら年末年始休めれないだろうと申し訳なさを感じずにはいられない。
「だけどそこで謝るのが蓮司なのか?
それは分かっていても隠していた母親が下げる頭じゃないのか?」
「俺だって!
俺だって、親父に似てると思えなくて、でもずっと親父だって信じてたんだ!」
「なら聞くが、血縁がなかっただけで父親じゃあなくなるのかよ!
こっちは正真正銘の親子なのに殺し合おうとするほど憎しみあってるって言うのに!お互い親機の愛情なんて消え去った憎しみ合いだって言うのに!お前はまだこんな事になっても父親と母親を愛してるんだろ!
こんな目に遭わされも母親の不貞を許して、父親のを信じて。実の父親に対する恨みを一つもこぼさないなんて気持ち悪いわ!!!」
言われて今までいい子であり続けた蓮司は簡単に他人に指摘された心の内を隠すように胸を手で握り締めながら
「んなわけねーだろ!
そんなのただの処世術だ!!!
ずっと大人の世界の中で育って来た俺の何を知ってる!
迷惑かけないように!仕事が止まらないように、人間関係が円滑であるためにどれだけの努力をして来たと思ってるんだ!
こんな山奥の猿山の大将がふんぞり返ってやりたい事だけ楽しんで仲良しこよしのお友達だけが全部の世界のお前に人と向き合って人の中で生き抜いていく人の世界の縮図の中で生きる難しさなんて知りもしないくせに大口叩くな!」
言いながらジムで鍛え上げた体で綾人の胸ぐらを掴んで殴ってやろうかと拳を上げるも、持ち上げて振り回そうとした体は動かず、振り下ろそうとした拳は逆に捕まえられ、瞬く間に手を捻りあげられた挙句に布団の上に倒されて背中の上に乗り上げられて身動きが取れなくなってしまっていた。
「嘘だろ……」
声には出なかったが、いろんな役をこなすためにずっと鍛えて来た肉体が全くもって役に立たなく、愕然とした面持ちでなんとか見上げれば温度のない視線が見下ろしていた。
「自分が望んで自分から飛び込んだ世界なのにその程度の覚悟しかないのかよ。人間が怖い?ああ、そんなの充分知ってるさ!金のために血縁関係であっても殺そうとするし、笑ってみていられるのも人間だからな!」
顔がひきづった。
「お前が、お前の言う所の努力して作って来た人間関係なんて所詮は上辺だけの薄い関係なんだろ。ついてこい」
体が退いたらと思ったら痛いくらいに手首を握られて奥の一室へと案内された。
古民家のはずなのに、六台のデスクトップパソコンが囲む椅子に座らされて一斉に立ち上げられたパソコンから次々にインターネットのページを見せられる。
そこには知った名前の、綾人に言った自慢の友人達の俺に対するメッセージが溢れてた。
気にするな。
友情は永遠だ。
それでおまえの価値が変わるわけじゃない!
山のような励ましの言葉にどれだけこの一件が注目浴びているかを理解して笑みを浮かべるが
「そしてこいつらのいわゆる裏アカ」
パッと飛んだページのSNSに並ぶ本音にやっと浮かび上がった笑みが凍りついた。
はい親の七光り消えたー。
てか、父親わかんないんだけど。こいつ誰?
見ればわかるじゃん。似てねーし。
同時に他にも付き合ってたから親候補も怪しいかもって同期の親父が言ってたwww
これで事務所辞めてくれないかな。仕事増えますように!
後輩なんだからもっと大人しくしていろ!
あの自称父親、取材料10マンだってwwwヤスッwww
言葉の裏の言葉の数の多さに目の前が暗くなって足元がおぼつかなくなって。
「多紀さんと波瑠さんに感謝しろよ。
ここなら早々見つからないし、追いかけてこようにも直ぐに分かる。巻き込まれた飯田さんに感謝しろ。繋がりなんて想像できないだろうからな。
そしてこれがお前が覚悟を決めて飛び込んだ世界だ。知っていたとしても実態を目の当たりした感想は?」
言葉が出なくて、年下の男を見上げた拍子に涙がこぼれ落ちて。
止まらなくなって……
「一緒に仕事をして来た仲間なんだ」
そうなるとサラリーマン全員仲間論が出来上がるな。
一緒にするなと言いたかったが、顔を合わせたことのない奴らまで同じ芸能人として見知ったような口調のSNSに否定ができなくなっていた。
「もう、どうやって仕事をすればいいのかわからなくなって来た」
「そこは人生芝居していけばいいだろ」
これは慰められているのかと思うもまだ心の整理なんか全くできない。
「もう、なんか誰も信じらんねー」
「やっと本音が出た」
あくびを噛み締めた隙間からでた言葉はもうどうでもいいと言いたげなもの。
だけどパソコンを一台、正面のモニターを切り替えて映し出された姿に向かって情けない顔を晒していた。
突如迷い込んだ都会っ子はテレビも付けない年末に戸惑っているようだったが、電源を落したスマホを復活させようかどうしようか悩んでいて興味ないだろう俺達の話しに反応は当然悪い。
仕方がないと言えば仕方がないが、このまま寝させても良い事なんて考えないだろうからと囲炉裏の周りに布団を並べてここで寝るんだよーとさらりと嘘をついてみた。
陸斗は下田と葉山と何かの話で盛り上がり、随分遅くまで話しをしていたけど、元々早寝早起きの陸斗は少し静かになったと思ったらいつの間にか寝落ちしていて、圭斗がスマホを取り上げて二人にお休みなさいと通信を終了していた。
囲炉裏の近くのふとんで気持ちよさそうに寝る陸斗を蓮司はまだ九時過ぎたばかりなのにとなんだか不思議そうに眺めていた。
「テレビとか見ないのか?」
「まぁ、見ない方かな?」
圭斗もテレビ見る暇があるなら働くと言う性質だし、飯田の仕事も夜時間なのでテレビを見る生活習慣はない。宮下はテレビを見るのならネットかゲームに没頭しるし、俺に至っては興味なしで無音すぎる山の生活ゆえにBGM代わりに流しているだけの存在。先生はテレビっ子なのでガッツリ見る方だが
「それに東京と違って三つか五つぐらいしか放送局はないから。しかも内二局が国営」
「……四はどこ行った?」
「天候次第なので」
「って言うかインターネットあるならネットテレビが入るだろう?!」
「さすが都会っ子の若者。ばれたか」
「ばれないわけないだろ?」
「それが案外納得されるんですよ」
それを知り頷く宮下にマジかと驚きに目を見開く蓮司。
「元々あまり見る方じゃないからどうでもよかったんだけど、バアちゃんが大●ドラマとか見たがってたから接続しただけ」
「じゃあ、俺が出てるドラマとか見た事ないわけ?!」
「ない。波瑠さんと多紀さんの知り合いだから芸能人って言うの理解したけどその程度の警戒心しかないし」
「警戒心?!」
「あの人達と絡むとろくなことにならないだろ?」
と言えば圭斗も頷く。
みんなでじーっと見つめられて確かにそうだと言うように顔を引き攣らせて自覚を持つ蓮司に
「で、さっきからスマホ弄ってるくらいなら連絡すればいいだろ」
「いや、連絡はちゃんとしてあるから大丈夫。
親にはメッセージ投げておいたし、社長にも連絡入れたらゆっくり休めって言われた。マネージャーには社長から連絡取るなって言われてるみたいだし、ここを紹介してくれた波瑠さんや、チーム多紀の皆にもお騒がせしましてすみませんって連絡したから……」
あとはネットでどれだけ叩かれているかという問題だろうか。
だけどその前に綾人の顔が険悪になったのを見て飯田は台所へと逃げた。それを見て宮下も付いて行き、そのついでに圭斗も引きずって行く。
「え?なに?なんだ?」
圭斗の戸惑いの声はそのまま蓮司の心の声でもあった。
しばらく沈黙が流れた。
とても重く、土間の仕切りのガラス戸も閉ざされた。ぱちっ、ぱちっ、と薪が内包する空気が熱せられて弾く音はいつまでも耳を傾けていられる理想を奏でていた。
静寂内包中でぼうっと聞き入ってしまう音に耳を傾けながら年下の男が俺を睨んでいる理由は突然お邪魔した事だけじゃないのは理解した。
なんだよ、その件については迷惑かけたの理解して散々頭下げただろうと睨み返していれば
「あんたさ、さっき多紀さん達にお騒がせしてすみませんって謝ったって言ったけど、あんたも被害者なのになんで謝るんだよ」
「いや、レポーターとか行ってるだろうからさ……」
一歩間違えれば芸能人にプライベートなんて必要ないと言うストーカー気質の奴らに狙われたら年末年始休めれないだろうと申し訳なさを感じずにはいられない。
「だけどそこで謝るのが蓮司なのか?
それは分かっていても隠していた母親が下げる頭じゃないのか?」
「俺だって!
俺だって、親父に似てると思えなくて、でもずっと親父だって信じてたんだ!」
「なら聞くが、血縁がなかっただけで父親じゃあなくなるのかよ!
こっちは正真正銘の親子なのに殺し合おうとするほど憎しみあってるって言うのに!お互い親機の愛情なんて消え去った憎しみ合いだって言うのに!お前はまだこんな事になっても父親と母親を愛してるんだろ!
こんな目に遭わされも母親の不貞を許して、父親のを信じて。実の父親に対する恨みを一つもこぼさないなんて気持ち悪いわ!!!」
言われて今までいい子であり続けた蓮司は簡単に他人に指摘された心の内を隠すように胸を手で握り締めながら
「んなわけねーだろ!
そんなのただの処世術だ!!!
ずっと大人の世界の中で育って来た俺の何を知ってる!
迷惑かけないように!仕事が止まらないように、人間関係が円滑であるためにどれだけの努力をして来たと思ってるんだ!
こんな山奥の猿山の大将がふんぞり返ってやりたい事だけ楽しんで仲良しこよしのお友達だけが全部の世界のお前に人と向き合って人の中で生き抜いていく人の世界の縮図の中で生きる難しさなんて知りもしないくせに大口叩くな!」
言いながらジムで鍛え上げた体で綾人の胸ぐらを掴んで殴ってやろうかと拳を上げるも、持ち上げて振り回そうとした体は動かず、振り下ろそうとした拳は逆に捕まえられ、瞬く間に手を捻りあげられた挙句に布団の上に倒されて背中の上に乗り上げられて身動きが取れなくなってしまっていた。
「嘘だろ……」
声には出なかったが、いろんな役をこなすためにずっと鍛えて来た肉体が全くもって役に立たなく、愕然とした面持ちでなんとか見上げれば温度のない視線が見下ろしていた。
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顔がひきづった。
「お前が、お前の言う所の努力して作って来た人間関係なんて所詮は上辺だけの薄い関係なんだろ。ついてこい」
体が退いたらと思ったら痛いくらいに手首を握られて奥の一室へと案内された。
古民家のはずなのに、六台のデスクトップパソコンが囲む椅子に座らされて一斉に立ち上げられたパソコンから次々にインターネットのページを見せられる。
そこには知った名前の、綾人に言った自慢の友人達の俺に対するメッセージが溢れてた。
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後輩なんだからもっと大人しくしていろ!
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言葉の裏の言葉の数の多さに目の前が暗くなって足元がおぼつかなくなって。
「多紀さんと波瑠さんに感謝しろよ。
ここなら早々見つからないし、追いかけてこようにも直ぐに分かる。巻き込まれた飯田さんに感謝しろ。繋がりなんて想像できないだろうからな。
そしてこれがお前が覚悟を決めて飛び込んだ世界だ。知っていたとしても実態を目の当たりした感想は?」
言葉が出なくて、年下の男を見上げた拍子に涙がこぼれ落ちて。
止まらなくなって……
「一緒に仕事をして来た仲間なんだ」
そうなるとサラリーマン全員仲間論が出来上がるな。
一緒にするなと言いたかったが、顔を合わせたことのない奴らまで同じ芸能人として見知ったような口調のSNSに否定ができなくなっていた。
「もう、どうやって仕事をすればいいのかわからなくなって来た」
「そこは人生芝居していけばいいだろ」
これは慰められているのかと思うもまだ心の整理なんか全くできない。
「もう、なんか誰も信じらんねー」
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