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踏み出す為の 3
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こいつは本当にどうしようもないと思いながらも酒を交わして、向こうの様子見てくると言って台所から離れに出て行ったのを酒を飲みながら見送ってスマホを取り出した。
アドレスからあまり見たくない名前に顔を歪めながらも通話ボタンを押す。
仕事中だろうかと思うも暫く待てば直ぐに出た相手に
「五分で良い。時間を作れ。報連相だ」
『何をいきなり、今なら三分程度なら……』
「よし、週明け綾人がフランス行く。年末には親父が檻から出てくる。綾人の豆腐メンタルが崩壊寸前、番犬なら何とかしろ。ああ、一分で良かったな」
『俺に青山に殺されろって言ってるんですか』
「あれもこれもと欲張るから振られるんだよ」
『そんな心遣いを元奥さんに向けてたら離婚せずに済んだろうに』
お互いそこでクリティカルなダメージをくらって一瞬言葉をなくすも
「俺の統計だが」
『どんな統計ですか』
呆れたと言う声だけど緊張するような声に
「明日には東京に行く。ホテルに泊まるなら問題はないが、お前の所に行くようだった多分会いに行くだろうから」
『そんな話聞いてません!』
「あいつが言うわけないだろ。
自慢にならんが俺が担任してた時の日報はほとんど綾人の観察日記で埋まってたからな。それぐらいの変化ぐらいわかるさ。必死で隠そうとするそぶりはしれっとした顔で表情が抜け落ちるから、今もそんな顔だ」
そこは心当たりがあるせいか何も言わない飯田に
「悪いが今は圭斗達は身動き取れないし、何気に綾人は宮下が近づきにくい様にしてる。俺もテスト直前だし、大工達も雪が降る前にって大忙しだ。
頼れるのはお前さんしかいない」
『だからって無茶な……』
「あ、三分たった。綾人も戻って来るから切るな」
『ちょ!』
ぶつっと律儀に電源まで落とすも綾人がこっちに戻って来る気配はない。
テレビのリモコンに手を伸ばして賑やかさしかない番組の笑い声を部屋に響かせる。少しは気がまぎれるかと思うも逆に孤独にさらされて眠たくなるようなドキュメント番組を雑音として流す。まだこっちの方がましだ。
勿体ないけど小さな鍋と熱燗用の徳利を用意して、贅沢にも万寿を注ぐ。
水のようにするすると喉を通ってしまう美味い酒に対して何て暴力だと思いながらまあ、ぬる燗でいいかとひと肌より少し熱くした所で手酌で口に運ぶ。
香りも華やかになってまろやかな口当たりは文句なしと言う所だろう。多分もっとぬるくてもいいのだろう。きっと冷がベストなのはわかっているのだが、こんな実験は自分で買った酒ではまずしようと思わない。
「うん。綾人がなかなかうまい酒を飲まそうとしないわけだ」
「俺が何をって、ちょ、なに温めて飲むとか?!」
「ん?折角綾人がご馳走してくれるから、自分じゃ絶対飲めない飲み方を試そうと?」
「で、どうだった?」
「冷が一番だ」
「くうっ!俺だってやった事ないのに」
「まぁ、残りはくれてやる」
徳利を押し付ければ不満たらたらながらも受け取って自分のぐい飲みで飲み始めた所で顔を顰める。
「何て勿体ない事を」
「言わないでよ。悪くはないけどもったいなかったなーってぐらいはせんせーだって反省してるんだから。
で、何美味しい物持ってるの?」
「実桜さんが飯田さんのキッチンにテンション上がっちゃって夜食パーティ始めちゃったからガッツリ貰ってきた」
大皿に盛られた揚げ物のオンパレードに高山も少しげんなりしながら
「十代の無限胃袋に山川さんが付いて行けるだろうか」
「宮下が飯田さんの作り置きを見つけて出してたからたぶん大丈夫」
「ちょっとー、そっちの方が美味しそうじゃなーいー?」
「出かけるから食べきってもらってるから今頃はもうないよ」
「ひどくない?」
「先生には滅多に食べれない牛肉を山ほど食べさせてあげただろ?」
「綾人の所じゃさすがに牛を育ててないからね」
「さすがに牛を捌くのは難しいし」
だから飼わない。牛に仕事をしてもらうほどの畑もないし、運ぶもの物もない。もともとそこまで動物が好きなわけでもないので、週に一度麓の町に下りた時に買うのがせいぜいの楽しみだ。
最も宮下商店でもそれなりの物が置いてあるのでいいのが入った時は大和に持ってこさせる迷惑な客だけど、それを見越して仕入れているのだから文句は言わせない。
「牛を食べる前に猪とか鹿とかを食べないとね。普通に食べきれないくらいあるし」
「毎度必死に食べてる姿先生は真似できないよ」
決してその為の高校生要因、とは言わないが。
「それより旅行の準備は出来てるのか?」
「今回はちゃんと国際ライセンス取って来たから。やっぱり車乗れないと不便だよね」
「ここほど田舎じゃないが車がないと不便なのは変わらないからな」
「ワゴンとかピックアップトラックとか欲しいな」
「フランスならクラッシックカーの選択もあるだろう」
「悪いけど実用的じゃないからその選択はない。
希望は熊と遭遇してバトっても勝てる車だ」
「ディーラーが泣くか止めてやれ」
密かなトラウマを思い出して動物虐待禁止!と言いたいけど、ここでは常に生存権利をかけての戦いなのだ。車だろうがライフルだろうが生き残った者が勝ち故の装備だ。
「オリオールと猟に行くって約束してるから、やっぱりピックアップトラックかな?」
「いっその事キャンピングカーでも買えば?」
何て冗談交じりに言えば
「確かに。それなら一々テント張らなくても良いな。それ採用」
「冗談です。やめてください。城だって堪能できないのに思いつきで買うのではありません」
「判ってるよ」
ただ言ってみただけだと言う綾人だが、謎の行動力が恐ろしいんだと高山は本当かと半眼で睨んでしまう。
「ただでさえ裏の馬小屋を乗っ取られた位俺は頻繁に行けないんだから、自重はする」
ほこりまみれの今に崩れそうな馬小屋を掃除をさせられて、小さなバスタブで青空の下での風呂と言うか水遊びをして、フランスまで来たのに観光もなく陽が射す事のない場所で笑いあって
「ああ、そうか」
「なにが?」
「何も?」
きっとそれが綾人の子供時代の夏の思い出なのだろう。無意識だろうが体験からでしか記憶にはとどまらない、綾人の子供時代の子供らしい思い出なのだ。
気付いているのかわからないが、その記憶に沿って俺達を一緒に遊んだとしたらそれはそれで光栄だな。光栄なのか?子供時代の水遊びは避けて通れないから試練の一つかと思う事にして
「とりあえず前みたいにイベント盛りだくさんじゃなくってまったりと過ごして来い」
「何だ?急に……」
せんせー気持ちわるーなんて俺を避けようとするも
「折角大枚叩いて買った城だからな。城主として優雅に過ごして来いと言っているんだ」
「まあね。さすがに前回はあちこち行き過ぎてこっちに帰ってからの燃え尽き症候群が酷かったから、今回はのんびりするつもりだよ。オリヴィエも演奏会で一日しか会えないしね」
「人気者はつらいな」
くつくつと笑い、オリヴィエの動画再生数も登録者数もオリオールの店以上に右肩上がりの伸びを見せている。
「あっという間に俺達を超えて行くよ」
「子供と大人の狭間の一番こ憎たらしくも可愛い時期だ。
もともとの才能もあるが、オリオールの所で飯を食わせてもらってから顔の色つやも良くなったしな」
「ベースがいいんだよ。羨ましい」
「ほう、綾人もそう思う歳になったか」
ニヤニヤ笑う高山は
「ようこそ、おっさんの世界に」
「くっ!まだお兄さんって言われたいお年頃なんだよ!!!」
どうでもいいが動画上での綾人達は顔を隠しているので二十代後半と思われている事は少なからずのショックを受けている。
もう何年も前の話しだが、実年齢より上に思われているのはお年寄りたちに揉まれた生活と、その無駄なまでの頭脳、そしてしょっちゅう出るゲストの飯田の年齢から割り出された物だと言うのは高山にとって密かにツボにはまっていた。
アドレスからあまり見たくない名前に顔を歪めながらも通話ボタンを押す。
仕事中だろうかと思うも暫く待てば直ぐに出た相手に
「五分で良い。時間を作れ。報連相だ」
『何をいきなり、今なら三分程度なら……』
「よし、週明け綾人がフランス行く。年末には親父が檻から出てくる。綾人の豆腐メンタルが崩壊寸前、番犬なら何とかしろ。ああ、一分で良かったな」
『俺に青山に殺されろって言ってるんですか』
「あれもこれもと欲張るから振られるんだよ」
『そんな心遣いを元奥さんに向けてたら離婚せずに済んだろうに』
お互いそこでクリティカルなダメージをくらって一瞬言葉をなくすも
「俺の統計だが」
『どんな統計ですか』
呆れたと言う声だけど緊張するような声に
「明日には東京に行く。ホテルに泊まるなら問題はないが、お前の所に行くようだった多分会いに行くだろうから」
『そんな話聞いてません!』
「あいつが言うわけないだろ。
自慢にならんが俺が担任してた時の日報はほとんど綾人の観察日記で埋まってたからな。それぐらいの変化ぐらいわかるさ。必死で隠そうとするそぶりはしれっとした顔で表情が抜け落ちるから、今もそんな顔だ」
そこは心当たりがあるせいか何も言わない飯田に
「悪いが今は圭斗達は身動き取れないし、何気に綾人は宮下が近づきにくい様にしてる。俺もテスト直前だし、大工達も雪が降る前にって大忙しだ。
頼れるのはお前さんしかいない」
『だからって無茶な……』
「あ、三分たった。綾人も戻って来るから切るな」
『ちょ!』
ぶつっと律儀に電源まで落とすも綾人がこっちに戻って来る気配はない。
テレビのリモコンに手を伸ばして賑やかさしかない番組の笑い声を部屋に響かせる。少しは気がまぎれるかと思うも逆に孤独にさらされて眠たくなるようなドキュメント番組を雑音として流す。まだこっちの方がましだ。
勿体ないけど小さな鍋と熱燗用の徳利を用意して、贅沢にも万寿を注ぐ。
水のようにするすると喉を通ってしまう美味い酒に対して何て暴力だと思いながらまあ、ぬる燗でいいかとひと肌より少し熱くした所で手酌で口に運ぶ。
香りも華やかになってまろやかな口当たりは文句なしと言う所だろう。多分もっとぬるくてもいいのだろう。きっと冷がベストなのはわかっているのだが、こんな実験は自分で買った酒ではまずしようと思わない。
「うん。綾人がなかなかうまい酒を飲まそうとしないわけだ」
「俺が何をって、ちょ、なに温めて飲むとか?!」
「ん?折角綾人がご馳走してくれるから、自分じゃ絶対飲めない飲み方を試そうと?」
「で、どうだった?」
「冷が一番だ」
「くうっ!俺だってやった事ないのに」
「まぁ、残りはくれてやる」
徳利を押し付ければ不満たらたらながらも受け取って自分のぐい飲みで飲み始めた所で顔を顰める。
「何て勿体ない事を」
「言わないでよ。悪くはないけどもったいなかったなーってぐらいはせんせーだって反省してるんだから。
で、何美味しい物持ってるの?」
「実桜さんが飯田さんのキッチンにテンション上がっちゃって夜食パーティ始めちゃったからガッツリ貰ってきた」
大皿に盛られた揚げ物のオンパレードに高山も少しげんなりしながら
「十代の無限胃袋に山川さんが付いて行けるだろうか」
「宮下が飯田さんの作り置きを見つけて出してたからたぶん大丈夫」
「ちょっとー、そっちの方が美味しそうじゃなーいー?」
「出かけるから食べきってもらってるから今頃はもうないよ」
「ひどくない?」
「先生には滅多に食べれない牛肉を山ほど食べさせてあげただろ?」
「綾人の所じゃさすがに牛を育ててないからね」
「さすがに牛を捌くのは難しいし」
だから飼わない。牛に仕事をしてもらうほどの畑もないし、運ぶもの物もない。もともとそこまで動物が好きなわけでもないので、週に一度麓の町に下りた時に買うのがせいぜいの楽しみだ。
最も宮下商店でもそれなりの物が置いてあるのでいいのが入った時は大和に持ってこさせる迷惑な客だけど、それを見越して仕入れているのだから文句は言わせない。
「牛を食べる前に猪とか鹿とかを食べないとね。普通に食べきれないくらいあるし」
「毎度必死に食べてる姿先生は真似できないよ」
決してその為の高校生要因、とは言わないが。
「それより旅行の準備は出来てるのか?」
「今回はちゃんと国際ライセンス取って来たから。やっぱり車乗れないと不便だよね」
「ここほど田舎じゃないが車がないと不便なのは変わらないからな」
「ワゴンとかピックアップトラックとか欲しいな」
「フランスならクラッシックカーの選択もあるだろう」
「悪いけど実用的じゃないからその選択はない。
希望は熊と遭遇してバトっても勝てる車だ」
「ディーラーが泣くか止めてやれ」
密かなトラウマを思い出して動物虐待禁止!と言いたいけど、ここでは常に生存権利をかけての戦いなのだ。車だろうがライフルだろうが生き残った者が勝ち故の装備だ。
「オリオールと猟に行くって約束してるから、やっぱりピックアップトラックかな?」
「いっその事キャンピングカーでも買えば?」
何て冗談交じりに言えば
「確かに。それなら一々テント張らなくても良いな。それ採用」
「冗談です。やめてください。城だって堪能できないのに思いつきで買うのではありません」
「判ってるよ」
ただ言ってみただけだと言う綾人だが、謎の行動力が恐ろしいんだと高山は本当かと半眼で睨んでしまう。
「ただでさえ裏の馬小屋を乗っ取られた位俺は頻繁に行けないんだから、自重はする」
ほこりまみれの今に崩れそうな馬小屋を掃除をさせられて、小さなバスタブで青空の下での風呂と言うか水遊びをして、フランスまで来たのに観光もなく陽が射す事のない場所で笑いあって
「ああ、そうか」
「なにが?」
「何も?」
きっとそれが綾人の子供時代の夏の思い出なのだろう。無意識だろうが体験からでしか記憶にはとどまらない、綾人の子供時代の子供らしい思い出なのだ。
気付いているのかわからないが、その記憶に沿って俺達を一緒に遊んだとしたらそれはそれで光栄だな。光栄なのか?子供時代の水遊びは避けて通れないから試練の一つかと思う事にして
「とりあえず前みたいにイベント盛りだくさんじゃなくってまったりと過ごして来い」
「何だ?急に……」
せんせー気持ちわるーなんて俺を避けようとするも
「折角大枚叩いて買った城だからな。城主として優雅に過ごして来いと言っているんだ」
「まあね。さすがに前回はあちこち行き過ぎてこっちに帰ってからの燃え尽き症候群が酷かったから、今回はのんびりするつもりだよ。オリヴィエも演奏会で一日しか会えないしね」
「人気者はつらいな」
くつくつと笑い、オリヴィエの動画再生数も登録者数もオリオールの店以上に右肩上がりの伸びを見せている。
「あっという間に俺達を超えて行くよ」
「子供と大人の狭間の一番こ憎たらしくも可愛い時期だ。
もともとの才能もあるが、オリオールの所で飯を食わせてもらってから顔の色つやも良くなったしな」
「ベースがいいんだよ。羨ましい」
「ほう、綾人もそう思う歳になったか」
ニヤニヤ笑う高山は
「ようこそ、おっさんの世界に」
「くっ!まだお兄さんって言われたいお年頃なんだよ!!!」
どうでもいいが動画上での綾人達は顔を隠しているので二十代後半と思われている事は少なからずのショックを受けている。
もう何年も前の話しだが、実年齢より上に思われているのはお年寄りたちに揉まれた生活と、その無駄なまでの頭脳、そしてしょっちゅう出るゲストの飯田の年齢から割り出された物だと言うのは高山にとって密かにツボにはまっていた。
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