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春の嵐通り過ぎます 4
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お風呂から出て多紀さんと一緒に山の家へと戻った。
当然ながら烏骨鶏は小屋の中なので閑散とした庭は静かで少し物寂しい。
なので玄関開けて荷物を置いたらすぐに烏骨鶏を庭へと放つのだった。
遅いわよとクークー訴える烏骨鶏にはミルワームと砂場の土の掘り返し。
もうそれだけで文句言ってた事は忘れる現金な奴らに俺もほっこり。
さすがトリ頭チョロ過ぎるだろ。
こいつらと付き合う事で癒される瞬間でもある。
「ねえねえ綾人君。烏骨鶏ばかり構ってないで僕にも構って?」
「あ、水なら山水飲み放題なのでお好きにどうぞ」
「酷い!冷たい!氷水のようなお水飲んだらお腹壊しちゃう!」
「トイレ玄関入ってすぐ右側ですよー」
「くうっ!久しぶりの綾人君の塩対応が懐かしくて嬉しいってどういう事!」
なんて笑いながらトイレへと向かう。
何だ、トイレぐらい普通に行けよと思いながらも一晩火を焚かなかっただけですっかりと冷えてしまう古民家の為にストーブと囲炉裏に火を入れる。いえ、本当は俺の為ですけれどもと本音は心の中で零しながら空気の入れ替えをする。
動物が入り込まないように網戸が必須の田舎の家。
庭側も裏庭側も開け広げてバアちゃんの部屋も開けておく。二階に上がり庭側、反対側も開けて納戸の窓も開けておく。
それから一階に戻って土間を渡り台所側の階段を上がって二階に登り、窓を開ける。
その後台所から離れに行って窓と言う窓を開け、更に烏骨鶏ハウスの二階にも上がり足元の小さな窓を開ける。
「なかなかどうして大仕事」
今日はこの季節珍しい事に雲一つない晴れた空を見上げる。
今日は一日何をしようと思えば
「ここが蓮司が主導して作った部屋だね」
「あ、多紀さん。おなか大丈夫でした?」
「うん。山水の所にコップがあるからつい飲んじゃったけど、本当に冷たいね」
「まぁ、歯磨き用に使ってる奴だけどね」
地元のガキなら水の怖さを知ってるだけに口にしないのに都会の人間勇気あるなと思うも
「山水は使わないけど井戸水は普通に使ってるよ。ほら、ろ過されてるから大丈夫だもんね」
愛すべきバカにはそうだねとほほ笑んでおく。
因みに当然だがアウト。なんで濾過されればセーフ何て発想に至るのか水野よ、お前の常識どうなっていると問いただしたい。
因みに上島の家でも井戸水は使ってるらしいが
「夏場になると水量が減ったりして砂交じりになるからお風呂じゃりじゃりして嫌なんだよね」
井戸水の有効活用の仕方を聞いてなるほど納得。と言ってもうちは豊かな山水のおかげで井戸水に頼らないけどねとなんとなく胸を張っておく。
「で、多紀さんはいつまで居るつもり?」
「長くても一カ月は居ないよ。実際二週間居れたらラッキーだと思ってるけど、多分十日ぐらいで強制送還されるね」
今も本当なら東京の自宅もしくはオフィス、もしくはホテル住まいで監視の下で缶詰になってないといけないらしい。ただ監督歴うん十年の多紀さんはごねるのも上手くなったらしく、ここに来るぐらいの脱走スキルを磨き上げてきたらしい。
とは言え連絡は入れたてほっとしていた皆様とは逆に俺はほっとしてないんだけどと言っておいた。
すぐに前に撮影に来てくれた人達も多紀さんのお世話にお邪魔しても良いですかと言う交渉へと変り、離れで良ければ泊まりにおいでと言っておく。むしろすぐ来いと言う様に言っておく。
それから何かと多紀さんのお世話の難しい事。一日のルーティンと言う物があって、それが崩れるとご機嫌斜めになると言う。
「そんな事に左右される程度のルーティンならぶっ壊してしまえ」
多紀さんの子分じゃないから言える言葉である。
皆さんに是非ともお願いしますと何故か期待された朝の風呂タイム。
まったりしてたはずなのに何だか爆弾を落とされた気がしたけど自分のテリトリーに戻ってほっとする。
ここなら何の心配ない。
意味のない安心だけど、それだけここが俺の居場所だと言う事はこういう時こそ思い知る。
「さて多紀さん。拠点はどこにする?」
「実はね、土間のお台所の隣の部屋あるでしょ?あそこを使いたいんだ」
「何でまたあんな所。あそこ使用人の雑多部屋だよ?」
聞けば
「そう言う所こそ家の様子が分るじゃないか。
家の出入り、台所の様子、土間を挟んだ親分の居る囲炉裏の部屋、そして家族団欒のある二階の真下。
一番最下層から見上げる景色、寂しさと憧れが濃縮されてるじゃないか」
そう言う視点なのかとふむふむと聞きながら
「だったら机とかどんなの用意する?
テーブルだったら山ほどあるし、机が良ければ持って来るし」
聞くも
「今回はテーブルを借りるよ。普段は家の書斎のデスクで仕事してるんだけどね、今回の映画はこう言う田舎の風景が必要だから、その生活を体感しながら書いてみようと思うんだ」
「昨日よんだプロットに沿って?」
「うん。まあね。
ほら、あれはまだ僕の想像の中の世界観しかないから。実際の体験がないとリアリティが付いてこないよね。
例えば机で山ほどの解答用紙の採点をしてた時の凝り固まった体の解し方ひとつ。
倒れて体をほぐして伸びをしてなんて想像はできるけど、それは誰にでも想像でどうとでも補える知識だ」
「まあね、先生は疲れたらごろりとはなるけどテレビをつけて寝っころがったままビールを飲んだり、張って風呂場に行ったり決まりはないね」
「うんうん。一つの行動に嵌らない様子が良いねえ」
にこにこと笑う物の視線は家の中を伺っている。
きっとこの一言でどれだけのパターンを考えているのか、多紀さんの頭の回転には警戒をしてしまう。
「じゃあさ、その映画、撮影するとなるといつぐらいから始めるの?」
何気なく聞いてみた物の多紀さんはにっこりと笑い
「とりあえず年内中に話しを決めて、キャストとかと交渉。スポンサーがつき次第だけど早ければ来年の春には撮影開始かな?
でも、今回はじっくり温めて考えたいから秋ぐらいから撮りたいな」
「高校教師の三年なら一年の季節を撮るもんじゃね?」
なんて思うも
「春頃のまだ間延びしている時期なんてどこが面白いんだ?
夏休み終わって夏休みの時間の過ごし方で明暗分かれたぐらいからドラマが始まるじゃないか。
休み明けの実力テスト?
アレ覚えあるけど先生の態度が急に変わってやっと焦りを自覚するよね?」
「万年一位だったから今一実感ないな」
それこそ頭が痛いと言う様に全問正解の隙のない結果に仏頂面で結果を渡してくれた先生のあの顔は今も忘れられない。
車の免許を取ったおかげであれほど遊び回った年はないからなと、その中に先生を巻きこんで遊び倒したのに安定のパーフェクト。
「あの時の渋い顔忘れられない」
「いいねいいね!高山君はそんな顔よく似合うよね!」
「え?多紀さん分るねぇ!先生のいい顔はふやけた顔じゃなくてあの仏頂面が一番似合うんだよ!」
「そうそう!内に抑え込んだ感情が零れ落ちる時の予兆って言うの?なかなかどうしてポーカフェイスが上手いから騙されがちだけど、押し込められた表情豊かな顔こそ人間臭くてたまらない!」
そんな風な先生への褒め言葉に俺も大きく頷いてしまう。
そうだ。
「先生は事なかれな性格でもなく、ただの面倒見のいい先生でもなく、理不尽に耐えながらも模索しながらままならない目の前の出来事を感情なんか意味がないと言う様に押し殺しながらもどうにかしたいともがき足掻く不器用なヤツなんだよ」
うんうんと頷きながらの俺の評価に多紀さんも
「そう言う人間臭い人間、今時居そうでいないんだよ。
それっぽい奴はいくらでもいるけど、関係が終わっても綾人君に食い付きながら関係を切ろうとしない泥臭い所を僕はかっこいいと思うんだ」
言われて一瞬思考が止まった。
そうか、本当なら高校卒業した時に関係が切れていたんだ……
今頃になって改めて気が着いた先生との関係をなんとなく考え直す起点となった。
当然ながら烏骨鶏は小屋の中なので閑散とした庭は静かで少し物寂しい。
なので玄関開けて荷物を置いたらすぐに烏骨鶏を庭へと放つのだった。
遅いわよとクークー訴える烏骨鶏にはミルワームと砂場の土の掘り返し。
もうそれだけで文句言ってた事は忘れる現金な奴らに俺もほっこり。
さすがトリ頭チョロ過ぎるだろ。
こいつらと付き合う事で癒される瞬間でもある。
「ねえねえ綾人君。烏骨鶏ばかり構ってないで僕にも構って?」
「あ、水なら山水飲み放題なのでお好きにどうぞ」
「酷い!冷たい!氷水のようなお水飲んだらお腹壊しちゃう!」
「トイレ玄関入ってすぐ右側ですよー」
「くうっ!久しぶりの綾人君の塩対応が懐かしくて嬉しいってどういう事!」
なんて笑いながらトイレへと向かう。
何だ、トイレぐらい普通に行けよと思いながらも一晩火を焚かなかっただけですっかりと冷えてしまう古民家の為にストーブと囲炉裏に火を入れる。いえ、本当は俺の為ですけれどもと本音は心の中で零しながら空気の入れ替えをする。
動物が入り込まないように網戸が必須の田舎の家。
庭側も裏庭側も開け広げてバアちゃんの部屋も開けておく。二階に上がり庭側、反対側も開けて納戸の窓も開けておく。
それから一階に戻って土間を渡り台所側の階段を上がって二階に登り、窓を開ける。
その後台所から離れに行って窓と言う窓を開け、更に烏骨鶏ハウスの二階にも上がり足元の小さな窓を開ける。
「なかなかどうして大仕事」
今日はこの季節珍しい事に雲一つない晴れた空を見上げる。
今日は一日何をしようと思えば
「ここが蓮司が主導して作った部屋だね」
「あ、多紀さん。おなか大丈夫でした?」
「うん。山水の所にコップがあるからつい飲んじゃったけど、本当に冷たいね」
「まぁ、歯磨き用に使ってる奴だけどね」
地元のガキなら水の怖さを知ってるだけに口にしないのに都会の人間勇気あるなと思うも
「山水は使わないけど井戸水は普通に使ってるよ。ほら、ろ過されてるから大丈夫だもんね」
愛すべきバカにはそうだねとほほ笑んでおく。
因みに当然だがアウト。なんで濾過されればセーフ何て発想に至るのか水野よ、お前の常識どうなっていると問いただしたい。
因みに上島の家でも井戸水は使ってるらしいが
「夏場になると水量が減ったりして砂交じりになるからお風呂じゃりじゃりして嫌なんだよね」
井戸水の有効活用の仕方を聞いてなるほど納得。と言ってもうちは豊かな山水のおかげで井戸水に頼らないけどねとなんとなく胸を張っておく。
「で、多紀さんはいつまで居るつもり?」
「長くても一カ月は居ないよ。実際二週間居れたらラッキーだと思ってるけど、多分十日ぐらいで強制送還されるね」
今も本当なら東京の自宅もしくはオフィス、もしくはホテル住まいで監視の下で缶詰になってないといけないらしい。ただ監督歴うん十年の多紀さんはごねるのも上手くなったらしく、ここに来るぐらいの脱走スキルを磨き上げてきたらしい。
とは言え連絡は入れたてほっとしていた皆様とは逆に俺はほっとしてないんだけどと言っておいた。
すぐに前に撮影に来てくれた人達も多紀さんのお世話にお邪魔しても良いですかと言う交渉へと変り、離れで良ければ泊まりにおいでと言っておく。むしろすぐ来いと言う様に言っておく。
それから何かと多紀さんのお世話の難しい事。一日のルーティンと言う物があって、それが崩れるとご機嫌斜めになると言う。
「そんな事に左右される程度のルーティンならぶっ壊してしまえ」
多紀さんの子分じゃないから言える言葉である。
皆さんに是非ともお願いしますと何故か期待された朝の風呂タイム。
まったりしてたはずなのに何だか爆弾を落とされた気がしたけど自分のテリトリーに戻ってほっとする。
ここなら何の心配ない。
意味のない安心だけど、それだけここが俺の居場所だと言う事はこういう時こそ思い知る。
「さて多紀さん。拠点はどこにする?」
「実はね、土間のお台所の隣の部屋あるでしょ?あそこを使いたいんだ」
「何でまたあんな所。あそこ使用人の雑多部屋だよ?」
聞けば
「そう言う所こそ家の様子が分るじゃないか。
家の出入り、台所の様子、土間を挟んだ親分の居る囲炉裏の部屋、そして家族団欒のある二階の真下。
一番最下層から見上げる景色、寂しさと憧れが濃縮されてるじゃないか」
そう言う視点なのかとふむふむと聞きながら
「だったら机とかどんなの用意する?
テーブルだったら山ほどあるし、机が良ければ持って来るし」
聞くも
「今回はテーブルを借りるよ。普段は家の書斎のデスクで仕事してるんだけどね、今回の映画はこう言う田舎の風景が必要だから、その生活を体感しながら書いてみようと思うんだ」
「昨日よんだプロットに沿って?」
「うん。まあね。
ほら、あれはまだ僕の想像の中の世界観しかないから。実際の体験がないとリアリティが付いてこないよね。
例えば机で山ほどの解答用紙の採点をしてた時の凝り固まった体の解し方ひとつ。
倒れて体をほぐして伸びをしてなんて想像はできるけど、それは誰にでも想像でどうとでも補える知識だ」
「まあね、先生は疲れたらごろりとはなるけどテレビをつけて寝っころがったままビールを飲んだり、張って風呂場に行ったり決まりはないね」
「うんうん。一つの行動に嵌らない様子が良いねえ」
にこにこと笑う物の視線は家の中を伺っている。
きっとこの一言でどれだけのパターンを考えているのか、多紀さんの頭の回転には警戒をしてしまう。
「じゃあさ、その映画、撮影するとなるといつぐらいから始めるの?」
何気なく聞いてみた物の多紀さんはにっこりと笑い
「とりあえず年内中に話しを決めて、キャストとかと交渉。スポンサーがつき次第だけど早ければ来年の春には撮影開始かな?
でも、今回はじっくり温めて考えたいから秋ぐらいから撮りたいな」
「高校教師の三年なら一年の季節を撮るもんじゃね?」
なんて思うも
「春頃のまだ間延びしている時期なんてどこが面白いんだ?
夏休み終わって夏休みの時間の過ごし方で明暗分かれたぐらいからドラマが始まるじゃないか。
休み明けの実力テスト?
アレ覚えあるけど先生の態度が急に変わってやっと焦りを自覚するよね?」
「万年一位だったから今一実感ないな」
それこそ頭が痛いと言う様に全問正解の隙のない結果に仏頂面で結果を渡してくれた先生のあの顔は今も忘れられない。
車の免許を取ったおかげであれほど遊び回った年はないからなと、その中に先生を巻きこんで遊び倒したのに安定のパーフェクト。
「あの時の渋い顔忘れられない」
「いいねいいね!高山君はそんな顔よく似合うよね!」
「え?多紀さん分るねぇ!先生のいい顔はふやけた顔じゃなくてあの仏頂面が一番似合うんだよ!」
「そうそう!内に抑え込んだ感情が零れ落ちる時の予兆って言うの?なかなかどうしてポーカフェイスが上手いから騙されがちだけど、押し込められた表情豊かな顔こそ人間臭くてたまらない!」
そんな風な先生への褒め言葉に俺も大きく頷いてしまう。
そうだ。
「先生は事なかれな性格でもなく、ただの面倒見のいい先生でもなく、理不尽に耐えながらも模索しながらままならない目の前の出来事を感情なんか意味がないと言う様に押し殺しながらもどうにかしたいともがき足掻く不器用なヤツなんだよ」
うんうんと頷きながらの俺の評価に多紀さんも
「そう言う人間臭い人間、今時居そうでいないんだよ。
それっぽい奴はいくらでもいるけど、関係が終わっても綾人君に食い付きながら関係を切ろうとしない泥臭い所を僕はかっこいいと思うんだ」
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