148 / 319
修行と言うものはこういう事かと思います 7
しおりを挟む
お池で遊んでいたちみっこを回収して麓の家へと戻った。
宮下さんから布団の場所を聞いて借りた部屋で横になっていれば
「つめたっ!」
突然頬に押し付けられたような冷たさに飛び起きれば薄暗い部屋には甚平を着た先生がいて
「起きたか?」
低く渋い声が室内に静かに響いた。
「え?あ……」
「寝ぼけてるな。
とりあえず宮下がご飯作ってくれたから起きれるようなら来なさい」
ふわりと外の空気をまとって廊下の明かりの中に出て行ったのを視線で見送りながら借りた部屋でずっと寝ていた事に気が付いた。
そうとなればトイレに行きたい事、喉が渇いたことを思い出して立ち上がり、まずはトイレへと向かってそれから洗面所で涎の後を確認してからなんかいい匂いの室内へとおじゃました。
「大丈夫か?相当疲れているな」
自分のご飯の分はこんもりとお茶碗につけて、俺には比較的常識程度にご飯を付けてくれた。
「なんかいろいろ失敗して皆さんに休めって言われて……」
「まあ、綾人との京都旅行だ。どうせあいつに無茶させられたんだろ。せんせーも覚えがある。あれは酷かったんだ」
「ええと、まあ、酷かったですね」
飯田さんの家に着くまでが特に。
そこは言わなかったが先生は溜息を零して
「お前も大変だったな」
味噌汁にサラダに乗ったコロッケを目の前にだしてくれた。
大変美味しそうなご飯だけど見ないようにしている背後には鞄と脱ぎ散らかされた服が散乱している。
昨日掃除して今朝はもう元通りとは言わないけどあれだけ散らかっている部屋の作られ方に納得しつつも見ないふりをしてご飯へと視線を落とした。
ちみっこ達は台所の隅においてある葡萄を幸せそうに齧っているのを今の俺が止められない事を理解してか
「真ー、玄たちもご飯食べてるからゆっくりたべてねー」
心配ないからねとよそ様のご飯を勝手に頂いている様子にばれるなよと心の中で訴えておいた。
まあ、五体で一房程度だとしてもあれだけ良い葡萄をと思いながらも俺もご飯を頂く事にした。
先生はビールを取り出して俺にも一本贈呈してくれた。
先生の所には二本並んでいてあっという間に消費されるのを見ながら俺は味噌汁を啜る。
なんかこれは……
「どうした?食欲進まないのか?」
がつがつとご飯を食べる先生に俺はいえと否定して
「なんて言うか、すごく家庭的な光景に戸惑ってまして」
先生は箸を止めたかと思えばご飯をビールで流し込み
「なんだ。家族愛に飢えてるのか?」
「まあ、かなり偏ってましたが兄と母さんから家族愛はたっぷりと注いでもらったので別に飢えてはいません」
「そうか。まあ、そんな風に言えるのなら偏った分も埋めてもらえたんだな」
なんて言いながら白菜の漬物を冷蔵庫から取り出してくれた。いきなり三分の一ほどご飯の上に置いたのは驚きだが、それでもがつがつと食べて行く様は見ていて気持ちいい。
「もともと紙縁で保っていた状態でした」
もそもそとコロッケを食べながら話す間も先生はビールを飲みながら聞いてくれる。
「いつバラバラになってもおかしくなったのが父さんと母さんの関係でした。
ただ、結婚の話を持って来てくれた人が母さんが尊敬する人で、どうしても断れなかったというのが結婚の理由だったそうです」
怪我をした夜初めて母さんたちの馴れ初めを聞いた。
普通に見合い話持ってきた人に勧められただけだと思っていたけどそこに上下関係を持ち込まれたらまず断れない奴だった。
さらに、お見合いの時にあった時はものすごく品の良い家族だったというのも決め手だったという。結婚してすぐに騙されたことを知ったけど、それでも基本部外者のままだったので割り切ることは出来たという。
「まあ、そんな環境だったから。
やっとここにたどり着いて、父さん達も自分を見つめなおそうとしてるんです。変な親切で接触して変に昔に戻る事だけは避けたいから。だけど季節の挨拶ぐらいはしても良いかと思っています」
家を逃げるように飛び出たけど、大家さんだって言ったのだ。
『時間をかけてゆっくりと向かい合え』と……
先生がこんな風に俺を気にかけてくれるのはきっとまだ何かに時間をかけて向き合ってるのだろう大家さんの事を知っているからだと勝手に想像する。
そしてこういってくれた時の大家さんを見たから納得してしまったのだろう。
だけど何事もきっかけは大切だから、それを理由に顔を合わせて挨拶するぐらいお互いリハビリとすればちょうど良いだろう。
先生はうんうんと頷きながら三本目のビールを取り出し
「だな。
そういう挨拶ができるうちに仲直りはしておけ」
なんだかものすごい意味ありげな言葉を聞かされたけど意味を聞く前に話を進めて行く。
「あいつもお前を心配していたぞ。
面倒見てくれって電話が来たくらいだからな」
俺の方が面倒見ている気がするし、面倒見てくれているのは宮下さん達だと俺は思うんだけど先生的にはそうじゃないらしい。
「自分で自分を追い詰めて行くんだって?受験生じゃないんだからそろそろ学生時代を卒業してくれってぼやいてたぞ」
年上の皆様には社会人になっても俺はまだまだ学生のままらしい。
仕事もまだ元の会社や先輩達に頼っているのがその証拠かもしれないけど、先生との会話はなんだか学生時代の面談みたいで俺の言葉はどんどん封じられていく。
そんな俺に先生は開けたばかりのビールを置いて
「タフにしてくれって言われたぞ」
「それがこの家の掃除ですか?」
「何言ってる。それは部屋代だろう?」
ニマニマと笑みを作る様子に嫌な予感しかない。
「普段やらない事を体験するのも人生経験だぞ」
言いながら立ち上がったと思えば鞄からプリントの山を取り出した。
「なんっすか?」
「部活でやらした本日のお勉強のプリント。
採点のお手伝い頼むな?」
拒否を許さない満面の笑顔。
もはや強制だった。
宮下さんから布団の場所を聞いて借りた部屋で横になっていれば
「つめたっ!」
突然頬に押し付けられたような冷たさに飛び起きれば薄暗い部屋には甚平を着た先生がいて
「起きたか?」
低く渋い声が室内に静かに響いた。
「え?あ……」
「寝ぼけてるな。
とりあえず宮下がご飯作ってくれたから起きれるようなら来なさい」
ふわりと外の空気をまとって廊下の明かりの中に出て行ったのを視線で見送りながら借りた部屋でずっと寝ていた事に気が付いた。
そうとなればトイレに行きたい事、喉が渇いたことを思い出して立ち上がり、まずはトイレへと向かってそれから洗面所で涎の後を確認してからなんかいい匂いの室内へとおじゃました。
「大丈夫か?相当疲れているな」
自分のご飯の分はこんもりとお茶碗につけて、俺には比較的常識程度にご飯を付けてくれた。
「なんかいろいろ失敗して皆さんに休めって言われて……」
「まあ、綾人との京都旅行だ。どうせあいつに無茶させられたんだろ。せんせーも覚えがある。あれは酷かったんだ」
「ええと、まあ、酷かったですね」
飯田さんの家に着くまでが特に。
そこは言わなかったが先生は溜息を零して
「お前も大変だったな」
味噌汁にサラダに乗ったコロッケを目の前にだしてくれた。
大変美味しそうなご飯だけど見ないようにしている背後には鞄と脱ぎ散らかされた服が散乱している。
昨日掃除して今朝はもう元通りとは言わないけどあれだけ散らかっている部屋の作られ方に納得しつつも見ないふりをしてご飯へと視線を落とした。
ちみっこ達は台所の隅においてある葡萄を幸せそうに齧っているのを今の俺が止められない事を理解してか
「真ー、玄たちもご飯食べてるからゆっくりたべてねー」
心配ないからねとよそ様のご飯を勝手に頂いている様子にばれるなよと心の中で訴えておいた。
まあ、五体で一房程度だとしてもあれだけ良い葡萄をと思いながらも俺もご飯を頂く事にした。
先生はビールを取り出して俺にも一本贈呈してくれた。
先生の所には二本並んでいてあっという間に消費されるのを見ながら俺は味噌汁を啜る。
なんかこれは……
「どうした?食欲進まないのか?」
がつがつとご飯を食べる先生に俺はいえと否定して
「なんて言うか、すごく家庭的な光景に戸惑ってまして」
先生は箸を止めたかと思えばご飯をビールで流し込み
「なんだ。家族愛に飢えてるのか?」
「まあ、かなり偏ってましたが兄と母さんから家族愛はたっぷりと注いでもらったので別に飢えてはいません」
「そうか。まあ、そんな風に言えるのなら偏った分も埋めてもらえたんだな」
なんて言いながら白菜の漬物を冷蔵庫から取り出してくれた。いきなり三分の一ほどご飯の上に置いたのは驚きだが、それでもがつがつと食べて行く様は見ていて気持ちいい。
「もともと紙縁で保っていた状態でした」
もそもそとコロッケを食べながら話す間も先生はビールを飲みながら聞いてくれる。
「いつバラバラになってもおかしくなったのが父さんと母さんの関係でした。
ただ、結婚の話を持って来てくれた人が母さんが尊敬する人で、どうしても断れなかったというのが結婚の理由だったそうです」
怪我をした夜初めて母さんたちの馴れ初めを聞いた。
普通に見合い話持ってきた人に勧められただけだと思っていたけどそこに上下関係を持ち込まれたらまず断れない奴だった。
さらに、お見合いの時にあった時はものすごく品の良い家族だったというのも決め手だったという。結婚してすぐに騙されたことを知ったけど、それでも基本部外者のままだったので割り切ることは出来たという。
「まあ、そんな環境だったから。
やっとここにたどり着いて、父さん達も自分を見つめなおそうとしてるんです。変な親切で接触して変に昔に戻る事だけは避けたいから。だけど季節の挨拶ぐらいはしても良いかと思っています」
家を逃げるように飛び出たけど、大家さんだって言ったのだ。
『時間をかけてゆっくりと向かい合え』と……
先生がこんな風に俺を気にかけてくれるのはきっとまだ何かに時間をかけて向き合ってるのだろう大家さんの事を知っているからだと勝手に想像する。
そしてこういってくれた時の大家さんを見たから納得してしまったのだろう。
だけど何事もきっかけは大切だから、それを理由に顔を合わせて挨拶するぐらいお互いリハビリとすればちょうど良いだろう。
先生はうんうんと頷きながら三本目のビールを取り出し
「だな。
そういう挨拶ができるうちに仲直りはしておけ」
なんだかものすごい意味ありげな言葉を聞かされたけど意味を聞く前に話を進めて行く。
「あいつもお前を心配していたぞ。
面倒見てくれって電話が来たくらいだからな」
俺の方が面倒見ている気がするし、面倒見てくれているのは宮下さん達だと俺は思うんだけど先生的にはそうじゃないらしい。
「自分で自分を追い詰めて行くんだって?受験生じゃないんだからそろそろ学生時代を卒業してくれってぼやいてたぞ」
年上の皆様には社会人になっても俺はまだまだ学生のままらしい。
仕事もまだ元の会社や先輩達に頼っているのがその証拠かもしれないけど、先生との会話はなんだか学生時代の面談みたいで俺の言葉はどんどん封じられていく。
そんな俺に先生は開けたばかりのビールを置いて
「タフにしてくれって言われたぞ」
「それがこの家の掃除ですか?」
「何言ってる。それは部屋代だろう?」
ニマニマと笑みを作る様子に嫌な予感しかない。
「普段やらない事を体験するのも人生経験だぞ」
言いながら立ち上がったと思えば鞄からプリントの山を取り出した。
「なんっすか?」
「部活でやらした本日のお勉強のプリント。
採点のお手伝い頼むな?」
拒否を許さない満面の笑顔。
もはや強制だった。
168
あなたにおすすめの小説
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
神スキル【絶対育成】で追放令嬢を餌付けしたら国ができた
黒崎隼人
ファンタジー
過労死した植物研究者が転生したのは、貧しい開拓村の少年アランだった。彼に与えられたのは、あらゆる植物を意のままに操る神スキル【絶対育成】だった。
そんな彼の元に、ある日、王都から追放されてきた「悪役令嬢」セラフィーナがやってくる。
「私があなたの知識となり、盾となりましょう。その代わり、この村を豊かにする力を貸してください」
前世の知識とチートスキルを持つ少年と、気高く理知的な元公爵令嬢。
二人が手を取り合った時、飢えた辺境の村は、やがて世界が羨む豊かで平和な楽園へと姿を変えていく。
辺境から始まる、農業革命ファンタジー&国家創成譚が、ここに開幕する。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
ここは異世界一丁目
雪那 由多
ライト文芸
ある日ふと気づいてしまった虚しい日々に思い浮かぶは楽しかったあの青春。
思い出にもう一度触れたくて飛び込むも待っているのはいつもの日常。
なんてぼやく友人の想像つかない行動に頭を抱えるも気持ちは分からないでもない謎の行動力に仕方がないと付き合うのが親友としての役目。
悪魔に魂を売るのも当然な俺達のそんな友情にみんな巻き込まれてくれ!
※この作品は人生負け組のスローライフの811話・山の日常、これぞ日常あたりの頃の話になります。
人生負け組を読んでなくても問題ないように、そして読んでいただければより一層楽しめるようになってます。たぶん。
************************************
第8回ライト文芸大賞・読者賞をいただきました!
投票をしていただいた皆様、そして立ち止まっていただきました皆様ありがとうございました!
【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~
いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。
地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。
「――もう、草とだけ暮らせればいい」
絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。
やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる――
「あなたの薬に、国を救ってほしい」
導かれるように再び王都へと向かうレイナ。
医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。
薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える――
これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる