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夏を迎える前のアレ 3
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「しし唐いっぱい採れたね。トマトは思った以上に出来が良くなかったけど……」
「ごめん。思ったより水やり甘かった、です」
「だよね。
キュウリは収穫のタイミングが遅いしナスの皮が固いのは水が足りない問題だよね」
「ごめん。土、乾いていた……」
「だよね。だから毎回お水あげたって聞いたのにね」
「ごめんなさい……」
そんな修司としのさんを俺達は雑草をとりながら見守っていた朝6時。
相変わらずしのさんの朝は早い。
「まったく。せっかく美味しく育てようってみんなで頑張って来たのに。
颯也に任せるのは簡単だけど卒業するまでに修司が畑のお世話が出来なくてどうするの。
そばで教えてくれる人が居るんだから水加減とかちゃんと聞かなくちゃ」
「ええと、多少不格好になっちゃったけどしのさんのお野菜、きっとおいしいよ?」
「もっと美味しくなる予定だったの!」
なんてぷりぷりと怒る様子。修司さんそのなんかご褒美ですって言う顔止めてくださいなんて颯也は顔を背けて何とか声をこぼさずに肩を震わせて笑っていた。
もちろん瑞己と陽人もそうだけど、それを知らない渉とテスト前の勉強会に来ていた克己は初めて見るその様子にどういうこと?なんて顔で見守っていた。
「それよりも今日はこの後で先輩の家に行って草刈り手伝う事になってるんだから。
その前に野菜の収穫をきちんとして、ズッキーニはもう抜いちゃおうか。ある程度細かくして土の中に埋めて肥料にしちゃおう」
「その後何を植えるんですか?」
颯也が聞けばしのさんは笑って答える。
「もちろんジャガイモだよ。
春に植えた奴も収穫したからね。
とりあえずここのレイズドベッドをジャガイモを植えれるように土を整えておかないといけないし、忙しいけど楽しいよね!」
なんて満天の笑顔。
どれだけ土いじりに植えているの?なんて思うも
「じゃあ、俺土作っておきます」
「頼むね。修司は信用ならないからちゃんと教育お願いね」
「信用ならないって初めていわれた……」
水やりの水が足りなかっただけでここまで言われるのかとショックを受ければ
「修司さんこの調子だと花壇の方も枯らしそうですからね」
「いや、修司なら雑草と気付かずに育ててるかも」
あまりの辛辣な意見に涙が出そうだ。
そうです。
本来なら本日はトマトの収穫がメインではなくジャガイモの収穫がメインでした。
なのにメインイベントは修司さんの反省会となってました。
春にたくさんの雑草を刈ったり、庭を整えて同時にレンガを敷いたりして削った土で作ったレイズドベッドはびっくりするほど良い感じに野菜畑になったし。
花壇にしたのは門から郵便の配達の人や宅配の人達が入ってくるあたりに通路になるようにあるだけで後は外から見えない所は畑になっていた。
まあ、思いっきり樹木を伐採したのでこの夏はお隣からは丸見えだが、庭を持たずに駐車場にする家が多いこの近辺なので贅沢な事をしている意識はある。
「だけどみんなの勉強の邪魔してごめんね。
草取り手伝ってくれてありがとう」
仕事帰りにここに寄って晩御飯を食べた後一時間ほど勉強を見てくれるしのさんのタフさこそありがとうなのに……
「ご飯食べたら一時間だけ勉強会しようね。
瑞己は日本語禁止だよ?」
「い、イエッサー」
卒業の論文も順調で就職先も決まっているのに今更就職活動を再開する始末。
しかもそれが毎日のようにしのさんが来る理由だなんて羨ましい。
俺も構って欲しい、だけど素直に言えないのは瑞己を見ての事。
うん。やってる事は一切羨ましくない。
しのさんの勉強は基本詰め込み式。
「圧倒的に知識が足りてないからまずは覚えようね?」
さらりと恐ろしい事を言いながらも何やら修司さんのパソコンを借りていろいろプリントアウトしてたけど……
どこの難関大学に願書を届けるつもりですか?と言うくらいの内容に俺でなくても修司さんもドン引きだ。
さらに恐ろしいのは
「渉と克己も見ていても不安だからもう一度一からやり直そうか」
思わず陽人と一緒ににこやかな笑みを浮かべながら当たり前のように言うしのさんに一緒になって震えてしまった。
とは言え渉は
「ぎりぎりで大学に入ったのは良いけど勉強が追いつけれなくて助かります!」
なんて涙目で感謝していた。
そう言ったのにその日のうちにしのさん厳しいと泣いていたのは笑うしかなかったが。
「俺も昔は勉強が出来なくって、授業だって全然追いつけれなくって夢ばかり大きくって悲惨だったんだけど、すごくお世話になった人が小学校レベルから、本当に一から勉強を教えてくれたんだ。
たくさんの未来から欲しい物を勝ちとれるぐらいにって夏休みなんか毎日、毎年、勉強以外も付きっ切りで面倒を見てくれたんだ」
どうやらそのつもりでここに来ているらしい。
瑞己の顔が真っ青になるけど
「大丈夫。瑞己が自分の未来を勝ち取るぐらいには協力するよ」
にっこりとした優しい笑顔、それこそ「お願いします」と言うしかないその視線に瑞己は負けて頭を下げ
「よろしくお願いします」
受験生よりもハードな受験モードになってこれは何だと思ったけど……
「瑞己、うちに就職したかったら英語は必須だから。
しのさんレベルぐらいに喋れなくても、せめて読み書きはできるようになれ」
後はいくらでもなると修司さんは言う。
だけどそれよりも今は
「はい。渉と克己の分の宿題のプリントだよ。
月曜日の仕事帰りにとりに来るから。それまでにできる所まで頑張って?
それからテスト勉強やり直そうか」
見た事もないくらい生き生きしているしのさんが可愛いなあと少し修司さんの気持ちを理解するのだった。
*******************************
ほっこり・じんわり大賞終了しました。
沢山の応援ありがとうございます!
そして貴重な一票を選んでくださった皆様ありがとうございました!
緑風荘に住むタフな住人の小さな出来事の繰り返しの日常はまだまだ続きます。
時系列と時間軸が重なるころですが……
楽しい夏休み、どうぞ満喫しましょう!
「ごめん。思ったより水やり甘かった、です」
「だよね。
キュウリは収穫のタイミングが遅いしナスの皮が固いのは水が足りない問題だよね」
「ごめん。土、乾いていた……」
「だよね。だから毎回お水あげたって聞いたのにね」
「ごめんなさい……」
そんな修司としのさんを俺達は雑草をとりながら見守っていた朝6時。
相変わらずしのさんの朝は早い。
「まったく。せっかく美味しく育てようってみんなで頑張って来たのに。
颯也に任せるのは簡単だけど卒業するまでに修司が畑のお世話が出来なくてどうするの。
そばで教えてくれる人が居るんだから水加減とかちゃんと聞かなくちゃ」
「ええと、多少不格好になっちゃったけどしのさんのお野菜、きっとおいしいよ?」
「もっと美味しくなる予定だったの!」
なんてぷりぷりと怒る様子。修司さんそのなんかご褒美ですって言う顔止めてくださいなんて颯也は顔を背けて何とか声をこぼさずに肩を震わせて笑っていた。
もちろん瑞己と陽人もそうだけど、それを知らない渉とテスト前の勉強会に来ていた克己は初めて見るその様子にどういうこと?なんて顔で見守っていた。
「それよりも今日はこの後で先輩の家に行って草刈り手伝う事になってるんだから。
その前に野菜の収穫をきちんとして、ズッキーニはもう抜いちゃおうか。ある程度細かくして土の中に埋めて肥料にしちゃおう」
「その後何を植えるんですか?」
颯也が聞けばしのさんは笑って答える。
「もちろんジャガイモだよ。
春に植えた奴も収穫したからね。
とりあえずここのレイズドベッドをジャガイモを植えれるように土を整えておかないといけないし、忙しいけど楽しいよね!」
なんて満天の笑顔。
どれだけ土いじりに植えているの?なんて思うも
「じゃあ、俺土作っておきます」
「頼むね。修司は信用ならないからちゃんと教育お願いね」
「信用ならないって初めていわれた……」
水やりの水が足りなかっただけでここまで言われるのかとショックを受ければ
「修司さんこの調子だと花壇の方も枯らしそうですからね」
「いや、修司なら雑草と気付かずに育ててるかも」
あまりの辛辣な意見に涙が出そうだ。
そうです。
本来なら本日はトマトの収穫がメインではなくジャガイモの収穫がメインでした。
なのにメインイベントは修司さんの反省会となってました。
春にたくさんの雑草を刈ったり、庭を整えて同時にレンガを敷いたりして削った土で作ったレイズドベッドはびっくりするほど良い感じに野菜畑になったし。
花壇にしたのは門から郵便の配達の人や宅配の人達が入ってくるあたりに通路になるようにあるだけで後は外から見えない所は畑になっていた。
まあ、思いっきり樹木を伐採したのでこの夏はお隣からは丸見えだが、庭を持たずに駐車場にする家が多いこの近辺なので贅沢な事をしている意識はある。
「だけどみんなの勉強の邪魔してごめんね。
草取り手伝ってくれてありがとう」
仕事帰りにここに寄って晩御飯を食べた後一時間ほど勉強を見てくれるしのさんのタフさこそありがとうなのに……
「ご飯食べたら一時間だけ勉強会しようね。
瑞己は日本語禁止だよ?」
「い、イエッサー」
卒業の論文も順調で就職先も決まっているのに今更就職活動を再開する始末。
しかもそれが毎日のようにしのさんが来る理由だなんて羨ましい。
俺も構って欲しい、だけど素直に言えないのは瑞己を見ての事。
うん。やってる事は一切羨ましくない。
しのさんの勉強は基本詰め込み式。
「圧倒的に知識が足りてないからまずは覚えようね?」
さらりと恐ろしい事を言いながらも何やら修司さんのパソコンを借りていろいろプリントアウトしてたけど……
どこの難関大学に願書を届けるつもりですか?と言うくらいの内容に俺でなくても修司さんもドン引きだ。
さらに恐ろしいのは
「渉と克己も見ていても不安だからもう一度一からやり直そうか」
思わず陽人と一緒ににこやかな笑みを浮かべながら当たり前のように言うしのさんに一緒になって震えてしまった。
とは言え渉は
「ぎりぎりで大学に入ったのは良いけど勉強が追いつけれなくて助かります!」
なんて涙目で感謝していた。
そう言ったのにその日のうちにしのさん厳しいと泣いていたのは笑うしかなかったが。
「俺も昔は勉強が出来なくって、授業だって全然追いつけれなくって夢ばかり大きくって悲惨だったんだけど、すごくお世話になった人が小学校レベルから、本当に一から勉強を教えてくれたんだ。
たくさんの未来から欲しい物を勝ちとれるぐらいにって夏休みなんか毎日、毎年、勉強以外も付きっ切りで面倒を見てくれたんだ」
どうやらそのつもりでここに来ているらしい。
瑞己の顔が真っ青になるけど
「大丈夫。瑞己が自分の未来を勝ち取るぐらいには協力するよ」
にっこりとした優しい笑顔、それこそ「お願いします」と言うしかないその視線に瑞己は負けて頭を下げ
「よろしくお願いします」
受験生よりもハードな受験モードになってこれは何だと思ったけど……
「瑞己、うちに就職したかったら英語は必須だから。
しのさんレベルぐらいに喋れなくても、せめて読み書きはできるようになれ」
後はいくらでもなると修司さんは言う。
だけどそれよりも今は
「はい。渉と克己の分の宿題のプリントだよ。
月曜日の仕事帰りにとりに来るから。それまでにできる所まで頑張って?
それからテスト勉強やり直そうか」
見た事もないくらい生き生きしているしのさんが可愛いなあと少し修司さんの気持ちを理解するのだった。
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ほっこり・じんわり大賞終了しました。
沢山の応援ありがとうございます!
そして貴重な一票を選んでくださった皆様ありがとうございました!
緑風荘に住むタフな住人の小さな出来事の繰り返しの日常はまだまだ続きます。
時系列と時間軸が重なるころですが……
楽しい夏休み、どうぞ満喫しましょう!
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