異世界召喚に巻きこまれたらスマホがバグって騎士団団長の妻になるそうです

雪那 由多

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朝です。ご飯です。ミルクの時間です。

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 この世界に馴染み、グランデル家での生活にも慣れた。
 慣れてはいけない事も多々あるけど、それでも日々の繰り返しには否でも慣れてしまうのが人間の強い所だと俺は思う。
 少なくとも今では好意的に受け入れられているし、俺の運命を左右するクラエスからは毎日たっぷりと愛情を注いでもらっている。
 クラエスの若さが俺には辛くもあるが、それでも暖かな腕に包まれ、穏やかな、でも少し駆け足気味の心音総てが心地よく聞こえるくらいにこの生活を受け入れていた俺は少しだけこのクソゲーな世界に感謝をするのだった。
 元の世界にいれば誰かと肌の温もりを共有する事もなかったし、そもそも気持ちよい目覚めで朝を迎える事はない。ほぼ昼近い時間だけどと言うツッコミは置いておいて、礼儀正しい侍女と少し疑問があるもクラエスの信頼のある執事。料理長は相変わらず毒を盛って来たけど、毒が効かないと判ったのか俺だけ飯マズ料理を用意してくれたおかげでもふが色々しでかしてくれた為に堂々と解雇をする事が出来た。
 そう言う経過もあってちゃんとした食材に失礼な事をしない料理人を迎え入れる事になったが、それでもほぼ塩なしの減塩思考のお料理は未だバカ舌の俺には苦痛の時間だった。
 菓子屋でレイプされて以来俺は邸を出ていない。
 まあ、今日が聖華ちゃんと会う約束の花の日なのでクラエスと出かける事になるのだが、既にお土産の菓子屋には予約をしてあるので俺は馬車で待機、ハウゼンさんに取に行かせると言う優雅な貴族の奥方を演じる事に決めた。
 因みに当然ながら前回の店ではない。
 この通りの菓子屋全店制覇と言う俺のうっかりがハウゼンさんを焚きつけてしまい、ハウゼンさんのお休みの日に他の侍女さん達と偵察に行ってもらったついでに予約をお願いするのだった。
 もちろんその間はクラエスも居ないからセリムに全身マッサージをしてもらうのだった。体の隅から隅まで、そして穴の奥まで綺麗にしてもらい、誘惑に負けて主の奥様と使用人の秘め事は毎度一線を越えている。
 まあ、元伯爵家の跡継ぎなだけにどこぞの冒険者のように手荒な扱いはうけないものの、若さが強さ。何度もイかされて何度もイけるセリムに俺もあの年頃の時はああだっけと忘れかけている過去を一生懸命思い出そうとして現実逃避をするのだった。

 そして朝、裸で寝る事に抵抗がなくなった俺は誰よりも早く起きる我が子もふが今日も朝ごはんのミルクが欲しいと騒ぐのでベットの中へと引きこんで大人しくしろとホールド。
 もふは小さくても賢く、ベットの中に引き込まれるとミルクが貰えるのを理解して自分からベットの中に潜り込んできゅーんきゅーんと甘えた声を上げる。

「ああ、そんなあざと可愛い声出して。ほら、ミルク飲んだらハウゼンさんに顔を拭いて鬣をといてもらえよ」
 
 ミルクをネットショップで買って与えればいつも通り伸ばされた小さな両手が哺乳瓶に向かって早く頂戴と言うように伸びてきゅーきゅーと鳴く姿に思わずいじめたくなるものの、そこはぐっと我慢してさっさと咥えさせて大人しくさせるのだった。
 もふ同様この時間には起きて部屋の外で待機しているハウゼンさんと言う侍女の鏡の彼女に総ての信頼を置いている俺にもふもハウゼンさんにすっかりと懐いていた。
 ミルクを飲んで扉をガリガリと爪で傷付けないように扉を引っ掻く音を合図にハウゼンさんは扉をもふが通れるだけ開けてもふの身だしなみを整えてくれるのだった。そんなルーティンを今日も繰り返そうとすれば

 パシャ……

 胸元で哺乳瓶でミルクを飲んでいた辺りが温かくなって……

「きゅー!きゅー!」

 もふの壮絶な鳴き声に

「な、なにがあった?!」

 少しでも寝かしたかったクラエスが飛び起きた。
 俺も慌てて体を起こせばつーっと、生暖かい物が胸元を伝い落ちて……
 空っぽの哺乳瓶を抱えるもふ。先端の乳首の部分は噛み切られていてそこから全部流れ出たらしい、そんな悲劇が起きたベットの中心に俺はいた。

「ミ、ミルク臭い……」

 きっとひと肌位に温めただろう故のこの臭いにうんざりとしてしまえばきゅーきゅーと切なげな声で俺に空腹を訴えるもふ。
 少しずつ目を覚まして事態を飲み込んで行けば、俺ともふの悲劇の様子にクラエスはぱたりとベットに沈み込むのだった。
 だが、事態はクラエスを甘やかしてはくれない。
 やがて広がる水分にクラエスも冷たさに起きる羽目となり

「何が起きたんだか……」

 昨夜も遅くまで頑張ったクラエスはそれでも俺を背後から抱きしめる。ミルクまみれで汚れるからとその手を剥がそうとしても逆に機嫌よくぎゅーっと抱きしめれる根性がすこし愛しい。
 俺はもふを抱えてその口の様子を見る。
 そこには真っ白な真珠の如き白いつぶつぶがならんでいて

「歯が生えたみたい。まだちっちゃいけど、哺乳瓶の乳首の所を噛み切ったみたいだ」

 チビでもドラゴンの顎の強さはこの頃から最強なのかとビビってしまうも

「もふ、歯の生え始めでかゆいかもしれないけどなんでも噛んじゃいけないぞ?」

 俺からもふを拾い上げてクラエスは抱えながらもふの喉元をさすってやる。
 ここをさすられると機嫌よさそうにくるるるると鳴くのは気持ちいいしょうことおしえてくれた。
 なので甘えてくるような時があれば喉元をさすってやるようにしていたが、そこはドラゴンと触れ合いのある職種だけに生態に詳しいと関心をする。

「ドラゴンの顎の力だと人の体は簡単に傷ついてしまう。大好きなアトリがけがをしたら悲しいよな?」
 
 そんな問いかけにハッとしたかのように理解してきゅるると反省するかのような返事をした。こう言う光景を見るたびにドラゴンって言うのはほんと賢い生き物なんだなぁと初めての発見のように驚いてしまう。


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