31 / 199
お菓子とエールの街(28〜)
30
しおりを挟む
夜半過ぎ、ソロウは背中にバネでも付いているかのように勢いよく上半身を起こした。
荒い呼吸を繰り返し、怯えた目でキョロキョロと周りを見回して、ようやく自分がテルミリアの宿に泊まっていることを思い出す。
部屋の真ん中に置かれているテーブルの蝋燭の火はまだ消えていない。気絶するように眠ってから、そう経ってはいないらしい。
(……──クソ、勘弁してくれよ)
悪夢はよく見る。冒険者をやっていると、不眠症を患うことは往々にしてある。数々のクエストをこなして経験を重ねれば重ねるほど、体験した恐怖の記憶も蓄積していくからだ。例え昔恐ろしいと思った魔物を倒せる実力を身に着けたところで、夢の中では昔の弱い自分のまま、肥大した恐怖の中でもがき苦しんで目が覚める。
起きているうちは「すごい経験だった」と仲間内で盛り上がったり、しみじみと思い出しては生きながらえた奇跡に感謝したりできるのに、夢となるとどうしても悪いものとして呼び起こされるらしい。もしかしたら、生存本能が教訓としてそうさせているのかも知れないが──。
特に最近ではドラゴワーム、ワイバーン、黒いドラゴンと、立て続けに現実離れした恐ろしい目に遭っている。ミハルなどはさらに、オークキングの砦を発見した直後にゴブリンの群れに取り囲まれあわや命を落とすところ、突然降ってきた巨大な黒いドラゴンの攻撃に巻き込まれかけ、挙げ句そのドラゴンが間近に迫ってきたというではないか。並の精神力では耐えられまい。
あのとき、自分がゴブリンを追う役を引き受けていれば。
第一、オークキングについてもっと早くリュークに聞けていれば、ミハルたちを危険にさらすことなどなかった。
「あいつら、他のやつのナワバリでは何もしない」──初めて会った日にゴブリンについてリュークが言ったことだ。
そして、丘に居たオークについては、「ここは他のキングのナワバリだから、遠くに行かないとキングになれない」と言った。
つまり、あそこで攻撃を仕掛けてきたゴブリンどもが丘のオークの敵であることも、ゴブリンの逃げた先にオークキングが待ち構えているであろうことも、少し考えれば分かることだったのだ。
あのときに戻れるならばと何度も思わずにいられなかったが、こうなってしまっては酷い目に遭ったアルベルム兵とミハルが少しでも穏やかな眠りにつけるよう祈ってやることくらいしかできない。
そういえば、黒いドラゴンが襲ってきたときにはグランツも居たというが……まあ、あの人は大丈夫だろうと、極めて頑強な貴族のことは頭の隅から追い払う。
鎧を来たまま寝てしまったせいで全身が重く痛む。びっしょりとかいた汗が気持ち悪い。せめて風呂には入るべきだった──と、現実逃避と思しき後悔の念に意識を集中させてみる。
ふと近くで声がした気がして右に目をやると、どうやら隣のベッドで眠るギムナックも魘されているようだ。
「うう……リューク……やめ、やめるんだ、リュ……神よ……」
ソロウは薄暗い天井を見上げた。考えたくはないが、嫌な予感がする。
どこからともなく、ほんの微かなざわめきが聞こえてくる。
テルミリアにある食堂のいくつかが毎日朝まで大盛況であることは知っている。ソロウ自身もテルミリアに寄った際には必ずと言って良いほど夜はエールに身を委ね、朝は酒まみれの床か店の前で屍のように眠る。これこそがテルミリアにおける正しい大人のマナーであるとも考えている。
しかし、今日に限ってはどうも馴染まない。このざわめきがいつもの空気と違っているからだろう。何せ、悲鳴が混じっている。
ギムナックを起こすべきか悩んだが、何故か急に悟りを開いたかのように静かに眠り始めたのを見て、ソロウは一人静かに部屋を後にした。
見張り番の兵たちに片手を上げて挨拶しつつ、ギシギシと階段を軋ませて一階まで降り、カウンターを覗いてみる。
──誰もいない。
まあ、そうだろうなと小さく溜息を吐いてカウンター近くのドアを開けた。
未だ嘗て、ドアを開けてこれほど動揺したことがあろうか。刹那にソロウの中の記憶領域に並ぶ引き出しの片っ端からあらん限りの言い訳の羅列が飛び出して、走馬灯のように脳内を駆け巡る。
はてさて、かたや椅子に座ったままスライムがどれだけ伸び縮みするか実演して見せているリューク。かたや明らかに椅子もテーブルも酒と料理ごと弾き倒して飛び退ったところで剣や杖の柄に手を掛けるか掛けまいか迷っている冒険者たち。その一歩後ろで、鍋や皿や椅子を胸の前で構えて持ち、身を守ろうとしている者の多いこと。
一見すれば、ざっと五十人もの良い大人が幼気な少年を囲んで虐めているようにしか見えないが、次いで血の気の引いた大人たちの顔を見れば異常を察するのは容易い。一体全体、これをどう収めるべきだろうか。
(それにしても、リュークのやつ──)
ソロウは、スライムの端を掴んで思い切り引き伸ばしているリュークをなんとなく新鮮な気持ちで眺めた。
(ステータスによれば十歳ってことだったが、その割には小さ過ぎやしないか?)
大勢の大人の中に居ると、余計幼く見える。
昨年会った甥や再従兄弟は九歳だったが、どちらもリュークよりふた周りは大きかった印象がある。十歳の姪などは、さらに早い成長ぶりだった。ギムナックも初めの頃にリュークを見て「おそらく八歳程度」と言っていた。それも、一人で飄々とあんなところに居たからそう思っただけで、実際は八歳にしても小さいくらい──ともすれば、学校の初等部に入ったばかりの六、七歳くらいの体躯にも見えるほどだ。それか、大人に囲まれているから見るほどに幼く感じるだけなのか。
細っこい体つきだが、痩せ過ぎというほどではなく不健康な様子はない。小さいのは遺伝によるものだろうか?
腕を組んで考えに耽っていると、「どうしました?」と、レオハルトが横からぬっと顔を出した。
「いや、リュークが歳の割に小さいな……と」
「まさか、この状況で?」
「え? ……あっ」
ソロウははっとしてレオハルトを振り向いた。
落ち着き払った表情のレオハルトからの憐れむような視線が痛い。
「まあ、分かりますよ。子どものおもりというのは、この世で最も大変な仕事の一つでしょうからね」
レオハルトは気まずげに目を逸らすソロウに言い置いて、颯爽と食堂の中を突き進んだ。
荒い呼吸を繰り返し、怯えた目でキョロキョロと周りを見回して、ようやく自分がテルミリアの宿に泊まっていることを思い出す。
部屋の真ん中に置かれているテーブルの蝋燭の火はまだ消えていない。気絶するように眠ってから、そう経ってはいないらしい。
(……──クソ、勘弁してくれよ)
悪夢はよく見る。冒険者をやっていると、不眠症を患うことは往々にしてある。数々のクエストをこなして経験を重ねれば重ねるほど、体験した恐怖の記憶も蓄積していくからだ。例え昔恐ろしいと思った魔物を倒せる実力を身に着けたところで、夢の中では昔の弱い自分のまま、肥大した恐怖の中でもがき苦しんで目が覚める。
起きているうちは「すごい経験だった」と仲間内で盛り上がったり、しみじみと思い出しては生きながらえた奇跡に感謝したりできるのに、夢となるとどうしても悪いものとして呼び起こされるらしい。もしかしたら、生存本能が教訓としてそうさせているのかも知れないが──。
特に最近ではドラゴワーム、ワイバーン、黒いドラゴンと、立て続けに現実離れした恐ろしい目に遭っている。ミハルなどはさらに、オークキングの砦を発見した直後にゴブリンの群れに取り囲まれあわや命を落とすところ、突然降ってきた巨大な黒いドラゴンの攻撃に巻き込まれかけ、挙げ句そのドラゴンが間近に迫ってきたというではないか。並の精神力では耐えられまい。
あのとき、自分がゴブリンを追う役を引き受けていれば。
第一、オークキングについてもっと早くリュークに聞けていれば、ミハルたちを危険にさらすことなどなかった。
「あいつら、他のやつのナワバリでは何もしない」──初めて会った日にゴブリンについてリュークが言ったことだ。
そして、丘に居たオークについては、「ここは他のキングのナワバリだから、遠くに行かないとキングになれない」と言った。
つまり、あそこで攻撃を仕掛けてきたゴブリンどもが丘のオークの敵であることも、ゴブリンの逃げた先にオークキングが待ち構えているであろうことも、少し考えれば分かることだったのだ。
あのときに戻れるならばと何度も思わずにいられなかったが、こうなってしまっては酷い目に遭ったアルベルム兵とミハルが少しでも穏やかな眠りにつけるよう祈ってやることくらいしかできない。
そういえば、黒いドラゴンが襲ってきたときにはグランツも居たというが……まあ、あの人は大丈夫だろうと、極めて頑強な貴族のことは頭の隅から追い払う。
鎧を来たまま寝てしまったせいで全身が重く痛む。びっしょりとかいた汗が気持ち悪い。せめて風呂には入るべきだった──と、現実逃避と思しき後悔の念に意識を集中させてみる。
ふと近くで声がした気がして右に目をやると、どうやら隣のベッドで眠るギムナックも魘されているようだ。
「うう……リューク……やめ、やめるんだ、リュ……神よ……」
ソロウは薄暗い天井を見上げた。考えたくはないが、嫌な予感がする。
どこからともなく、ほんの微かなざわめきが聞こえてくる。
テルミリアにある食堂のいくつかが毎日朝まで大盛況であることは知っている。ソロウ自身もテルミリアに寄った際には必ずと言って良いほど夜はエールに身を委ね、朝は酒まみれの床か店の前で屍のように眠る。これこそがテルミリアにおける正しい大人のマナーであるとも考えている。
しかし、今日に限ってはどうも馴染まない。このざわめきがいつもの空気と違っているからだろう。何せ、悲鳴が混じっている。
ギムナックを起こすべきか悩んだが、何故か急に悟りを開いたかのように静かに眠り始めたのを見て、ソロウは一人静かに部屋を後にした。
見張り番の兵たちに片手を上げて挨拶しつつ、ギシギシと階段を軋ませて一階まで降り、カウンターを覗いてみる。
──誰もいない。
まあ、そうだろうなと小さく溜息を吐いてカウンター近くのドアを開けた。
未だ嘗て、ドアを開けてこれほど動揺したことがあろうか。刹那にソロウの中の記憶領域に並ぶ引き出しの片っ端からあらん限りの言い訳の羅列が飛び出して、走馬灯のように脳内を駆け巡る。
はてさて、かたや椅子に座ったままスライムがどれだけ伸び縮みするか実演して見せているリューク。かたや明らかに椅子もテーブルも酒と料理ごと弾き倒して飛び退ったところで剣や杖の柄に手を掛けるか掛けまいか迷っている冒険者たち。その一歩後ろで、鍋や皿や椅子を胸の前で構えて持ち、身を守ろうとしている者の多いこと。
一見すれば、ざっと五十人もの良い大人が幼気な少年を囲んで虐めているようにしか見えないが、次いで血の気の引いた大人たちの顔を見れば異常を察するのは容易い。一体全体、これをどう収めるべきだろうか。
(それにしても、リュークのやつ──)
ソロウは、スライムの端を掴んで思い切り引き伸ばしているリュークをなんとなく新鮮な気持ちで眺めた。
(ステータスによれば十歳ってことだったが、その割には小さ過ぎやしないか?)
大勢の大人の中に居ると、余計幼く見える。
昨年会った甥や再従兄弟は九歳だったが、どちらもリュークよりふた周りは大きかった印象がある。十歳の姪などは、さらに早い成長ぶりだった。ギムナックも初めの頃にリュークを見て「おそらく八歳程度」と言っていた。それも、一人で飄々とあんなところに居たからそう思っただけで、実際は八歳にしても小さいくらい──ともすれば、学校の初等部に入ったばかりの六、七歳くらいの体躯にも見えるほどだ。それか、大人に囲まれているから見るほどに幼く感じるだけなのか。
細っこい体つきだが、痩せ過ぎというほどではなく不健康な様子はない。小さいのは遺伝によるものだろうか?
腕を組んで考えに耽っていると、「どうしました?」と、レオハルトが横からぬっと顔を出した。
「いや、リュークが歳の割に小さいな……と」
「まさか、この状況で?」
「え? ……あっ」
ソロウははっとしてレオハルトを振り向いた。
落ち着き払った表情のレオハルトからの憐れむような視線が痛い。
「まあ、分かりますよ。子どものおもりというのは、この世で最も大変な仕事の一つでしょうからね」
レオハルトは気まずげに目を逸らすソロウに言い置いて、颯爽と食堂の中を突き進んだ。
16
あなたにおすすめの小説
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました
白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。
そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。
王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。
しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。
突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。
スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。
王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。
そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。
Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。
スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが――
なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。
スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。
スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。
この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。
無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。
やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる